【調査レポート】BtoB企業のWEBサイト活用やMA活用の意識調査「コロナの影響について」

BtoB企業のWEBやMA活用の意識はどう変わったか?
Last Updated on 2024年10月27日 by 荻野永策

BtoB企業のマーケティング戦略営業戦略においては、人手不足や営業の高齢化、コロナ、営業DX推進の影響で、デジタル活用の重要性が向上している。しかし、BtoB業界では、事業特性(顧客や商材の特性)により、マーケティングや営業のデジタルシフトは非常に難しい側面もある。

そこで、弊社では、「BtoB企業のマーケティングや営業活動におけるデジタル活用の意識調査」を行った。コロナがどのような影響を与えているのかなども交えながら、調査結果を詳しくご紹介する。

本調査結果を引用・転載する場合の注意点
  1. 弊社の社名「株式会社ALUHA」と弊社のサービス名「BtoBマーケティングコンサルティング「THREE-VIEW」」の記載
  2. 弊社URL(https://btobmarketing.aluha.net/)へのリンクの記載

引用・転載に関する注意事項や事前確認については、こちらのページもご参照ください。

調査概要

調査概要
調査期間2019年6月17日から2024年7月31まで
調査方法弊社WEBサイトによるアンケート調査。社名、名前、連絡先などの記入を必須としたため、BtoB企業以外(個人や個人事業主も含む)の回答は全て除外済み。
回答人数2510名
主な回答者BtoB企業の営業やマーケティングの担当者、責任者(主に、IT企業、製造業が中心)
調査実施株式会社ALUHA(ALUHAのBtoBマーケティングコンサルティングサービスの概要ページ

なお、コロナの影響を分析するため、本調査結果では、コロナ前、コロナ禍、コロナ後の3つの期間に分解して意識の変化をご報告する。

コロナ前2019年6月17日から2020年2月1日まで。2019年6月17日から弊社では独自に調査を開始しており、コロナの国内初感染者は「 2020年1月16日」であるため、コロナ第1波を「2020年2月」とした。
コロナ禍2020年2月1日から2023年5月8日まで。2023年5月8日に「5類感染症」へと移行されたため、この期間をコロナ禍と定義した。
コロナ後2023年5月8日から2024年7月31日まで。「5類感染症」に移行されてから、調査結果を分析した2024年7月31日までをコロナ後とした。

調査結果サマリー

本調査の結果については、主に下記のような結果となっている。

調査結果サマリー
  1. コロナ前・コロナ禍・コロナ後でデジタル活用の意識は徐々に向上
  2. WEBはコロナ禍以降、継続的に活用されている
  3. MAはコロナ前・コロナ禍・コロナ後で導入が増加傾向にある
  4. デジタル活用はしないというBtoB企業も増加傾向にある(取り組んだが効果がなかったなどの理由が想定できる)
  5. WEB活用ではコンテンツ制作に課題を持つBtoB企業が最も多い
  6. MA活用ではPDCAの回し方に課題を持つBtoB企業が最も多い

BtoB企業のマーケティングや営業戦略におけるデジタル活用の意識変化について

それでは、コロナ前、コロナ禍、コロナ後において、BtoB企業のマーケティングや営業活動におけるデジタル活用の意識変化の調査結果をご紹介する。

最初の調査は、BtoBマーケティングや営業戦略におけるデジタル活用についての意識調査だ。「わからない」という回答を除外して集計している。

まず、コロナ前のデータを集計すると以下のようになった。

コロナ前:BtoB企業の営業・マーケティング業務におけるデジタル活用の意識【回答数190】

コロナ前:BtoB企業の営業・マーケティング業務におけるデジタル活用の意識【回答数190】

コロナ前は、デジタル活用の検討段階、もしくは興味がある程度といったBtoB企業が多い。この回答結果がコロナ禍に入ると以下のように変化した。

コロナ禍:BtoB企業の営業・マーケティング業務におけるデジタル活用の意識【回答数1106】

コロナ禍:BtoB企業の営業・マーケティング業務におけるデジタル活用の意識【回答数1106】

コロナ禍に入ると、WEBサイトでのリードジェネレーションや、メール(MA)でのリードナーチャリングの取り組みが大きく数値を伸ばしている。どちらも2倍程度の伸びが見られる。

そしてコロナ後になると以下のようにさらに変化した。

コロナ後:BtoB企業の営業・マーケティング業務におけるデジタル活用の意識【回答数409】

コロナ後:BtoB企業の営業・マーケティング業務におけるデジタル活用の意識【回答数409】

コロナ後になると、WEBサイトでのリードジェネレーションや、メール(MA)でのリードナーチャリングの取り組みは継続的に伸びている。特に「メール(MAなど)でのリードナーチャリング」は、コロナ前に比べて4倍近い伸びがある。MAの導入が年々増加しているという傾向がみられる。

しかしながら、「デジタル活用しない」といったBtoB企業も増加している。リアル回帰(検討したもののやめたなど)している可能性があると考えられる。

弊社の調査結果から、コロナによってデジタル活用に取り組んでいるBtoB企業は明らかに増加していることがわかる。特にメール(MA)活用の増加が大きい。リード獲得から受注まで時間がかかるというBtoB業界の特性がメール(MA)活用の数値向上に影響している可能性があるだろう。

また「デジタル活用するつもりはない」の数値はコロナに関係なく伸び続けている。BtoBの商材はデジタル活用との相性もあるためだ。今後、購入側の購買プロセスや検討プロセスに「デジタル化」の波が浸透していくと、「デジタル活用するつもりはない」の数値がどう変化していくか、非常に楽しみである。

BtoB企業のWEBを使ったリードジェネレーションの課題調査について

では、コロナ禍以降、WEBを使ってリードジェネレーションを推進している企業はどのような課題があるだろうか?

