BtoBカスタマージャーニーマップとは?作成方法と活用事例【テンプレート付き】

エクセルテンプレートで作成可能!ペルソナから作るカスタマージャーニーマップの作り方
Last Updated on 2025年4月25日 by 荻野永策

顧客が製品・サービスを認知してから購入・使用するまでの一連のプロセスである「カスタマージャーニー」を図解化したものを「カスタマージャーニーマップ」と呼ぶ。BtoBマーケティング営業戦略の全体像を把握するときに非常に役立つマップだ。今回のコラムでは、カスタマージャーニーマップの概要や作成目的について、BtoB企業向けに説明する。エクセルのテンプレート付きでカスタマージャーニーマップの作り方も紹介しているので、参考にしてほしい。

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BtoBカスタマージャーニーマップとは

カスタマージャーニーマップとは、顧客が製品やサービスを認知してから購入に至るまでの行動や感情を時系列で図式化したものだ。横軸に「認知」「情報取集」「検討」「購入」などの購買プロセスの各ステージをまとめ、縦軸には「顧客行動」「顧客接点」「思考」「課題」「対策(必要なコンテンツ)」をまとめることが多い。

以下は、営業支援を行うSFAツールを例に、弊社がエクセルで作成したBtoBカスタマージャーニーマップの具体例だ。

カスタマージャーニーマップの具体例

カスタマージャーニーマップの具体例

BtoBカスタマージャーニーマップを作成することで、顧客の購買プロセスを詳細に把握し、顧客のニーズや課題を理解することができる。各段階に応じて最適なアプローチが可能になるため、より最適なBtoBマーケティング施策を策定することが可能になる。

BtoBカスタマージャーニーマップの3つのメリット

BtoBカスタマージャーニーマップを作成するメリットは次の3つだ。

  1. 顧客の購買プロセスを関係部門・メンバーで共有できる
  2. 顧客の段階ごとに適切なアプローチ方法を選択できる
  3. 営業やマーケティングの武器となるコンテンツの設計がしやすい

顧客の購買プロセスを関係部門・メンバーで共有できる

BtoBカスタマージャーニーマップを作成すれば、顧客の購買プロセスを明確にできる。それによって、顧客の購買プロセスを関係部門・メンバーで共有できるようになる。関係者間で顧客に対する認識のずれを解消し、一貫性のあるマーケティングや営業施策を実行できる。さらに、関係者間におけるコミュニケーションの円滑化にもつながる。

異なる部門では目標や施策が異なるため、共通の顧客理解がないと、個々の目標追求により施策の統一性が失われるリスク(個別最適化されるリスク)がある。施策のぶれを防いでBtoBマーケティング施策の効果を最大化するためにも、BtoBカスタマージャーニーマップの作成と共有を通じて、組織内の顧客認識を統一しよう。

顧客の段階ごとに適切なアプローチ方法を選択できる

BtoBカスタマージャーニーマップを作成することで、顧客の段階ごとに適切なアプローチ方法を選択できるようになる。

例えば、認知の段階にいる顧客の場合は、自社の課題解決に関する情報を調査している傾向が強いため、SEOコンテンツなどでアプローチすることができる。情報収集の段階にいる顧客であれば、「製品やサービスの内容を理解できるコンテンツ(カタログや詳細資料、ソリューションコンテンツなど)」を用いて、製品理解や興味喚起を行うことできる。

このように、購買プロセスの各段階にあわせて、顧客の課題や興味、知りたいことは異なる。だからこそ、各段階に合わせたアプローチ方法を選定することが重要となる。

営業やマーケティングの武器となるコンテンツの設計がしやすい

BtoBカスタマージャーニーマップでは、顧客の行動や思考などを整理するため、営業やマーケティングの武器となるコンテンツを設計しやすくなる。

例えば、検討段階であれば、顧客は「製品比較」なども行うことが考えられるため、「比較支援できるようなコンテンツ」を充実させることで、顧客育成や商談化に活用できる可能性が高くなる。

このように、BtoBカスタマージャーニーマップでは、顧客の行動や思考が明確になるため、その内容から適切なコンテンツの設計が可能となり、営業やマーケティングの武器となるコンテンツが充実していくこととなる。

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BtoBカスタマージャーニーマップの設計方法と作り方「具体例とテンプレート付き」

ではBtoBカスタマージャーニーマップの作り方を解説する。具体的な流れは次の3ステップだ。

BtoBカスタマージャーニーマップの作り方
  1. BtoBペルソナを作成する(BtoBペルソナの例)
  2. フェーズごとの項目を作成する(BtoBカスタマージャーニーマップの例)
  3. 必要なコンテンツを洗い出す

