マーケティングオートメーションはその名の通り、BtoBマーケティング活動の一部をある程度、自動化してくれる便利なツールだ。特に、マーケティングオートメーションのステップメールを活用したシナリオ機能は、BtoBマーケターにとって有益な機能の1つである。
しかしながら、マーケティングオートメーションのシナリオ作成においては、どんなシナリオを持つメールが良いのか、そのシナリオ設計やメールの作成に悩むことが多い。
実際に弊社にもシナリオ作りのご相談をよくいただくが、どのような商材・業種にも適応できる万能なシナリオは存在しない。そもそも、「製品を購入するかどうか」と「どこから買うか」、「いつ買うか」の決定権や選択権はリードにあるため、万能なシナリオなど、存在しないのである。
しかし、シナリオ作成の工夫はできる。少しでもリードナーチャリングの可能性を高めるような工夫はいくらでもできる。そこで今回のコラムでは、ホットリード目線でのステップメールシナリオの作り方をご紹介する。御社のシナリオ作りのヒントになれば幸いである。
マーケティングオートメーション(MA)とは?
マーケティングオートメーション(MA)とは、リードナーチャリング(見込み客の育成)と、リードクォリフィケーション(有望なリードの選別・抽出)のマーケティング業務を効率化することを主軸においたITツールのことだ。製品によっては、リードジェネレーション(新規見込み客の獲得)までをカバーする製品もあるが、メインはリードナーチャリングとリードクォリフィケーションである。
マーケティングオートメーションの詳細については、下記のコラムでより詳しくまとめているので、基礎から学びたい方は是非ご覧いただければと思う。
マーケティングオートメーションのシナリオとは?
マーケティングオートメーションのシナリオとは、マーケティングオートメーションの様々な機能を連動させて、リードに対して様々な「処理」を自動的に行う一連のプロセスのことだ。
例えば、「セミナー案内シナリオ」を考えてみよう。この場合、下記のようなシナリオが考えられる。
- ターゲットリードに対してセミナー案内メールを配信
- セミナー申し込みがあればセミナー申込者リストへ登録し担当者へ通知。その後、セミナー当日の数日前にリマインドメールを配信
- 開封したが申込しなかったリードへは数日後に再度セミナー案内を配信
- 開封すらしなかったリードへは切り口を変えて再度セミナーメールを配信
このように、マーケティングオートメーションのシナリオでは、リードの行動(メールを開封したかしていないかなど)に合わせて、異なるメールを配信することや、ターゲットリストへの登録など、「次の行動」を分岐させることが可能だ。
このため、セミナー案内をするというだけでも、様々な分岐条件を加えながら、よりOneToOneに近いセミナー集客の施策が打てるようになる。これがマーケティングオートメーションのシナリオである。
マーケティングオートメーションのシナリオ作成の課題
マーケティングオートメーションのシナリオ作りでは、そもそも、リードに対して何を配信すれば良いかがわからないといった課題がある。
上述したセミナー案内シナリオを例にするならば、「セミナー案内メールだけで良いのか?」ということだ。セミナー案内をするシナリオであるため、セミナー案内のメールは必須である。しかし、セミナー案内メールだけで、効果的にセミナーへの集客ができるのだろうか?