コロナ禍・コロナ後:BtoB企業のWEB活用の課題【回答数331】

コロナ禍・コロナ後:BtoB企業のWEB活用の課題【回答数331】

圧倒的に多いのは、WEBのコンテンツ作りだ。これらの課題に対しては下記のようなアンケート回答があった。

コンテンツマーケティングやSEO対策を内製で行っており、記事の質や量は少しずつ上がって来ている。そこからリードを発生させたいが、ホワイトペーパー製作の経験があるメンバーが限られている(IT企業U社)
確度の高いリードを獲得するための具体的な改善プロセスはどうすればいいか?(物流L社)
複数事業・製品を展開するBtoB企業の「包括的なSEOメディア」構築・運用方法がわからない(IT企業F社)
ホワイトペーパーの作成を考えているが顧客に読んでもらえるような作成方法をしりたい(IT企業M社)
ホワイトペーパーで獲得するリードの質と量のバランス(IT企業U社)

次に多いのがPDCAだ。PDCAの回し方についても下記のようなアンケート回答があった。

やりっぱなしになってしまっており、PDCAをまわせていない(IT企業M社)
KPI可視化によるWEBのPDCAの回し方の他社事例(製造業P社)
WEBサイトの改善PDCAを回していくにあたり、『見るべき指標』と『GA4を使用した指標の具体的な見方』(人材業P社)
人材が少ない中でPDCAの回し方がわからない。(サービス業S社)

そして、大手企業に多い傾向のある課題は「WEBで獲得したリードの質が低い(営業部門がフォローしない)」という課題だ。デジタルで獲得した新規リードを営業部門に送客するもフォローしないやフォロー後の結果がわからないといった課題が発生している。

イベント参加・資料ダウンロード後のフォローを営業に依頼するが、なかなか対応してもらえない(IT企業A社)
ホットリードを抽出しても営業部門のフォロー率や商談化率が悪い(IT企業N社)
営業部門のフォロー率や商談化率を高める方法(製造業S社)
保留/検討となった場合のフォローが上手くできていない。(IT企業M社)

BtoB企業のメール(MA)を使ったリードナーチャリングの課題調査について

最後に、コロナ禍以降、メール(MA)を使ってリードナーチャリングを推進している企業はどのような課題があるだろうか?

コロナ禍・コロナ後:BtoB企業のMA活用(メールマーケティング)の課題【回答数218】

コロナ禍・コロナ後:BtoB企業のMA活用(メールマーケティング)の課題【回答数218】

最も多い課題は、リードナーチャリングのPDCAだ。これらの課題に対しては下記のようなアンケート回答があった。

リード育成計画の立て方とPDCAの回し方(IT企業I社)
商談推移率を高めるリード育成計画のの立て方とPDCA(製造業S社)
リード育成シナリオのPDCAの回し方、リード育成シナリオを自動化するときのコツ(IT企業Y社)

メルマガやMAのシナリオメールのPDCAの回し方に対して課題を抱えている企業が多いようである。次は「効果的なメルマガ」だ。これらの課題に対しては下記のようなアンケート回答があった。

複数製品を1つのメールで配信するときのメルマガの考え方(IT企業A社)
今まで「育成」計画は立てれてなかった。施策が単発的になっていたので、お客さんの反応の傾向がつかめてなかった。(IT企業I様)
メルマガのライティングスキルを高める方法 ・どうすれば効果のあるメルマガをライティングできるのか、その設計・制作プロセス(サービス業J社)
①メルマガ配信の意味
②メールマガジン配信の頻度
③メールマガジンの1回のコンテンツ数と量
④メールマガジンの前文と後記の必要性
⑤メールマガジンの分析方法
⑥メールマガジンの一般的配信者
(食品製造:T社)

メルマガは配信計画の立て方やライティングの仕方、効果のあるメルマガの設計の仕方などに課題をかかえている企業が多い。

調査結果まとめ

以上が2019年6月からの調査結果の概要だ。コロナなどの影響によりBtoB企業におけるデジタル活用の意識変化は見られる。WEB活用については、コロナ禍から活用する企業が増え、コロナ後も安定して活用されている。メール(MA)については、導入が増加傾向になり、BtoB企業での導入は今後も増えていくのではないだろうか。

しかしながら、「デジタル活用はしない」と考えているBtoB企業も増加している。「デジタル活用との相性が悪い」ことや「コロナ禍でデジタル活用してみたが効果が少なかった」などのような理由で、リアル継続、リアル回帰している可能性があると考えられる。

BtoBマーケティングの基礎コラム


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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ALUHA代表取締役。1979年兵庫生まれのBtoBマーケティングコンサルタント。金沢工業大学大学院にて情報工学を専攻し2003年4月にALUHAを創業。2008年からBtoBに特化したマーケティング支援、営業戦略支援を開始。BtoBマーケティングや営業戦略の戦略立案から、計画実行とPDCA、そして人材育成を伴走型で支援。デジタルとリアルを融合させた戦略設計が得意。毎月全国各地の様々な企業でBtoBマーケティングセミナーを実施中。100社以上でのセミナー講演実績を持つ。大手IT企業、製造業(日立Gr、富士フイルムGr、キヤノンGr、積水Grなど)を顧客に持つコンサルタント。→セミナー講演実績→コンサル実績