あらゆる領域でデジタル化が進む昨今、BtoBマーケティングも例外ではなく、マーケティング・営業の業務効率UP・収益の改善を支援する「マーケティングオートメーション(MA)ツール」が高い注目を浴びている。そこで今回は、BtoB企業向けにMAツールの基礎知識から導入効果までをわかりやすくご紹介する。さらに、MAツールの選び方や比較・選定のポイント、おすすめ製品などを解説する。
マーケティングオートメーション(MA)ツールとは
MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、リードナーチャリング(見込み客の育成)と、リードクオリフィケーション(購買意識・確度の高いリードの選別・抽出)の業務を効率化することを主軸においたITシステム・ソフトウェアのことだ。製品によっては、リードジェネレーション(新規見込み客の獲得)までをカバーする製品もあるが、メインはリードナーチャリングとリードクオリフィケーションと考えてよい。
シナリオメール(ステップメール・フォローメール)の自動化、リードの確度を判断するスコアリングといった特徴的な機能を持つ。
BtoBのマーケティングオートメーション(MA)ツールは、単に「メール配信を自動化するツール」ではない。複数部門にまたがる長期的な購買プロセスを最適化し、営業活動を効率化するための仕組みだ。
導入することで、属人的な営業活動を脱し、データに基づいた戦略的なリードマネジメントが可能となる。これにより、受注確度の高いリードの育成・選別を継続的に行い、組織全体の営業成果を底上げすることができる。
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マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入するメリット
MAツールを導入するメリットは、下記の3つが考えられる。
- ホットリードを継続的に生み出せる
- CPA削減と営業効率化
- マーケティング活動の資産化
MAツールを導入すればマーケティング・営業業務の効率化が実現し、少人数でも効果的な活動・施策展開が可能となる。また、低確度なリードの放置(商談機会の損失)を防げるほか、マーケティング効果をわかりやすく数値化できるのもメリットだ。
ホットリードを継続的に生み出せる
MAツールの最大の価値は、「一度の接点で終わらせない関係構築」にある。従来の営業では、確度の低いリードへのフォローが後回しになり、結果として見込み顧客が離脱してしまうケースが多かった。
しかし、MAを活用すれば、メールやスコアリング機能を通じて潜在リードをナーチャリングできる。これにより、ホットリードを継続的に生み出すことが可能になる。
たとえば、商談が一時中断しているリードに対して、定期的にセミナー案内や新機能情報を配信すれば、再検討のタイミングで自社が思い出される確率が高まる。さらに、行動データに基づいて営業優先度を判断することで、「今アプローチすべきリード」を可視化し、営業リソースの最適配分ができる。
営業部門との連携強化による「CPA削減」と「営業効率化」
MA導入のもう一つの大きなメリットは、営業部門との連携強化によるCPA削減である。
マーケティング部門がMAを活用してMQL(商談化の見込みが高いリード)を送ることで、営業部門は「確度の低いリード」への無駄なアプローチを減らせる。これにより、商談設定率・受注率・平均受注単価といった売上関連KPIの向上が実現するだろう。
たとえば、MAのスコアリング機能により「資料DL後に導入の流れページや製品デモの案内ページを閲覧したスコアが●点以上のリード」をAランクリードとして営業に引き渡せば、初回接触から商談成立までのリードタイムを短縮できる。結果として、CPA(1商談あたりのコスト)を大幅に削減しながら、より高収益な営業活動が可能になる。
MAは「即効性」よりも「持続性」を重視した施策であり、データとナレッジを蓄積することで投資効率を年々高められる点に強みがある。
マーケティング活動を「資産」に変える