BtoBペルソナを具体的に設定すれば、顧客の購買行動をイメージしやすく、行動や思考を深掘りしやすい。顧客の行動や思考を深掘りできれば、より質の高いBtoBカスタマージャーニーマップを作成できるため、最初の段階であるペルソナの作成は非常に重要だ。また、BtoBカスタマージャーニーマップの作成に役立つエクセルテンプレートを用意した。

このBtoBカスタマージャーニーマップのエクセルテンプレートでは、わかりやすく解説するために営業や商談管理を支援するSFAツール(営業・商談管理システム)を具体例に作成している。御社の商材と異なると思うが、具体例があるとわかりやすいと思うので、ぜひ参考に活用して欲しい。

BtoBカスタマージャーニーマップの作成に役立つエクセルテンプレートの内容
  1. シート1:ペルソナ設計に役立つ顧客分析表のテンプレート
  2. シート2:ペルソナ設計の例(SFAツールの例)
  3. シート3:BtoBカスタマージャーニーマップの例(SFAツールの例)

手順1:BtoBペルソナを作成する(BtoBペルソナの例)

BtoBカスタマージャーニーマップを作成する最初の段階は、ペルソナの作成からだ。年齢や性別、職業、役職などを具体的に設定するほど、ターゲットのニーズや行動パターンをイメージしやすい。BtoBカスタマージャーニーマップの質に大きく影響する段階であるため、手を抜かずにしっかりとBtoBペルソナを作成しよう。

BtoBペルソナの作成手順は、「行動と意識」を軸にしたセグメンテーションとターゲティングからペルソナを設計する方法など、さまざまな設計手法が存在する。ここでは、もっともわかりやすい「既存顧客からBtoBペルソナを設計する手順」をご紹介しよう。

1:顧客リストを作成

この手順では、まずは顧客リストを作成することから始まる。BtoBなので、社名、業種、従業員数、年商、役職、部門などがリストの項目になる。どういう項目にするか?は商材によって異なるが、BtoBカスタマージャーニーマップを作成する上で、役立つ項目を入れておくと良い。例えば、下記のイメージだ。下記は顧客一覧表のサンプルであるが、導入時(購入時)の課題や導入に至った経緯(どこで製品情報を知ったのか?など)を項目に入れている。こういった項目があれば、BtoBカスタマージャーニーマップを作成するときのヒントになる。

ペルソナ作成の準備「顧客リストのサンプル」

ペルソナ作成の準備「顧客リストのサンプル」

2:優良顧客と一般顧客を分類

上記のリストを作ったら、顧客ごとのある期間(例えば1年間など)の取引金額(自社と顧客の取引金額)を計算し、記入しよう。そして取引金額の多い順に並べ替えてみよう。そうすると、優良顧客は表の上に、一般顧客は表の下に表示されることとなる。

3:BtoBペルソナを設計する

この状況で、「どういう業種でどのくらいの規模(年商や従業員数)の企業を狙うべきか?」「役職はどのレベルがよいか?」「どんな課題を持っている企業がよいか?」といったデータを既存顧客リストから分析できるようになる。こういった顧客分析をすることで、BtoBペルソナ設計の基準を作り上げることができる。

その上で、下記のようなペルソナ設定を行うと良い。下記は、前述したSFAツールのペルソナモデルの例だ。

BtoBのペルソナの例

BtoBのペルソナの例

「課題」は「導入時の課題」から、そして、「情報収集」は「導入に至った経緯」の内容をヒントに、具体化することができる。BtoBであるため、個人のペルソナモデルというよりも、企業のモデル(企業の担当者のモデル)を検討すると良い。既存顧客のデータをベースに設計しているため、エビデンスもしっかりしているので、BtoBマーケティング活用で使うペルソナモデルとして精度が高いものとなる。

しかしながら、既存顧客のみを対象として分析しているので、視野が狭くなっている可能性がある。他にも売れる可能性のある顧客がいるかもしれないが、それが抜け落ちてしまう可能性があるので、その点は注意いただければと思う。

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手順2:フェーズごとの項目を作成する(BtoBカスタマージャーニーマップの例)

BtoBペルソナを設計したら、具体的にBtoBカスタマージャーニーマップの項目を埋めていく。この段階では「顧客行動」と「顧客接点」「思考」「課題感」を埋めることが可能だ。

以下は、営業部の課長がSFAを購入するまでのプロセスを表したマップだ。BtoBペルソナの内容を踏まえて、埋めていくと下記のようになるだろう。

BtoBカスタマージャーニーマップの例

BtoBカスタマージャーニーマップの例

BtoBペルソナ設計で具体化された企業像・担当者像をイメージしながら、各項目を埋めてみよう。各検討段階でどのような課題や不安があり、どんな接点が最適で、どういう思考を持っていそうか?が明確化されていくだろう。

