BtoBマーケティングとは?戦略立案の基礎と立案事例「立案テンプレート付き」

BtoBマーケティングの戦略・計画の立て方と立案具体例
Last Updated on 2025年3月5日 by 荻野永策

このコラムでは、BtoBマーケティングの戦略・計画の立て方について解説する。また戦略立案の具体例もご紹介する。

BtoBマーケティング戦略の立て方プロセス

BtoBマーケティングの戦略を立案する手順は以下の通りだ。BtoBマーケティングで「やらなければならないこと」を明確にし、そこから戦術を選定した上で、KPIを設定し、実行計画を立案するという流れになっている。

BtoBマーケティング戦略の立案手順
  1. BtoBマーケティングを作戦に分解する
  2. 作戦毎に戦術を選定し使命(KPI)を具体化する
  3. マーケティング計画に落とし込みPDCAを回す

なお、この手順については、動画でもわかりやすく解説しているので、コラムを読む時間がない方は、動画を参照してほしい。

さらに、御社のBtoBマーケティング戦略の立案を進めるため、4つのパワーポイントやエクセルテンプレート・見本を準備している。動画や本コラムを参照する前に、ぜひダウンロードして活用してほしい。

手順1:BtoBマーケティングを作戦に分解する

最初のプロセスは「BtoBマーケティングを作戦に分解する」だ。「BtoBマーケティングを作戦に分解する」とは、わかりやすく言えば、「BtoBマーケティングでは何をやらなければならないのか?」を明確にすることだ。

では「BtoBマーケティングでやるべきこと」とは何だろうか?その具体的な内容が、以下の「BtoBマーケティングサイクル」である。

BtoBマーケティングサイクル

BtoBマーケティングサイクル

BtoBマーケティングサイクルでは、BtoBマーケティングを8つの作戦に分解しており、それぞれで以下表のようなことを取り組んでいく。

8つの作戦やること
顧客のニーズを知る顧客満足度調査や見込み顧客(リード)のニーズ調査で蓄積されたさまざまなニーズを分析し、顧客や見込み顧客(リード)が解決したい課題は何なのか?を知ること。
売れる商品を作る「解決したい課題」に対して、自社の強みを生かしながら、製品やサービスを開発・改善していくこと。もしくは既存製品・サービスに付加価値をつけていくこと。この段階でマーケティングにおける差別化や競合優位性、独自性などが強化されることになる。
リードジェネレーション開発した製品・サービスの見込み顧客(リード)を獲得すること。展示会、セミナー、電話営業、Webサイト活用などさまざまなマーケティング手法がある。BtoBマーケティングでは、リードジェネレーションと呼称されている。見込み顧客(リード)へのアプローチをどれだけ効率よく行えるか?が重要となる。
リードナーチャリング獲得した見込み顧客(リード)に対して、中長期的に接点を構築し、信頼関係を作り上げていくこと。BtoBマーケティングでは、リードナーチャリングと呼称されている。見込み顧客(リード)が解決したい課題を調査(ニーズ調査)し、その解決策の提案(ソリューション提案)なども行う。BtoB企業は購買プロセス・検討プロセスが長いため、中長期的なリードナーチャリングの重要性・必要性は非常に高い。
案件化・商談化育成した見込み顧客(リード)の中から、確度の高い見込み顧客(リード)を抽出・選定し、案件化・商談化していくこと。BtoBマーケティングでは、確度の高い見込み顧客(リード)を抽出・選定することを、リードクオリフィケーションと呼称している。
受注案件・商談化した見込み顧客(リード)に対して見積りなどを行い、実際に受注を獲得すること。この段階で見込み顧客(リード)が新規顧客になる。
顧客維持新規顧客を維持して、優良顧客化していくこと。LTVを高め利益や売上を最大化していくこと。顧客の流出防止のための施策を展開し、購入回数の増加(新規案件の獲得)、購入点数の増加など既存顧客からの売上を最大化する。クロスセル、アップセルを展開していく。
顧客満足度調査既存顧客に対して、自社の製品やサービスの満足度(良い点や不満点)を調査し、自社製品が持つ課題を明確にすること。

