BtoBマーケティングファネルとは?意味やカスタマージャーニーとの違い・活用例を解説

マーケティングファネルとは何か?考え方や施策例、ファネルの種類を解説
Last Updated on 2025年3月8日 by 荻野永策

マーケティングファネルは、顧客が製品やサービスを知り、購入するまでの段階を視覚化し、各段階に適した施策を分析・検討するためのモデルである。本記事では、BtoB企業向けにマーケティングファネルの基礎から活用例までを解説する。御社のBtoBマーケティング戦略を強化する参考にしていただけたら幸いだ。

マーケティングファネルとは

マーケティングファネルとは、「顧客が購買を決定するまでのプロセス」を段階ごとに分解し可視化するモデルのことである。「顧客が購買を決定するまでのプロセス」とは、顧客が製品やサービスを認知してから、購入に至るまでのプロセスのことで、「認知」「興味」「検討」「購入」といった段階がある。製品やサービスを認知した顧客すべてが購入することはないため、各段階に応じて顧客数が減少する。

なお、この名称は、マーケティングの各段階にて「漏斗(ファネル)」のように顧客数が絞られていくことに由来する。特にBtoBのマーケティングファネルは、組織的に購入を検討するため、顧客数が絞られていく傾向が強くなる。

認知から興味、検討、購入までの流れを追うことで、どのフェーズに課題があるかを特定し、適切な施策を投入するための枠組みとして採用されている。

マーケティングファネルの基本的な考え方

マーケティングファネル

マーケティングファネル

上図のように、マーケティングファネルは「認知→興味→検討→購入」の段階に分類されている。顧客は最初に製品やサービスについて知り、次にそれに対する興味や関心を抱き、購入を検討したのちに最終的に購入に至る。

この段階ごとに、顧客の心理は変化していく。そのため、売り手側のBtoB企業は各フェーズに応じたアプローチを講じなくてはならない。

認知フェーズ

認知フェーズでは、できるだけ多くの潜在顧客に製品やサービスの存在を知ってもらうことが重要である。このフェーズでは、広告やPRを通じてブランド認知度を広げる活動が行われる。

認知フェーズ
顧客心理まだ製品・サービスに対する理解が浅く、興味もない状態
目的知ってもらうこと、認知拡大
BtoB企業が取るべきアプローチの例セミナーや展示会、WEBサイトでの認知拡大など

興味・関心フェーズ

興味・関心フェーズでは、製品・サービスに対して興味を持ってもらうことが重要だ。このフェーズでは認知フェーズよりも顧客数が減少する一方で、関心の度合いが強い顧客が集まるため、詳細な情報を提供する必要がある。

興味・関心フェーズ
顧客心理興味が芽生え始め、製品・サービスに対して理解が深まってきている状態
目的製品・サービスの理解と興味を深めてもらうこと
BtoB企業が取るべきアプローチの例ソリューション提案や価値提案、製品・サービスの概要紹介など

検討フェーズ

検討フェーズでは、顧客が他社製品と比較検討を始める。顧客数はさらに少なくなり、顧客は製品・サービスの価値や価格、機能、実績などに注目する。このフェーズでは、自社の強みを明確に示し、競合との差別化を図る施策が重要となる。

検討フェーズ
顧客心理製品・サービスに対して理解が深くなり、本当に購入するかどうかや他社との比較に悩んでいる
目的製品・サービスの強みや価値を伝え選んでもらうこと
BtoB企業が取るべきアプローチの例セールスポイントの訴求や事例訴求、製品・サービスの詳細な紹介、無料トライアルの提案など

購入フェーズ

購入フェーズに至る顧客数はさらに少なくなるが、ここで初めて顧客は実際に購入行動に移る。このフェーズでは、購入を後押しする仕掛けを継続的に行う必要がある。

購入フェーズ
顧客心理購買決断がほぼ固まり、最後の一押しや安心感を求めている
目的買ってもらうこと
BtoB企業が取るべきアプローチの例社内検討の支援、営業提案や見積もりの調整など
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カスタマージャーニーとの違い