これが、マーケティングオートメーションのシナリオを設計・運用するときの大きな課題となるのだ。
マーケティングオートメーションのシナリオ作成の3つの手順
そこで、マーケティングオトーメーションの効果的なシナリオ作成の手順を1つご紹介しよう。特に、「シナリオでどんなメールを配信すれば良いのか?」に焦点を当て、手順をご紹介する。「こんな内容のメールを配信すればいいのでは?」というような思いつきのシナリオではなく、「ホットリード目線」でシナリオを作るための手順をご紹介する。
なお、わかりやすく説明するために、上述の「セミナー案内シナリオ」を例にご紹介する。
シナリオ作成手順1「ホットリードの過去の行動を分析する」
最初に行うのは、「ホットリードの過去の行動を分析する」だ。ここでいう、ホットリードの定義は、「過去に同様のセミナーに参加し、成約もしくは案件化できたリード」のことだ。まずはこういったリードを数社ピックアップしよう。
その後、その数社の行動履歴(WEBサイトへのアクセス履歴)を分析する。具体的には、マーケティングオートメーションの機能の1つである「WEBサイトへのアクセス履歴の分析」を活用しよう。これは、リード毎に「過去にどのWEBページを見たのか?」を時系列で分析できる機能で、リード毎に過去のWEBサイトアクセスの行動がCSVなどでダウンロードできる。
この機能を活用すれば、下記のようなCSVが手に入る。下記のCSVは、弊社の実際のホットリードの過去のWEBサイトアクセス履歴だ。

上記の例では、セミナー案内メールを配信した後、セミナー申し込みがあるまでの間に、様々なWEBページを確認していることがわかる。このように「過去にセミナーに参加し、成約もしくは案件化できたリード(ホットリード)」を数人ピックアップして、それぞれでこういった分析を行おう。
シナリオ作成手順2「ホットリードの共通の行動を見つけ出す」
「過去にセミナーに参加し、成約もしくは案件化できたリード(ホットリード)」の過去の行動をリストアップしたら、共通の行動を見つけ出そう。
弊社の場合の例でいうと下記のようなイメージだ。
A社Nさんの行動履歴
B社Sさんの行動履歴
NさんもSさんも、弊社の現在のお客様で、過去に弊社のセミナーを受講していただいた方だ。この二人の行動履歴を確認すると、セミナー案内メールを配信してから、セミナー申し込みがあるまでの間に、背景青の部分で共通の行動がある。それが下記の3つだ。
- セミナー事例を見ている
- 会社概要を見ている
- 周年記念ページを見ている
このイメージで、「過去にセミナーに参加し、成約もしくは案件化できたリード(ホットリード)」の過去の行動をリストアップし共通する行動を確認してみよう。人数は多ければ多いほど良く、その分新しい発見や気づきもあるだろう。
シナリオ作成手順3「ホットリードの共通行動からシナリオを作成」
「過去にセミナーに参加し、成約もしくは案件化できたリード(ホットリード)」の共通行動がわかったら、その共通行動に合わせてシナリオのコンテンツを検討しよう。
その際に、各ホットリードがどのページを見たか?どの順番で見たか?を意識すると良い。例えば、A社NさんとB社Sさんは下記の順番でセミナー申し込みを完了している。
- セミナー案内メールを受信
- セミナー事例を確認
- 会社概要を確認
- コンサル成功事例を確認
- 弊社の強みを確認
- 再度、会社概要を確認
- 弊社の周年記念を確認
- セミナー申し込み完了
- セミナー案内メールを受信
- 弊社のデジタルマーケティングコラムを確認
- 弊社のデジタルマーケティングに関する資料をダウンロード/li>
- 会社概要を確認
- 弊社のコンサルサービスの内容を確認
- 別のコラムを確認
- 再度、会社概要を確認
- 弊社の周年記念を確認
- セミナーの内容を確認
- セミナー事例を確認
- セミナー申し込み完了
そして、この2人の共通行動は、上述した通り、下記の3つだ。
- セミナー事例を見ている
- 会社概要を見ている
- 周年記念ページを見ている
このような事実から、セミナー案内のシナリオは、下記のように組み上げていくと可能性が高くなると考えられる。
- セミナー案内のメールにはセミナーの内容だけでなく関連するコラムも入れる
- セミナー事例を送付する
- セミナー講師紹介として弊社の会社概要や周年記念のページを案内する
ここまでできたら、あとはこれに「分岐条件」をどう関連づけていくか?を検討し、シナリオを設計すると良い。
シナリオが設計できたら、シナリオの流れにそってメールを作成し、マーケティングオートメーションに実装しよう。実装できたら、そのシナリオで実際に運用を回してみよう。過去のホットリードの行動をベースにしたシナリオとなっているため、セミナー集客をより効率よく実現できる可能性が高くなるだろう。
マーケティングオートメーションのシナリオ作成の手順まとめ
このように、過去のホットリードの行動分析から、共通する行動を見つけ出し、その行動の順番も配慮しながらシナリオを組み上げていくと、ホットリード目線のシナリオが作成できる。
マーケティングオートメーションのシナリオ作成で悩みがあるなら、一度ホットリードの行動を分析し、シナリオ作成のヒントにしてみてはどうだろうか?
マーケティングオートメーションの効果を高めるテクニック
マーケティングオートメーションのシナリオ作成についてご紹介したが、マーケティングオートメーションはメールの活用がメインのツールである。そのため、シナリオ作り以外にも、開封率、クリック率をどう高めるか?といった点も課題になる。
開封率やクリック率の高め方についても一緒に習得したい場合は、下記のPDF資料をご参照いただきたい。無料でダウンロードできるので是非ご活用いただければと思う。
〜MA活用の効果を高めるメールマーケティングテクニック〜
https://btobmarketing.aluha.net/contact/white-paper/#r18