MAを導入すると、リード管理・ナーチャリング・スコアリングといったプロセスを「仕組み」として設計・記録できるようになる。
特に、シナリオやスコアリングルール、配信フローなどのマーケティングプロセスそのものが明文化された状態で残るため、担当者が異動・退職してもゼロから再構築する必要はなくなる。
つまり、個人の経験や感覚に依存しない「再現可能な仕組み」として、マーケティング資産を積み上げていくことが可能になるということだ。
- リードスコアリングや配信シナリオを仕組み化し、ノウハウを可視化できる
- リードデータと行動履歴を一元管理し、適切な施策判断ができる環境を整えられる
- 営業活動・ナーチャリング施策の履歴を自動保存し、次の担当者がすぐに引き継げる
- 成果指標を数値で可視化し、意思決定を標準化できる
- 継続的に改善を繰り返すことで、マーケティング活動そのものを企業の「資産」として残せる
ただし、これは自動的にノウハウが蓄積されるという意味ではない。実際にはMAを使いこなせるメンバーが限られ、属人化が起きるケースも多い。
そのため、MA導入の本質は以下にあると考えよう。
- 個人依存の作業を可視化し、再現可能なプロセスとして設計すること
- そのプロセスを組織で運用・改善し続ける体制をつくること
言い換えれば、MAは勝手に資産を蓄積してくれるツールではなく、標準化されたプロセスを資産として残せる土台であり、その価値を引き出すには運用設計と人材育成が不可欠であるということだ。
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マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入するデメリットと対策
MAツールを導入するデメリットは、下記の3つが挙げられる。
- 導入・運用にコストがかかる
- 運用リソース・ノウハウ不足
- 営業部門との連携頓挫
MAツールの導入には、データ(リード情報、営業や商談の状況データ)連携を行うための環境整備やコンテンツ作成などが必要だ。また、効果的な運用にはマーケティングやMAツールに関する専門知識も欠かせない。MAツールのメリットを最大限に活かすためにも、これらのデメリットを踏まえた上で検討を進めることが重要だ。
導入・運用にコストがかかる
MAツールの導入・運用にはコストがかかる点も留意しておく必要がある。コストは製品によって大きく異なるが、少なくとも月数万円以上のコストが必要だ。さらに、API連携・運用コンサルティングなどの費用が別途かかるケースも少なくない。
加えて、MAツール以外のコストにも注意が必要だ。例えば、現在リードの情報が名刺のまま保管されている企業では、まずリード情報をまとめるために「名刺管理システム」などの導入コストがかかる。また、複雑な仕様で上手く使いこなせない製品を選んでしまうと、運用を外注せざるを得ず外注コストがかさんでしまうこともある。さらにMAツールの運用では、継続的なメールマーケティングも必要になるが、メールの原稿作成(コンテンツ作成)にもコストがかかる。
導入時にはこれらを念頭に置き、長期的な視点でコストを計算することが必要だ。
MAツールの導入・運用には、ツール自体の利用料だけでなく、初期設定やデータ整備、コンテンツ制作、人件費などの多面的なコストが発生する。ツールによって料金体系は異なるが、一般的に月額数万円〜数十万円のランニングコストに加え、初期設定や外部支援費用を含めると初期投資は100万円を超える場合もある。
また、BtoBでは既存の名刺・ExcelデータをCRMに統合したり、SFA(営業支援システム)や外部ツールとのAPI連携を構築したりと、環境整備に時間と費用がかかる点にも注意が必要だ。
- ツール利用料(月額課金、アカウント数によって変動)
- 初期設定費用(シナリオ構築、タグ設定、データ移行など)
- データ整備費用(名刺管理システムやCRMとの統合)
- コンテンツ制作費用(メール原稿・ランディングページ制作など)
- 人件費・教育費(運用担当者のトレーニング・体制構築)
