BtoBマーケティングとは、BtoB企業のマーケティング活動のことであるが、その全体像や何をするのかの施策については定義が難しい。実際に、弊社にも下記のようなご相談がたびたびある。
そこで、今回のコラムでは、BtoBマーケティングの全体像と施策例についてわかりやすく簡単にご紹介する。
BtoBマーケティングの全体像を図解化
BtoBマーケティングの全体像を弊社では下図のようなBtoBマーケティングサイクルとして定義している。
BtoBマーケティングサイクルは、BtoBマーケティングを8つの施策に分解し、8つの施策をマーケティングプロセスとして定義したものだ。
このように図解化すると、「ごく当たり前のことではないか?」と考えることもできる。なぜなら、営業やマーケティング活動を行っていると、BtoBマーケティングサイクルに記載されているようなことはすでに実行しているからだ。
そういった意味では、BtoBマーケティングは、特に新しい考え方というわけでもなく、BtoB企業に特化したマーケティング活動にすぎないのである。
ただし、最近の動向としては、BtoBマーケティングサイクルを「デジタルを使って実現する」といった傾向が強くなってきている。今までは、「人によるBtoBマーケティングサイクルの実現」だったが、最近は、「デジタルと人によるBtoBマーケティングサイクルの実現」となっている。人材不足、高齢化、コロナなどが大きく影響していると考えられる。
実際に弊社の独自調査によると、コロナ前とコロナ後では、「デジタル活用の意識」は2倍以上上昇している。
BtoBマーケティングの8つの施策の概要と施策具体例
それでは、BtoBマーケティングの全体像である、BoBマーケティングサイクルの各施策について、何をするのか、具体例はなにか?をわかりやすくご紹介する。
顧客のニーズを知る
何をするのか?
この施策では、顧客や見込み客が解決したい課題は何なのか?を知ることを目的に、顧客や見込み客の課題分析を行う。ターゲット市場に存在する顧客や見込み客が何に悩んでいるのか?を知ることがこの施策の目的だ。
具体例
最も代表的な具体例は、市場調査やアンケート調査だ。市場調査は調査会社に依頼したり、調査レポートを購入することでデータが得られる。アンケート調査は、実際に自社の顧客や見込み客に課題をヒヤリングすることでデータが得られる。
このような調査で得たデータをもとに、顧客の課題分析を行い、顧客が解決したい課題は何か?を把握する。
売れる商品を作る
何をするのか?
この施策では、「売れる商品を作る」ための商品戦略、差別化戦略を検討する。具体的には、「顧客や見込み客が解決したい課題」に対して、自社の強みを生かしながら、製品やサービスを開発・改善していくことだ。そして、自社の強みや差別化のポイント、提供できる価値を明確にし、マーケティングや営業活動の武器を定義する。
この施策がなければ、マーケティングや営業活動の武器がなくなり、効果的な活動に落とし込みしにくくなる。「見込み客獲得ができない」「受注率が悪い」「商談化しない」などの悩みがある場合は、そもそもこの施策を適切に展開できていないことも多い。
具体例
この施策の具体例としては、「相思相愛の分析」を行い、自社の強みや差別化のポイント、提供できる価値を明確にする。「相思相愛の分析」とは、下記図のような分析で、「自社の強み」と「顧客や見込み客が解決したい課題」が合致しているか?を分析する。
見込み客を獲得する
何をするのか?
この施策では、自社製品・サービスの見込み客を獲得する。BtoBマーケティングではリードジェネレーションという。
具体例
実際に見込み客を獲得する施策であるため、主に下記のような具体例がある。
- 自社のWEBサイトにホワイトペーパーを公開しWEB経由での見込み客獲得を行う
- セミナーを実施して見込み客獲得を行う
- 関連する展示会に出展して見込み客獲得を行う
見込み客を育成する
何をするのか?
この施策では、獲得した見込み客に対して、中長期的に接点を構築し、信頼関係を作り上げていく。BtoBマーケティングではリードナーチャリングという。BtoBの場合、見込み客を獲得してもすぐに売れるということは少ない。そのため、時間をかけて関係性を深めていく必要がある。
具体例
実際に見込み客を育成する施策であるため、主に下記のような具体例がある。
- ホワイトペーパーを作成し見込み客に送付する
- 見込み客を対象としたセミナーを実施する
- 見込み客に対して導入相談や個別相談などを行う
案件化・商談化
何をするのか?
この施策では、育成した見込み客の中から、確度の高い見込み客を抽出・選定し、案件化・商談化する。確度の高い見込み客を抽出する業務のことを、BtoBマーケティングではリードクオリフィケーションという。
具体例
確度の高そうな見込み客を選定しなければならないため、主に下記のような具体例がある。
- MAのリードスコアリング機能を使い選定する
- アンケートフォームなどで購入の意図を確認し選定する
- インサイドセールスが電話などでアプローチし確度を確認する
受注
何をするのか?
その名の通り、受注を獲得し売上を得る。
具体例
売上を獲得しなければならないため、主に下記のような具体例がある。
- 見込み客が解決したい課題の解決方法とその解決に使う製品やサービスを提案する
- 営業提案書や見積もりを作成する
- 他社製品との違いを伝える、購入後に見込み客が得られる価値を伝える
顧客維持
何をするのか?
この施策では、受注となった顧客が他社に流出しないように、顧客維持を行う。そして優良顧客に育成し、LTVを向上させる。「売ったら終わり」「売りっぱなし」にしないことが重要だ。
具体例
LTVの向上を行うため、主に下記のような具体例がある。
- クロスセルやアップセルを行う
- 購入した製品・サービスのカスタマーサクセスを支援する
顧客満足度調査
何をするのか?
この施策では、顧客が満足しているかどうか、不満や課題はないか?を調査し、顧客維持や新たなニーズの把握に繋げる。
具体例
顧客の不満や新たな課題、ニーズを把握するため、主に顧客満足度調査を対面やアンケートなどで実施する。
BtoBマーケティングの全体像まとめ
以上、BtoBマーケティングの全体像と具体的な施策例について解説した。BtoBマーケティングサイクルをベースにBtoBマーケティング戦略を立案する場合は、下記のコラムを参考にしてほしい。戦略立案と計画策定について詳しくご紹介している。