戦略と戦術の違いとは?やビジネスでの具体例や作戦の立て方、立案フレームワーク「作戦・戦術・計画」をわかりやすく解説

戦略・戦術とは何か?違いや具体例と戦略立案のフレームワークを解説
Last Updated on 2026年4月12日 by 荻野永策

戦略と戦術の違いが曖昧なままだと、施策の良し悪しは見えても、なぜ成果が出ないのかを正しく判断しにくい。

営業やマーケティングの方向性を整理したい経営者・管理職・担当者に向けて、戦略と戦術の違い、作戦への落とし込み方、実務での考え方をわかりやすく解説する。

立案フレームワーク「作戦・戦術・計画」を活用したBtoBマーケティング戦略営業戦略の立て方の立て方については、下記の動画で詳しく解説している。本コラムに関連する動画なので、ぜひ一度ご覧いただけたらと思う。

【PDF資料】
BtoBマーケティングの重要性浸透とリテラシー向上の進め方「社内浸透・意識改革をどうするか?」
「BtoBマーケティング戦略の立て方手順書」と「BtoBデジタルマーケティングの10の施策手順書」

【PDF資料】
BtoB営業戦略の立て方手順書「戦略立案エクセルシートと営業戦略の成熟度チェックシート付き」

戦略と戦術の違いは「何をするか」と「どうやるか」

戦略と戦術の違いを一言で言えば、戦略は「何をするか」を定める方針であり、戦術は「どうやるか」を定める実行手段である。わかりやすく図を表すと、以下のようになる。

戦略と戦術の俯瞰図

戦略と戦術の俯瞰図

戦略には目的があり、その目的を達成するための具体策が戦術だ。その戦術を実行するために自社のリソースをどう使うか?を考えることが戦略であり、戦略立案である。

戦略の目的例戦術の例(実行手段)
製造業をターゲットとした新規開拓を強化する製造業向けの業界特化LPを作る
既存顧客のLTVを高めるアップセルの提案メールを定期配信する
問い合わせ依存から脱却し、能動的に商談を増やすウェビナーを毎月開催する
属人的な営業から再現性のある営業体制へ移行するSFAを導入して案件管理ルールを統一する

明確に異なるこれらが、なぜ一般的に混在して使われるのか。その理由は、多くの企業や現場において「戦略」を十分に言語化しないまま日々の施策を進めており、実際には戦術の話をしているのに、それを戦略と呼んでしまっているからである。

たとえば、「Web広告を出す」「展示会に出展する」「営業を増員する」といった話は、いずれも実行手段であり戦術である。しかし現場では、こうした具体策が先に議論されやすいため、「何の目的でその施策を選ぶのか」といった上位の判断が抜け落ちやすい。その結果、戦術を戦略だと誤認し、両者が混在して使われるのである。

戦略の目的に対して、自社のリソースを投資・投下することになるため、戦略立案には費用対効果の確認(数値での効果分析)、PDCAによるリソースの使い方の改善が求められる。

戦略とは?

戦略(英語:strategy)とは、ビジネスの目的に対して、長期的視野で、自社が持っているリソース(人・物・金など)を総合的に活用する方策のことだ。わかりやすく言い換えれば、「今ある自分(自社・自部門)が持っている力をうまく活用して、やりたいことを実現する方策」のことといえる。

BtoB企業における具体例
産業機械メーカーが「価格競争を避けながら受注を増やしたい」と考えた場合、すべての業界を広く狙うのではなく、特定業界に絞って提案力を高める戦略を立てる。例えば、「ターゲットを食品工場に絞り衛生管理や省人化の課題に強い企業としてポジションを築く」など。これは単なる営業施策ではなく、限られた営業人員や開発力、実績、顧客理解といった自社のリソースを、どこに集中投下するかを決める戦略である。

ビジネスにおいて戦略は、組織の進むべき方向性を示すこととなり、戦略がなければ、従業員や部下はバラバラに活動してしまい、烏合の衆となってしまう。組織が持っている力を最大限に発揮できなくなるのである。

戦術とは?