さらに、MAの運用を軌道に乗せるためには、定期的なシナリオ設計やメール原稿の制作、リードデータのメンテナンスといった継続的な運用コストも発生する。導入前に「ツール費用+人件費+運用コスト」の三位一体で総コストを見積もることが重要である。
運用リソース・ノウハウ不足によって形骸化しやすい
MAツールには、マーケティングやMAツールに関する専門知識が必須だ。ツールありきで何の知識も戦略もなく、導入に踏み切ってしまうと、結局は使いこなせず十分な効果を得られない。そのため、MAツールをどう活用するかの戦略立てや、明確なゴール設定ができる知識は必須である。
MAツールは、マーケティングオートメーションという名前であるが、「マーケティング業務を何もしなくても勝手に自動的にやってくれる」というわけではない。人間がやるべきマーケティング業務の一部を自動化したり、マーケティングの分析業務を効率化したりするだけである。そのため、MAツールを運用する担当者は、マーケティングに対する専門的な知識が必要になる。
- どんなリードにも同じようなシナリオメールが配信されている
- コンテンツ制作が追いつかず、過去のメールを何度も配信している(コンテンツの焼き直しばかり)
- スコアリング基準が不明確で、営業がMQLを信用しなくなっている
- データメンテナンスが行われず、リード情報が古いまま放置されている
- 分析が属人化し、改善のPDCAが回らない
特にBtoBでは、リードナーチャリングのためにフェーズごとのシナリオ設計やデータ分析が欠かせないが、これを担う人材が不足していると、施策が継続できず、MAの投資効果が失われる。
こうしたリスクを避けるには、「体制」「ノウハウ」「コンテンツ」の3つの観点から対策を講じる必要がある。特に、スモールスタートで運用を始め、外部パートナーと連携しながらノウハウを社内に蓄積していくアプローチが効果的だ。
営業部門との連携が頓挫する可能性がある
MAツール導入の失敗で最も多いのが、営業部門との連携不全である。マーケティング部門がMA経由で生成したリードを、営業が「確度が低い」と判断して放置するケースは少なくない。特に営業にMAやデジタルマーケティングに対して理解・共感がなければ、放置されるケースが多発する傾向がある。これではMA施策が商談・受注に結びつかず、ROIが悪化してしまう。
このリスクを回避するためには、両部門間でSLA(サービスレベルアグリーメント)を策定し、明確な合意を形成することが不可欠である。SLAとは、マーケティングがどのようなリードを営業に渡すのか、営業がそれをどう処理するのかを定義した「共通のルールブック」だと考えてもらえればよい。
- MQL(Marketing Qualified Lead)とSQL(Sales Qualified Lead)の定義基準
- スコアリング指標と営業引き渡しの条件(例:行動履歴、企業規模、職位)
- 引き渡し後の営業対応期限(例:3営業日以内の初回コンタクト)
- フィードバックサイクルの設定(例:月1回のリード品質レビュー会議)
- KPI共有の仕組み(商談化率・受注率・LTVなどの共通指標)
このようにSLAを明文化し、部門間で定期的にレビューすることで、マーケティングと営業が同じ顧客理解のもとに動けるようになる。結果として、商談化率・受注率が上がり、リード1件あたりの獲得コスト(CPA)も安定的に下がる仕組みを作れるのである。
マーケティングオートメーション(MA)の導入を成功させるために必要な要素
BtoBにおけるMA導入を成功に導くためには、ツールの機能そのものよりも、「戦略設計」「質の高いコンテンツ」「データ統合」という3つの要素が欠かせない。これらはそれぞれが独立して機能するのではなく、相互に連動して成果を生み出す構造となっている。
| 構成要素 | 役割 | 目的 | 具体的な施策例 |
|---|---|---|---|
| 戦略設計と運用体制 | プロジェクトの羅針盤 | 投資対効果の最大化 | ゴール設定、MQL/SQL定義、SLA策定 |
