BtoBマーケティングの43手法一覧|技術系商材で受注につなげる戦略設計・施策選定の進め方

BtoBマーケティングの施策別手法一覧とその概要
Last Updated on 2026年8月11日 by 荻野永策

BtoBマーケティングには、オンライン・オフラインで数多くの手法がある。そのため、「どの手法が自社に合うのか」「まず何から始めるべきか」と悩んでいる担当者も少なくないだろう。

しかし、技術系商材を扱う企業では、手法を増やせば成果も伸びるとは限らない。

どの市場や用途を狙うのか。自社の技術を、顧客にとってどのような価値として伝えるのか。見込み客をどのように育成し、どの段階で営業へ引き渡すのか。こうした設計が曖昧なままでは、手法を追加するほど担当者の負担が増え、部分最適が進んでしまう。こうした課題を持つ企業が見直すべきなのは、手法を選ぶ前提となる戦略や受注プロセスだ。

本記事では、BtoBマーケティングで活用される43の手法を目的別に整理する。単なる手法一覧では終わらせず、技術系商材で手法を増やしても成果が伸びにくい理由や、自社のボトルネックに合わせて手法を選ぶ順番まで解説していく。

なお、本記事の主な読者は、技術系商材を扱う製造業やIT企業のマーケティング部門としている。なかでも、営業、技術、開発部門との連携に悩みながら、限られた人員と予算で施策改善を続けている実務担当者はとくに参考にしてほしい。

BtoBマーケティングの基礎知識「全体像、施策の流れ、戦略立案方法、主な手法や最新トレンド・動向と成功事例を解説」

BtoBマーケティングとは?技術系商材で成果を出す戦略立案・購買プロセス・施策を解説

2026年8月1日

技術系商材を持つ企業におけるBtoBマーケティング手法の選定方法

BtoBマーケティングの手法とは、マーケティング上の目的を実現するために用いる具体的な方法のことだ。

例えば、SEO、Web広告、展示会、メルマガ、セミナー、製品デモなどが手法にあたる。一方、「顧客ニーズを把握する」「見込み客を獲得する」「見込み客を育成する」といった活動は、マーケティングプロセス上の施策である。

両者の関係を整理すると、次のようになる。

意味具体例
施策マーケティングプロセス上で実現すべき活動や目的顧客ニーズを把握する、リードを獲得する、商談化する
手法施策を実行するための具体的な方法アンケート、SEO、展示会、メルマガ、製品デモ

つまり、手法は単独で選ぶものではないということだ。まず「何を実現したいのか」という施策上の目的があり、その目的を達成するために手法を選ぶのが本来の順序となる。

ALUHAでは、BtoBマーケティングの施策を「8つの施策」として定義している。

BtoBマーケティングの8つの施策一覧
  1. 顧客ニーズを知る
  2. 売れる商品を作る(自社の強み・価値・差別化を定義する)
  3. 見込み客を獲得する(リードジェネレーション)
  4. 見込み客を育成する(リードナーチャリング)
  5. 案件化・商談化
  6. 受注
  7. 顧客維持
  8. 顧客満足度調査

まず顧客ニーズを把握し、そのニーズに対して自社がどのような価値を提供できるのかを整理する。そこで定めたターゲットや訴求をもとに見込み客を獲得し、継続的な情報提供によって検討を前へ進める。その後、条件が整ったリードを営業へ引き渡し、顧客企業内の合意形成を支援しながら受注を目指す。

そして、受注後に得られた顧客の声や新たな課題を、次のニーズ把握や価値定義へ戻していく。こうして一連の活動が循環するからこそ、マーケティングの精度も高まっていくわけだ。

では、どのような順序で手法を選べばよいのだろうか。

最初に確認したいのは、自社が「どの市場・用途・顧客を狙い、どの価値を提供するのか」という戦略だ。顧客ニーズ、市場、競合、自社の強みを分析し、重点市場とポジショニングを定める。この前提がなければ、SEOで狙うキーワードも、展示会で訴求するテーマも、営業資料に載せるメッセージも定まらない。

次に、リード獲得から受注までの流れを設計する。顧客はどのように情報を収集し、どの部門がどの段階で関与するのか。マーケティングはどこまで情報を提供し、どの状態になれば営業が対応するのか。営業や技術部門が個別対応すべき場面も含めて整理しておきたい。

そのうえで、現在どこにボトルネックがあるのかを確認する。リードが少ないのか。リードはあるが育成できていないのか。営業へ引き渡した後に止まっているのか。あるいは商談化しても、技術評価や社内稟議で失注しているのか。ボトルネックが違えば、選ぶべき手法も当然変わってくる。

なお、BtoBマーケティングの施策については、以下のページで詳しく解説しているのでこちらも参考にしてほしい。

BtoBマーケティングの全体像と具体的な施策例

BtoBマーケティングの施策とは?技術系商材で成果につなげる具体策と成功のポイント

2026年8月1日

自社に合ったBtoBマーケティング手法を見極めるチェックリスト

ここからは、自社にとって優先度が高い手法を選ぶためのチェックリストを紹介する。

「有名な手法だから」「競合が成功しているから」といった理由で選ぶのではなく、自社の戦略、顧客理解、保有リード、社内リソース、営業連携の状況と照らし合わせて最適な手法を選ばなければならない。

なお、このチェックリストは、該当数だけで自社の良し悪しを判定するものではない。どの領域に問題が集中しているかを確認し、優先して検討すべき手法群を見つけるために使ってほしい。

【戦略・ターゲティングに関するチェック】

  • 業種別・用途別に、どの市場を重点的に狙うべきかが明確になっていない
  • 「売りたい企業」はあるが、「売らない企業」までは決められていない
  • ターゲット企業の規模、業種、用途、導入環境などの条件が曖昧である
  • 重点顧客を決める基準が、営業担当者の経験や感覚に依存している
  • 競合製品や代替手段と比較したときの勝ち筋が明確になっていない
  • 市場や用途ごとのポジショニングが整理されておらず、訴求が広く浅くなっている
【顧客課題・導入背景に関するチェック】

  • 顧客がどのような技術課題や業務課題を抱えているのか、体系的に整理できていない
  • 問い合わせ内容や商談内容は蓄積しているが、マーケティング施策に活かせていない
  • 顧客の導入背景や検討理由が、営業担当者の頭の中に留まっている
  • 顧客課題を「品質向上」「効率化」「コスト削減」などの一般的な言葉でしか表現できていない
  • 用途ごとに異なる課題や導入条件を、コンテンツに落とし込めていない
  • 技術部門・営業部門・マーケ部門で、顧客課題の認識が一致していない
  • 顧客が導入前に不安に感じる点や、比較検討時に確認する点を整理できていない
【価値定義・訴求に関するチェック】

  • 製品の機能・仕様・スペックの説明が中心になっている
  • 技術的な強みを、顧客にとっての導入価値に変換できていない
  • 「高品質」「高性能」「柔軟に対応できる」など、競合も言える表現が多い
  • 顧客が導入後に得られる効果を、具体的に説明できていない
  • 価格ではなく価値で選ばれるための訴求軸が定まっていない
【購買プロセス・合意形成に関するチェック】

  • 購買に関与する部門や担当者を整理できていない
  • 現場部門、技術部門、購買部門、経営層など、それぞれが何を重視するか把握できていない
  • 技術的には評価されても、社内稟議や予算承認で止まることが多い
  • 顧客側の検討プロセスが長期化する理由を分析できていない
  • 顧客の社内稟議や合意形成で使える資料・コンテンツが不足している
  • 技術資料はあるが、非技術部門にも伝わる説明資料が不足している
  • 検討初期・比較検討・導入直前で、提供すべき情報を分けられていない
【リード獲得・リード育成に関するチェック】

  • 展示会やWebサイトで獲得したリードの質を評価する基準が曖昧で、人によって異なる
  • 資料請求や問い合わせ後に、どのように育成すべきか決まっていない(営業任せ)
  • メルマガやコンテンツ配信が、製品情報の案内に偏っている
  • 顧客の検討段階に応じて、提供する情報を出し分けられていない
  • 技術的な適合性が低いリードにも、同じように営業対応してしまっている
【マーケティングと営業の連携に関するチェック】

  • マーケティングがどこまで顧客とすり合わせるべきか決まっていない
  • どの状態になったら営業に引き渡すのか、明確な基準がない
  • 営業から「リードの質が低い」と言われるが、改善すべき条件が整理されていない
  • マーケティング施策の成果が、営業活動や受注にどう貢献しているか見えにくい
  • 営業が持っている顧客課題や失注理由が、マーケティングに共有されていない
  • マーケティング部門だけで施策を回しており、営業・技術部門の協力を得にくい
  • 技術的な問い合わせが来たときに、誰がどこまで対応するか決まっていない
【コンテンツ・施策運用に関するチェック】

  • Webサイトや資料が、製品カテゴリや機能別に整理されており、顧客課題別になっていない
  • ホワイトペーパーや記事のテーマが、顧客の課題ではなく自社が伝えたい情報中心になっている
  • 顧客の検討段階に合わせたコンテンツ設計ができていない
  • 施策ごとのKPIはあるが、全体として受注につながる流れを設計できていない
  • 展示会、Web、メルマガ、セミナー、営業活動が個別最適になっている
  • 施策を増やしているが、何をやめるべきか判断できていない
  • 改善活動が担当者の努力に依存しており、組織的な仕組みになっていない

