マーケティングオートメーションの6つのメールマーケティングテクニック

マーケティングオートメーションのメール活用テクニック
Last Updated on 2024年9月7日 by 荻野永策

BtoBマーケティングにおいて、マーケティングオートメーションの活用は非常に重要である。WEBサイトと連携すれば、リード個人の行動分析ができ、ホットリードを発掘するための良い判断材料が得られる。さらに、リードナーチャリングでは、メール配信といった仕組みでリードとの接点を継続的に作っていくことが可能だ。

このため、成約・受注までのリードタイムが長いBtoB業界において、マーケティングオートメーションは非常に重要なツールになりつつある。

しかしながら、マーケティングオートメーションを導入したあと、実際にうまく活用できるかどうかというと話は別である。なぜなら下記のような課題がどんどん浮き彫りになるからだ。

  • メールを継続的にライティングしなければならずリソースがたりない
  • 継続的にメールをライティングするだけのネタがない
  • いつ・だれに・何を配信すれば良いのかわからない

この結果、場当たり的にメール配信を続けていて、クリック率や開封率が伸び悩むというような事態になることも多々ある。

そこで、今回のコラムでは、マーケティングオートメーションにおける6つのメール活用術をBtoBに特化してご紹介する。「こういう活用方法もあるのか!」と良いヒントになれば幸いである。

この記事の目次

マーケティングオートメーションの2つのメール配信機能「ステップメールと一斉配信」

マーケティングオートメーションには、大きく分けて2つのメール配信機能がある。1つがステップメール、もう1つが一斉配信メールだ。

マーケティングオートメーションのステップメールとは?

ステップメールとは、あるタイミングを起点にして、そこから段階的にメールを配信する仕組みのことだ。例えば、名刺交換したタイミングを起点にする場合、翌日にお礼メールを、3日後に商品案内メールを、7日後に事例紹介メールを、という具合にメール配信できる。

マーケティングオートメーションでは、様々な「起点」が設定できる。起点の種類はマーケティングオートメーションの製品によって異なるが、わかりやすいのがフォームの通過だ。マーケティングオートメーションではWEBフォームを自由に作成できるため、作成したフォームにリードが個人情報を入力してお問い合わせをしたタイミングを「ステップメールの起点」とすることが可能だ。

つまり、フォームから問い合わせがあったら、自動的にステップメールが走り出すといったことも可能なのである。

さらに、そのステップメールも自由なシナリオが組める。配信するメールの数、間隔も自由に設定できる。このため、名刺交換した後のステップメール、WEBで問い合わせがあった後のステップメール、セミナー参加後のステップメールという具合に、たくさんのステップメールを作成することができる。

導入時の最初のステップメールのシナリオ作成やメール作成は大変であるが、一度設定してしまうと、あとはある程度自動的にステップメールが走り出すのである。

マーケティングオートメーションの一斉配信メールとは?

一斉配信メールとは、ターゲティングされたリードに対して、一斉にメール配信する機能のことだ。これはステップメールとは違い、基本的には担当者がメール配信の予約をして、配信することになる。

このため、一見、通常のメール配信システムと同じような仕組みに見えてしまうが、最大に異なるのは、ターゲティングが自由にできることだ。

マーケティングオートメーションは、WEBサイトとも連動しているため、たとえば、「料金ページを見たことがあるリード」というようなターゲティングリストを作成し、そこにメール配信ができるのである。ターゲティングも自由に設定でき、「3月のセミナーページを見たリード」「成功事例ページを見たリード」という具合に設定できる。

このように、通常のメール配信システムとは、ターゲティングという面で大きく異なる。

マーケティングオートメーションのステップメールでできること・活用アイディア3選

このように、マーケティングオートメーションは、通常のメール配信システムとは違い、マーケティングという意味で大きな違いがある。ではその違いがどのような「活用の違い」を生み出すのか、具体的な活用アイディアをご紹介しよう。

