BtoB営業戦略とは?営業の定義から見る営業戦略「2つの本質」

BtoBの営業とは何か?営業戦略の本質とは何か?
Last Updated on 2024年9月26日 by 荻野永策

営業戦略とは?

営業戦略とは、自社の営業リソース(人や時間など)を効率よく活用し、効果的に売上向上を実現する「方策」のことだ。

一般的な営業戦略といえば、「顧客に自社製品を売るための戦略」として定義されているが、実は、営業戦略はこれだけではない。営業の目的に応じた営業戦略が存在するため、「顧客に自社製品を売るための戦略」は営業戦略の1つでしかないのである。

そこで今回のコラムでは、BtoBの営業について定義し、そこから営業戦略とは何なのか?、そしてその本質は何なのか?をご紹介しよう。

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営業とは?

営業とは何か?と言われると、「物を売る仕事」や「物を売る行為」と言った定義が一般的であろう。これは間違っていないが、「営業」には、「売り手」と「買い手」の2人の登場人物が存在する。上述した「物を売る仕事」や「物を売る行為」というのは、売り手目線の営業の定義であり、買い手目線の営業の定義が抜け落ちている。そのため、営業を定義するときは、「売り手目線の営業の定義」と「買い手目線の営業の定義」が必要になる。

売り手目線の営業とは?

売り手目線の営業の定義は、自社の製品・サービスを「買い手」に提案し購入してもらい売上につなげることだ。売っているものは「自社製品・サービス」で欲しいのは「お金」である。

買い手目線の営業とは?

買い手目線の営業の定義は、買い手が解決しなければならない自社・自部門の課題の解決方法を適切な値段で売ってくれることだ。BtoBの場合、買い手は、製品・サービスを購入後、その製品やサービスを自社・自部門で活用し、自社・自部門の課題を解決するために活用する。そのため、買い手目線の営業の定義は「自社・自部門の課題解決方法を売ってくれること」となる。

売り手の場合、売っているものは「自社製品・サービス」で、欲しいのは「お金」であるが、買い手の場合は、買っているものは「課題解決の方法」で、欲しいのは「課題解決により得られる価値」である。

このように、売り手の目線、買い手の目線で営業を再定義すると、営業戦略とはそもそも何なのか?とその本質が見えてくる。

営業の定義から考える営業戦略とは何か?その本質は何か?

買い手目線の営業の定義から考える営業戦略

買い手目線の営業の定義は、「自社・自部門の課題解決方法を売ってくれること」で、買っているものは「課題解決の方法」で、欲しいのは「課題解決により得られる価値」となる。

営業をこのように定義すると、営業戦略は、顧客にとっての価値を提案することを前提とした営業戦略を立案しなければならない。製品カタログ、WEBサイト、営業トーク、APOスクリプトに、「顧客にとっての価値」が含まれているだろうか?そのような営業シナリオになっているだろうか?

自社製品やサービスの特徴、スペックを紹介するだけでは、「価値」が伝わるかどうかわからない。買い手も価値があるのかどうか判断ができない。そうなると、結果的に値段が安い、納期が早いといったことしか提案できず、価格競争、納期競争に陥ることになる。

つまり、「買い手目線の営業の定義から考える営業戦略」では、製品・サービスをどう売るか?よりも、「どんな価値を買ってもらうか?」に焦点を当て、そこを具体化することが営業戦略の本質なのである。どう売るか?の方策ではなく、「どんな価値を売るか?」を考えることこそが、「買い手目線の営業の定義から考える営業戦略」といえる。

このように営業戦略を定義すれば、営業戦略のKPIは「買い手に提案できる価値の数」ということになるだろう。価値の数が多ければ多いほど、売れる可能性が高くなり、売上向上につながる。

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売り手目線の営業の定義から考える営業戦略

売り手目線の営業の定義は、自社の製品・サービスを「買い手」に提案し購入してもらい売上につなげることで、売っているものは「自社製品・サービス」で欲しいのは「お金」である。一般的な営業戦略の定義がこの売り手目線の定義といえ、自社のリソースを効率よく活用し売上を最大化する方策を考えることが重要になる。

では、どのようにして「売上を最大化する方策」を考えればよいだろうか?売上を上げるには、顧客数を増やす、顧客単価を高めるといった様々な方法がある。そのため、営業戦略を下記の4つに分解して戦略立案するとよいだろう。

  1. 新規顧客を獲得するための営業戦略(KPI:新規顧客数)
  2. 既存顧客の購入回数を増やすための営業戦略(KPI:1顧客あたりの購入回数)
  3. 既存顧客の購入点数を増やすための営業戦略(KPI:1取引の購入点数)
  4. 休眠顧客からの再購入を実現するための営業戦略(KPI:顧客流出率)

(1)新規顧客を獲得するための営業戦略(KPI:新規顧客数)

