顧客管理とは?主な実施方法3つや実施時のポイントをわかりやすく解説

顧客管理とは?3つの実施方法と顧客管理ソフトの選び方
Last Updated on 2024年9月26日 by 荻野永策

顧客と良好な関係を築くことを目的としている顧客管理。適切に実施することで、売上の向上を期待できる。本記事では顧客管理の必要性や実施方法について解説する。BtoBマーケティング戦略営業戦略では顧客管理は必須業務であるため、ぜひ本コラムの内容を参考にしてほしい。

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顧客管理とは

顧客管理とは、顧客の企業情報や顧客とのやり取り(取引履歴・応対履歴など)を管理することだ。社内で適切に管理・共有することで、顧客に適切なアプローチをおこない、顧客と良好な関係を築くことを目的としている。顧客情報を管理・分析することで、顧客ニーズの把握による商品力の強化、ターゲティングの精度向上、LTVの向上といった効果が期待できる。

顧客管理の必要性

顧客管理が重要とされる背景には、顧客ニーズの多様化が挙げられる。顧客ニーズが多様化すると、新規顧客の獲得や顧客維持が非常に難しくなり、費用対効果が悪化する。なぜなら、さまざまなニーズに応えなければならないからだ。そのため、多様化するニーズに対してどのように社内リソースを活用するか?の戦略策定に顧客管理・分析は必須なのである。やみくもに多様化するニーズに対応していると、専門性がなくなり、差別化戦略も弱くなってしまうだろう。

顧客管理に必要な情報

顧客管理で扱う基本的な情報には、下記のようなものがある。

●顧客の属性情報
顧客の会社名や所在地・電話番号・従業員数・業種、年商、担当者名など。
●購買履歴
購買履歴や購入金額の合計・最終購入時期・購入頻度など。
●対応履歴・課題・ニーズ
電話やメールによる問い合わせの履歴・商談の履歴・顧客の課題や要望など。
●その他
担当者が変更になった履歴や注意点など。

顧客管理の方法

顧客管理は、正確性や効率性を重視して、ツールを活用しておこなわれることが一般的である。代表的な顧客管理の方法は、下記の通りだ。

顧客管理の方法
  1. Excel
  2. CRM
  3. SFA

Excel

Officeソフトの一つであるExcelを活用して、顧客管理をおこなう方法がある。

Excelは、多くの企業で導入されている代表的な表計算ソフトである。Excelを導入している企業であれば、顧客管理をおこなうにあたって、一から操作方法を覚える手間は不要。さらには、ツールを導入する費用が新たに発生しないため、顧客管理にあまり費用をかけたくない企業におすすめだ。

しかし、扱う顧客情報が増えれば、データが重くなるといった点に注意が必要である。ファイルの操作に時間がかかるようになれば、担当者はストレスを感じやすくなる。また、誤操作でファイルを削除すると顧客情報がきえてしまうため、定期的なバックアップが必要となる点にも注意。

CRM

CRMは「Customer Relationship Management」の略語であり、顧客と良好な関係を築くための機能が搭載されている。

社内に散在している顧客情報をまとめて管理できるため、情報資産を有効に活用できる点が魅力。顧客情報をセグメント化して、セグメントごとに適切なアプローチをおこなえば、成果につながりやすくなる。

一方、CRMは導入するだけでは効果がない。営業担当者が操作に慣れて、日常的に使用できるようにならなければならない。CRMが定着すれば業務効率は上がるものの、営業担当者は日頃からさまざまな業務をおこなっており、CRMが定着するまでは大きな負担がかかってしまう。

SFA

SFAは「Sales Force Automation」の略語であり、営業部門の業務をサポートする機能が搭載されている。

顧客情報だけではなく、商談に関する情報も記録すれば、担当者情報と企業情報といったようにさまざまな情報を紐づけることが可能。また、営業活動の状況を可視化できるため、マネージャーは適切なタイミングで営業担当者に指示を出せる。

一方、CRMと同じく、導入するだけでは意味がない。CRM同様に営業部門に浸透させていく必要がある。

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顧客管理ソフトを選ぶ際のポイント

顧客管理にはさまざまな方法があるが、その中でも効率的に顧客情報を管理できるCRMやSFAがおすすめである。しかし、多くの会社から製品が提供されており、どれを選べばよいのか悩んでいる方も多いだろう。

そこで、この章では顧客管理ソフトを選ぶ際のポイントを解説する。

顧客管理ソフトを選ぶ際のポイント
  1. 必要な機能が搭載されているものを選ぶ
  2. 操作性のよいものを選ぶ
  3. サポート体制が充実しているものを選ぶ
  4. 柔軟な画面設計や入力項目設計ができるものを選ぶ
  5. 他のツールとの連携ができるものを選ぶ

必要な機能が搭載されているものを選ぶ

一口に顧客管理ソフトと言っても、CRMやSFAがあり、搭載されている機能は異なっている。そのため、顧客管理ソフトを導入する目的を明確にして、どのような機能が必要か検討したうえで、その機能が搭載されているソフトを選ばなければならない。

以下は、CRMやSFAの機能をまとめたものである。

CRMの主な機能SFAの主な機能
  • 顧客情報の管理機能
  • 顧客情報の分析機能
  • 見込み顧客の抽出機能
  • メールの配信機能
  • 問い合わせフォームの管理機能
  • 顧客情報の管理機能
  • 案件の管理機能
  • 商談の管理機能
  • 営業活動の管理機能
  • 売上予測・予実の管理機能

