マーケティングオートメーションを導入し運用段階に入ると、多くのBtoB企業で課題化するのが「メルマガのコンテンツ作り」だ。「継続的なメルマガのネタがない」という課題もあれば、「ライターにメルマガを書いてもらっても修正に時間がかかる」「毎回内容が同じでだんだんジリ貧になる」といった課題まで、その課題や悩みはさまざまである。
実際に、弊社によるアンケート調査ではお客様から下記のような回答を頂いている。

そこで今回は、BtoBに特化した効果的なメールコンテンツの作り方についてご紹介しよう。「こういうコンテンツの作り方もあるのか!」とコンテンツ設計のアプローチ方法の1つとしてご検討いただければ幸いである。
マーケティングオートメーションの運用のコツ「効果的なコンテンツを作る手順」
マーケティングオートメーションで配信するメルマガの効果的なコンテンツ作りの手順は下記の通りである。このプロセスを実行することで、「ネタがない」「ジリ貧」といった課題を解消することが可能だ。
- リードの課題を確認するアンケートの設計
- アンケートの実行(アンケートメール)
- アンケート回答の分析と課題蓄積
- リードの課題を解決するコンテンツを設計
- 設計したコンテンツをメルマガ配信&手順2へ戻る
この手順の概要とメリット
この手順は、リードに対してどのような課題があるのか?をアンケートで確認し、その課題を解決するコンテンツを定期的に量産していくという手順だ。
そのため、アンケート回答が蓄積されればされるほど、リードの課題が蓄積され、ネタ作りに困ることはなくなる。さらに、リードのニーズに合わせたコンテンツとなるため、リードに刺さるコンテンツとなり、開封率やクリック率の改善にもつながっていく。このようなメリットがあるため、ぜひアクションを起こしていただければと思う。
それではコンテンツ作りの各手順について詳しくご紹介しよう。
効果的なコンテンツを作る5つの手順
手順1「リードの課題を確認するアンケートの設計」
最初は「リードの課題を確認するアンケートの設計」だ。
メルマガの開封率やクリック率を高めるためには、リードのニーズ(BtoBでは課題解決、悩み解決)につながるコンテンツの作成が必須だ。そのためには、まずは課題や悩みを確認する必要がある。課題や悩みを確認するには、リードにアンケート調査するのがもっとも効率がいい。
アンケート調査では、(1)「アンケートの目的」、(2)「目的を達成するため聞かなければならないことのリストアップ」、(3)「質問の設計」、(4)「設計した質問の回答からアンケートの目的が達成できるかの確認」の4つを検討し、アンケートの内容を固めるといいだろう。
(1)「アンケートの目的」については、今回の場合は明確だ。リードの課題や悩みを確認することになる。
(2)「目的を達成するため聞かなければならないことのリストアップ」については、課題や悩みを確認する以上、いつ・どこで・誰が・どのような課題を抱えているのか、そしてその課題はなぜ発生するのか?を確認できるといいだろう。つまり5W(WHEN・WHERE・WHAT・WHO・WHY)である。この5Wを基本に聞かなければならないことを明確にしていこう。
(3)「質問の設計」については、(2)の段階で聞かなければならないことが決まっているので、どういう順番でどのように聞けばいいかを考える。アンケートは主に、シングルアンサー(単一選択)とマルチアンサー(複数選択)、フリーアンサー(自由記入)の3種類しかないため、この3種類を組み合わせて質問を考えよう。
(4)「設計した質問の回答からアンケートの目的が達成できるかの確認」については、(3)で設計した質問の回答結果を想定しながら、本当に(1)の目的が達成できそうかを逆算し質問に抜け漏れがないかを確認しよう。
このような方法でアンケートを検討するといい。製品ニーズや顧客満足度を調査するアンケートとは少し違うので、アンケートを実施しながら改善していくことも視野に、まずはざっくり設計してみよう。
なお、参考までにアンケートを設計すると下記のようなイメージになる。
- ●●業務において普段、どのような悩みがありますか?(複数選択)
- 上記の中で特に解決したい課題や悩みはどれですか?(単一選択)
- 特に解決したい課題はいつ、どこで、どのような理由で発生しますか?(自由記入)
- 特に解決したい課題が解決できない理由は何にあるとお考えですか?(自由記入)
このような設計にした時、質問1と2で定量的にリードが抱えている課題は何が多いのか?を分析することができ、質問3、4で定性的な課題の詳細内容を把握することができる。このような分析により、コンテンツのネタを検討する判断材料が得られ、心踊るようなコンテンツを設計できる兆しが見えてくる。
手順2「アンケートの実行(アンケートメール)」
アンケートを設計したら、そのアンケートを実施しよう。実施方法はいくつかあるが、マーケティングオートメーションの運用段階であれば、メール配信して確認する方がいいだろう。