まずは、ステップメールの活用アイディアを3つご紹介する。

マーケティングオートメーションのステップメール活用アイディア「WEBのコンバージョンリードに対するステップメール」

最初の活用法は、「WEBのコンバージョンリードに対するステップメール」だ。

BtoBでは、製品・サービスの特性上、WEBで購買が完結することはほとんどない。そのため、通常は資料請求やお問い合わせという形で、WEBフォームを経由してリードとの最初の接点が作られる。リードから問い合わせや資料請求が来たら、その後、メールにて対応を進めるケースが多いが、そのメールをステップメール化したのが、「WEBのコンバージョンリードに対するステップメール」である。

例えば資料請求であれば、下記のようなステップメールシナリオでリードへのフォローを自動化できる。

(1)即時:資料請求ありがとうメール
(2)2日後:資料はどうだったか?の確認メール
(3)4日後:事例紹介メール
(4)7日後:他社との違いメール
(5)12日後:セミナー案内メール

このようなメールを段階的に配信することで、配信している期間中(上記だと12日間)は、リードとの接点を自動的に作り出すことができる。さらに、セミナーの提案まで行っているので、セミナー集客の可能性も増えるだろう。これが、自動化されているので、担当者が配信する必要がなく、工数削減やメール配信の抜け漏れ防止につなげることもできる。

ただし、注意点がある。

例えば、弊社でも頻繁に発生するが、競合からの問い合わせや資料請求の対応だ。自動であるがゆえに、競合から問い合わせや資料請求が来た場合、上記のステップメールを自動的に配信して良いかどうか?という判断が必要になる。7日後には「他社との違いメール」を配信するが、本当に自動で配信してしまってよいのだろうか?

他にも、複数回コンバージョンされた時の対応も検討が必要だ。例えば、あるリードから1月と3月に資料請求が来たとしよう。この時、1月と3月の両方ともにステップメールが配信される。これはこれで、どう考えてどう対応するのか、検討が必要である。

このように、マーケティングオートメーションのステップメールの設定や運用については、十分考慮しなければならない。

マーケティングオートメーションのステップメール活用アイディア「セミナー前のリマインドステップメール」

2つ目の活用法は、「セミナー前のリマインドステップメール」だ。この活用法では、マーケティングオートメーションの一斉メール配信とステップメールの2つの機能を組み合わせて活用するアイディアだ。例えば下記のようなシナリオだ。

(1)セミナー開催30日前にセミナー案内のメールを全リードに一斉配信
(2)セミナー開催20日前:セミナー案内メールを開封したが申し込みしていないリードにリマインドメール
(3)セミナー開催10日前:セミナー案内メールを開封したが申し込みしていないリードにリマインドメール

(1)では、全リードに対して、セミナー案内のメールを配信する。例えばリードが1万人いる場合は、1万人にセミナー案内のメールを一斉配信する。

次に(2)や(3)では、(1)のセミナー案内メールを開封したがセミナー申し込みしていないリードに絞って、20日前と10日前に段階的にリマインドメールを配信する。この(2)と(3)がステップメールとなる。

このようなリードは、セミナーに興味はあるもののスケジュールが確定していないなどの理由で、申し込みをしていない可能性がある。だからこそ、ステップメールで自動化して、抜け・漏れのないセミナー訴求を実現するとよいのである。

さらに、(2)や(3)の段階において、「(1)のメールを開封していないリードへのステップメール」といった設計も可能だ。つまり(1)のメールを開封した場合と、開封しなかった場合に分けて、ステップメールのシナリオを組むことができるのである。ステップメールの「分岐シナリオ」という形で、リードの状態に合わせてメールの内容を自由に変更できる。

こういった柔軟なシナリオ設計で、セミナーへの集客を最大化することが可能だ。

マーケティングオートメーションのステップメール活用アイディア「ある特定ページをみたリードへのステップメール」

ステップメールの最後の活用法は、「ある特定ページをみたリードへのステップメール」だ。これはマーケティングオートメーションならではの活用方法といってもよいだろう。例えば下記のようなシナリオが可能となる。