マーケティングファネルと類似する概念に「カスタマージャーニー」がある。カスタマージャーニーは、顧客が特定のニーズに応えるまでの全過程を表す概念であり、マーケティングファネルと比較してより個別的なタッチポイントに注目する点が異なる。

マーケティングファネル企業が顧客に製品やサービスを認知してもらい、購入に至るまでのプロセスを段階ごとに管理する。段階が進むごとに顧客数は減少し、漏斗の形をなす
カスタマージャーニー顧客がニーズを持ってから購入、購入後のサポートまでを追う全体的なプロセスを顧客の視点から捉える。マーケティングファネルに比べて、顧客の感情や満足度にも焦点を当てる点が特徴

このように、両者は共通して顧客の行動を段階的に理解するための手法であるが、カスタマージャーニーは顧客視点での体験全体を重視する一方で、マーケティングファネルは購買プロセスにおける企業視点の段階を強調している。

マーケティングファネルとカスタマージャーニーとの違い
マーケティングファネルカスタマージャーニー
視点企業視点顧客視点
目的購買に至るプロセスを段階的に管理顧客体験全体を把握し、改善点を見出す
適用範囲主に購買プロセスにフォーカス顧客が製品・サービスと接触する全体のプロセス
ゴール購入顧客満足度やロイヤルティ向上
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BtoB企業がマーケティングファネルを活用する重要性

BtoB企業では、マーケティングファネルの活用によって顧客獲得プロセスが可視化されるため、マーケティングや営業施策の効果測定やマーケティングの意思決定・判断に役立つ。

たとえば各段階におけるコンバージョン率(現段階から次の段階に移行した割合)を把握することで、どの段階で顧客が離反しているのかを特定でき、改善策を講じる指針となる。さらに、経営レベルでもファネルのデータを基に戦略を最適化することで、リソース配分や成長戦略を精緻に策定できるメリットがある。

BtoBにおけるマーケティングファネルは「もう古い」のか?

近年、マーケティングファネルは「もう古い」との指摘も散見される。これは、現代の消費行動の多様化によって、従来の一方的な購買プロセスの流れにはあてはまらないためだ。

しかし、その一方で、BtoBビジネスの専門的・技術的な製品やサービス(ニッチな領域の製品やサービス)では、マーケティングファネルは非常に有効なケースが多い。BtoBの特性上、購入側(顧客企業側)の行動はまだ多様化していないことが多いためだ。しかしながら、DXの推進や人手不足などの影響がより強くなっていくと、BtoBでもマーケティングファネルは古いと言われるようになる可能性もあるだろう。

BtoBにおける購買行動の多様化について

BtoBにおいても、購買行動の多様化は加速している。例えば以下のような例が考えられる。

BtoB購買行動の多様化例
オンラインで情報収集、オフラインで購入企業のWEBサイトやSNSで製品情報を収集しある程度選定した後、営業担当者や技術説明員の説明を聞いて購入を決定する。
オフラインで製品体験、オンラインで購入クラウドサービスなどの場合、製品をリアルで体験できる勉強会や活用相談会などに参加し、その後、オンラインで契約・決済する

このように、BtoBでもオンラインとオフラインが複雑に絡み合った購買プロセスが広がりつつある。実際に弊社が調査した以下の結果をみると、BtoB企業の売り手側も買い手側も「デジタル(オンライン)による製品・サービスの販売(売り手)や選定(買い手)」を行なっている企業は50%弱存在し、二極化している傾向がある。

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BtoBビジネスでは今も有効

このように、BtoBの購買行動の多様化は進んでいるものの、2025年時点では、BtoBのマーケティングファネルは有効といえよう。これは、BtoBビジネス特有の意思決定プロセスや商談の性質に適合しており、段階的アプローチを通じて効率的に顧客獲得を進めることができるためである。