チェックリストで確認した結果、どの領域にチェックが多かったかによって、優先して検討すべきBtoBマーケティング手法は変わる。具体的には以下を参考にし、自社にとって優先度の高い施策を見ていこう。

チェックが多かった領域優先して検討したい手法優先度が高い理由
戦略・ターゲティングSTP分析、3C分析、SWOT分析まず、どの市場・用途・企業群を重点的に狙うかを決める。ターゲットが曖昧なまま施策を増やすと、訴求もリードの質もぼやけやすい。
顧客課題・導入背景アンケート調査、ヒヤリング調査、営業担当者へのヒアリング、テキストマイニング、アフターコーディング、デスクリサーチ顧客がどのような技術課題や導入背景を持っているかを整理する。顧客理解が不足している場合は、まずニーズ調査系の手法を優先したい。
価値定義・訴求バリュープロポジションキャンバス、USP、3C分析、STP分析技術・機能・スペックを、顧客にとっての導入価値へ変換する。競合も言える表現が多い場合は、差別化や価値定義の手法を優先する。
購買プロセス・合意形成ホワイトペーパー、導入事例、技術資料、比較資料、セミナー、個別相談・製品デモ、ソリューション提案リードの購買関与者(現場部門、技術部門、購買部門、経営層など)が導入判断できる材料・情報を用意する。技術的には評価されても稟議で止まる場合は、合意形成を支援するコンテンツや営業手法を検討する。
リード獲得・リード育成SEO対策、オンライン広告、オウンドメディア、SP、ホワイトペーパー、展示会、セミナー、メルマガ、シナリオメールリードが不足しているならリード獲得手法を、リードはあるが商談化しないならリード育成手法を優先する。リード数だけでなく、質や商談化率もあわせて確認したい。
マーケティングと営業の連携スコアリング、テレマーケティング、個別相談・製品デモ、営業引き渡し条件の整理、ソリューション提案どの状態のリードを営業へ渡すか、営業がどの情報を引き継ぐかを明確にする。営業から「リードの質が低い」と言われる場合は、手法追加よりも連携設計を見直す必要がある。
コンテンツ・施策運用WEBコンテンツ、メルマガ、ホワイトペーパー、セミナー、ニュースレター、オウンドメディア、導入事例展示会、Web、メール、セミナーなど営業活動が個別最適になっている場合は、コンテンツと施策を購買プロセスに沿って再設計する。何を増やすかだけでなく、何をやめるかも判断したい。

単純に「チェックが多い領域に対応する手法を選べばよい」というわけではない。特に技術系商材では、戦略やターゲットが曖昧なままリード獲得を強化すると、自社に合わないリードが増え、営業の対応工数だけが増える可能性がある。そのため、まずは上流の課題から確認していこう。

顧客ニーズ・課題を調査・把握するための手法

顧客ニーズ・課題を調査・把握するための手法としては、以下の6つの手法がある。

顧客ニーズ・課題を調査・把握するための手法
  1. アンケート調査
  2. ヒヤリング調査
  3. テキストマイニング
  4. アフターコーディング
  5. 営業担当者へのヒアリング
  6. デスクリサーチ

アンケート調査

アンケート調査とは、アンケート用紙やアンケートフォームを準備してリードや顧客に課題などを記入してもらう調査方法だ。定量的なニーズ分析を実施するときに有用だ。解決したい課題や悩み、不安、今後取り組みたいこと、興味・関心事項などを調査する。

一人ひとりの事情を深く聞くには向かないものの、一定数の回答を集めることで、どの課題が多いのか、どのテーマへの関心が高いのかを定量的に把握できる。

比較的すぐに取り組め、さらに、定量的なデータの収集が可能なため、社内に顧客のニーズ(課題や悩み)の情報が少ない企業や、短期間で調査を完了させたい企業におすすめだ。

技術系商材の場合は、単に「どのような課題がありますか」と聞くのではなく、回答を施策へ活用できる粒度まで質問を分けておきたい。

顧客課題や関心テーマは、市場環境や技術の変化によって動く。そのため、半年ごと、年1回、セミナー後など、定期的に実施して変化を追いたい。一方で、質問数が多すぎると回答率が下がる。マーケティング、営業、開発の各部門が知りたい項目をすべて盛り込むと、回答者の負担が大きくなりがちだ。

そこで、「今回の調査結果を何の判断に使うのか」を先に決め、必要な質問に絞ろう。回答を集めることではなく、ターゲット、コンテンツ、提案などの改善へつなげることが目的だからだ。

ヒヤリング調査

ヒヤリング調査とは、対面や電話、オンライン会議を使ってリードや顧客に課題や悩みをヒヤリングする調査方法だ。対話中心となるため定性的なニーズ把握が可能だ。

お客様やリードの課題・悩みを深く知りたいという企業に有用だ。ABMやアカウントセールスなどと相性が良い。

ヒヤリング調査は対面で行うため、数をこなすことができない。そのため、深い課題を聞き出せるようにすることがコツだ。顧客やリードの深い課題を把握することで、より「グサっと刺さる提案」ができるようになる。

技術系商材では、次のような問いを用意しておくとよいだろう。

  • 最初に課題を感じたのは、どの部門か
  • 現在はどのような方法で対応しているか
  • 既存手段の何に不満があるか
  • 技術面で譲れない条件は何か
  • 導入を判断する部門はどこか
  • 過去に導入を見送った理由は何か
  • 社内承認で説明しなければならない内容は何か
  • 最終的に当社を選んだ理由は何か

ヒヤリングは、一度に多くの顧客を調査できない。そのため、誰に話を聞くかを慎重に選びたい。

また既存の優良顧客だけを対象にすると、成功した理由はわかるものの、失注や導入見送りの原因は見えにくい。一方、失注顧客だけでは、自社が評価されている価値をつかめない。

そこで、受注顧客、継続顧客、失注顧客、検討中のリードなど、異なる状態の対象を組み合わせるのがよいだろう。さらに質問項目を順番に読み上げるだけでは、深い情報を引き出せない。「なぜそう考えたのか」「具体的にはどのような場面か」と問い返し、事実や体験まで掘り下げることが肝心だ。

テキストマイニング

テキストマイニングとは、アンケート調査やヒヤリング調査で得た顧客の回答(テキスト化された自由回答)を分析する手法だ。テキストマイニングツールやAIを活用して分析する。テキスト化された自由回答を定量的に把握することができる。

過去に実施したアンケートデータが大量にある企業におすすめだ。データ量が多いと人間でのチェックには限界があるためだ。

テキストマイニングを行うときはある程度のデータ量が必要になる。また、フリー記入であるため、回答内容のクレンジングも重要だ。例えば、「特にありません」というような回答が記入されている場合、こういった回答は分析しても効果がないため、削除しなければならない。こういった分析の精度を高めるためのデータ準備作業が重要になる。

顧客の声が蓄積されていても、担当者が一件ずつ読むだけでは、全体の傾向を見落としやすい。データが数百件、数千件と増えているなら、テキストマイニングを使う価値がある。

特に、次のような情報を保有している企業に向いている。

  • 過去のアンケート自由回答
  • セミナー後の感想
  • コールセンターやサポートへの問い合わせ
  • 営業日報や商談記録
  • Webフォームから寄せられた相談内容
  • 顧客レビューや要望

分析によって、「どの課題が頻繁に語られているか」「どの言葉とどの言葉が一緒に使われるか」などがわかれば、コンテンツテーマや製品改善の仮説を立てやすくなる。

アフターコーディング

アフターコーディングとは、アンケート調査やヒヤリング調査の調査結果の回答(テキスト化された自由回答)をカテゴリに分類し、自由回答を定量化する分析手法だ。自由回答の全体像を把握したい場合などに有用である。

たとえば、顧客の悩みに関する自由回答を、「人手不足」「品質のばらつき」「コスト増加」「既存設備との連携」といったカテゴリに分ける。すると、文章のままでは見えにくかった課題の全体像を、数値で比較できるようになる。

テキストマイニングが大量データを機械的に分析する際に向いているのに対し、アフターコーディングは数十件から数百件ほどの回答を、人が内容を確認しながら整理する場面で使いやすい。

そのため、アンケート回答の数が比較的少ない時に有効だ。弊社では以前は人間が手作業で行なっていたが、最近は生成AIを使って効率的に行っている。

一方で、最初から分類を細かくしすぎると各カテゴリーの件数が少なくなり、全体の傾向が見えにくい。反対に、「コスト」「品質」「効率」といった大きな分類だけでは、施策へ活かせる具体性が失われる。そこで、まずは回答を一通り読み、似た内容をまとめながらカテゴリーを作ろう。その後、目的に応じて統合や分割を行う。

回答数が多い場合は、生成AIを使って一次分類する方法もある。ただし、技術用語や業界固有の表現を誤って分類することも考えられるため、最終確認は人が行いたいところだ。

営業担当者へのヒアリング

営業担当者へのヒアリングとは、日々の商談で得られた顧客課題、質問、反論、競合情報などを、マーケティング部門が収集する方法だ。

技術系商材では、顧客との詳しい会話が営業や技術担当者に集中しやすい。その一方で、重要な情報が営業日報や担当者の記憶にとどまり、マーケティング施策へ反映されないことも多い。