| 質の高いコンテンツ | リード育成の燃料 | 課題解決と信頼性の向上 | ターゲット別LP、導入事例、技術資料 |
| CRM/SFA連携とデータ統合 | 成果の計測と行動への変換 | 営業連携・PDCAの精度向上 | API連携、データクレンジング、ダッシュボード構築 |
まず「戦略設計」は、MA運用の目的とゴールを明確化し、部門横断の運用体制を整える段階である。次に「質の高いコンテンツ」は、リード育成の燃料としてリードの課題解決を支援し、信頼を形成する要素。
そして「CRM/SFA連携とデータ統合」は、施策の成果を定量的に評価し、改善を循環させるための基盤となる。
戦略設計と運用体制の構築
MA導入の成功可否を分ける最大のポイントは、「ツール導入前に戦略を明確化できるか」である。特に重要なのが、マーケティングと営業の間で「どんなリードを商談対象とするか」という共通基準を持つことだ。
これを定義するのが、先程も触れたMQL(Marketing Qualified Lead)とSQL(Sales Qualified Lead)であり、両部門の役割を明確化する「SLA(サービスレベルアグリーメント)」である。
- 属性基準: 企業規模(売上・従業員数)、業種、役職など
- 行動基準: 資料DL、セミナー参加、価格ページ閲覧回数、メール開封率など
- タイミング基準: 最終接触からの日数、購買検討時期、案件発生タイミング
- 課題基準:リードが解決したい課題と自社で解決できる課題の相性
この基準を明文化することで、部門間の連携ミスや責任の所在不明を防ぎ、組織としてのPDCAサイクルを確立できる。
さらに、MAツールを導入しても、運用体制が盤石でなければ効果は継続しない。BtoBのMA運用では、「誰が」「どの範囲を」「どのような基準で」実行するのかを定義し、ツールの活用を継続的に支える体制を構築することが不可欠である。
特に、マーケティングと営業、さらに経営層を含めた「三位一体のチーム設計」が成功の鍵を握る。
MA運用体制における主な役割は以下のとおりである。
MA運用は「マーケティングを回す仕組み」ではなく、組織全体でPDCAを循環させる仕組みだ。ツール導入後に最も失敗しやすいのが「担当者依存」や「運用停止」だが、明確な体制と責任設計があれば、MAは資産として育つ仕組みに変わる。
質の高いコンテンツ
MAにおけるコンテンツは、単なる情報提供ではなく、「専門性と信頼性を証明する資産」である。BtoBの購買は複数人の合議制であり、意思決定には論理的根拠とデータが求められる。そのため複数の観点から、信頼を裏付ける具体的な成果事例や技術資料を準備することが重要だ。
- 課題解決型LP:ペルソナが抱える具体的な業務課題をテーマに設計する
- 導入事例記事:成功データやROIを提示し、導入後の未来をイメージさせる
- 技術ホワイトペーパー:製品やサービスの優位性をデータで示す
これらのコンテンツは、MAシナリオ内の各フェーズ(認知・比較・検討・決定)で役割を果たし、LTVの高いリード育成を支える燃料として機能する。
CRM/SFA連携とデータ統合
MAの真価を最大化するには、CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援ツール)とのデータ連携が不可欠である。特に重要なのが、営業活動の結果(受注・失注理由)をマーケティングにフィードバックし、施策改善に循環させる仕組みだ。
このループを構築することで、「どの施策が売上に貢献したのか」「どのリードがLTVの高い顧客に育ったのか」を正確に把握でき、投資対効果(ROI)の最大化が可能となる。
- 企業基本情報(社名、業種、所在地、規模)
- リード情報(担当者、役職、メールアドレス、部署)
- 商談ステータス(案件進行度、受注・失注状況)
- 行動履歴(閲覧ページ、資料DL、メール開封)
- スコアリング情報や課題(見込み度、関心テーマ、課題)
- MQL化のトリガー(コンバージョン発生日や経路)
- 商談結果(受注・失注・保留などの最新ステータス)
- 売上データ(受注金額・単価・期間)