BtoBビジネスにおける意思決定プロセスの特徴

BtoBの意思決定プロセスは、以下のような特徴を持つ。

BtoBの意思決定プロセス
複数の関係者の関与ひとつの商談に対して、購買部門、経営層、技術部門など、さまざまな立場の担当者が意思決定に関わる。そのため、すべての関係者を納得させるための情報提供が必要である
高額で複雑な製品が多いBtoBでは単価が高い製品や複雑なシステムが対象となるため、情報の精査や信頼性が重要視される。このため、慎重な判断を行う長期的なプロセスが一般的である
長い検討期間意思決定までに数ヶ月から数年を要することもあり、企業はこの期間を通じて情報提供やフォローに努める必要がある

こうした特徴から、BtoBビジネスでは、顧客が各段階で必要とする情報を適切に提供し、購買意欲を高めていくための戦略が不可欠となっている。

長期的な商談プロセスとマーケティングファネルの親和性

上述した特性が、マーケティングファネルとの相性が良い理由のひとつとなる。長期間の商談プロセスにおいては、次のようなファネルモデルの利点が発揮される。

ファネルモデルの利点
進捗状況の把握マーケティングファネルを利用することで、現在の商談がどのフェーズにあるかを明確に把握できるため、次に必要なアクションが見えやすくなる
リソースの最適化長期的なプロセスでは限られたリソースを効率よく配分することが重要であり、ファネルを活用することでどのフェーズにリソースを集中すべきかが明確になる
フォローアップの継続数ヶ月から数年単位での商談フォローが求められるため、ファネルを通じて段階ごとの顧客ニーズを把握し、定期的にフォローアップすることで、競合との差別化を図りやすくなる

こうしたマーケティングファネルの利用により、BtoBビジネスにおける長期的な関係を築きやすくなり、購買決定を得るための施策を展開できる。

このように、BtoBではファネルモデルは購買までのプロセスを効率化し、リレーションシップを築くために今も有効である。

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BtoBマーケティングの成功事例

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マーケティングファネルの種類

マーケティングファネルには、目的やターゲットに応じていくつかの種類が存在し、それぞれの特性や使い分けの基準が異なる。ここでは代表的な3つのファネルを挙げ、それぞれの概要と使用シーンについて解説する。

マーケティングファネルの種類
  1. パーチェスファネル:特に新規顧客をターゲットとした短期的な施策に有効
  2. インフルエンスファネル:購入率が低い場合や、長期的なファン育成が重要なビジネスモデルにおいて有効
  3. ダブルファネル:初めて自社ブランドに接する顧客を長期的にフォローし、ファンとしての定着を目指す場合に有効

パーチェスファネル

マーケティングファネル「パーチェスファネル」

マーケティングファネル「パーチェスファネル」

パーチェスファネル(Purchase Funnel)は、顧客が最終的に製品やサービスを購入するまでのプロセスを段階的に表したもので、最も一般的なファネルである。以下の4つの基本ステージで構成される。

パーチェスファネル
認知製品やサービスの存在を顧客に知ってもらう段階
興味顧客が製品に対して興味を持ち始める段階
検討競合製品と比較しながら購入を検討する段階
購買実際に製品を購入する段階

パーチェスファネルは、顧客の購買行動を管理し、どの段階で顧客が離脱しているのかを把握するために用いられる。顧客の獲得から購入までのシンプルなプロセスを視覚化できるため、特に新規顧客をターゲットとした短期的な施策に有効である。

パーチェスファネルの具体的な施策例

各段階での具体的な施策を例示する。

パーチェスファネルの具体的な施策例
認知段階広告、セミナー、展示会、SEO対策などで製品やブランドの認知度を高める
興味段階ホワイトペーパー、ソリューション提案、メールマガジンなどのコンテンツを通じて、製品の魅力や価値を訴求し、顧客の関心を深める
検討段階比較表やFAQ、事例掲載、無料トライアル提供などで、顧客が競合他社と比較できる情報を提供し、購入意思を高める
購買段階社内検討の支援などで、最終的な購入を後押しする