そこで、営業担当者へ次のような項目を定期的に聞き取りしよう。

  • 顧客からよく聞かれる質問
  • 商談が始まるきっかけ
  • 業種・用途の課題別
  • 顧客が重視する仕様や条件
  • 比較される競合や代替手段
  • 商談が止まった理
  • 受注できた理由
  • 商談が止まった理由
  • マーケティングから渡されたリードへの評価

顧客へ直接ヒヤリングする機会が少ない企業でも、営業担当者へのヒアリングなら比較的早く始められる。特に、営業部門には商談情報があるものの、マーケティングとの共有が仕組み化されていない企業におすすめだ。

デスクリサーチ

デスクリサーチとは、官公庁の統計、業界団体の資料、調査レポート、専門メディア、競合サイトなど、公開情報を収集・分析する手法だ。

既存顧客やリードが少なく、直接調査する相手がいない場合でも始められる。また、新規市場への参入や、新製品のマーケティングを検討する際の仮説作りにも向いている。

技術系商材では、次のような情報を調べておきたい。

  • 市場規模や成長性
  • 業界が抱える構造的な課題
  • 法規制や技術基準の変化
  • 競合が狙っている業種・用途
  • 競合の訴求メッセージ
  • 競合製品の導入事例や競合が解決している課題(事例コンテンツに記載あり)
  • 顧客が利用している代替手段

生成AIを使えば、公開情報の収集と整理を効率化できる。ただし、情報の出典や更新時期を確認し、重要な判断は一次情報へさかのぼる姿勢が必要だ。

ただし、公開情報だけで顧客ニーズを断定しないことが重要だ。

業界全体で注目されている課題でも、自社が狙う企業規模や用途では優先度が低いかもしれない。また、競合サイトに掲載されている訴求が、実際に顧客から評価されているとも限らないだろう。

売れる商品を作る(自社の強み・価値・差別化を定義する)ための手法

BtoBマーケティングや営業において、差別化や価値定義は、言わずもがな重要だ。顧客に刺さるメッセージを具体化でき、リード獲得、育成、商談化、受注など各種マーケティング・営業施策に大きな影響を与える。マーケティング・営業のKPIが向上しないときは、差別化や価値定義を再検討するとよいだろう。

自社の強み、価値、差別化を整理する代表的な手法は、次の5つだ。

  • 3C分析
  • バリュープロポジションキャンバス
  • USP
  • SWOT分析
  • STP分析

それぞれ役割が異なるため、単独ではなく組み合わせて使うとよいだろう。

3C分析

3C分析とは、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの視点から事業環境を整理し、自社がどの市場で、どのような価値を提供すべきかを検討する手法である。

技術系商材では、製品の性能や独自技術など、自社の視点から強みを考えがちだ。しかし、優れた技術を持っていても、顧客が重視する課題と結びついていなければ、選定理由にはなりにくい。また、競合製品だけでなく、既存設備の継続利用、内製、別の技術方式、導入の先送りなども比較対象になる。

そのため、3C分析では、次の3点を整理する。

観点技術系商材で確認する内容
Customer顧客の業務課題・技術課題、用途、導入条件、選定基準、購買関与者
Competitor競合製品、代替技術、内製、現状維持と比較した場合の強み・弱み
Company技術、機能、実績、対応力、サポート体制、供給体制、業界知見

3C分析は、ターゲットが曖昧な企業や、競合との差をうまく説明できていない企業に向いている。特に、Webサイトや営業資料で「高品質」「高性能」「柔軟に対応」といった抽象的な表現が多くなっている場合は、一度3つの視点から整理するとよいだろう。

失敗しやすいのは、自社の情報だけを詳しく書き出し、顧客や競合の分析が表面的になるケースだ。競合サイトに掲載されている機能を比較するだけでは、顧客が実際に何を理由に選んでいるのかまではわからない。

既存顧客へのヒアリング、商談記録、受注・失注理由、営業や技術担当者が受けた質問などをもとに、顧客の判断基準を具体化したい。そのうえで、「どの顧客課題に対して、自社は競合や代替手段より有利なのか」を見つけることがポイントになる。

バリュープロポジションキャンバス

バリュープロポジションキャンバスとは、顧客が抱える課題や期待と、自社の製品・サービスが提供できる価値との適合性を整理する手法である。

主に、顧客側の「顧客が実現したいこと」「抱えている不満や障害」「期待する成果」と、自社側の「製品・サービス」「不満を軽減する要素」「成果を生み出す要素」を対応させる。

技術系商材では、製品の機能やスペックを詳しく説明できても、それが顧客のどの課題に役立つのかを言語化できていない場合も多い。

例えば、「処理速度が従来比2倍」という機能があったとしても、それだけでは価値は伝わりにくい。顧客が生産能力の不足に悩んでいるなら、生産量の増加が価値になる。処理待ちによる納期遅延が問題なら、リードタイムの短縮が重要になるだろう。

注意したいのは、顧客の課題を「コスト削減」「効率化」「品質向上」といった大きな言葉だけで整理しないことだ。どの工程で、誰が、どのような問題に困っているのか。その問題によって、どのような損失やリスクが生じているのかまで掘り下げる必要がある。

また、一つの製品に対してキャンバスを一つだけ作ればよいとは限らない。同じ製品でも、用途や購買関与者によって価値は変わる。現場担当者、技術担当者、経営層など、相手ごとに整理すると、訴求の違いが見えやすくなる。

USP

USPとは、「Unique Selling Proposition」の略で、競合や代替手段と比べたときに、顧客が自社を選ぶ明確な理由を示す考え方である。

単に「自社だけの機能」を探すことがUSPではない。顧客にとって重要であり、競合が同じようには提供しにくく、自社が継続して実現できる価値を言語化する必要がある。

技術系企業では、「独自技術」「高品質」「業界トップクラスの性能」といった言葉をUSPとして掲げることがある。しかし、顧客がその技術の必要性を理解できなければ、差別化にはつながらない。

例えば、「独自の画像処理アルゴリズム」が強みであっても、顧客が評価するのは技術名ではなく、「従来は検出できなかった微細な欠陥を見つけられる」「品種変更後の調整時間を短縮できる」といった結果だろう。

USPは、次のような場合に活用しやすい。

  • 競合との機能差が小さく、価格比較になりやすい
  • 営業担当者ごとに、自社の強みの説明が異なる
  • 展示会やWebサイトで何を最も強く伝えるべきか決まっていない
  • 顧客から「他社と何が違うのか」と聞かれることが多い
  • 複数の強みがあり、どれを訴求の中心にすべきかわからない

USPを作る際は、強みを盛り込みすぎないことが大切だ。「高性能で、低価格で、短納期で、柔軟に対応できる」とすべてを並べると、かえって特徴が見えなくなる。また、競合製品との違いだけでなく、顧客が現在使っている方法や、導入しないという選択肢との違いも考えるべきである。

顧客が何を基準に比較し、どの条件なら自社を選ぶのかを絞り込み、簡潔な言葉で表現したい。USPを支える導入実績、技術データ、サポート体制などの根拠も欠かせない。

SWOT分析

SWOT分析とは、自社内部の「Strengths(強み)」「Weaknesses(弱み)」と、外部環境の「Opportunities(機会)」「Threats(脅威)」を整理し、取るべき戦略を検討する手法である。

3C分析が顧客・競合・自社の関係から市場での勝ち筋を考える手法であるのに対し、SWOT分析は、自社の内部環境と市場の外部環境を組み合わせ、戦略の方向性を考える際に役立つ。

技術系商材では、優れた技術や実績があっても、市場環境の変化によって価値が高まったり、反対に競争力を失ったりすることがある。例えば、省人化技術を持つ企業にとって、人手不足の深刻化は機会になる。一方、特定の熟練者に提案や設計が依存しているなら、需要が増えても対応できない弱みが表面化するだろう。

分析では、4項目を並べるだけで終わらせず、それぞれを掛け合わせて戦略を考えることが重要だ。

組み合わせ検討する方向性
強み×機会自社の強みを生かして、成長市場や新しい需要を取り込む
強み×脅威強みを使い、競争激化や市場変化の影響を抑える
弱み×機会市場機会を逃さないために、不足する体制や能力を補う
弱み×脅威リスクが高い市場や施策を見直し、損失を防ぐ

失敗しやすいのは、「技術力が高い」「人材が不足している」といった抽象的な言葉を並べるだけの分析だ。強みや弱みは、狙う市場によって変わる。高いカスタマイズ力は、個別対応を求める市場では強みになるが、短納期で大量供給を求める市場では弱みになるかもしれない。

そのため、対象となる市場や用途を明確にしたうえで分析したい。分析後は、優先して実行する施策、担当者、期限まで具体化し、実際のマーケティングや営業活動へつなげることが欠かせない。

STP分析

STP分析とは、市場を複数のグループに分け、自社が重点的に狙う市場を選び、その市場における自社の立ち位置を決める手法だ。なお、STPは次の3つの頭文字を取った言葉である。