- 失注理由(価格・タイミング・競合比較など)
この双方向の連携により、営業が現場で得た知見がマーケティング戦略に還元され、成果につながるPDCAサイクルが実現する。
マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入する手順
それでは、実際にMAを導入する手順についてご紹介する。あくまで弊社の考える手順であるので、御社の状況に合わせて柔軟に変更していただけたらよい。また下記の手順はBtoB企業向けの手順として紹介する。BtoCでも当てはまるかどうかは各自でご判断いただきたい。
- MAツールの活用範囲とゴールを決める
- 見込み客の情報整理などの事前準備をする
- 年間育成計画を立案する
- MAシナリオの設計をする
- データ連携
- マーケティングオートメーション(MA)ツールを選ぶ
MAツールの活用範囲とゴールを決める
MAツールを導入する最初の手順は、MAツールで何をするのか?の「活用範囲とゴール(KGI)を決める」ことから始まる。
例えば、WEBサイトや展示会で獲得した新規リードに対して、シナリオメールやメルマガ配信を行い、セミナーへの集客をMAツールで行う、その上で、製品デモの説明会への申し込みを最終ゴール(KGI)にする、などである。
このようにMAを活用する範囲をあらかじめ決めておくことで、MA活用の役割とKGIが明確になり、運用レベルに落とし込みしやすくなる。
また、MA活用の範囲をあらかじめ限定しておくことで、初期段階の運用負荷を抑え、スモールスタートによる検証型導入が可能になる。
- ゴール(KGI):年間製品デモ申込数50件
- MA活用フェーズ:リードナーチャリング~MQL創出まで
- MQL定義:製品デモの申し込みが完了し、デモ申し込みフォームで6ヶ月以内に導入予定と回答
このKGIとMQL定義が後の「営業連携(MQL→SQL移行)」の基準となるため、導入初期に曖昧なままにすると、MA運用は形骸化しやすい。つまり、MA導入成功の鍵は「目的を数値で示し、ゴールから逆算して設計すること」にあるというわけだ。
見込み客の情報整理などの事前準備をする
MAツールの活用範囲とゴール(KGI)を設計できたら、次は導入のための事前準備を行う。特に実施すべき準備は2つある。1つは、「見込み客の情報整理」、もう1つは「MAツールの運用体制の構築」だ。
「見込み客の情報整理」とは、MAツールに登録するリード情報の準備だ。名刺が紙で管理されている場合、デジタルデータになっていないため、MAツールに登録することができない。そのため、名刺データをデジタル化しなければならない。デジタル化する際は表記ゆれや重複データを修正するデータクレンジングも必須だ。
また名刺管理ツールなどを活用している場合は、名刺管理ツールとMAツールの連携(API連携)も検討しておく必要がある。
次に「MAツールの運用体制の構築」とは、MAツールを運用する担当者やメルマガコンテンツを作る担当者を決めることをいう。担当者に求められるスキルとしては、MAツールを使いこなすITリテラシーだけでなく、メルマガのコンテンツの作文力、マーケティングスキル、各事業・製品に対する知識が必要となる。
- ITリテラシー:ツール操作・データ連携設定を正確に行える
- コンテンツ力:メルマガやシナリオメールの構成を作れる
- マーケティング知識:リードナーチャリングやKPI設計の理解がある
- 製品知識:自社製品の技術や強みなど、製品に対して深い理解がある
もしこれらをすぐに社内で補えない場合は、外部パートナーの戦略的活用やスモールスタートによる負荷分散を検討することも有効だ。
MA導入は「テクノロジー」よりも「体制づくり」が先である。整ったデータと明確な担当者体制があってこそ、MAは初めて成果を生む。
年間育成計画を立案する
次は、年間育成計画を検討しよう。検討内容は、「誰に」「いつ」「どんなメルマガを配信するか?」である。言い換えればメルマガの配信計画だ。例えば、MA活用のKGIが「製品デモの説明会への申し込み」である場合、継続的にデモへの申し込みを獲得するにはどんなメルマガ計画がよいのか?を考えるということである。