BtoBマーケティングサイクルをぐるぐる回し続けることで、マーケティング活動の前進させていくことができる。BtoBマーケティングサイクルをベースに、BtoBマーケティングを作戦に分解すると、以下のような戦略図となる。

BtoBマーケティング戦略を8つの作戦に分解した例

BtoBマーケティング戦略を8つの作戦に分解した例

戦略立案に必要なパワーポイントテンプレートをダウンロードする

手順2:作戦毎に戦術を選定し使命(KPI)を具体化する

BtoBマーケティングを作戦に分解したら、次は各作戦ごとに「戦術」を選定しKPIを設定する。ここが自社のリソースをどう活用するか?を考える重要な局面となる。BtoBマーケティングの各作戦における戦術・手法は複数あり、自社のリソースや顧客の購買プロセスなどに合わせて選定する必要がある。

例えば、「新規見込み客の獲得作戦」を例に考えてみよう。「新規見込み客の獲得作戦」はBtoBマーケティングから見れば、「やるべきことの1つ」である。それに対して、「どういう手法(戦術)でどんなKPIを設定するか?」を考えなければならない。手法(戦術)としては、「電話営業」「展示会」「自社のWEBサイト活用」などが考えられる。そしてKPIはリード獲得件数となる。

このように、8つの作戦に対して「どういう手法(戦術)でどんなKPIを設定するか?」を具体化していく。このとき、デジタルを使うか、人を使うか、過去の経験やノウハウを再利用できる手法(戦術)はないか?などを考え、全体の効率を高める必要がある。

以下図に、8つの作戦に対して「どういう手法(戦術)でどんなKPIを設定するか?」を具体化した例を掲載する。自社の商材特性・業界特性などもみながら検討すると良いだろう。

BtoBマーケティング戦略の戦術選定とKPI策定例

BtoBマーケティング戦略の戦術選定とKPI策定例

戦術選定が完了したらその戦術を実行するに相応しい人物をアサインし担当者としよう。そしてアサインされた担当者は、「自分が達成すべきKPI」と「なぜそのKPIを達成しなければならないのか?の意図」を理解し、マーケティング計画へと落とし込むと良い。

手順3:マーケティング計画に落とし込みPDCAを回す

マーケティング戦術の選定と実行担当者の決定が完了すれば、いよいよ現場への落とし込みだ。つまり、作戦・戦術毎にマーケティング計画(マーケティングアクションプラン)を策定する。マーケティング計画(マーケティングアクションプラン)とは、戦術をいつまでにやるのか?具体的にどう展開するのか?を決めることである。いきなり成功するとも限らないため、PDCAをどう回していくか?も考えなければならない。

実行担当者には、使命(KPI)と具体的な戦術が与えられている。実行担当者からみれば、「この手法(戦術)を使ってこの使命(KPI)を向上させてほしい」と指示が来ることになる。

このため、実行担当者は戦術と使命(KPI)を見ながら、具体的なタスクをリストアップし、マーケティング計画(マーケティングアクションプラン)に落とし込んでいく。縦軸が行動(TODO)、横軸が日付の計画表を作成することになるだろう。

BtoBマーケティングの年間計画エクセルテンプレートをダウンロードする
BtoBマーケティングのKPI可視化のエクセルテンプレートをダウンロードする
BtoBマーケティングのPDCAエクセルテンプレートをダウンロードする

BtoBマーケティング戦略の立案やデジタル活用に関する無料のPDF資料

以下のようなPDF資料が無料でダウンロードできます。御社の戦略立案のヒントになるかもしれないのでお気軽にお申し込みください。

BtoBマーケティングの戦略と計画を立案する手順書(4つのテンプレート付き)

BtoBマーケティングの戦略と計画の立て方、マーケティング施策と手法選定の仕方、KPIの可視化の仕方、PDCAの回し方などについてわかりやすくまとめたPDF資料です。戦略立案に必要なパワポ・エクセルテンプレートもついています。