なお、製品によっても搭載されている機能の種類や数は異なる。使わない機能が多過ぎると、使いにくい場合があるため、機能数の多さのみで契約することはおすすめしない。

操作性のよいものを選ぶ

顧客管理ソフトが営業担当者にとって使いにくいものであれば、社内で定着せずに、導入効果は低いものとなる。そのため、顧客管理ソフトを選ぶ際は、利用予定の営業担当者にとって使いやすいもの選ぶ必要があるのだ。

しかし、購入担当者と利用予定の営業担当者が異なる場合、どのようなソフトが営業担当者にとって使いやすいかどうか判断することは難しいだろう。その場合は、顧客管理ソフトに用意されている無料体験や無料デモの活用がおすすめだ。利用予定の営業担当者に実際に操作を確認してもらい、長期的に使いやすいか判断してもうとよいだろう。

サポート体制が充実しているものを選ぶ

顧客管理ソフトの導入・定着がスムーズにおこなえるとは限らない。問題を放置しないために、すぐに問い合わせに対応してくれるサポートが重要となる。営業担当者により細かく入力してもらうにはどうすればいいか?など運用面でのサポートが充実していると顧客管理ソフトの活用効果も最大化できる。

柔軟な画面設計や入力項目設計ができるものを選ぶ

顧客管理ソフトは営業担当者が入力したデータが蓄積される。そのデータは営業改善だけでなく、マーケティング活動(課題分析など)や差別化戦略の策定(顧客ニーズを把握し商品力を強化する)などにも活用される。そのため、柔軟な入力項目設計ができるような顧客管理ソフトが理想的である。

他のツールとの連携ができるものを選ぶ

顧客管理ソフトはMAと連携できるものを選ぶと、ツールごとに顧客データを入力する手間を省ける。入力ミスも防げるため、連携機能は重要である。また部門を跨いだ情報共有もスムーズに行えるようになる。

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顧客管理ソフトを導入する流れ

顧客管理ソフトを導入する流れは、以下の3ステップである。

顧客管理ソフトを導入する流れ
  1. 目的を明確にする
  2. 顧客管理ソフトを選ぶ
  3. 導入テストをおこなう

①目的を明確にする

顧客管理ソフトを導入する場合は、まずなぜ導入する必要があるのか、どのようなことを達成したいのかを明確にする。目的が明確になれば、どのような機能が必要か判断できるだろう。それにより、どの種類の顧客管理ソフトを導入するのか、どの製品を契約するのかをスムーズに決めやすくなるからだ。

顧客管理ソフトの導入目的としては、下記のような目的が多い。

  • 顧客流出の防止
  • LTVの向上(クロスセル・アップセル)
  • ニーズや課題の分析による差別化戦略の強化
  • 営業戦略の改善・効率化

御社の状況にもよるが、上記の中から目的に優先度を付け、関係者間で目的を共有しよう。目的が決まったら、自社の事情に合わせてどんな機能が必要か?を検討する段階に入る。

②顧客管理ソフトを選ぶ

導入目的に応じて、必要な機能を明確化しながら、実際に顧客管理ソフトを選んでいく。上述した「選ぶときのポイント」も意識しつつ具体的な顧客管理ソフトをリストアップしよう。下記のコラムでおすすめのSFAツールをご紹介している。参考にしてほしい。

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③導入テストをおこなう

導入する顧客管理ソフトが決まったら、実際に社内で営業担当者に利用してもらう。複数のソフトで決めかねている場合は、無料体験や無料デモを利用して、どれを導入するか決定する。

またいきなり全社で導入すると思わぬトラブルが発生し、営業活動の邪魔になってしまうこともあるだろう。そのため、スモールスタートである営業チームにだけでテスト導入するといった導入の進め方がおすすめである。実際に使ってみないとわからないことも多いため、徐々に利用範囲を広げていく方が確実である。

顧客管理を実施する際のポイント

顧客管理を実施する際、必ず運用体制やルールについて決めておく必要がある。特に重要なのは、顧客管理で必要な顧客情報の「項目設計」である。BtoBの場合、顧客は「人」ではなく「企業、施設」に紐づくため、顧客管理を行う項目設計が非常にややこしくなるケースが多い。

さらにこれだけではない。顧客管理ソフトの導入目的に応じた入力項目の設計も重要だ。例えば、「ニーズや課題の分析による差別化戦略の強化」を目的とするならば、どのような入力項目があれば、分析しやすいのか?を事前に考え、入力画面の設計をしなければならない。これが非常に難しい。

そして、データクレンジングも大きなポイントになる。複数の営業担当者が様々な情報を入力するため、情報が統一化されなくなる。例えば顧客名も「株式会社ALUHA」と入力したり「株式会社アルハ」、さらには「ALUHA」、「ARUHA」と入力するようなことがある。このようなバラバラなデータになっていると正確な分析もできないため、データクレンジングは非常に重要だ。

まとめ

以上、顧客管理について解説した。これから顧客管理をツールで行うという場合は、ご紹介したような選び方、ポイントに注意しながら、導入の検討を進めてほしい。

BtoB営業戦略の基礎コラム


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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ALUHA代表取締役。1979年兵庫生まれのBtoBマーケティングコンサルタント。金沢工業大学大学院にて情報工学を専攻し2003年4月にALUHAを創業。2008年からBtoBに特化したマーケティング支援、営業戦略支援を開始。BtoBマーケティングや営業戦略の戦略立案から、計画実行とPDCA、そして人材育成を伴走型で支援。デジタルとリアルを融合させた戦略設計が得意。毎月全国各地の様々な企業でBtoBマーケティングセミナーを実施中。100社以上でのセミナー講演実績を持つ。大手IT企業、製造業(日立Gr、富士フイルムGr、キヤノンGr、積水Grなど)を顧客に持つコンサルタント。→セミナー講演実績→コンサル実績