「売上を最大化する」には、顧客数を増やさなければならない。そのため、新規顧客を獲得するための営業戦略が必要となる。この営業戦略のKPIは新規顧客数がKPIになる。

(2)既存顧客の購入回数を増やすための営業戦略(KPI:1顧客あたりの購入回数)

「売上を最大化する」には、顧客単価を高めなければならない。そのため、既存顧客の購入回数を増やす営業戦略が必要になる。購入回数が増えることで、顧客単価が増加し売上が向上する。KPIは1顧客あたりの購入回数などがKPIになる。クロスセル・アップセルといった方法で購入回数の増加が実現できる。

(3)既存顧客の購入点数を増やすための営業戦略(KPI:1取引の購入点数)

「売上を最大化する」には、顧客単価を高めなければならない。そのため、1回の取引における購入点数を増やすことで、顧客単価が増加し売上が向上する。KPIは1取引の購入点数がKPIになる。

「パソコンを買うなら、プリンターもいかがですか?」という具合に、購入点数が増えるような営業戦略を考えるのだ。カタログの作り方、クロージングの際の営業トークなど、購入点数が増えるように具体化していかなければならない。

(4)休眠顧客からの再購入を実現するための営業戦略(KPI:顧客流出率)

「売上を最大化する」には、顧客数を増やさなければならない。そのため、休眠顧客からの再購入を実現する営業戦略が必要になる。顧客流出が最小化することで、顧客数が維持できるようになる。その結果、売上が安定し向上するのだ。KPIは顧客流出率などがKPIになる。

以上、「売り手目線の営業の定義から考える営業戦略」では、売上向上のために、営業戦略を4つに分解して立案することが重要であることをご紹介した。

そして、「売り手目線の営業の定義から考える営業戦略」の本質は、この4つの営業戦略のどの営業戦略に、リソースを集中投下するかの決断である。

  1. 新規顧客を獲得するための営業戦略(KPI:新規顧客数)
  2. 既存顧客の購入回数を増やすための営業戦略(KPI:1顧客あたりの購入回数)
  3. 既存顧客の購入点数を増やすための営業戦略(KPI:1取引の購入点数)
  4. 休眠顧客からの再購入を実現するための営業戦略(KPI:顧客流出率)

上記の4つの営業戦略は同時に実行するには、それなりのリソースが必要だ。また、(2)と(3)の営業戦略はシーソーゲームになることが多い(両立が難しい)。購入回数を増やすということは、購入点数を減らすことで回数が増えることにも繋がるからだ。そのため、御社が売上を最大化するために、4つの営業戦略のうち、どこに集中すべきかを決断することが営業戦略の本質と言える。

営業戦略2つの本質

買い手目線・売り手目線の営業戦略を考えてみると、営業戦略の本質は2つに絞られる。

1つは、顧客が買っている価値は何か?を理解・明確化することだ。これがないと、効果的な営業戦略は立案できないだろう。特にBtoBでは課題解決の方法を顧客が購入する以上、この本質を見誤ると、価格勝負・納期勝負に陥り、ジリ貧になる可能性がある。

2つ目は、4つの営業戦略のうち、どこにリソースを集中して売上を最大化するか?を決めることだ。売上を最大化することが売り手目線の営業戦略の目的であるため、4つの営業戦略のどこに自社のリソースを集中し効率よく活用すれば最も効果が出るのか?を見極めなければならない。たとえば、とりあえず新規顧客獲得だ!といって新規開拓にリソースを集中させても、顧客流出率が高いようであれば、売上は最大化しない。

新規獲得を狙うか、購入回数を増やすか、購入点数を増やすか、流出を防ぐか、もっとも営業上、弱いと思われる部分を強くすることが、売上最大化の最短経路と言えるだろう。

この2つの本質を見極めた上で、御社の効果的な営業戦略を立案していただければと思う。

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LTVの高いリードをどのようにターゲティングするのか、そのBtoBターゲティングプロセスについてご紹介している資料です。効率的なターゲティングにより営業戦略を大きく改善できます。

BtoB営業戦略の基礎コラム


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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ALUHA代表取締役。1979年兵庫生まれのBtoBマーケティングコンサルタント。金沢工業大学大学院にて情報工学を専攻し2003年4月にALUHAを創業。2008年からBtoBに特化したマーケティング支援、営業戦略支援を開始。BtoBマーケティングや営業戦略の戦略立案から、計画実行とPDCA、そして人材育成を伴走型で支援。デジタルとリアルを融合させた戦略設計が得意。毎月全国各地の様々な企業でBtoBマーケティングセミナーを実施中。100社以上でのセミナー講演実績を持つ。大手IT企業、製造業(日立Gr、富士フイルムGr、キヤノンGr、積水Grなど)を顧客に持つコンサルタント。→セミナー講演実績→コンサル実績