BtoBマーケティング戦略立案の4つのパワポ・エクセルテンプレート

BtoBマーケティング戦略立案の4つのパワポ・エクセルテンプレート

ALUHAのBtoBマーケコンサル支援の内容や進め方、成功実績・費用感がわかる資料

株式会社ALUHAのBtoBマーケコンサル(伴走支援)の内容や進め方、強み、成功事例、費用感がわかる資料です。困った時のためにお気軽にご請求ください。

BtoBマーケティングの成功事例

積水樹脂株式会社様、株式会社アシスト様、富士フイルムホールディングス株式会社様、株式会社日立ソリューションズ東日本様、山洋電気株式会社様、キヤノンマーケティングジャパン株式会社様などの製造業・IT企業の成功事例です。どんな取り組みをしてどんな成果が得られたのか?がわかります。

BtoB企業のターゲティングの仕方「質の高いリードを獲得するためのターゲティング手法」

LTVの高いリードをどのようにターゲティングするのか、そのBtoBターゲティングプロセスについてご紹介している資料です。効率的なターゲティングにより営業戦略を大きく改善できます。

BtoBマーケティング戦略の立案ポイント

以上が戦略立案フレームワーク「作戦・戦術・計画」を活用したBtoBマーケティング戦略の立案プロセスだ。本プロセスのポイントは3つある。下記の点に注意しながら戦略立案を進めていただければと思う。

MECE(ミーシー)な作戦にすること

BtoBマーケティングを作戦に分解する際には、できるだけMECEな作戦に分解しよう。作戦がMECEでなければ、「同じ業務を重複して行う」など無駄が発生する。これは、戦略から見ればリソースの無駄遣いである。

BtoBマーケティングサイクルは、MECEな作戦に分解している(つもり)だが、もっと別な分解の仕方があるかもしれない。BtoBマーケティングサイクルを参考に、御社のBtoBマーケティングはどういう作戦に分解できるか?を考えてみよう。

デジタル活用かリアル(人)活用か

作戦ごとの戦術選定では、デジタル活用をうまく取り入れていこう。リアル(人)活用は戦術が属人化するだけでなく、PDCAを回しにくいという戦術特性がある。また人材不足や高齢化、DX推進、顧客の購買プロセスの変化といった外部要因もあるため、デジタル活用を積極的に検討することをおすすめしたい。

関係者での共有

BtoBマーケティング戦略は営業部門や開発部門、マーケティング部門といった関係者が多く関わる戦略である。そのため、部門間・関係者間で戦略を共有し、戦術・KPIもしっかり共有しておくことが重要だ。各関係者が「独断で勝手な行動」をとるとベクトルが合わず、部門間で軋轢が発生してしまう。

BtoBマーケティング戦略の立案事例「株式会社ALUHAの事例」

それではBtoBマーケティングの戦略立案例を1つご紹介する。弊社のお客さまの立案例を公開することはできないため、BtoBマーケティングコンサルティング事業を展開する弊社(株式会社ALUHA)のBtoBマーケティング戦略を例としてご紹介しよう。

BtoBマーケティング戦略の立案例

BtoBマーケティング戦略の立案例

弊社は「デジタル化へのチャレンジ」という戦略方針のもと、BtoBマーケティング戦略のデジタル化を自社内で推進している。そのため、デジタル活用中心の戦術選定となっている。デジタル化を進めることで、全体の効率を高めることを狙っている。

さらに、デジタル化により、各戦術のKPIを「KPIツリー(マーケティングダッシュボード)」として可視化できるようになり、BtoBマーケティングの投資効果の把握にも役立てている。

このようにデジタル化を進めながらも、「受注作戦」「顧客ニーズ把握作戦」の2つの作戦を最重要視している。

「受注作戦」は、売上に直結する作戦であるため、重要な作戦であることはいうまでもない。受注率・受注件数の改善にむけて、どういう提案をすれば良いか、自社の強みが生きる提案はなにか?を考えている。