パーチェスファネルの効果測定の方法とKPI

パーチェスファネルでは、各段階での顧客の行動を追跡し、ファネル全体の効果を測定するために、以下のKPIを設定するとよい。

パーチェスファネルのKPI例
認知段階のKPI広告のインプレッション数、ウェブサイト訪問者数など
興味段階のKPIリード獲得数、見込み客リストの数など
検討段階のKPI導入相談の申込数、無料トライアル申込数数など
購買段階のKPI商談化率、受注率など

これらのKPIを追跡し、各段階のパフォーマンスを評価することで、特定の段階での改善策を導き出せる。

インフルエンスファネル

マーケティングファネル「インフルエンスファネル」

マーケティングファネル「インフルエンスファネル」

インフルエンスファネル(Influence Funnel)は、製品やサービスの認知度やエンゲージメントの向上にフォーカスしたファネルだ。特にインフルエンサーマーケティングやコンテンツマーケティングで活用されており、顧客企業にリーチする機会が多いSNSやブログ、メディアとの連携が重視される。BtoB企業の場合、製品やサービスによっては相性が悪いファネルの1つと言える。

インフルエンスファネル
発信SNSやメディアでのブランド情報の発信により認知度を広げる
紹介インフルエンサーや口コミを通じて製品やサービスの魅力を紹介する
継続フォローアップやエンゲージメント施策により、顧客との長期的な関係を築く

インフルエンスファネルは、顧客に直接的な購入を促すのではなく、認知度や信頼を構築し、購入の前段階でブランドや製品に対する好感度を高めることに適している。製品やサービスの購入率が低い場合や、長期的なファン育成が重要なビジネスモデルにおいて有効である。

インフルエンサーマーケティングとの連携方法

インフルエンスファネルの構築には、インフルエンサーマーケティングが欠かせない。次のような施策での連携が効果的である。

インフルエンサーマーケティングとの連携方法
ブランドアンバサダーの起用インフルエンサーをブランドアンバサダーに任命し、定期的にプロモーションを行う
コラボレーションコンテンツインフルエンサーとコラボした投稿やライブ動画を制作し、ブランドの魅力をエンタメ要素と共に伝える
キャンペーン連携インフルエンサーを活用したフォロワー限定のキャンペーンを実施し、インフルエンサーのフォロワー層をブランドに引き込む

インフルエンスファネルの長期的な効果測定の手法とKPI

インフルエンスファネルの効果を測定するには、長期的な視点での指標が重要である。具体的には以下のようなKPIが参考になる。

インフルエンスファネルの長期的な効果測定の手法とKPI
エンゲージメント率SNSの投稿に対するいいね、シェア、コメント数など
フォロワー増加数インフルエンサーと連携した結果、公式アカウントのフォロワーがどれだけ増加したか
ブランドリフトアンケートや調査を通じて、ブランドの認知度や好感度の変化を追跡
リーチ数投稿の到達数と、ブランドの認知向上にどの程度寄与したかを測定する

インフルエンスファネルでは、短期的な購入数ではなく、長期的なエンゲージメントやブランド認知の拡大を評価することがポイントである。

ダブルファネル

マーケティングファネル「ダブルファネル」

マーケティングファネル「ダブルファネル」

ダブルファネル(Double Funnel)は、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせた、顧客獲得とエンゲージメントの両方を同時に実現するモデルである。

パーチェスファネルが購入行動の促進を重視する一方で、インフルエンスファネルがブランドへの好感度やファン層の育成に注力するため、この二つを統合することで、総合的な顧客体験を構築し、全体的なマーケティング効果を高める構造である。

