差別化しても競合に顧客を取られるときの差別化手順

「取られてしまう顧客」と「取られない顧客」の違い
Last Updated on 2024年4月24日 by 荻野永策

今回のコラムは、差別化しても競合に顧客を取られる理由について、「カット野菜」を例にご説明する。差別化しても競合に顧客を取られるのは、差別化すればするほど「取られてしまう顧客」と「取られない顧客」に分かれてしまうからである。なぜ、差別化しているのに「顧客を競合に取られる」のだろうか?その理由をご紹介した上で、効果的な差別化の手順についてご説明する。BtoBマーケティング戦略営業戦略の立案のヒントにしていただけたら幸いだ。

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  4. デジタルも含めたBtoBの営業戦術一覧と戦術別の主なKPI例
  5. アクションプランの策定方法(エクセルテンプレート付き)
  6. PDCAの回し方(KPIツリーのテンプレート付き)
  7. デジタルを活用した戦略立案の具体例
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差別化しても競合に顧客を取られる理由

差別化戦略の定義をネットで調べると、下記のように定義されている。

差別化戦略(さべつかせんりゃく)とは、マイケル・ポーターによって提唱された競争戦略のうちの一つで、特定商品(製品やサービスを含む)における市場を同質とみなし、競合他社の商品と比較して機能やサービス面において差異を設けることで、競争上の優位性を得ようとすることである。

参考サイト「Wikipedia 差別化戦略

ご承知の通り、差別化戦略とは、競合に勝つために競合にはない特徴をつけていくことで、競争を優位にしていくことである。この定義をそのまま鵜呑みにすれば、「競合に勝つために差別化をする」ことになるが、現実問題、差別化をしても、競合に顧客を取られるということはなくならない。

なぜ差別化しているのに顧客を取られるのか?それは、決して差別化が失敗しているからではない。わかりやすい例を示しながらその理由をご紹介しよう。

カット野菜の差別化

あなたは「カット野菜」をご存知だろうか?あらかじめ野菜がカットされていて、すぐに調理に使えるという便利な商品である。このカット野菜は、カットされていることが強みの1つであり、差別化の要素にもなっている。カットされていない野菜と比較すると「便利さ」で差別化できているからだ。

しかし、ネットで調査すると下記のような声がある。

カット野菜を買ったり、鍋物メニューにするのは手抜きですか?私は28歳、4歳と2歳の娘を持つ専業主婦です。育児やいろいろな疲れで体がしんどく、なかなか手のこんだ料理ができません。それでも、子供たちに野菜を食べさせたいので、カット野菜を使ったり、献立を鍋物にするのは手抜きですか?

Yahoo知恵袋より(著者により一部抜粋)

ここで注目すべきは「手抜き」である。カットしてしまったがために(強みを作ってしまったがために)、「手抜き」という弱みが生まれてしまっている。つまり、「カット野菜」=「便利だね」のように価値を感じる顧客と、「カット野菜」=「手抜き」のように価値を感じない顧客に区分されるのである。

この価値観の違いが、強みが弱みになり、結果的に顧客を取られてしまうことになる。カット野菜の場合は、「手抜きだからカット野菜は買わない」となって、顧客を「普通の野菜」に取られることになる。

これが差別化しているにもかかわらず、顧客を取られる理由である。そのため、差別化をすると、結果的に、「取られてしまう顧客」と「取られない顧客」に分かれることになる。

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取られてしまう顧客と取られない顧客

「取られてしまう顧客」は「差別化」に対して価値を感じない顧客のことで、このような顧客に売り込もうとしても、価値観が違うため、売ることは非常に難しい。

カット野菜の例で言えば、「手抜き」と考えている顧客に「手抜きではない」と説明し納得してもらってから購入につなげていく必要がある。この説明・説得に失敗した上で無理やり売り込むと「押し売り」になり、クレームにしかならない。

「取られない顧客」は、「差別化に対して価値を感じてくれる大事な顧客」となる。別な言い方をすれば、「取られたくない、しっかり守りたい顧客」とも言える。自社の差別化に価値を感じてくれている顧客なので、大事にしなければならないし、大事にしている以上、商品を購入し続けてくれる、優良顧客になる可能性がある。

しかし、ここで重要なのが、競合の定義である。カット野菜の例で言えば、「カットされていない野菜」を競合とした時、「カット」そのものが差別化になるが、競合が「他社のカット野菜」であるとしたら、「カットしたこと」は差別化にならない。これをコモディティー化という。