年間育成計画は下記のようなイメージで立案する。下記のサンプルは、在庫管理システムを販売するIT企業のリードナーチャリングの年間計画のサンプルだ。
年間育成計画のサンプルエクセルがあるので参考までに活用いただけたらと思う。
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MAシナリオの設計をする
年間計画と並行して策定するのは、MAシナリオだ。MAシナリオとは、ホットリードに育成するための育成手順(リードナーチャリングシナリオ)を決め、決めた育成手順にあわせてリードに情報提供する「メールのシナリオ」のことである。わかりやすく一言で言えば、リードを育成するためのメールの配信順序のようなものである。
MAシナリオは、(1)WEBで何らかのCVが発生した、(2)展示会で名刺交換した、(3)セミナーに申し込みがあったなど、リードからのアクションを起点として発動する。例えば、11月11日に資料請求が発生したら、3日後にメールA、10日後にメールBという具合に、段階的にメールを配信する。これがMAシナリオだ。
MAにはシナリオメールの機能がありシナリオ配信を自動化できるため、マーケティング活動の生産性向上のためにも活用しない手はない。
MAシナリオの設計は、リードナーチャリングシナリオを設計した後にMAシナリオを設計すると良い。詳しい手順については下記のコラムを参照して欲しい。
データ連携
繰り返しになるが、MAを最大限に活用するためには、SFA(営業支援ツール)とのデータ連携が欠かせない。MAで得られるリードの行動データをSFAに連携し、営業が「今どの見込み客が最も熱いのか」を即座に判断できる状態をつくることが目的だ。
具体的には、MAで収集した「誰が、どんな行動を取ったか」という情報をSFAに送る。たとえば「資料をダウンロードした」「セミナーに参加した」「製品ページを何度も見た」などの行動履歴が営業側にもリアルタイムで共有されるようにする。
一方で、営業活動の結果(商談化、受注、失注など)をSFAからMAに戻すことで、マーケティング側も「どんなリードが実際に成約につながったか」を把握できる。
たとえば、あるリードがMA上で高スコアを獲得し営業に引き渡されたが、商談後に「予算不足で失注」した場合、その情報がSFAを通じてMAに戻ることで、次回以降のリード育成施策を改善できるだろう。
マーケティングオートメーション(MA)ツールを選ぶ
これまでの戦略設計・準備・連携体制が整って初めて、MAツール選定の段階に入る。MA導入は「戦略が先、ツールは後」が鉄則だ。ツールありきで導入しても、成果を出せる運用基盤がなければ失敗する。
選定時には、主に以下を評価軸として比較検討しよう。
- 自社の業界・規模に適した導入実績があるか
- 使いやすさ(UI/UX)とカスタマイズ性
- API連携の容易さ(CRM/SFAとの接続)
- 運用支援・サポート体制
- コストとROIバランス
さらに、いきなり全リードを対象にせず、一部のリード群でテスト導入(スモールスタート)を行い、成果検証後に全社展開することで、無駄なコストとリスクを抑えられる。
BtoB向けのおすすめMAツールは、以下のページで詳しく紹介しているためそちらも参考にしてほしい。
BtoB企業のマーケティングオートメーション(MA)導入の成功事例
それでは、実際にBtoB企業におけるマーケティングオートメーション(MA)ツールの活用事例と成功事例をご紹介する。
株式会社日立ソリューションズ東日本様(IT企業)のマーケティングオートメーション(MA)成功事例
最初に、日立ソリューションズ東日本様のマーケティングオートメーション(MA)ツールの活用と成功事例をご紹介する。日立ソリューションズ東日本様にマーケティングオートメーション(MA)ツールの活用について、弊社にてインタビューを行っており、その内容を以下に抜粋する。
- 自社内でのコンテンツ制作や施策では限界を感じていた
- 関係者の時間が確保しづらく、方針を定めることが難しかった