戦術(英語:tactics)とは、「戦略を実現するための具体的な手段・方法」のことだ。戦略の目的を達成するためには、「やらなければならないこと」が無数にあり、それらを具体的にどんな方法で実現するのか?が戦術である。このため、戦略の中には複数の戦術があり、複数の戦術の集合体により戦略の目的が達成されることになる。

BtoB企業における具体例
例として、「製造業の中堅企業をターゲットに営業資源を集中し、案件獲得率を高める」という戦略があったとする。このときの戦術としては、製造業向けの導入事例を増やす、業界特化のホワイトペーパーを作る、製造業の課題に絞ったウェビナーを開催する、対象企業に対してインサイドセールスで継続接触する、といった具体策が挙げられるだろう。

これらはすべて、戦略そのものではなく、戦略を実現するための手段である。

戦略を立案するためのフレームワーク

戦略を立案するには、戦略立案のフレームワークを活用するとよい。戦略立案のフレームワークとして「作戦・戦術・計画」フレームワークをご紹介しよう。

「作戦・戦術・計画」フレームワークは、弊社が自社やお客様の戦略を立案する際に活用しているフレームワークだ。さまざまな情報や考え方を参考に整理し「作戦・戦術・計画」フレームワークと弊社では呼称している。

「作戦・戦術・計画」フレームワークは、その名の通り、戦略を下記の3つに分解して立案する。

  1. 作戦
  2. 戦術
  3. 計画

作戦

作戦とは、「戦略の目的を達成するために実現しなければならないこと」である。戦略には目的があるが、その目的を達成するためにやるべきことがあるはずだ。それが作戦である。当然、作戦というからには「使命」があり、この使命を全て達成することで、戦略の目的も達成される。戦略と作戦・使命を図解化すると下記のようになる。

戦略と作戦・使命

戦略と作戦・使命

作戦と使命の例としては、下記の表のようなイメージだ。

戦略の目的「売上・シェア拡大」に対する作戦・使命の例
作戦使命
作戦①売れる商品の開発差別化のポイントを強化(価値を高める、増やす)
作戦②見込客の育成見込客との関係を深める
作戦③顧客維持LTVを高める

例えば、売上・シェア拡大という目的を達成するための作戦のひとつに、売れる商品の開発が挙げられる。上記の場合、売れる商品の開発という作戦の使命は、差別化の強化である。つまり、差別化の強化という使命を達成できれば、売れる商品を開発できて、戦略の目的である売上・シェア拡大を期待できるということだ。

戦術

戦術とは、「作戦の使命を実現する方法論」のことである。どんな武器を持ってどう戦うのか?を決めることになる。作戦の使命に対して、どんな戦術が最適なのか?自社のリソースを効率よく活用できる戦術は何か?長期的な時代の流れからどのような戦術がよいか?などを分析しながら、最適な戦術を選定する。下記図のように、作戦・使命によっては、戦術は1つで足りることもあれば、複数必要になることもある。

戦略・作戦・戦術

戦略・作戦・戦術

作戦「見込客の育成」に対する戦術の例
作戦の例戦術の例
見込み客の育成 戦術①メルマガ
戦術②セミナー
戦術③ニュースレター

例えば、見込客の育成という作戦の使命を実現させる戦術には、メルマガやニュースレターの活用、セミナーの開催などが挙げられる。見込客の育成方法はほかにもあるため、実際に戦術を考える場合は、自社のリソースを効率よく活用できるものはどれかなどを分析して、戦術を選ぼう。

計画

計画とは、戦術をいつまでにやるのか?誰がやるのか?を決めることである。戦術があっても、そこに時間軸と担当者がなければ戦略を具体的に実行できない。

また計画では、戦略・戦術のPDCAも検討しなければならない。戦術を実行した結果、どうなったのか?の効果分析により、作戦の使命がしっかり果たされているか?の確認を継続的に行い、問題のある作戦・戦術にリソースを集中投下し改善することで、戦略目的をいち早く達成できるようになる。

作戦「見込客の育成」に対する戦術の計画の例
戦術実施期間担当効果確認方法
戦術①メルマガ1年山田メール経由のCV
戦術②セミナー1年鈴木セミナー申し込み件数
戦術③ニュースレター1年小林見込み客からの反応数

上記例の場合、見込み客育成作戦は1年間単位で実施され、メルマガ、セミナー、ニュースレターがその戦術となる。そして各戦術に対して「何が効果なのか?」を定義し、その効果を継続的に確認する。効果につながっていない、数値が上がらないという場合は、「戦術そのものを見直す(例:ニュースレターという手法を変える)」か「戦術は見直さず、戦い方を変える(例:ニュースレターのコンテンツを見直す)」かのどちらかを選択し、全体の改善を行うと良い。効果の悪い箇所に改善リソースを集中投下することで、効率よく戦略を推進できる。