要素役割
Segmentation市場を共通する特徴ごとに分ける
Targeting細分化した市場から、重点的に狙う市場を選ぶ
Positioning選んだ市場で、自社がどのような理由で選ばれるかを決める

技術系商材の場合、業種や企業規模だけで市場を分けても、顧客課題の違いを十分に捉えられないことがある。同じ自動車業界でも、研究開発、部品加工、検査、組み立てでは、必要な技術も選定条件も異なるだろう。そのため、業種に加えて、用途、工程、設備環境、技術課題、導入条件などを使って市場を細分化したい。

STP分析は対応できる業種や用途が広く、どこへマーケティング資源を集中すべきか決められていない企業に向いている。また、Webサイトや展示会で「幅広い業界に対応」「さまざまな用途で活用可能」と訴えているものの、具体的な商談につながらない企業にも有効だ。

リード獲得の手法(リードジェネレーション)

リードジェネレーションとは、「自社製品・サービスに興味のある見込み顧客を獲得するための一連の方法、手法、プロセス」のことだ。WEBサイト、マッチングサイト、展示会、セミナー、電話営業、飛込営業など様々な手法を用いてリードジェネレーションする。

BtoBのリードジェネレーション手法(リード獲得手法)には、WEBサイトを使った手法などのデジタル活用と、展示会などのリアル活用の2種類の手法がある。ここでは、その両方の手法を一覧でご紹介する。

  • SEO対策
  • オンライン広告
  • メルマガ
  • オウンドメディア
  • SP(ソリューションページ)
  • ホワイトペーパー
  • リードジェネレーションサイト・マッチングサイト
  • 展示会(WEB展示会・バーチャル展示会も含む)
  • セミナー(ウェビナー・オンラインセミナーも含む)
  • 営業問い合わせ(自動・手動)
  • リアル広告
  • 電話営業

技術系商材では、リードを大量に集めても、対象業種、用途、技術課題、導入環境が自社の商材と合っていなければ、商談にはつながらない。むしろ、営業が一件ずつ確認する手間が増え、本来対応すべき有望なリードへの連絡が遅れることもある。

SEO対策

SEO対策とは、検索エンジンからの自社サイトへの訪問者を増やすための手法で、検索順位を上げるためのさまざまな対策のことを言う。自社のWEBサイトに特定のキーワードで検索している検索者を誘導し、WEBサイトのアクセス数を増やすことができる。自社のWEBサイトを活用したリードジェネレーションでは必須の手法だ。

自社製品に関連する検索キーワードが豊富にある企業はおすすめだ。検索して情報収集しているリードを獲得できる可能性がある。

技術系商材を検討する顧客は、製品名だけで検索するとは限らない。むしろ、検討初期には次のような言葉で情報を探すことが多い。

  • 現場や技術上の課題
  • 不具合の原因
  • 業務の改善方法
  • 製品や技術の選び方
  • 既存手段との比較
  • 導入時の注意点
  • 業界固有の用途や工程

したがって、製品カテゴリのキーワードだけでなく、顧客課題や用途を起点としたコンテンツを作る必要がある。

たとえば、画像検査装置を扱っているなら、「画像検査装置」という製品名だけを狙うのではない。「目視検査 ばらつき」「外観検査 見逃し 対策」「多品種少量 画像検査」といった課題・用途別の検索も考えられるだろう。

このように、検索キーワードを何にするか?をしっかり検討しなければならない。キーワード選定にミスをすると、リード獲得できても受注にならないといったことも多々発生する。また、最近ではAIO(AI検索最適化)も考慮したコンテンツ作りが必要になってきている。

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BtoB企業のSEO対策ロードマップ|リード獲得を最大化する施策と事例を紹介

2025年12月14日

オンライン広告

オンライン広告は、自社製品やサービスをデジタル上の広告を使って認知拡大させていくマーケティング手法である。BtoBの場合、SEO対策のキーワードが見つからないケースも多々あるため、そういった場合は、業界専門サイト・メディアにて広告を出稿し自社サイトへリードを誘導する。

SEO対策が難しい企業は特におすすめだ。SEO対策は検索キーワードが肝になるため、良いワードがない場合は、オンライン広告の検討をしなければならない。

オンライン広告は、お金をはらってアクセスを稼ぐという手法であるため、予算がなくなるとリードジェネレーションができなくなる。そのため安定感は予算次第ということになる。

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2023年5月21日

メルマガ

メルマガは、過去に獲得したリードの中で放置状態になっているリード(休眠リード)を掘り起こしたい場合(関係を再構築したい場合)に活用する手法だ。今まで取得したリードの名刺をエクセルや名刺管理ツールなどでデジタル化し、メルマガ配信できるようにする。その上で、継続的にメルマガを配信し、リードジェネレーションにつなげていく。

過去に獲得したリードの情報(名刺など)が大量にある企業はおすすめだ。そのリード情報から営業案件を創出できる可能性がある。休眠しているリードが対象となるため、実現できれば大きな成果が得られる可能性が高い。もし何もしなければ、そのまま放置状態が継続し、いつかは競合に取られてしまうかもしれない。その機会損失を防げるのでぜひ実施して欲しい。

特に、営業担当者ごとに名刺が管理され、退職や異動によってフォローが途切れている企業では、マーケティング部門が一元的に接点を維持する価値が大きい。

ただし、古い名刺をそのまま配信リストへ入れるのではなく、個人情報の取得経緯や配信可否、現在の所属状況などを確認する必要がある。

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2023年11月20日

オウンドメディア

オウンドメディアとは、自社のWEBサイトやメルマガなど、自社が管理・運営するメディアのことだ。オウンドメディアの中心となるのは自社のWEBサイトとなることが多く、SEO対策やホワイトペーパーなどを多数公開し、リードジェネレーションを安定化させていく。やればやるほど成果につながるといったケースも多い。

自社事業に関連するSEOキーワードが多く、かつ、リードや顧客が解決したい課題を多く把握している企業におすすめだ。WEBサイトにコラムとしてコンテンツを追加し続けることで、アクセス数やCV数が安定する。

特に、営業や技術部門が顧客から繰り返し受ける質問を多く持っているなら、それらをコンテンツへ変えることで、自社ならではのメディアを作りやすい。

一方で、顧客課題を把握しないまま記事数だけを増やしても、アクセスや商談にはつながりにくい。運営を始める前に、誰のどの課題に応えるメディアなのかを定めておこう。

オウンドメディアはやればやるほどコンテンツが資産となって蓄積されていくため非常におすすめだ。ただし、リードが解決したい課題を正確に把握できていなければよいオウンドメディアは構築できない。リードに刺さるコンテンツが公開できないためだ。そのため、リードの課題や悩みの把握をしながらオウンドメディアを構築することが成功の秘訣となる。

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2025年4月1日

SP(ソリューションページ)

SP(ソリューションページ)とは、自社製品でリードの抱える課題をどのように解決できるかについて提案しているWebページであり、LPの一種だ。主に、「こんな課題ありませんか?」「その課題こうやって解決できますよ」「実際に解決できた事例もあります」といった流れで構成されるページだ。

リードが解決したい課題をある程度正確に把握できている企業におすすめだ。その課題を切り口にSP(ソリューションページ)を作成することができる。

同じ製品でも用途ごとに導入理由が異なる場合は、用途別のSPを作るとよいだろう。たとえば、同じセンサーでも、「設備故障の予兆検知」と「品質検査の自動化」では、顧客課題も訴求する価値も異なる。

成功の秘訣は2つある。1つ目は、顧客の課題を正確に把握することだ。その課題が正確なものでなければ、SP(ソリューションページ)は意味をなさない。2つ目は、個別にメールを送ったことだ。MAなどを使ってメルマガのように送ると開封してくれない可能性があるが、個別に送付すると開封率が高くなる。

ホワイトペーパー

ホワイトペーパーとは、リードにとって有益な情報をPDFにまとめた資料のことだ。自社のWebサイトのCVRを改善(CV件数を増加)したい場合に活用する。

WEBサイトのアクセス数は伸びてきたのに、CVが取れないという企業におすすめだ。ホワイトペーパーは情報収集段階のリードを獲得できる非常に効果的な手法の1つである。

ホワイトペーパーは、リードの検討段階(購買プロセス上の検討段階)に合わせて、リードに刺さるコンテンツが必須だ。そのため、リードの課題や悩みを正確に把握し、そこからホワイトペーパーを企画設計する必要がある。

例えば技術系商材では、次のようなテーマが考えられる。()内はリードの検討段階の例を記載する。

  • 技術課題の原因と対策(課題認識段階)
  • 製品・技術の選定ガイド(製品比較段階)
  • 導入前のチェックリスト(導入検討段階)
  • 既存手段との比較(導入検討段階)
  • 費用対効果の考え方(導入検討段階)
  • 業界・用途別の導入事例(製品比較段階)
  • 技術検証や調査結果(導入検討段階)
  • 社内稟議で確認すべきポイント(導入検討段階)

製品の導入をすぐに相談するほどではないが、より詳しい情報を知りたい人に対し、問い合わせよりも低いハードルで接点を作れるだろう。また、技術的な内容が複雑で、Webページだけでは十分に説明できない企業にも向いている。ただし、製品カタログをそのままホワイトペーパーとして扱っても、情報収集段階の顧客には響きにくい点には注意しよう。

