BtoBマーケティングでは、マーケティングオートメーションを活用して、メールマーケティングを行い、獲得したリードのリードナーチャリングが盛んに行われている。その一方で、「メールマーケティングを行ってもホットリードになるタイミングや時期を見極めるのが難しい」「ホットリードになるタイミングを検知できない」といった課題も多く発生している。実際に、弊社にも下記のようなご相談があった。
そこで今回のコラムでは、BtoBにおけるマーケティングオートメーションを活用したホットリードになったタイミングを検知する方法のアイディアについてご紹介する。実際に弊社でも活用(記事執筆時点)している具体性のあるアイディアなので、ホットリードのタイミング検知に悩んでいる方はぜひ参考にしてほしい。
ホットリードとは何か?
ホットリード(英語:hotlead)とは、自社製品・サービスの概要・料金をよく理解し、予算確保の目処や導入時期もある程度明確で、受注確度が非常に高い見込み客のことを言う。営業部門が適切な営業提案をするとそれなりの受注率で受注につながるリードである。言い換えれば「今すぐ客」「もうすぐ客」といった言い方もできるだろう。
ホットリードの基礎やコールドリード、ウォームリードとの違いなどについては下記コラムで解説している。
ホットリードのタイミング検知「2つの指標」
マーケティングオートメーションを活用して、リードがホットリードになったかどうかを検知するには、下記の2つの指標を活用する。
- ある一定期間のスコア上昇数
- キーページ閲覧
この2つの指標をMAに事前に設定しておき、タイミング検知に活用する。
指標1:ある一定期間のスコア上昇数
「スコア上昇数」とは、ある一定期間に、ある一定以上のスコア上昇があったかどうか?の指標である。例えば、「過去7日間にスコアの上昇が30点以上あったかどうか」である。
ホットリードかどうかを判定する時、MAの「累積スコア(合計スコア)」を参考にするケースが多いが、「累積スコア」よりは「スコア上昇数」を参照する方が、ホットリードかどうかの判断を行いやすいのではないかと弊社は考えている。
なぜなら、「スコア上昇数」は、短期間でのスコア上昇であるため、その期間中に「何かしらのデジタル上での行動が頻発した」ということを意味するからだ。つまり、その分、製品やサービスに興味を持っている可能性(購入前の事前調査の可能性)があるということだ。
「スコア上昇数」は「どのくらいの期間で計算するか?」が大きなポイントになる。ホットリードのタイミング検知を行うことが目的であるため、小刻みに「スコア上昇数」を確認する必要があるからだ。
例えば、「毎週月曜日に、先週7日間分のスコア上昇数を確認し、30点以上の上昇があるリードのみをリストアップする」と決めた場合は、毎週月曜日にタイミング検知ができるようになるのだ。
このように小刻みにスコア上昇数を確認することで、タイミングを逃すことなく、スコア上昇数の高いリードを検出できるようになる。
指標2:キーページ閲覧
「キーページ」とは、リードが「製品やサービスの導入を検討するときに事前に見るであろうページ」のことだ。例えば、料金ページ、契約までの流れページ、導入相談の個別説明会のページなどである。どんなページがキーページになるのか?は製品やサービス特性によって異なるが、弊社を例にするならば、弊社はBtoBマーケティングのコンサルティングサービスを展開しているため、「弊社とコンサルティング契約するには?」というページを作れば、それがキーページとなる。
この「キーページ」を閲覧したかどうか?は、ホットリードになっているかどうかを確認する判断材料となるため、キーページ閲覧が判断材料になるのだ。
指標1「スコア上昇数」は、定量的な判断材料であるが、「キーページ閲覧」はリードの行動からホットリードかどうかを判断する判断材料となる。
このため、「スコア上昇数」が高く、かつ、「キーページ閲覧」をしているリードをMAで検知することができれば、「ホットリードになったタイミングではないか?」と判断できる材料となる(100%ではないが)。