戦略から戦術を策定する流れ

それでは、「作戦・戦術・計画」フレームワークにおける、戦略から戦術への落とし込みのプロセスをご紹介する。そのプロセスは下記の通りだ。

戦略から戦術を策定する流れ
  1. 戦略を複数の作戦に分解する
  2. 作戦を実行する具体的な戦術を策定(選定)する
  3. 戦術に合わせて作戦のKPIを具体化する

戦略から戦術を策定するには、戦略を作戦に分解して、作戦ごとに具体的な戦術を策定していく。そして、各戦術に対してKPIを決めるという流れだ。この流れを効率よく進めるには、下記のような表を埋めていくとよいだろう。

戦略の目的:売上拡大・シェア拡大
作戦戦術KPI
●●作戦■■■**
●●作戦■■■■■**
●●作戦■■**
●●作戦■■■■**
【記入した例】
戦略の目的:売上拡大・シェア拡大
作戦戦術KPI
認知拡大作戦WEBサイトアクセス数
興味付け作戦WEBCV件数
リサーチ作戦アンケート調査課題把握数
受注獲得作戦訪問営業受注件数

作戦の列には、戦略の目的を達成するために必要な作戦を記入する。作戦名として名前をつけていこう。戦術は各作戦に対して何を使うか?を記入する。各作戦に対して複数の戦術があっても良い。そしてKPIは、各戦術に対して何を使命とするかを考え、KPIを設定する。

このような表を作り上げていくことで、戦略から戦術を策定することができる。

①戦略を複数の作戦に分解する

まず行うべきことは、戦略をそのまま実行しようとするのではなく、戦略の目的を達成するために必要な中間テーマへ分解することである。この中間テーマが「作戦(使命)」だ。戦略は方向性を示す上位概念であるため、そのままでは現場が何をすべきか分かりにくい。そこで、「どのような状態を順番に作れば戦略が実現できるか」という視点で、複数の作戦に分けていく必要がある。

たとえば、「新規顧客を増やして売上を拡大する」という戦略があった場合、それをいきなり実行することはできない。この場合は

  • まず認知を広げる
  • 興味を持たせる
  • 見込み客の課題を把握する
  • 商談を増やす
  • 受注を獲得する

といったように、目的達成までの流れに沿って作戦へ分解していくことになる。

②作戦を実行する具体的な戦術を策定(選定)する

次に、分解した作戦ごとに、それを実行するための具体的な戦術を策定していく。ここで考えるべきなのは、「その作戦を実現するには、実際に何を使い、何を行うのか」である。作戦はあくまで中位の考え方であり、現場が動くためには、さらに具体的な手段へ落とし込まなければならない。

たとえば、「認知拡大作戦」であれば、戦術としてはWeb広告、SEO記事、業界メディアへの露出、展示会出展、SNS発信などが考えられるだろう。

この工程のポイントは、戦術を“できそうなこと”で選ぶのではなく、“作戦の目的に最も合うこと”で選ぶことである。社内で慣れている施策だからという理由だけで選ぶと、戦略とのつながりが弱くなる。また、戦術を増やしすぎるのも注意点だ。最初から多くの手段を並べると、リソースが分散して成果検証もしにくくなる。

作戦ごとに優先順位をつけ、勝ち筋がありそうな戦術から選定するのが望ましい。

③戦術に合わせて作戦のKPIを具体化する

最後に、選定した戦術に合わせてKPIを具体化する。KPIは、戦術が機能しているかどうかを確認し、作戦が前に進んでいるかを測るための指標である。戦略や作戦だけでは抽象度が高く、現場がどこまで進めば良いのか分かりにくい。そのため、戦術ごとに適切なKPIを設定し、進捗と成果を見える化する必要があるというわけだ。

具体的な進め方としては、まず「その戦術の使命は何か」を明確にし、その使命に対応する数値を決めていく。たとえば、「認知拡大作戦」の戦術がSEO記事なら、KPIはサイトアクセス数や検索流入数が候補になる。「興味付け作戦」の戦術がホワイトペーパーなら、ダウンロード数やCV率が考えられる。