そして、「顧客ニーズ把握作戦」では、顧客の課題や悩みなどを独自に調査し、その内容を弊社のコンサルサービス開発や差別化、さらには、そのほかのマーケティング活動に活用している。

顧客ニーズは、マーケティング活動の原点であるため、そこをしっかり把握できていると、マーケティング全体の精度向上にもつながっていくのである。だからこそ、「顧客ニーズ把握作戦」は「受注作戦」と同レベルで重要であると弊社は考えている。

以上、弊社の具体例も交えながら、BtoBマーケティング戦略の立案プロセスについて解説した。このコラムの内容は、「BtoBマーケティング戦略の立て方「ALUHA式の「作戦・戦術・計画」に分けて戦略を立てる方法とデジタル活用術」」というPDF資料にもまとめているので、ぜひダウンロードして御社の戦略立案に活用してほしい。

このPDF資料には、以下の4つのパワーポイントやエクセルのテンプレートもセットになっているので、戦略立案の手順をPDFでみながら、テンプレートを使って戦略立案を進めることができる。御社のBtoBマーケティング戦略立案の一助になれば幸いである。

4つのパワーポイントやエクセルのテンプレート
  1. 戦略立案に必要なパワーポイントテンプレート
  2. BtoBマーケティングの年間計画エクセルテンプレート
  3. BtoBマーケティングのKPI可視化のエクセルテンプレート
  4. BtoBマーケティングのPDCAエクセルテンプレート
BtoBマーケティング戦略の立案やデジタル活用に関する無料のPDF資料

以下のようなPDF資料が無料でダウンロードできます。御社の戦略立案のヒントになるかもしれないのでお気軽にお申し込みください。

BtoBマーケティングの戦略と計画を立案する手順書(4つのテンプレート付き)

BtoBマーケティングの戦略と計画の立て方、マーケティング施策と手法選定の仕方、KPIの可視化の仕方、PDCAの回し方などについてわかりやすくまとめたPDF資料です。戦略立案に必要なパワポ・エクセルテンプレートもついています。

BtoBマーケティング戦略立案の4つのパワポ・エクセルテンプレート

BtoBマーケティング戦略立案の4つのパワポ・エクセルテンプレート

ALUHAのBtoBマーケコンサル支援の内容や進め方、成功実績・費用感がわかる資料

株式会社ALUHAのBtoBマーケコンサル(伴走支援)の内容や進め方、強み、成功事例、費用感がわかる資料です。困った時のためにお気軽にご請求ください。

BtoBマーケティングの成功事例

積水樹脂株式会社様、株式会社アシスト様、富士フイルムホールディングス株式会社様、株式会社日立ソリューションズ東日本様、山洋電気株式会社様、キヤノンマーケティングジャパン株式会社様などの製造業・IT企業の成功事例です。どんな取り組みをしてどんな成果が得られたのか?がわかります。

BtoB企業のターゲティングの仕方「質の高いリードを獲得するためのターゲティング手法」

LTVの高いリードをどのようにターゲティングするのか、そのBtoBターゲティングプロセスについてご紹介している資料です。効率的なターゲティングにより営業戦略を大きく改善できます。

BtoBマーケティングの基礎コラム

ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ALUHA代表取締役。1979年兵庫生まれのBtoBマーケティングコンサルタント。金沢工業大学大学院にて情報工学を専攻し2003年4月にALUHAを創業。2008年からBtoBに特化したマーケティング支援、営業戦略支援を開始。BtoBマーケティングや営業戦略の戦略立案から、計画実行とPDCA、そして人材育成を伴走型で支援。デジタルとリアルを融合させた戦略設計が得意。毎月全国各地の様々な企業でBtoBマーケティングセミナーを実施中。100社以上でのセミナー講演実績を持つ。大手IT企業、製造業(日立Gr、富士フイルムGr、キヤノンGr、積水Grなど)を顧客に持つコンサルタント。→セミナー講演実績→コンサル実績