コンテンツを活用したリードナーチャリングとは?その6つの手順とPDCAの回し方

見込み客との信頼関係を深めるリードナーチャリング手法
Last Updated on 2024年9月7日 by 荻野永策

リードナーチャリングとは?

BtoBマーケティング営業戦略では、「新規の見込み開拓」と並んで大きな営業課題となるのが、「リードナーチャリング(見込み客の育成)」である。

リードナーチャリングとは、「見込み客を育成するプロセスや仕組み」のことで、長期的な育成に重点を置いている。そのため、顧客との接点を長期的に作り出し、その期間中に信頼関係を構築し、顧客にあったソリューションを提案して、購入へと誘導していくことが重要となる。

しかし、このようなリードナーチャリングを効率良く効果的に実現することは非常に難しい。特に、「営業任せ」というような属人的なリードナーチャリングとなると、なかなかうまくいかない。

そこで、今回は「コンテンツを活用したリードナーチャリング」に焦点を当て、効率的かつ効果的なリードナーチャリングの方法とその仕組みの作り方についてご紹介しよう。

リードナーチャリングが必要な3つの理由とは?

リードナーチャリングは、長期的な関係づくりであるため、なかなか売れないというジレンマがある。しかし、それでもBtoBの営業戦略においては重要視されている。その理由は主に3つある。

リードナーチャリングが必要な理由1「すぐに買わないから」

そもそも、商取引きにおいては、「そもそも買うのか」「買うならいつか」「いくらまで出すか」「どこから買うか」の決定権や選択権は顧客にある。そのため、「すぐに売れる」ということはそうそうない。特にBtoBの場合は、高額な商材が多いため、それが顕著である。

社内調整、製品比較など、購入を決めるために多数の人間が関わるため、購入までには時間がかかるのである。その結果、長期的なフォローが重要となり、リードナーチャリングが必要となるのだ。

リードナーチャリングが必要な理由2「商談の状況が変わるから」

次に、BtoBでは、商談の状況がコロコロ変わる。例えば、「来年早々に買う予定なんだけど、見積もり・提案書ちょうだい」といわれ、着々と準備を進めていたら、「来年早々ではなく、事情が変わって、ちょっと延期になった」というような具合だ。

あなたにも経験があるだろう。これらは、顧客側の事情によるものが多いため、打ち手がなくなる。その結果、時間が経過してしまい、結果、長期的なフォローが必要になる。

リードナーチャリングが必要な理由3「休眠、失注による放置顧客が発生するから」

最後は、「放置顧客の発生」である。BtoBにおいては、すべての見込み客が必ず「商談」できるというわけではない。たとえば、「展示会で名刺交換した顧客」がそうだ。全員と商談できるだろうか?おそらく、ほとんどが商談すらできないというような状況になる。

このように、名刺交換したとしても商談すらできないというケースが多い。そうなると、営業担当者としては、フォロー営業自体ができないため、結果、「放置・ほったらかし」という状態になる。

しかし、こういった見込み客も、あなたの知らない間に、「どこか競合他社から購入している」可能性があるのだ。これは機会損失でしかない。そのため、この機会損失を防ぐためにも、長期的なフォロー、つまり、リードナーチャリングが必要となるのである。

リードナーチャリングの2つの課題とは?

では、実際に、長期的な接点を作るリードナーチャリングを実行しようとすると、いくつか課題が出てくる。その課題の中でもよくある2つの課題についてご紹介しよう。

リードナーチャリングの課題1「接点の理由作りの課題(しつこいと言われる)」

1つ目のリードナーチャリングの課題は、「接点の理由づくり」である。

上述したように、リードナーチャリングは長期的な顧客との接点づくりが重要である。そこで、例えば、月に1回、訪問するとしよう。毎月フォローできるので良いように見える。

しかし、顧客も忙しい身である。毎月のように来られても、迷惑なだけである。そのうち、「いや、買うときになったらこっちから連絡するから来なくていいよ」などと言われることになる。こうなると、「訪問する理由」がなくなる。つまり、接点がなくなってしまう。

このように、長期的な接点を作ろうとすると、「もういい」と言われて、フォローする理由がなくなっていく。理由がなくなると、フォローできないため、リードナーチャリングが機能しなくなる。これが課題の1つ目である。

リードナーチャリングの課題2「リソースの課題(後回しにしてしまう)」

2つ目のリードナーチャリングの課題は、「リソース(特に時間)の課題」である。

リードナーチャリングを継続するには、定期的なフォローを行うための時間を作り出さなければならない。訪問や電話、メールをするにしても、時間が必要になる。

しかし、上述したように、リードナーチャリングは長期的なフォローなので、すぐに売れるというわけではない。その結果、営業の優先順位がどうしても下がってしまう傾向がある。

営業担当者から見れば、毎月売上目標(もしくはノルマ)があり、それを達成しなければならない。そうなると、当然、目先の商談案件にどうしても時間を割いてしまう。その結果、「明日でいいや」となって、ずるずるとのびのびになり、気がついたら忘れていたというようなことになる。

これが課題の2つ目である。

リードナーチャリングの2つの課題を解決する「コンテンツ活用」

このように、リードナーチャリングには2つの課題がある。そこで、この2つの課題を解決する具体的な方法をご紹介しよう。それが、人を活用したリードナーチャリングではなく、コンテンツ中心のリードナーチャリングである。

コンテンツを活用したリードナーチャリングとは?