戦略と戦術の立て方

では、ここから実際に、具体的な戦略立案を進めてみよう。弊社はBtoBの営業戦略の立案、BtoBマーケティング戦略の立案が得意であるため、営業戦略とBtoBマーケティング戦略を例にご紹介する。

特に最近では営業やマーケティングのデジタル化も活発であるため、デジタルマーケティング戦略(デジタル活用)も含めた戦略立案となっている。

営業戦略の立て方

営業戦略の立て方は次の6ステップだ。

営業戦略の立て方
  1. 営業目標を決める(KGIとKPI)
  2. 営業戦略に必要な事前分析を行う
  3. BtoBの営業戦術・営業方法として何があるのかを理解する
  4. 戦略立案フレームワークを使って営業戦略を立案する
  5. 営業戦略を営業アクションプランに落とし込む
  6. 営業アクションプランに従い営業活動を展開しPDCAを回す

このように、営業戦略の立て方は、目標設定→事前分析→営業方法の理解→戦略立案→アクションプラン化→PDCA運用という流れで進めるのが基本である。順番を飛ばして施策から考えるのではなく、上流から整理していくことで、再現性のある営業戦略を構築しやすくなる。

営業戦略については、以下のページで詳しく解説しているのでこちらも参考にしてほしい。

営業戦略とは?フレームワークによる戦略の立て方と具体例やPDCAの回し方、営業手法を詳しく解説

営業戦略とは?フレームワークによる戦略の立て方と具体例やPDCAの回し方、営業手法を詳しく解説

2025年9月28日

BtoBマーケティング戦略の立て方

続いては、BtoBマーケティング戦略の立て方についてだ。

BtoBマーケティング戦略は、単発の集客施策を考えることではなく、顧客理解から受注、顧客維持までを一連の流れで設計することが重要である。具体的には、8つの作戦として整理することで「どこに課題があり」「どこを強化すべきか」を体系的に判断しやすくなる。

BtoBマーケティングを8つの作戦(施策)
  1. 顧客のニーズを知る
  2. 売れる商品を作る
  3. 見込客を獲得する
  4. 見込客を育成する
  5. 案件化・商談化
  6. 受注
  7. 顧客維持
  8. 顧客満足度調査

BtoBマーケティングの基本や戦略立案については、以下のページで詳しく解説している。

BtoBマーケティングの基礎知識「全体像、施策の流れ、戦略立案方法、主な手法や最新トレンド・動向と成功事例を解説」

BtoBマーケティングとは?基礎知識から戦略立案・購買プロセスに応じた施策・手法をわかりやすく解説

2025年8月12日

まとめ

以上、戦略と戦術の違い、戦略を立案する方法、戦略を立案する「作戦・戦術・計画」フレームワークの詳細をご紹介した。下記の表をテンプレートに、御社ならどんな戦略が立案できるか、一度検討してほしい。

戦略の目的:売上拡大・シェア拡大
作戦戦術KPI(使命)
●●作戦▲▲戦術■■を達成すること
●●作戦▲▲戦術■■を達成すること
●●作戦▲▲戦術■■を達成すること

BtoBの営業戦略やマーケティング戦略を立案する場合は、下記のPDF資料も役に立つので、戦略立案の参考書として役立てていただけたら幸いだ。

BtoBマーケティング戦略の立て方のPDF資料
https://btobmarketing.aluha.net/contact/white-paper/r28/

BtoB営業戦略の立案手順書(戦略の具体例と成熟度チェックシート付き)のPDF資料
https://btobmarketing.aluha.net/contact/white-paper/r04/

本コラムでは、「戦略と戦術とは」について解説した。こちらのコラムでは、「10kg痩せること」を目的に戦略と戦術に分解していく思考をわかりやすく解説している。噛み砕いた解説となっているので、ご興味あればご覧いただけたらと思う。

ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ALUHA代表取締役社長。1979年兵庫生まれのBtoBマーケティングコンサルタント。金沢工業大学大学院にて情報工学を専攻し2003年3月に修士課程を修了。同年4月にALUHAを創業。2008年からBtoBに特化したマーケティング支援、営業戦略支援を開始。2025年7月に顧客の質と量のバランスを重視するBBM(バランスベースドマーケティング)を考案。大手IT企業、製造業(日立Gr、富士フイルムGr、キヤノンGr、積水Grなど)を顧客に持つ。→セミナー講演実績→コンサル実績