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2024年1月25日

リードジェネレーションサイト・マッチングサイト

リードジェネレーションサイトとは、Webサイトやメールを活用してリード獲得を代行するWEB上のサービスのことだ。また、マッチングサイトとは、「自社製品を購入してくれる顧客を探している企業」と「新しい仕入れ先を探したい企業」の出会いの場を提供しているWebサイトのことだ。代表的なサイトとしては、ITメディア、ITトレンド、日経BP、イプロスなどである。

自社サイトを管理するリソースに余裕がなく、外部サイトでリードを獲得したい企業におすすめだ。リード獲得保証といったプランを準備しているサイトもある。

活用する際の注意点としては、自社のターゲット像とリードジェネレーションサイトの読者像が合致しているかの確認は必須だ。これが曖昧だと、リード獲得しても商談化しない。

展示会(WEB展示会・バーチャル展示会も含む)

展示会は、BtoB企業のリードジェネレーションの代表的な手法の1つといってもよいくらい、盛んに活用されている。自社ブースに来場したリードの名刺を獲得し、そこから商談や案件創出に繋げていく。さまざまなテーマで展示会が行われているため、ほとんどのBtoB企業で活用可能だ。

技術系商材では、製品の実物、デモ、加工サンプルなどを見せられるため、Webだけでは伝わりにくい性能や使用感を説明しやすい。また、来場者との短い会話を通じて、市場の課題や競合状況を把握できる点も大きい。

注意点としては、展示会は派手にやればやるほど、名刺獲得はできるが、リードにならない名刺も含まれる。そのため、質が悪化することが多い。実際に、あるIT企業では、展示会を派手にやればやるほど名刺はあつまるものの、商談化がまったくできず、売上貢献が0件だったということも発生している。

セミナー(ウェビナー・オンラインセミナーも含む)

セミナーもBtoB企業の多くが採用しているリードジェネレーション手法の1つだ。自社製品の導入事例セミナーや、ある課題を解決する方法を解説するセミナーなど、さまざまなセミナーが実施されている。オンラインセミナーを活用すれば、全国各地のリードを獲得できる可能性が高くなる。

セミナー経験豊富な社員(プレゼンが上手い社員)と、豊富なネタがある場合はおすすめだ。また、セミナー集客は自社のメルマガ経由になることが多いため、メルマガ配信を行なっている企業やある程度の母数がある企業もおすすめである。

セミナーはリードに刺さるセミナーテーマの企画設計が重要だ。そのためには、リードの課題や悩みを正確に把握することが重要となる。

営業問い合わせ(自動・手動)

営業問い合わせとは、アタックリストを作成し、アタックリストに記載されている企業のWebサイトの問い合わせフォームから、自社製品・サービスの営業問い合わせを行い、アプローチする手法だ。最近では、AIで営業問い合わせ業務を自動化するサービスもあるため、工数削減が実現している。

この企業と取引したいという、狙い撃ちでリードを獲得したい場合の活用に向いている。特にニッチな業界など売り込みたい企業数が限られているようなケースは相性がよい。

一方、幅広い企業へ同じ文章を大量送信する使い方は、技術系商材の複雑な価値を伝える方法として適しているとはいいにくいだろう。

成功のポイントは、アタックリストの企業に問い合わせをした時、最初に誰がみるか?であろう。大抵の場合、総務部門かマーケティング部門などWEBサイトを管理している部門になると思われる。そのような方が最初に問い合わせ内容を見るため、「関係ない」「ただの売り込み」と思われると反応はないだろう。そのため、どのように問い合わせの文面をつくるか?がポイントになる。

御社にも営業問い合わせが来ていないだろうか?どんな文面で問い合わせしているのか、他社の例を参考に検討されてみてはいかがだろうか?

電話営業

電話営業は、この企業と取引したいという、狙い撃ちでリードを獲得したい場合に活用する手法だ。訪問営業のような移動時間がかからないため、1日で多くのリードにアプローチできる。BtoB企業のインサイドセールスがよく活用する営業手法の1つだ。

相手の反応をその場で聞けるため、仮説検証や市場調査にも活用できる。ただし、技術系商材では短い電話だけで製品価値を説明するのは難しい。

そこで、電話で売り切ろうとするのではなく、課題の有無を確認し、技術資料の送付やオンライン面談など、次の接点を作ることを目的にしたほうがよい。

またDM同様、リモートワークが進んでいる大企業を狙う場合は、担当者につながらないこともあるため効果は低くなる可能性がある。根気強く電話し続けなければならない。

紹介営業

紹介営業は、既存の顧客に紹介してもらってリードを獲得する手法だ。大企業の他部門や他事業所、子会社、グループ会社への横展開を狙う場合は効果的な営業手法だ。商談化率・受注率が高く、費用対効果がもっとも高い手法だ。

既存顧客の中に、LTVを最大化できるポテンシャルがある顧客が複数存在する企業はおすすめだ。他部門や他拠点、子会社、グループ会社を紹介してもらい、追加案件を獲得できる可能性がある。

紹介営業は、紹介を誘発することが難しいため、受け身の営業になってしまう点が難点だ。紹介を誘発するような仕掛けが作れれば良いが、BtoBでは非常に難しい。顧客満足度を高める、成功体験を作り続けるなど、非常に密接な関係を構築しなければならない。

特に技術系商材では、導入リスクへの不安が大きい。そこで、同じ業界や用途で実際に導入した企業からの紹介は、製品の信頼性を伝えるうえでも有効になる。

リード育成の手法(リードナーチャリング)

リードナーチャリング(英語:Lead Nurturing)とは、様々な施策・手法で獲得した見込み客(リード)に対して、定期的な接点を作り出し、信頼関係を構築しながら、見込み客(リード)の購買意欲を高めるプロセスや施策、手法のことだ。メールマーケティング、オンラインセミナー、ホワイトペーパー、アンケートフォーム、ニュースレター、訪問営業、電話営業など様々な手法を用いてリードナーチャリングする。

BtoBのリードナーチャリング手法(リード育成手法)には、メールなどのデジタル活用と、電話営業などのリアル活用の2種類の手法がある。ここでは、その両方の手法を一覧でご紹介する。

  • WEBコンテンツ
  • メルマガ
  • シナリオメール(MAシナリオ)
  • 動画
  • セミナー(オンラインセミナー・ウェビナーも含む)
  • ホワイトペーパー
  • アンケート
  • リマーケティング広告・リターゲティング広告(追跡型広告)
  • ニュースレター
  • 訪問営業・対面営業
  • テレマーケティング(電話営業)

注意点は、いずれの手法においても、単に接触回数を増やせば購買意欲が高まるわけではないことだ。見込み客の課題、用途、検討段階に合わない製品情報を送り続ければ、かえって関心を失わせる可能性もある。

特に技術系商材では、見込み客が製品を認知してから商談・受注へ進むまでに、次のような確認が必要になる。

  • 自社の課題を解決できるか
  • 必要な性能や仕様を満たしているか
  • 既存設備やシステムへ適合するか
  • 導入・運用上のリスクはないか
  • 費用に見合う効果を得られるか
  • 現場、技術、購買、経営層から合意を得られるか

そのため、技術系商材におけるリードナーチャリングでは、購買意欲を高めることだけでなく、顧客が導入判断を進めるために不足している情報を提供することが重要になる。

WEBコンテンツ

Webコンテンツを使ったリードナーチャリングとは、コラム、ソリューションページ、導入事例、技術FAQなどを継続的に公開し、既存リードへ提供する手法である。

WEBコンテンツはメルマガのネタとなるため、WEBとメルマガを連動させることで、次のような流れで活用できる。

  1. 顧客の課題や用途に合わせたWebコンテンツを作成する
  2. メルマガや営業メールで既存リードへ案内する
  3. 閲覧されたテーマからリードの関心を把握する
  4. 関連資料やセミナー、個別相談へつなげる

技術系商材では、一つの記事だけですべてを説明しようとせず、検討段階に合わせて情報を配置することが大切だ。

たとえば、検討初期には技術課題の原因や解決方法を説明し、比較検討段階では導入事例や製品比較、技術評価段階では仕様書やFAQへ誘導する。こうした流れを作ることで、Webコンテンツが単なる読み物ではなく、顧客の判断を支援する情報基盤になる。

WEBコンテンツ(コラムやソリューションページなど)を継続的に作成・公開できるだけのネタを持っている企業はおすすめだ。リードの課題や悩みを的確に把握し、その解決策を継続的に公開できる場合は効果を発揮する可能性が高い。

成功のコツはネタの継続性だ。継続性を出すために、リードの課題や悩みを定期的に把握し、コンテンツに展開していく必要がある。

メルマガ

リードリストを作成し、そのリストに対して定期的・継続的にメールを配信して、リードナーチャリングする手法だ。BtoBの場合、リードは業務でメールを活用しているため、BtoCに比べてメールを見る可能性は高い。

主に、WEBコンテンツ、セミナー、ホワイトペーパーといったコンテンツをメルマガで配信する。継続的に配信する必要があるため、継続的なメルマガのネタが必要になる。

見込み客フォローが手一杯でなかなかできないという企業におすすめだ。見込み客リストを作成し、営業部門の代わりにメルマガで継続的な接点を創出することで、営業機会の創出が狙える。