ダブルファネル
発信(インフルエンスファネル)SNSやインフルエンサーを通じてブランド認知を広める
紹介・興味・関心(インフルエンスファネル/パーチェスファネル)SNSでの興味喚起に加え、ブログやメールなどで製品情報を提供し、見込み顧客を育成する
検討(パーチェスファネル)デモや無料トライアルを提供し、顧客が検討を進めやすくする
購買(パーチェスファネル)割引やキャンペーンを用いて、最終的な購入決定を促進する
継続(インフルエンスファネル)購入後も継続的なフォローを行い、顧客のロイヤリティを高める

ダブルファネルは、初めて自社ブランドに接する顧客を長期的にフォローし、ファンとしての定着を目指す場合に有効である。また、ブランドの認知と購入促進を両立させたいときにも適しており、リピート率やロイヤル顧客の育成を重視する企業にとって有効なアプローチとなる。

相乗効果を生み出すための施策設計

ダブルファネルでは、以下のような施策設計を行うことで相乗効果を生み出すことができる。

相乗効果を生み出すための施策設計
SNSでのインフルエンサー活用と広告配信の統合インフルエンサーの投稿と広告を連動させて、潜在顧客へのリーチを最大化する
コンテンツマーケティングとダイレクトマーケティングの併用ブランドストーリーを語るコンテンツと、製品情報を直接訴求するメールマーケティングを組み合わせて顧客の興味を引き出す
オンラインイベントやウェビナーの活用インフルエンサーやブランドアンバサダーを招いたイベントを実施し、参加者に対して直接的に製品やサービスの魅力を伝える

統合的なKPI設定と測定方法

ダブルファネルにおいては、ブランド認知向上と顧客の購買行動の両方を評価するため、統合的なKPIを設定することが重要である。これにより、パーチェスファネルとインフルエンスファネルの相乗効果を数値的に把握し、改善ポイントを明確にできる。

ブランド認知KPI
【ブランド認知KPI】
リーチ数SNSやインフルエンサーによる発信がどの程度のユーザーに届いたかを測定する
エンゲージメント率SNS投稿へのいいね、シェア、コメント数を追跡し、顧客の関心度を評価する
フォロワー増加数インフルエンサー施策によってブランドの公式アカウントのフォロワー数がどの程度増加したかを測定する
購買KPI
【購買KPI】
リード獲得数ブログやウェビナーを通じてどれだけの見込み顧客を獲得できたかを評価する
コンバージョン率ファネル全体の最終段階である購買に至った割合を測定し、全体の施策効果を判断する
リピート購入率購入後も継続して製品を利用する顧客がどの程度いるかを測定し、リテンション施策の効果を確認する

ダブルファネルの効果を最大化するには、これらの定期的なKPI測定と改善サイクルの実施が不可欠である。ブランド認知と購入行動の両方に関わるデータをモニタリングし、特定の段階で顧客の離脱が多い場合は、SNS施策や購入促進施策を調整し、改善策を講じる。

これにより、ブランド認知と顧客獲得の両方を継続的に強化し、より高いマーケティング成果が期待できる。

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BtoBマーケティングファネルの効果的な活用例

BtoBのマーケティングファネルは、顧客の購買プロセスを把握し、段階ごとに最適なアプローチを取るための強力な仕組みである。ここでは、ファネルを活用して効果を上げていく具体的な例やアプローチを通して、実際のマーケティング施策の進め方をご紹介する。なお、ここではBtoB企業を例にするため、パーチェスファネルをベースに概要を解説する。

段階別の顧客数から課題を明確にする

マーケティングファネルの効果を上げるためには、各段階での顧客数を追跡し、どのフェーズで顧客が離脱しているかを把握することが重要である。

BtoBのファネル分析の基本的な手順

BtoBのファネル分析は、各段階の顧客数と進捗状況を把握することで、マーケティング施策の有効性を評価し、改善点を見つけ出すためのプロセスである。以下の基本手順を踏むことで、段階的に課題を明らかにできる。