コモディティ化(コモディティ – か、英: commoditization, commodification)は、経済やビジネスにまつわる用語。所定の製品カテゴリー中の製品において、製造会社や販売会社ごとの機能・品質などの差・違いが不明瞭化したり、あるいは均質化することを指す。

参考サイト「Wikipedia コモディティー化

こうなると、「カットしたこと」は差別化ではなく、当たり前のことになり、結果、「差別化できていない」ということになる。そうなると、さらなる差別化が必要でより差別化を強化していく商品開発が必要になる。
これができていないと、「取られない顧客(取られたくない、しっかり守りたい顧客)」も、「取られてしまう」ことになる。では、「取られない顧客」をしっかり守るには、どのような差別化の手順を行えば良いのか、その概要をご紹介しよう。

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取られない顧客をしっかり守る!差別化手順

では、コモディティー化した時、「取られない顧客」をしっかり守るための差別化手順をご紹介しよう。

差別化手順1「顧客の課題を知る」

手順1は「顧客の課題・悩みを知ること」から始まる。カット野菜なら、カットされている野菜を活用する時、どのような課題があるのかをまずは知ることである。

「量が多い・少ない」、「味が染み込まない」、「清潔感がない」、「野菜の種類多い・少ない」、「新鮮さがない」など、お客様がどのような課題を持っているのかを知ることが重要である。これはたくさんリストアップし、あらゆる可能性を考えていく必要がある。当然、課題の調査、発見というマーケティングリサーチも重要な業務になる。

差別化手順2「ターゲットを決める」

手順2は「ターゲットを決める」である。なぜターゲットを決めるのかというと、課題がいくつかわかったら、それら全部を1つの商品で全て解決することは不可能だからだ。

わかりやすい例で言えば、高級野菜を使ったカット野菜を安く売ることはできないため、「値段が高い」という課題と「野菜の新鮮さや品質が低い」というような課題を、同時に解決することはできないのである。

そのため、ターゲットを決めて、ある特定の課題に対して「解決策を考える」ことが現実的なのである。例えば、「一人暮らしの独身社会人男性で、残業も多く、自宅で調理する時間がない」というような人をターゲットにするという具合だ。

差別化手順3「解決策を考える」

手順3は「解決策を考える」である。ターゲットを決めたら、そのターゲットの課題の解決策を考える。例えば、上述のターゲットならば、「たくさんの野菜がとれて、かつ、炒めるだけですぐに食べられる味付きカット野菜」というような解決策だ。

ただし、重要なのは、「差別化戦略」を考えることなので、解決策は自社の設備やノウハウなどを活用した「独自性のある解決策」でなければならない。競合が簡単に真似できるような解決策では差別化にならないのだ。

ここまで考えることができたら、「取られてしまう顧客」と「取られない顧客」を明確にする。

上記の例で言えば、「一人暮らしの独身社会人男性で、残業も多く、自宅で調理する時間がない」というようなターゲットが「取られない顧客」でしっかり守っていかなければならない。その具体策が「たくさんの野菜がとれて、かつ、炒めるだけですぐに食べられる味付きカット野菜」というような解決策だ。これにより、「コモディティー化」も考慮した、競合他社のカット野菜にはない特徴がつけられる。

逆に、「薄い味付けの新鮮なカット野菜を使ったダイエットがしたい」というような女性には、「たくさんの野菜がとれて、かつ、炒めるだけですぐに食べられる味付きカット野菜」が売れない。つまり、「取られてしまう顧客」になるわけだ。

このように、差別化をすればするほど、「取られてしまう顧客」と「取られない顧客」は明確になり、強みと弱みがはっきりしてくる。それと連動させる形で、ターゲットを決めることが重要である。「取られてしまう顧客」に一生懸命営業しても、ペットを飼っていない人にペットフードを売り込むようなもので、営業効率は悪くなるだけだ。

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まとめ

差別化しても競合に顧客を取られる理由についてご紹介した。その理由は、差別化すればするほど、「取られてしまう顧客」と「取られない顧客」に分かれるからである。

そして、「取られない顧客」をしっかり守るには、「コモディティー化」を防ぎ、差別化の手順を常に頭において、差別化を強化していかなければならない。その手順は下記の通りである。

(1)差別化手順1「顧客の課題を知る」
(2)差別化手順2「ターゲットを決める」
(3)差別化手順3「解決策を考える」

もし、あなたが「差別化しているのに競合を取られる」と感じているならば、「コモディティー化」しているか、「取られてしまう顧客」に営業しているかのどちらかである。すこし、営業する相手、差別化の手順を見直してみてはいかがだろうか?

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