しかし、毎回同じ製品紹介やイベント案内を送っているだけでは、リードの関心は徐々に低下する点には注意しよう。

技術系商材のメルマガでは、業種、用途、課題、過去の閲覧・参加履歴などに合わせて情報を出し分けたほうがよい。たとえば、品質改善に関心を持つリードには検査事例を、設備保全に関心を持つリードには予知保全の技術情報を送るといった設計が有効だ。

シナリオメール(MAシナリオ)

シナリオメール(MAシナリオ)とは、段階的にメールを送付しリードナーチャリングする手法のことだ。例えば、製品Aのカタログの資料請求がきたら、その日時を起点に、3日後に製品Aの導入事例のメールを、7日後に製品Aの特徴を伝えるメールを、10日後に製品Aのデモ案内のメールを配信する、といった具合に、段階的にメールを配信する。

セミナーや展示会、自社サイトなどでのリード獲得の件数が多い企業におすすめだ。リード獲得後のフォローメールを自動化でき、生産性を高めることができる。さらにリードフォローの放置などのようは事態を防ぐこともできる。

MAシナリオは、リードの課題に合わせてシナリオを組むと効果的だ。例えば、課題Aに悩むリードには、課題Aに関連するコンテンツを集中的に送付するイメージである。リードの課題を正確に把握しつつも、その課題に関するコンテンツを事前に準備しておくことが成功の秘訣と言える。

一方で、シナリオを細かく作りすぎないことも大切だ。業種、用途、役職、行動ごとに多数のシナリオを作ると、管理や更新が難しくなり、担当者の負担が増えてしまう。

そのため、まずは主要な顧客課題や資料請求後のフォローなど、件数の多い流れから始めることをおすすめする。また、リードの課題を把握できていなければ、適切なメールを出し分けられない。フォーム、アンケート、電話などを使い、業種や用途、関心テーマを少しずつ補完する必要があるだろう。

動画

リードが解決したい課題に合わせて製品の使い方、サービスの活用方法などを動画化し、そういった動画を継続的に公開することでリードナーチャリングする。

動画を活用することで、営業訪問や営業説明の回数を減らし、営業工数(リード育成の工数)を削減できる可能性がある。また、営業属人化の防止や、製品提案の品質向上・底上げにもつながる可能性がある。

とくに技術系商材では、文章や静止画だけでは説明しにくい内容が少なくない。たとえば、装置の動作、ソフトウェアの操作、設置手順、加工前後の違いなどは、動画で示したほうが直感的に理解してもらいやすいだろう。

また、営業や技術担当者が毎回行っている説明を動画にすれば、説明品質の標準化や対応工数の削減にもつながる。

動画は、製品デモや製品の使い方を動画化できる企業はおすすめだ。また、課題を解決する方法を解説する動画を作成できる場合もおすすめである。

セミナー(オンラインセミナー・ウェビナーも含む)

セミナー・ウェビナーは、既存リードに対して技術課題、業界動向、導入事例などを詳しく解説し、関心や理解を深める手法だ。

製品紹介だけではなく、顧客が抱える課題の背景や、解決方法を中心に構成することで、まだ具体的な製品比較へ進んでいないリードにも参加してもらいやすくなる。

技術系商材では、専門的なテーマを一定の時間をかけて説明できるほか、質疑応答から顧客の疑問や検討状況を把握できる点も大きな利点だ。

セミナー経験豊富な社員(プレゼンが上手い社員)と、豊富なネタがある場合はおすすめだ。特にリードや顧客の課題や悩みを把握しそれに応えるセミナーを企画設計できる場合は、効果が期待できる。

リードナーチャリングでセミナーを活用する場合、セミナーの継続性が重要になる。毎回同じ内容のセミナーではマンネリ化は避けられないため、新しいセミナーの企画設計ができる運用体制が重要だ。

ホワイトペーパー

リードナーチャリングにおけるホワイトペーパーは、既存リードが関心を持つ課題や用途に合わせた資料を作成し、メールなどで案内する手法だ。

ダウンロードされたテーマを確認すれば、リードがどの課題に関心を持っているのかを推測できる。その後、関連する事例、セミナー、技術相談を案内することで、検討を一段階進めやすくなるだろう。

技術系商材では、次のようなホワイトペーパーが考えられる。

  • 製品・技術の選定ガイド
  • 導入前の確認事項
  • 既存手段との比較
  • 技術課題の原因と対策
  • 用途別の導入事例
  • 技術評価・PoCの進め方

ホワイトペーパーにつながる豊富なネタがある場合はおすすめだ。特にリードや顧客の課題や悩みを把握しそれに応えるホワイトペーパーを企画設計できる場合は、効果が期待できる。

ホワイトペーパーもセミナー同様、継続性が重要になる。毎回同じ内容のホワイトペーパーではマンネリ化は避けられないため、新しいホワイトペーパーの企画設計ができる運用体制が重要だ。

アンケート

リードナーチャリングにおけるアンケートとは、リードに対して課題調査を行うことだ。アンケートフォームを作成し、「解決したい課題は何か?」を回答してもらう。その回答内容を分析し、ホワイトペーパーやセミナーのテーマに落とし込んでいくことで、効果的なリードナーチャリングが実現する。

リードナーチャリングにおいて、マンネリ化やネタ切れが発生している企業や、セミナーやホワイトペーパーのメルマガを配信してもCVRが低い企業におすすめだ。

アンケート調査は継続性が重要だ。定期的に実施し顧客やリードのニーズに変化がないか確認しよう。そして変化が見られた時は、すぐにその変化を各種施策に展開することが重要だ。調査して終わりでは意味がない。

リマーケティング広告・リターゲティング広告(追跡型広告)

リマーケティング広告・リターゲティング広告(追跡型広告)とは、製品AのWEBページを閲覧したリードに対して、ニュースサイトなど他のメディアで製品Aの広告を掲載するという、WEB広告の一種だ。自社サイトのどのページを見たか?に合わせて、さまざまなメディアで広告を出稿できる。継続的に出稿することで、リードとの接点を広告を経由して増やしていくことができる。

技術系商材では、一度のサイト訪問だけで問い合わせへ進むケースは限られる。そのため、検討中のリードに自社や製品を思い出してもらう手段として活用できる。

リマーケティング広告・リターゲティング広告は、一定のWebサイト流入があり、製品ページ、ホワイトペーパー、導入事例などの閲覧データを蓄積できる企業に向いている。特に、ホワイトペーパーのダウンロードやセミナー申込が継続的に発生しており、その後の接点を増やしたい企業では検討しやすい。

ニュースレター

ニュースレターとは、印刷物を継続的にリードに送付する手法のことだ。メルマガと似ているが、メルマガはメールを使うが、ニュースレターは印刷物を使う。メルマガ同様、セミナー、ホワイトペーパー、導入事例などを案内するだけでなく、担当営業の自己紹介などを入れることも多い。

ニュースレターを作成すると、「営業訪問の理由」にすることができる。「●月号のニュースレターが完成しました」といってアポイントを取るイメージだ。そのため、継続的な営業訪問がしたい企業におすすめだ。

ニュースレターはメルマガに比べ作成に工数がかかる。そのため、高いLTVが期待できるリードや顧客を中心に展開するのがコツだ。

1社あたりの取引額やLTVが高く、特定の顧客・リードとの関係を深めたい企業に向いている。また、メールだけでは情報が届きにくい顧客や、複数の担当者へ回覧してもらいたい場合にも候補になる。

訪問営業・対面営業

訪問営業・対面営業はその名の通り、定期的にリードに訪問し雑談なども含めて打ち合わせすることだ。リードナーチャリングにおいて、対面に勝る手法はないため、最も効果的と言える。対面営業でリードの課題や近況を聞き出し、そこから商談を作り出すことが可能だ。

技術系商材では、製品の導入条件や顧客固有の環境を、メールやWebだけで把握するのが難しい場合がある。そのため、重要度や確度の高いリードに対しては、対面で詳しい情報を交換することが有効だ。雑談や現場確認を通じて、顧客自身も明確に言語化できていない課題を発見できる場合もある。

テレマーケティング(電話営業)

リードに対して定期的に電話をかけて状況確認し、アポイントにつなげる手法だ。電話でリードの課題や近況を聞き出し、そこからアポイントを獲得し、商談を作り出す。リードナーチャリングで最も代表的な手法の1つといえる。訪問営業・対面営業ほどの工数はかからない上に、対話ができるため、機会損失を最小限にできる。そういった理由でBtoB営業では重要視されている。

セミナーや展示会、自社サイトなどでのリード獲得の件数が多い企業におすすめだ。リード獲得後のフォローを電話で行うことで訪問よりも効率よく、かつ、MAシナリオよりも効果的にリード育成ができる。

WEBや展示会などで獲得したリードに対してテレマーケティング(電話営業)する場合は、課題や導入の意思、タイミングなどをどれだけ聞き出せるか?が成功のコツと言える。そのためには、顧客理解と商材理解の深い担当者がテレマーケティング(電話営業)を行うと良い。

またトークスクリプトの継続的な改善も重要だ。課題や確度の確認を電話で行う必要があるため、高度な話術が求められる。とくに技術系商材のテレマーケティングでは、担当者に一定の顧客理解と商材理解が求められる。トークスクリプトを読み上げるだけでは、具体的な技術課題や用途を聞き出せない可能性が高いためだ。