なぜなら、マーケティングオートメーションに登録されているリードに対してアンケート調査を実施し、そこから設計したコンテンツを、マーケティングオートメーションに登録されている同じリードに配信するからだ。リードに刺さるコンテンツになる可能性が高くなるのだ。
そのため、まずはアンケートをメールで実施しよう。弊社ではこういったメールをアンケートメールと呼称しお客様にも提唱している。
アンケートメールを実施するには、アンケートフォームを作成し、そのURLをメールに記載して送付することになる。アンケートフォームは、アンケート設計で設計した質問をそのままWebフォームにするだけだ。そしてWebフォームのURLが確定したら、そのURLをアンケートメールに記載し、アンケート協力を依頼するメールをライティングする。
この時、よく質問を受けるのがアンケートのお礼についてだ。アンケートのお礼はクオカードやアマゾンギフト券、展示会で使っている販促品などをお礼にできるとベストである。もし会社のコンプライアンスとしてそういったことが難しい場合は、最悪お礼なしでもいいが、回答率は悪化するので注意が必要である。
アンケートメールでは、アンケートをお願いしたいこと、お礼の有無、いつまでに回答してほしいのか?などを正直にそのまま記載し、マーケティングオートメーションから一斉配信しよう。
手順3「アンケート回答の分析と課題蓄積」
マーケティングオートメーションからアンケートメールを配信したら、配信母数にもよるが、回答が得られる。BtoBであるため、ありがたいことに比較的回答はしていただけるケースが多い。
回答が得られ始めたら、エクセルなどに回答を転記し、どのリードがどんな課題をもっているのか?をどんどん蓄積しよう。回答日時・社名・担当者名・連絡先・回答内容をエクセルに蓄積してくのだ。
蓄積された回答は、メルマガのネタになり得るので、あればあるほどいい。回答には製品・サービス開発の差別化戦略に活用できそうなネタもあるかもしれない。まさに宝石箱である。絶対に蓄積することをおススメする。
手順4「リードの課題を解決するコンテンツを設計」
回答の収集が終わったら、回答の中からコンテンツ化できないかを分析しよう。とくに量が多い課題はニーズの量も多いため、メール配信した時に開封率やクリック率に影響を及ぼす可能性が高い。
コンテンツの設計については、アンケートで確認した課題からコンテンツを設計するため、下記のようなアウトラインで設計するといい。
- 課題定義と詳細説明(アンケートをエビデンスにこういう課題があることを定義)
- その課題を解決する方法や手順、仕組み、ポイントを紹介
上記のアウトラインでは、アンケートで得た課題情報を最初に定義し、その後、その解決方法や手順などを紹介する。つまり、2段階構成のコンテンツとなる。
最初は課題の定義と詳細説明だ。アンケート回答で得た課題であるため、エビデンスもしっかりしている。だからこそ、自信を持って課題定義しよう。たとえば、「●●の業務においてはこういった課題が発生する。なぜならアンケート調査でこのような回答があったからだ」という具合だ。
そして課題定義が終わると、次はその課題を解決する方法や手順、仕組み、ポイントを紹介する。たとえば下記のイメージである。
例1:●●業務の課題を解決する10の方法
例2:●●業務の課題を解決する4手順
例3:●●業務の課題を解決する3つの仕組み
例4:●●業務の課題を解決する際に注意すべき5つのポイント
このように、定義した課題に対して、解決する方法や手順、ポイントなどを紹介しよう。
手順5「設計したコンテンツをメルマガ配信&手順2へ戻る」
コンテンツの設計が終了したら、いよいよライティングだ。コンテンツのアウトラインは決まっているので、メールとしてライティングする。
メールの原稿が長くなれば、Webコンテンツとして公開し、メールではそのURLを紹介する形でもOKだ。
また、メールのコンテンツ作りは継続性が重要になるため、ネタの継続性を維持するためにも、メール配信時には手順2のアンケートメールも一緒に送付しよう。そうすれば、メール配信のたびに手順2「アンケートの実行(アンケートメール)」ができるようになり、ネタがどんどん溜まっていくことになる。
リードの課題が蓄積されれば、メールのネタが増え、メール配信も継続できるようになる。メール配信が継続できればアンケートメールも配信でき、さらにリードの課題が蓄積できるようになる。まさに、プラスのスパイラル状態になるのだ。
マーケティングオートメーションの運用のコツまとめ
以上が、マーケティングオートメーションの運用のコツ「効果的なコンテンツを作る手順」だ。継続性を維持しながらもリードに刺さる効果的なコンテンツを作成できる手順である。
さらに、この手順の波及効果としては、リードの課題がどんどん蓄積できるため、製品開発・サービス開発における差別化の強化にもつながっていく可能性がある。そのため、この手順はデジタルマーケターとしての腕の見せ所ではないだろうか。
ぜひあなたも、物は試しにチャレンジしてほしい。
(2019年3月12日 IT企業 Mさんからの回答)