ファネル分析の基本的な手順
目標設定ファネルの各段階において、どの程度の顧客が次のステージへ進むべきか、目標値を設定する
データ収集各段階での顧客数やコンバージョン数など、必要なデータを社内から収集する
現状把握各段階での顧客数を確認し、設定した目標値と比較する
課題の特定目標値と実際の数値の差を分析し、顧客が離脱している段階や要因を特定する
改善策の立案課題に基づき、コンバージョン率(次の段階にコンバージョンした割合)を改善するための具体的な施策を策定する

データ収集の具体的な方法

BtoBのファネル分析では、各段階におけるデータの収集と正確な分析が重要である。BtoBの場合、以下のデータ収集・分析方法を用いることで、詳細なファネルの現状を把握することができる(ただし、企業内のITインフラの整備次第であるため、必ず正確な数値が取れるということは保証できない)

データ収集の方法
認知Google AnalyticsなどのWeb解析ツールを用いて、認知が増えているかなどの判断材料をデータ収集できる。たとえば、自社の製品名で検索してサイトに来訪するユーザーが多くなっているかどうかは、認知の1つの判断材料になる。
興味MAやGoogle Analyticsなどのツールをつかって、WEBサイトからの問い合わせ数や資料請求数を分析することで、興味段階のリードがどの程度いるのか?を判断することができる。
検討
購買
SFAやCRMなどを活用することで、製品やサービスの導入検討段階の企業、購入完了した企業の数を把握できる。

段階間のコンバージョン率の評価方法

ファネルの各段階間におけるコンバージョン率の評価は、改善点を発見するために欠かせない。段階ごとのコンバージョン率を測定することで、次のステップに進む顧客割合や、ファネル全体の進捗が把握できる。

段階間のコンバージョン率の評価方法
各段階のコンバージョン率計算コンバージョン率は、「(次の段階に進んだ顧客数 / 現在の段階にいる顧客数)*100」で計算する。
ステージ別の離脱率確認ステージごとの離脱率も確認し、特定の段階で顧客が大きく離脱している場合は、その段階での施策に改善の余地がある

このように、段階ごとのデータを基にコンバージョン率を評価し、どのステージでの施策が弱点となっているかを特定することで、マーケティングファネルを効果的に活用できる。

BtoBマーケティングファネルのまとめ

BtoBマーケティングファネルは、顧客の購買プロセスを段階的に管理し、効率的に顧客獲得と関係構築を図るための重要なモデルである。各段階のコンバージョン率をできる限り正確に把握することで、BtoBマーケティングや営業戦略の効率化を実現する判断材料となる。

しかしながら、BtoB顧客の購買プロセスもオンラインとオフラインで多様化しつつあり、製品やサービスによっては、BtoBマーケティングファネルは有効でないと判断できるケースもあるだろう。御社の製品やサービスはどうだろうか?BtoBマーケティングファネルを活用できるだろうか?本コラムを参考に検討していただけたら幸いだ。

BtoBマーケティングの基礎コラム

ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ALUHA代表取締役。1979年兵庫生まれのBtoBマーケティングコンサルタント。金沢工業大学大学院にて情報工学を専攻し2003年4月にALUHAを創業。2008年からBtoBに特化したマーケティング支援、営業戦略支援を開始。BtoBマーケティングや営業戦略の戦略立案から、計画実行とPDCA、そして人材育成を伴走型で支援。デジタルとリアルを融合させた戦略設計が得意。毎月全国各地の様々な企業でBtoBマーケティングセミナーを実施中。100社以上でのセミナー講演実績を持つ。大手IT企業、製造業(日立Gr、富士フイルムGr、キヤノンGr、積水Grなど)を顧客に持つコンサルタント。→セミナー講演実績→コンサル実績