案件や商談創出、および受注獲得のBtoB営業手法

案件・商談の創出と受注獲得に活用できる主な手法は、次の8つである。

  • オンラインデモ / 製品説明
  • 導入事例紹介
  • ROIシミュレーション
  • 製品比較支援
  • MAスコアリング
  • PoC(概念実証)
  • 技術検証・評価機の貸出
  • トライアル

オンラインデモ / 製品説明

オンラインデモ・製品説明とは、Web会議システムなどを使い、製品の機能、操作方法、活用方法を顧客へ説明する手法である。画面共有によるシステム操作の実演、装置の稼働映像、技術担当者による質疑応答などを組み合わせ、顧客の理解を深めながら商談化を目指す。

技術系商材は、Webサイトやカタログを読んだだけでは、実際の動作や操作性、導入後の利用イメージまで理解しにくい。そういった製品の動きを見せたほうが価値を伝えやすい場合や、全国の顧客へ効率的に説明したい場合に適した手法だ。

また、顧客企業の現場担当者、技術担当者、情報システム担当者などが同時に参加できるため、関係者ごとの疑問を早い段階で把握しやすい点もメリットだ。個別訪問の前に、技術的な適合性や検討状況を確認したい場合にも活用できるだろう。

ただし、製品の機能を最初から最後まで一方的に説明するだけでは、顧客にとって一般的な製品紹介で終わってしまう。そのため、事前に用途、課題、既存環境、確認したい項目を聞き、顧客が判断したい内容に絞って見せる必要がある。

デモ終了後の行動も決めておきたい。技術資料の送付、個別相談やPoCなど、次の検討段階へ進むための選択肢を用意することがポイントだ。

導入事例紹介

導入事例紹介とは、自社の製品やサービスを導入した顧客が、どのような課題を抱え、なぜその製品を選び、導入後にどのような変化を得たのかを紹介する手法である。

技術系商材では、製品の機能やスペックを説明しても、顧客が自社での活用をイメージできないことが少なくない。特に、用途や導入条件が複雑な商材では、同じ業種や似た課題を持つ企業の事例が有力な判断材料になる。

導入効果が伝わりにくい場合、競合との違いを説明しにくい場合、顧客企業内の関係者へ説明する材料が不足している場合におすすめだ。営業資料、Webサイト、メール、セミナーなど、複数の場面で再利用できる点も強みといえる。

事例を作る際は、製品を導入した事実だけでなく、導入前の課題、従来の方法、選定理由、検証内容、導入時の工夫、導入後の成果までできるだけ細かく記載するのがポイントになる。顧客は自社における再現性や、具体的な効果のイメージを求めているためだ。

一方で、成果だけを切り取り、あらゆる企業で同じ結果が出るように見せるのは避けるべきだ。設備環境、運用条件、導入範囲などによって効果は変わる。顧客が自社との共通点や違いを判断できる情報を添えることが重要になる。

ROIシミュレーション

ROIシミュレーションとは、製品やサービスの導入に必要な費用と、導入によって得られる効果を試算し、投資の妥当性を判断しやすくする手法である。「Return on Investment」の略で、一般的には投資額に対して、どれだけの利益や効果を得られるかを示す。製品単価が高い場合、導入効果が複数の工程に及ぶ場合、現状維持による損失が見えにくい場合に有効だ。費用対効果の試算シートをエクセルなどで準備しておくと効率的だ。

技術系商材では、技術担当者が製品を高く評価しても、経営層や部門責任者が投資効果を判断できず、予算承認で止まりやすい。試算する効果には、人件費や作業工数の削減だけでなく、不良率の低下、生産量の増加、設備停止時間の短縮、保守費用の削減、機会損失の回避などが含まれる。

注意したいのは、自社に都合のよい条件だけで効果を計算しないことだ。導入費用だけでなく、設置、教育、保守、運用変更にかかる費用も含める必要がある。

また、効果を一つの数値に断定するのではなく、前提条件を明示し、保守的な場合、標準的な場合、効果が大きい場合など、複数のパターンで示すと信頼を得やすいだろう。

製品比較支援

製品比較支援とは、顧客が検討している複数の製品、技術方式などを、一定の評価基準に基づいて整理し、選定を支援する手法である。選択肢が多い場合、スペックの優劣だけでは決められない場合、顧客が選定基準を整理できていない場合に有効だ。

技術系商材では、仕様項目が多く、各製品の違いを顧客だけで判断するのが難しいことがある。競合製品だけでなく、既存設備の継続利用、内製、別の技術方式、導入の先送りなども比較対象となるだろう。

比較では、性能、価格、導入期間、既存環境への適合性、保守体制、運用負荷など、顧客が重視する項目を確認する。すべての項目で自社が優れているように見せるのではなく、どの条件では自社が向き、どの条件では別の選択肢が適しているのかを正直に示すことが大切だ。

一方で自社に有利な項目だけを並べた比較表は、営業資料としての説得力を損なう恐れがある。顧客と評価基準を一緒に決め、用途や導入条件を踏まえて比較することが、信頼につながることを覚えておこう。

MAスコアリング

MAスコアリングとは、マーケティングオートメーションを使い、リードの企業属性や行動履歴に点数を付け、営業対応の優先順位を決める手法である。リード数が多く、営業がすべてに対応できない場合や、Web、メール、セミナーなど複数の接点からリードを獲得している企業にとって優先度が高い。

例えば、重点業種に該当する企業には属性点を加え、価格ページの閲覧、技術資料のダウンロード、セミナー参加などには行動点を付ける。合計点が一定の基準を超えたリードを、営業対応の候補として抽出する。

ただし、スコアが高いことと、受注確度が高いことは同じではない。研究目的で技術資料を何度も読んでいる人や、自社商材の対象外となる企業が高い点数になる可能性もある。

技術系商材では、行動履歴に加えて、業種、用途、企業規模、既存環境、技術的な適合性なども評価する必要がある。そのため、スコアだけで自動的に営業へ渡さず、アンケートやヒアリングによって検討状況を確認したい。

また、営業へ渡した後の結果をマーケティングへ戻し、商談化したリードと対象外だったリードの違いをもとに配点を調整することが欠かせない。

PoC(概念実証)

PoCとは「Proof of Concept」の略で、新しい技術や仕組みが顧客の環境で実現可能か、本格導入の前に小さな範囲で検証する手法である。AI、IoT、画像認識、データ分析、システム連携など、導入前に十分な効果を保証しにくい商材で利用されることが多い。技術的な実現性に不安がある場合、顧客固有のデータや環境で性能を確かめる必要がある場合、本格導入のリスクが高い場合に向いている。

PoCを成功させるには、始める前に検証目的と成功基準を決めておかなければならない。「精度を確認する」だけではなく、どのデータを使い、どの水準を満たせば次へ進むのかを明確にする。

検証範囲、期間、費用、顧客と提供企業の役割、結果を受けた次の判断も決めておきたい。これらが曖昧だと、追加検証が繰り返され、本格導入へ進まない「PoC止まり」になりかねない。

本番環境とかけ離れた条件で成功しても、導入後に再現できない可能性がある。できる限り、実際のデータや運用条件に近い状態で検証することが重要だ。

技術検証・評価機の貸出

技術検証・評価機の貸し出しとは、製品や試験機を一定期間顧客へ提供し、実際の使用環境で性能、適合性、操作性などを確認してもらう手法だ。センサー、測定器、制御機器、産業用部品など、カタログ上の数値だけでは顧客環境での性能を判断しにくい商材に適している。

温度、湿度、振動、材料、設備構成などによって結果が変わる場合や、既存設備との接続確認が必要な場合にも有効だ。営業担当者の説明だけでなく、顧客自身が評価できるため、技術部門の納得を得やすくなる。

一方、評価機を送るだけでは十分な検証にならないこともある。何を確認するのか、どの条件で試すのか、結果をどう記録するのかを事前に決める必要がある。

貸出期間、返却条件、故障時の対応、技術サポートの範囲も明確にしておきたい。評価終了後には結果を共有する場を設け、次に必要な検証や導入条件を整理することが重要だ。

トライアル

トライアルとは、製品やサービスを一定期間、無料または限定的な条件で利用してもらい、実際の業務における操作性や効果を確認してもらう手法だ。業務システム、クラウドサービス、ソフトウェアなど、実際に使うことで価値を理解しやすい商材に向いている。

顧客が操作性に不安を感じている場合、現在の業務へ定着するか確認したい場合、複数の担当者に利用してもらう必要がある場合に有効だ。

ただし、アカウントを発行して顧客へ任せるだけでは、十分に利用されないことも多い。何を試してもらうのか、誰が利用するのか、どの業務で効果を確認するのかを決めておきたい。

また、初期設定や操作説明を支援し、利用期間中に進捗を確認することも重要である。トライアル終了後に導入を判断する基準を事前に共有しておかないと、利用期間だけが延び、本契約へ進まない可能性が高まるだろう。

PoCが主に技術的な実現性を検証するのに対し、トライアルでは、実際の操作性、業務への適合、利用定着などを確認することが多い。それぞれ何を検証する手法なのかを混同しないようにしたい。