コンテンツを活用したリードナーチャリングとは、読んで字のごとく、人ではなく、「コンテンツ」を中心にしたリードナーチャリングの方法である。

ここでいう、コンテンツとは、「見込み客にとって有益な情報・役立つ情報」のことだ。それを人が伝えるのではなく、「メール、FAX、ニュースレター」といった「人以外の媒体」を通して伝え、リードナーチャリングを実現していくのである。

見込み客にとって有益な情報(コンテンツ)を提供し、継続的な接点を作り続け信頼関係を高めていく。その上で、購入の確度が高まった段階で売り込みを行う。これがコンテンツを活用したリードナーチャリングである。

コンテンツを活用したリードナーチャリングのポイント

コンテンツを活用したリードナーチャリングは、上述の2つの課題を解決する具体策である。そのため、下記のようなポイントを押さえておく必要がある。

ポイント1「見込み客にとっての有益な情報とは何かを明確化する」

1つ目は、「しつこい」といわれないための「有益な情報の明確化」だ。見込み客にとって役立つ情報を提供すると、「しつこい」ではなく「いつも良い情報をありがとう」となり、感謝されることになる。

これが継続できれば、「しつこい」から「ありがとう」になり、長期的なフォローが実現する。当然、「ありがとう」が繰り返されることで、「信頼関係」も深まっていく。

ポイント2「コンテンツの配信を仕組み化する」

2つ目は、リソースの課題を解決するための「コンテンツ配信の仕組み化」だ。

どんなコンテンツをどういうタイミングで配信し、そのコンテンツを誰が作るのか?などを明確化(計画化)しておくのである。継続性が重要であるため、定型業務にして、毎月の必須業務として回せる体制を作るのである。

当然、役割分担を決め、最小限のリソース(時間)でできる体制にしなければならない。これが結構難しいが、外部のライターを活用するなど、時間と予算のバランスを見て体制を作り上げていこう。

コンテンツを活用したリードナーチャリングの課題

この2つのポイントを抑えることで、下記のリードナーチャリングの2つの課題を解決できる。

課題1「接点の理由作りの課題(しつこいと言われる)」→有益なコンテンツを配信し解決する
課題2「リソースの課題(後回しにしてしまう)」→コンテンツの配信を定型化する

しかし、もうお気づきかと思うが、「コンテンツを活用したリードナーチャリング」にも、別な課題があるのだ。

課題1「見込み客にとっての有益なコンテンツの定義が難しい」

課題の1つ目は、まさしく、「有益なコンテンツの定義が難しい」である。どんなコンテンツを配信すれば、見込み客に感謝されるのか?である。見込み客が増えれば増えるほど、その定義は難しく、複雑化する。

この課題を解決するには、顧客の悩み・課題を知ることが非常に重要で、そこから、「どんなコンテンツを欲しがっているのか」の「コンテンツニーズ」を明確にしていく必要がある。そのためには、コンテンツニーズの仮説を立て、そして改善していく「PDCA」が必要になる。

課題2「コンテンツを作り続けることが難しい」

課題の2つ目は、見込み客にとっての有益なコンテンツの定義ができたとしても、そのコンテンツを誰が作るのか?作り続けられるのか?という課題である。コンテンツのライティングや編集、そして知識武装に時間を必要とする。これが非常に難しい。

コンテンツを活用したリードナーチャリングの課題を解決する「6の手順」とPDCAの回し方

では、この課題を解決するにはどうすべきか?そのための手順として、6つの手順がある。この6つの手順は、PDCAを回しながら、有益なコンテンツを明確化し、リードナーチャリングを実現していく手順である。

6つの手順については、非常に長い説明になるため、下記のPDFにその詳細をまとめてある。現在、リードナーチャリングが課題で、何か良い手立てがないかヒントを探している方向けに作成したPDFの資料である。

PDF資料(無料)
コンテンツを活用したリードナーチャリング「6の手順」とPDCAの回し方
主な目次
(手順1)見込み客のリストを作る
(手順2)有益なコンテンツ(コンテンツニーズ)の仮説を立てる
(手順3)コンテンツの骨子を決めコンテンツを作る
(手順4)配信媒体を選択する
(手順5)コンテンツニーズを聞く仕組み・仕掛けを作る
(手順6)配信を開始して効果やニーズを分析しながらPDCAを回す

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BtoBリードナーチャリングの基礎コラム

ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ALUHA代表取締役。1979年兵庫生まれのBtoBマーケティングコンサルタント。金沢工業大学大学院にて情報工学を専攻し2003年4月にALUHAを創業。2008年からBtoBに特化したマーケティング支援、営業戦略支援を開始。BtoBマーケティングや営業戦略の戦略立案から、計画実行とPDCA、そして人材育成を伴走型で支援。デジタルとリアルを融合させた戦略設計が得意。毎月全国各地の様々な企業でBtoBマーケティングセミナーを実施中。100社以上でのセミナー講演実績を持つ。大手IT企業、製造業(日立Gr、富士フイルムGr、キヤノンGr、積水Grなど)を顧客に持つコンサルタント。→セミナー講演実績→コンサル実績