2つの指標を使ったタイミング検知プロセス
それでは、指標1「スコア上昇数」と指標2「キーページ閲覧」を使ったタイミング検知のプロセスと検知後のフォローアイディアについてご紹介する。
MAに検知条件1「スコア計算期間と基準スコア」を設定
最初に行うのは、MAに指標1「スコア上昇数」を設定する。設定する項目は2つだ。1つ目は、「スコアの計算期間」である。小刻みに計算し上昇数を算出するので、5日間、7日間、10日間といった期間を設定しよう。一旦ここでは7日間に設定したとする。
次に、設定するのは、「基準スコア」だ。「基準スコア」はホットリードかどうかを判断する基準となるスコアだ。例えばここでは30点としよう。そうすると、「過去7日間の間に30点以上のスコア上昇があったかどうか」が検知条件となる。
スコア計算期間は、タイミング検知と連動するため、比較的短い期間の方が良い。ちなみに、弊社は7日間で設定している。
基準スコアは各社の製品特性や各ページに埋め込んでいるスコアの設定によるので、一概に決めることができず、各社自由に設定すると良いだろう。スコア計算期間の日数での平均スコア上昇数を計算し、それよりも少し多いくらいにしておくなど、工夫して設定しよう。
MAに検知条件2「キーページのURL」を設定
次に、キーページのURLをMAに設定する。キーページは製品・サービス特性によって異なるが、主に「料金ページ」「見積依頼フォーム」「契約までの流れ」といった契約・購入を検討しているリードが直前にみそうなページがキーページとなる。
このキーページのURLをMAに設定し、閲覧したらスコア加点を増やすなどして、指標1「スコア上昇数」とも連動させておこう。
検知条件1、2を満たすリードが発生したらアラートを通知
検知条件1、2を設定後、その1、2を満たすリードが発生したらアラートメールを通知する設定をMAにしておく。こうすることで、継続的にアラートが飛んでくることとなり、ホットリードになったタイミングでメールが届くことになる。
ここまでできたら、あとは今まで通り、メールマーケティングを実行する。メルマガを配信したり、ホワイトペーパーを配布したりなど、今まで通りの活動を展開してみよう。
そうすると、ある日、アラートメールが届く可能性があり、そのメールに記載されているリードが「ホットリード」の可能性が高い。
アラートメールが来たら対処方法を検討
アラートメールがMAから届いたら、メールの内容を確認する。検知条件1、2を満たしたリード一覧が確認できるはずなので、各リードの行動(WEB閲覧履歴や過去のCV履歴、商談履歴)と社名などを確認し、どのように対処するのか検討する。
対処方法も主に3つある。
1つは、MAのシナリオメールと連動してフォローを自動化する。検知条件1、2を満たしたリードに対するシナリオメールを事前に作っておけば、フォローアップを自動化できる。
2つ目は、インサイドセールスとの連携だ。インサイドセールスに検知条件1、2を満たしたリードであることを伝え、送客する。フォロー方法はインサイドセールスで検討してもらおう。
3つ目は、自分自身で個別にメールを送り対処する方法だ。どういう行動をとったリードなのかがわかるので、臨機応変な個別メールを配信しやりとりしてみるのである。もしくは営業担当がいるリードであれば、その担当に依頼するのもOKだ。
どの方法にしても、製品説明・デモしましょうか?や、事例を詳しく話しましょうか?など、購入につながるような提案を個別に行うと良いだろう。
まとめ
マーケティングオートメーションを活用してホットリードになったタイミングを検知する方法をご紹介した。指標1「スコア上昇数」と指標2「キーページ閲覧」の2つを組み合わせて検知する方法で、スコアという数値とページを見たという行動から判断することができる。しかし確実ではないため、さらに指標を独自に増やしていくことでより正確な判断ができるようになるだろう。1つのアイディアとして参照していただけたら幸いだ。