顧客維持(クロスセル・アップセル)に関するBtoB営業手法

BtoB企業の顧客維持とは、既存顧客に対してクロスセル・アップセルを行い、LTV(生涯顧客価値)を高めていく営業活動を指す。主に以下のような営業手法がある。

  • メルマガ
  • ニュースレター
  • 定期訪問
  • 課題調査
  • レコメンド
  • 会員サイト
  • 事例勉強会

メルマガ

既存顧客が購入した製品やサービスの活用方法や他社の活用事例をメルマガで配信し、クロスセル・アップセルの機会を作っていく手法だ。自社製品の有効な使い方を継続的に配信することで、顧客流出を防止し、クロスセル・アップセルの機会創出に繋げることができる。

製品やサービスの活用方法や他社の活用事例をネタとして継続的に提供できる企業や、サポートセンターがある企業におすすめだ。サポートセンターがあると、日々、顧客からさまざまな問い合わせが来ているため、その内容を分析し、メルマガのネタにすることができる。

技術系商材では、購入した製品のすべての機能が十分に活用されているとは限らない。導入時に説明した機能でも、担当者の異動や運用変更によって使われなくなるケースがある。

そこで、活用方法や他社事例を継続的に紹介すれば、製品の再活用や利用範囲の拡大を促せる。その結果、契約更新、上位製品への移行、関連製品の導入などにつながる可能性も高まる。

一方で、メルマガのマンネリ化には注意が必要だ。メルマガの対象者が既存顧客であるため、リードに対するメルマガよりもクリック率や開封率は必ず高くなるはずだ。その点に着目し、クリック率や開封率に低下傾向が見られる場合は、ネタのマンネリ化やニーズを満たすメルマガになっていないと考えなければならない。顧客のエンゲージメントを向上させるために配信している以上、非常に重要な施策であることを忘れないようにしよう。

ニュースレター

印刷物で配布するニュースレターは、既存顧客への定期訪問の理由を作り出すことができる。

ニュースレターのネタもメルマガと同様であるが、ニュースレターは手渡しができるため、顧客訪問する理由になる。その結果、継続的に対面で簡単な打ち合わせや世間話ができるため、流出防止やクロスセル・アップセルをより強固に実現できるだろう。

そのため、必ず継続的な接点を作らなければならない顧客がいる企業や、商圏が決まっている企業、市場規模が小さく顧客流出が許されない企業などにおすすめである。

技術系商材では、メールの配信先が購買担当者や窓口担当者に限られ、現場や技術部門まで情報が届かないことがある。そこで、複数部門が関心を持ちそうな内容を紙面にまとめれば、顧客企業内で新しい接点が生まれる可能性もあるだろう。

定期訪問

定期訪問とは、既存顧客に定期的に製品の活用状況などを確認する訪問を行い、新しい課題などがあれば、解決方法を提案(ソリューション提案)してクロスセル・アップセルを実現する。ルート営業(担当顧客に定期的に訪問する営業)のようなイメージである。

とくに技術系商材では、製品が導入されていても、現場で想定どおりに使われていない場合がある。また、導入後に生産品目、設備構成、担当者などが変わり、新しい課題が生じるケースも少なくない。

そこで定期訪問によって顧客の変化を把握できれば、不満やトラブルが大きくなる前に対応できる。さらに、新しい設備投資やプロジェクトの情報を早期に得られる可能性もあるだろう。

ただし、常に人が対応するため臨機応変に対処できる反面、営業工数がもっともかかる。そのため、取引金額の大きな顧客のみ実施するなど、戦略的な工夫が必要だ。また、定期訪問の目的が曖昧だと本来の流出防止やクロスセル・アップセルにつながっているのかどうかもわからなくなるだろう。

そのため、営業のKPIを訪問回数ではなく、「既存顧客の課題把握数」や「新商材の提案数」など別なKPIの導入も検討すべきである。

課題調査

課題調査とは、既存顧客に対して、製品活用に関する課題はないかを確認する調査のことだ。顧客満足度調査や顧客貢献度調査などともいう。

既存顧客が解決できていない課題や解決したい新たな課題などがある場合、そこからソリューション提案を行うことで、クロスセル・アップセルを実現できる。

技術系商材の場合、次のような項目を確認するとよい。

  • 製品をどの業務・工程で使用しているか
  • 導入前の課題は改善されたか
  • 活用できていない機能はないか
  • 運用上の不満や負担はないか
  • 新たに発生した技術課題は何か
  • 他部門や他拠点で利用できる可能性はあるか
  • 今後追加してほしい機能や支援は何か

課題調査は継続的に実施することが重要だ。1回やって終わりではなく、継続的に調査を行い、課題や悩みの動向を把握することが成功の秘訣である。既存顧客を対象にしているので回答が0ということはほぼない。不都合なことを言われることもあるが、真摯に受け止め、製品力強化などに活用しよう。

レコメンド

レコメンドとは、既存顧客の課題や購入した製品に合わせて別製品(関連製品)を提案する営業手法のことだ。顧客の購入点数増加が期待できる。自社のWEBサイトなどで、「この製品を買った人におすすめ」といったコーナーを作り、関連する製品をレコメンドする。ECサイトなどでは良く活用されている手法だ。

自社製品をカタログのように掲載するのではなく、関連する製品も一緒に掲載することで、購入点数の向上に寄与する可能性がある。

複数の商材を扱っており、各商材に関連性がある場合に効果的だ。例えば、プリンタとスキャナとPC、ウイルス対策ソフトのようなイメージである。ただし、技術系商材では、単に購入履歴が似ているという理由だけで関連製品を提案しても、顧客にとって必要とは限らない。重要なのは、顧客が解決したい課題や実現したい用途を起点に、複数の製品を組み合わせることだ。

会員サイト

既存顧客を会員化し、会員サイトで受発注、レコメンドなどの情報提供、課題調査などを行う営業手法。顧客はログインしてサイトを閲覧するため、どの製品に興味があるか?なども分析しやすい。

また、顧客別に見積もり単価を調整するなど、BtoBならではの価格微調整も可能だ。既存顧客からのリピート購入の効率化などに活用できる。

既存顧客にしか出せないノウハウなどがある企業はおすすめだ。会員サイトを作り、そこでノウハウを公開することで顧客を囲い込みできる。とくに技術系商材では、一般公開しにくい詳細な技術情報や、既存顧客だけに提供したい活用ノウハウを掲載する場としても有効である。

会員サイトは既存顧客の流出防止やクロスセル、アップセル、ホワイトスペース開拓などの起点になる可能性がある。そのため、ネタのマンネリ化を防ぎ、新鮮なコンテンツが充実している状態を継続させなければならない。そのため、「どんなコンテンツを閲覧したいか?」などのアンケート調査を継続的に行い、コンテンツを充実させていく必要がある。

事例勉強会

事例勉強会とは、すでに製品やサービスを導入して成果を上げている部門・拠点の取り組みを、同じ企業内の別部門や別拠点へ共有する手法だ。例えば、A工場で設備の予知保全に成功した事例を、B工場やC工場の担当者へ説明する。導入前の課題、製品を選んだ理由、導入までの進め方、得られた効果などを共有し、ほかの拠点でも活用できないかを検討してもらう。

技術系商材では、同じ企業の中でも部門や拠点ごとに設備、工程、予算、意思決定者が異なる。そのため、一つの部署で採用されても、ほかの部署へ自然に展開されるとは限らない。社内での導入実績を具体的な判断材料として届ける事例勉強会は、クロスセルやアップセル、ホワイトスペース開拓を進めたい場合に有効だろう。

勉強会では、製品の機能を改めて説明するだけでなく、「導入前にどのような問題があったのか」「どのような条件で成果が出たのか」を具体的に伝える必要がある。工数を削減できたという結果だけでなく、対象となった工程、従来の作業方法、導入時に変更した運用、現場へ定着するまでに必要だった支援なども共有しよう。

成果が出る条件まで示せば、参加者は自部門に適用できるかを判断しやすくなる。可能であれば、製品を販売した企業だけで説明するのではなく、導入部門の担当者にも参加してもらいたい。同じ企業で働く担当者の言葉には、自社内での実現性を判断するうえで説得力があるためだ。

また、勉強会を開催して終わりにしないことも重要だ。終了後にアンケートや個別相談を行い、関心を持った部門の課題、導入時期、技術条件を確認する。その後、デモ、現場確認、評価機の貸し出し、PoCなどへつなげる流れを設計しておきたい。

まとめ

以上、BtoBマーケティングの手法をご紹介した。自社に合ったBtoBマーケティング手法を見極めるチェックリストを活用しながら、まずはどの手法から実施すると効果的か確認して欲しい。

ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ALUHA代表取締役社長。1979年兵庫生まれのBtoBマーケティングコンサルタント。金沢工業大学大学院にて情報工学を専攻し2003年3月に修士課程を修了。同年4月にALUHAを創業。2008年からBtoBに特化したマーケティング支援、営業戦略支援を開始。2025年7月に顧客の質と量のバランスを重視するBBM(バランスベースドマーケティング)を考案。大手IT企業、製造業(日立Gr、富士フイルムGr、キヤノンGr、積水Grなど)を顧客に持つ。→セミナー講演実績→コンサル実績