- 製品の魅力を見込み客に伝えることができていなかった
- リードの行動分析の実施
- リードを成約の段階まで“育成する『ナーチャリングシナリオ』の設計
- 「リードを獲得したあとはなにをするの?どういうメールを送るの?どういう資料を提供するの?」など細部まで検討
- リード育成の業務の効率化を実現
- 最終的な契約の確度が向上
上記の詳しい内容は、BtoBデジタルマーケティング成功事例「リード獲得、MA活用、商談創出、差別化を伴走型で支援」をご確認いただきたい。
富士フイルムホールディングス株式会社様のマーケティングオートメーション(MA)成功事例
次に、富士フイルムホールディングス株式会社様のマーケティングオートメーション(MA)ツールの活用と成功事例をご紹介する。同様に、マーケティングオートメーション(MA)ツールの活用について、弊社にてインタビューを行っており、その内容を以下に抜粋する。
- MAを導入したが、BtoBデジタルマーケティング全体の設計が明確でなかった
- ノウハウが属人化しており横展開できない状態だった
- サイト内導線や申込フォーム、告知の仕組みが不十分でサンプル請求は「年数件」レベル
- ステップメールシナリオを継続的に実施
- リード管理やメルマガ送信(セミナー案内メールなど)
- BtoBデジタルマーケティングのフレームワークの構築と社内展開
主に、MAのシナリオメールとメルマガ配信機能を駆使して、案件や商談創出を行なっている。特徴的な取り組みとしては、「BtoBデジタルマーケティングのフレームワークの構築と社内展開」だ。MA活用のノウハウをフレームワークとしてまとめ、社内のさまざまな事業での活用を推進している。
これらの活動により得られた成果としては以下のとおりだ。
- コンスタントなリード獲得と問い合せ発生がありリード育成に成功
- 高額商材にもかかわらず商談や案件獲得を実現
上記の詳しい内容は、富士フイルムホールディングス株式会社様のBtoBデジタルマーケティングコンサルティング事例をご確認いただきたい。
積水樹脂株式会社様(BtoB製造業)のマーケティングオートメーション(MA)成功事例
次に、積水樹脂株式会社様のマーケティングオートメーション(MA)ツールの活用と成功事例をご紹介する。同様に、マーケティングオートメーション(MA)ツールの活用について、弊社にてインタビューを行っており、その内容を以下に抜粋する。
- Webサイトが案件創出につながっていなかった
- 商流が複雑で、誰に対して施策を打つべきか不明確だった
- マーケティング活動が属人的で、戦略設計やKPIが明確でなかった
- 自社だけでのデジタルマーケティング施策が上手くいかなかった
- 既存顧客や既存リードに対してMAからメール配信を行いオンラインセミナーを提案
- 毎月2本、メルマガをコンスタントに発行
主にMAのメルマガ機能を中心に活用している。自社製品を紹介するメルマガではなく、「課題解決」に焦点を当てたメルマガを配信している。このような活動の結果、以下のような成果が得られた。
- オンラインセミナーでリード数がどんどん増加
- セミナー経由で案件創出を実現
- 既存顧客の未開拓部門(ホワイトスペース)との取引の創出
- 問い合わせ数は下期の途中時点で12倍ぐらいまで増加
上記の詳しい内容は、積水樹脂株式会社様のBtoBマーケティング成功事例「MAとWEB活用による商談創出と問い合わせ件数増加事例」をご確認いただきたい。
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まとめ
BtoB企業におけるマーケティングオートメーションは、単なるメール配信やリード管理のツールではない。「見込み顧客を継続的に育て、営業と連携しながらLTVを最大化する仕組み」そのものだ。
ただし、成果を出すためには、ツールを導入して終わりではなく戦略を土台にした「運用の仕組み化」が必要となる。
今回お伝えした内容を参考に、ぜひ自社でもマーケティングオートメーションの導入・運用を成功させてほしい。















