BtoBマーケティングでは、デジタルやリアルを活用してさまざまな手法・施策が展開される。当然のことながら、それらの施策・手法には「コスト」がかかる。そのため、BtoBマーケティングに対する投資回収率(ROMI)を算出し、しっかり成果が出ているのか?を把握することは非常に重要だ。特に経営層に対してBtoBマーケティングの重要性を説明する際には、説得力のあるKPIの1つとなるだろう。
しかしながら、BtoBマーケティングの投資回収率(ROMI)の計算は非常に難しい。実際に弊社にも以下のようなご相談をいただいている。
そこで、今回のコラムでは、BtoBマーケティングの投資回収率(ROMI)の計算について考察する。
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投資回収率(ROMI)とは?
投資回収率(ROMI:リターンオンマーケティングインベストメント(Return On Marketing Investment))とは、マーケティング活動に投下したコストに対して、どれだけ回収できたか?を示すKPIだ。
投資回収率(ROMI)の計算式
投資回収率(ROMI)の単純な計算式は以下のようになる。
例えば、100万円の製品を60万円のマーケティング投資で1件売ることができたとしたら、投資回収率(ROMI)は以下のようになる。
この場合は、損していることになる。
BtoBマーケティングの投資回収率計算が困難な理由
BtoBマーケティングの場合、投資回収率(ROMI)の計算は非常に困難である。その最大の理由は、「マーケティングによって得られた売上を確定しにくいこと」だ。
BtoB企業の場合、マーケティング部門と営業部門が分かれており、マーケティング部門の役割が定められている。その多くは、リード獲得やリード育成だ。そのため、マーケティング部門だけで売上を達成することができない。その結果、マーケティングによって得られた売上を算出できないのである。
さらに、代理店(パートナー)などが介在するような場合だと、そもそも売れたのかどうか?もわからないといったこともあるだろう。こうなると正確なマーケティングによって得られた売上を計測することはできない。
しかしながら、BtoBマーケターは知恵と工夫でなんとか、このBtoBマーケティングの投資回収率を計算していく必要がある。
BtoBマーケティングの投資回収率計算の例
正確な計算はなかなか難しいが、BtoBマーケティングの投資回収率計算のやり方や例をご紹介する。計算方法のヒントにしていただけたら幸いだ。なお、具体的に計算するために、「500万円のIT製品」を例に計算例をご紹介する。
投資回収率計算の例
それでは早速計算例をご紹介する。計算は年1回、1月1日から12月31日の確定数値をベースに計算するものとする。
まず、この例では、マーケティング投資額は、マーケティング部門が持っている予算をそのまま投資額とする。なんのマーケティング施策にいくらつかったか?を細かく計算すると面倒であるため、予算=投資額と決めてしまう。(面倒でなければ、1月1日から12月31日までにかかったコストを合計していただいてOKだ。)
そして、マーケティング部門の役割は、「製品デモを獲得し案件化のきっかけをつくること」と定義する。つまり、マーケティング部門のKGIは製品デモの獲得件数となる。そして、その後、営業部門に送客され、営業部門が製品デモや見積もり、製品提案を行い、受注を獲得する。パートナーなどは介在せず、営業部門の受注件数もSFAなどで確認できるとする。
この前提をもとに、計算例をご紹介しよう。
まずマーケティング部門の年間予算は800万円としている。そして年間を通して何らかのマーケティング施策を展開し、30件の製品デモ依頼を見込み客から獲得した。そして営業部門に送客され、年末(12月31日の段階)に5件の受注が確定しているという状況だ。5件の受注確定であるため、製品単価500万円をかけると売上は2500万円となる。
ここでポイントになるのは、売り上げ貢献度だ。ここでは売り上げ獲得に対して、マーケティング部門の貢献は50%、営業部門は50%と決めている。売り上げ創出のための半分の活動をマーケティング部門が担ったと考えて50%とした。
こうすると、投資回収率(ROMI)は以下の計算となる。
数字だけ見れば、投資効果はないと判断されてしまうが、ここで重要なのは「売り上げ貢献度」と「来年への繰越」だ。
まず、売り上げ貢献度を50%としたが、製品デモまでマーケティング施策で育成しているため、売り上げ貢献度は70%くらいあるだろうと考え、数値をいじると以下のように変わる。
この場合、マーケティング部門への投資は成功しているということになる。
マーケティング部門が育成したリードの質が高い場合、こういった形で売上貢献度を調整するのは考え方としてありであろう。リードの質が高いと、営業の工数が少なくなるためだ。
そして、もう1つは「来年への繰越」だ。5件の受注確定となっているが、30件の製品デモを獲得しているため、残り25件の状態を考慮しなければならない。もしかしたらその中に、「まだ製品デモをおこなったばかりで受注確認はこれから」といった見込み客が含まれているかもしれない。そう考えると、投資回収率(ROMI)が低いからといって「ダメ」と判断はできない。
ただ、「毎年1月1日から12月31日までの確定情報のみを使って計算する」というルールを厳守し、毎年同じ方法で計算する場合は、話が異なる。なぜなら、毎年、前年からの繰越が発生するため、条件は同じになるためだ。そういった場合は、「来年への繰越」は考慮しなくてもよいだろう。
売り上げ貢献度について
売り上げ貢献度は、BtoBマーケティングの投資回収率(ROMI)を上下する重要な指標だ。このため売り上げ貢献度をどれだけ高く設定できるか?がポイントになるだろう。
方法としては、「製品デモまでではなく見積もり依頼まで頑張る」「差別化戦略をしっかり定義し、自社の強みと相性の良いリードを獲得・育成し受注率を高める(営業工数を減らす)」といった方法が考えられる。
「製品デモまでではなく見積もり依頼まで頑張る」を実現できれば、製品デモはマーケティング部門が行うこととなるため、売り上げ貢献度を高く設定しても反論は出ないだろう。
そして、やはり、BtoBマーケターとしては、「差別化戦略をしっかり定義し、自社の強みと相性の良いリードを獲得・育成し受注率を高める(営業工数を減らす)」には取り組みたいところだ。
差別化戦略(自社の強みの定義、価値の定義)をしっかり行い、それをマーケティングコミュニケーションの軸として戦略に落とし込むことで、自社製品と相性の良いリードを獲得・育成できる。その結果、製品デモから受注までがスムーズに進む可能性が高くなり、結果的に、売り上げ貢献度を高くできる。
営業部門の担当者に「マーケ部門が作ってくれた製品デモは商談・受注になりやすい」といった発言が得られれば、まさに売り上げ貢献度を高く設定しても良いという根拠になるだろう。
まとめ
BtoBマーケティングの投資回収率(ROMI)について解説した。今回のコラムでは、売り上げ貢献度の重要性をご紹介しているが、御社ではどうだろうか?他にこういった指標がないか、一度詳しく検討してみてはどうだろうか?また売り上げ貢献度を高くするための工夫なども併せて検討していただけたらと思う。
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