手順3:必要なコンテンツを洗い出す

最後は、必要なコンテンツを検討する。BtoBカスタマージャーニーマップの内容を見ながら、必要なコンテンツ案を箇条書きでリストアップする。このとき、「自分の会社ではこんなコンテンツ作れない」という先入観をもって作成すると、視野が狭くなるので、一旦、「作れるだろう」という前提で考えると良い。

BtoBカスタマージャーニーマップの例

BtoBカスタマージャーニーマップの例

上記のように、フェーズごとにどんなコンテンツがよいか、何をすると良いか?を検討し、必要なコンテンツを埋めてみよう。こうすることで、フェーズ別の具体的な施策が明確になる。

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BtoBカスタマージャーニーマップの2つの課題と対処法

BtoBカスタマージャーニーマップを作成する際には、以下のような2つの課題が発生することが多い。ここではその対処法をご紹介する。

BtoBカスタマージャーニーマップの課題
  1. 自社にとって都合の良いBtoBペルソナになってしまう
  2. 作ることが目的になり運用に役立てられない

自社にとって都合の良いBtoBペルソナになってしまう

BtoBペルソナを作成する際、「こういう人(企業)がいたらいいなぁ」と考えて、自社にとって都合の良いBtoBペルソナを作成してしまうことがある。勝手に「こういう企業がいるだろう、こういう人がいるだろう」と想像を膨らませると、それは、イコール、自社にとって都合の良い BtoBペルソナになってしまう。これをベースにBtoBカスタマージャーニーマップを作成すると、「そもそもそんな人(企業)はいないのにBtoBカスタマージャーニーマップを作成した」ということになり、全ての作業が無駄になってしまう。

BtoBペルソナは、あくまで顧客のニーズや顧客データから仮説と想像を広げていかなければならない。そのため、顧客はこうあるべきという先入観は捨てる必要がある。

また、一部の意見で決めないように注意しよう。とくに役職者だからといってその者の意見や理想に寄せたり、声の大きい人間に迎合して細かなアイデアを言えなくなるとBtoBペルソナの解像度は高まらない。

効果的なBtoBペルソナを作成するには、データに基づいたものであることが重要だ。既存顧客の担当者へのヒアリングや自社の顧客データの分析、アンケート調査などを通じて情報を収集し、実際の顧客像と近いリアルなBtoBペルソナを作成しよう。

対処法まとめ
自分勝手なBtoBペルソナを作るのではなく、顧客のニーズを調査・分析しそのデータを根拠にBtoBペルソナのモデル像を具体化しよう!

作ることが目的になり運用に役立てられない

BtoBカスタマージャーニーマップは単に作成するだけでなく、実際の運用を通じてその効果が発揮される。しかし、しばしばBtoBカスタマージャーニーマップを作成することが目的とされ、運用に活用されないことがある。例えば、BtoBカスタマージャーニーマップを作成したものの、その後、マーケティングや営業施策展開の際には、あまり参照されないなどである。

これは特に、KPIの設定が不明確な場合によく見られる問題だ。そのため、BtoBカスタマージャーニーマップを効果的に利用するために、作成時にKPIを明確に定めておく必要がある。

KPI(Key Performance Indicator)とは、重要業績評価指標のことだ。目標達成の度合いを定量的に評価するための指標である。本コラムでは、BtoBカスタマージャーニーマップを「認知」「情報収集」「検討」「購入」の4段階に分解しているが、それぞれのKPIの例を下記表に記載するので参考にして欲しい。

BtoBカスタマージャーニーマップのKPI例
認知 WEBのアクセス数
展示会での名刺獲得枚数
広告の表示回数など
情報収集 コンバージョン件数
リードリストの数
セミナー参加数など
検討デモ実施回数など
購入売上や商談数など

このようにKPIを明確にし、BtoBカスタマージャーニーマップのフェーズごとにKPIを測定・可視化して、KPIを見ながら、BtoBカスタマージャーニーマップを運用しよう。作って終わりでは全く意味がない。

対処法まとめ
BtoBカスタマージャーニーマップの段階ごとにKPIを設定し、継続的にKPIを可視化して、BtoBカスタマージャーニーマップのどこの数値が悪いのか?を確認する習慣を身につけるようにしよう!

BtoBカスタマージャーニーマップの改善方法

次にBtoBカスタマージャーニーマップの改善方法についてご紹介する。本コラムでは、具体例として、以下のSFAツールのBtoBカスタマージャーニーマップをご紹介しているが、この例をベースに改善方法をご紹介しよう。

BtoBカスタマージャーニーマップの例

BtoBカスタマージャーニーマップの例

購買プロセスの改善・見直し

BtoBカスタマージャーニーマップの横軸は、顧客の購買プロセスであるが、この購買プロセスの見直し・改善は定期的に行う必要がある。

例えば、具体例(SFAツール)のBtoBカスタマージャーニーマップでは、購買プロセスが「認知から購入」までの4段階としている。仮に、検討から購入になかなか商談が進まないといったことが多く発生した場合、検討段階での営業やマーケティング施策がうまくいっていないということが考えられる。

こういった時には、「認知→情報収集→検討→購入」の4段階の購買プロセスを「認知→情報収集→個人検討→社内検討→購入」の5段階に改善するなどの改善策が検討できる。この改善例では、検討段階を2分割しており、個人検討は「担当者個人の検討段階」、そして社内検討は「SFAツールを使う関係者全員を巻き込んでの検討段階」としている。

このように改善することで、より細かい購買プロセスに対して適切なアプローチができるようになり、商談が進みやすくなる可能性が高くなる。作って終わりにせず、継続的な購買プロセスの見直しは行うと良いだろう。

各段階のKPI測定をベースにした改善と見直し

BtoBカスタマージャーニーマップの改善では、購買プロセスごとにKPIを設定し、どの段階でどんな問題が起きているのか?を数値で把握できるようにしておくと改善に活用しやすくなる。

例えば、具体例(SFAツール)のBtoBカスタマージャーニーマップの情報収集段階で、毎月30件のホワイトペーパーの資料請求が発生しているとしよう。そして、その30件のうち、検討段階の製品デモが実施できたのは1件だっとする。この時、ホワイトペーパーの資料請求経由での製品デモの獲得率は1/30=3.3%となる。

この例のように、各段階のKPIを数値で把握していると、どこで商談が止まっているのか?を把握しやすくなる。これにより、どこを改善すべきか?を明確にできる。こうすれば、効率よくBtoBカスタマージャーニーマップの改善が実行できる。

BtoBカスタマージャーニーマップの活用事例

それでは、最後に、BtoBカスタマージャーニーマップの活用事例をご紹介する。

BtoBカスタマージャーニーマップを活用している企業概要と活用の目的

ご紹介する事例は、「クラウド型のペーパーレス支援ツール」を開発・販売しているIT企業A社だ。A社のツールはクラウド型のツールであるため、デジタルを使った営業の完結を目標に、BtoBカスタマージャーニーマップを作成し運用している。

どんなBtoBカスタマージャーニーマップを作成したか?

A社のBtoBカスタマージャーニーマップの購買プロセスは、4段階ある。その概要は以下の通りだ。

A社のBtoBカスタマージャーニーマップの購買プロセス
情報収集段階ペーパーレスツールを探している段階で主にSEOコンテンツと製品カタログ、事例集などをつかってアプローチ
製品選定段階ペーパーレスツールにある程度の興味がある段階で、主に、課題解決のデモ動画を充実させてアプローチ
導入検討段階A社のペーパーレスツールの導入を検討し始めた段階で、無料トライアルを中心にアプローチ
商談・受注段階購入の意思を固めた段階で、見積もりや導入プロセスの相談、社内啓蒙などの支援でアプローチ

どんな成果が得られたか?

BtoBカスタマージャーニーマップを作成後、実際にWEBサイトなどでアプローチに必要なコンテンツを充実させ、各段階のKPIを可視化した。その結果、受注に至るまでにどんなコンテンツがよく閲覧されるか?などの「受注につながるコンテンツ」と、逆に「成果につながっていないコンテンツ」が明確になった。これにより、どの段階のどのコンテンツを重点的に改善すべきか?が具体化され、より効果的なマーケティングやセールス活動に展開できるようになっている。

まとめ

今回のコラムでは、BtoBカスタマージャーニーマップの策定手順や作成時の課題解消法、改善方法について解説した。さらに、BtoBカスタマージャーニーマップのテンプレートも紹介したので、ぜひ活用して自社のBtoBカスタマージャーニーマップ作成に役立ててほしい。弊社の準備したエクセルテンプレートをダウロードして、まずは御社のBtoBカスタマージャーニーマップを作ってみよう!

最初はコンテンツ作りなど苦労する部分が非常に多いが、徐々に形になっていくため、ぜひチャレンジしていただけたらと思う。

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BtoBマーケティングの基礎コラム

ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ALUHA代表取締役。1979年兵庫生まれのBtoBマーケティングコンサルタント。金沢工業大学大学院にて情報工学を専攻し2003年4月にALUHAを創業。2008年からBtoBに特化したマーケティング支援、営業戦略支援を開始。BtoBマーケティングや営業戦略の戦略立案から、計画実行とPDCA、そして人材育成を伴走型で支援。デジタルとリアルを融合させた戦略設計が得意。毎月全国各地の様々な企業でBtoBマーケティングセミナーを実施中。100社以上でのセミナー講演実績を持つ。大手IT企業、製造業(日立Gr、富士フイルムGr、キヤノンGr、積水Grなど)を顧客に持つコンサルタント。→セミナー講演実績→コンサル実績