(1)リードのAさんが事例ページBを閲覧
(2)翌日:事例ページCの案内メール
(3)3日後:事例ページDの案内メール
(4)7日後:事例セミナーの案内メール

ステップメールの最初の起点は、「事例ページBの閲覧」である。リードが事例ページBを閲覧したら、それを起点として、3段階のステップメールを走らせるのだ。

最初は事例Bに関連する別の事例「CやD」の案内を、そして、最後に事例セミナーを案内する。このようなステップメールを仕掛けておくことで、事例セミナーへの集客をより強化できる可能性がある。

以上のように、マーケティングオートメーションのステップメールは工夫次第で様々なステップメールを配信できる。しかも自動的にだ。まさに「マーケティングの自動化」と言える部分ではないだろうか。

マーケティングオートメーションの一斉配信メールでできること・活用アイディア3選

次にマーケティングオートメーションの一斉配信メールの活用アイディアを3つご紹介する。

マーケティングオートメーションの一斉配信メール活用アイディア「全リードに対するメール配信」

1つ目の活用法は、「全リードに対するメール配信」だ。もっともわかりやすいメール配信である。過去のリード全員に一斉にメール配信するため、事業・製品をまたいだメール配信となる。

そのため、「全社メール」や「広報メール」といった形で配信されることが多い。

このメール配信でもっとも悩むのはコンテンツだ。事業・製品をまたぐため、リードに合わせたコンテンツ配信が非常に難しい。このような理由から、解約率の増加、開封率の低下、クリック率の低下を招くことが非常に多くなる。

解決する方法の1つとしては、「話題性のあるコンテンツ(例えば、本記事執筆時点(2019年2月)であれば、AIや働き方改革など)」を配信している企業が多い。さらに、企業の共通する課題に関するコンテンツでもよい。例えば、業務改革、生産性向上といったテーマだ。

このように共通的な話題を模索するしか方法がないが、それでも解約率、クリック率、開封率の悪化が進むことが多いようだ(弊社クライアントの経験談)。理想的な方法はやはり製品・事業部別にメール配信することだ。全社メールではなく、事業部メールというイメージである。そうすれば、コンテンツはよりリードに近いものとなり、解約率、クリック率、開封率の悪化もある程度は抑えることができるだろう。

それでも、リードの件数が数千、数万、数十万と数が多くなればなるほど、また、製品や事業部の数が多ければ多いほど、この悩みは尽きないだろう。さらに、事業部メールという形で細分化したとしても、「クロスセル」、「配信担当者のリソース」、「データ共有」といった課題が山積し、なかなか進められないというケースも見受けられる。

こういった課題は、マーケティングオートメーションでも解決が難しく、どこかで妥協しなければならないケースが多い。

マーケティングオートメーションの一斉配信メール活用アイディア「特定ページを見たリードへのメール配信」

2つ目の活用方法は、「特定ページを見たリードへのメール配信」だ。たとえば、「過去3ヶ月以内にセミナーページを見たが申し込みをしていないリードへの一斉配信」、「過去に導入事例のページを見たリードへの一斉配信」などである。

マーケティングオートメーションを活用すれば、リードの行動分析が可能となるため、こういったターゲティングによる一斉配信が可能となる。さらに時間軸を加えることで、タイミングをつかんだメール配信も可能となる。その結果、施策としての確度が高くなる可能性がある。

「いつ、どのページを見たのか?」を切り口にしたターゲティングとなるので、開封率、クリック率の向上は十分期待できるし、メールからのコンバージョンの可能性も十分期待できる。

注意点としては、「思い込み」によるメール配信は効果を下げる可能性があることだ。例えば、「料金ページを見た」からといって「見積もりしてほしい」と思い込んでメール配信してはいけないのである。

確かに料金を確認しているということは、「見積もりが欲しい」というような可能性もある。しかし、あくまで「料金ページを見た」のは「そのリード個人」であって、企業としての意思があるのかどうか?というとわからないのである。

本当に見積もりが欲しいと考えているかもしれないし、単純に興味本位で見ただけかもしれない。このあたりを意識しながら、「いつ、どのページを見たのか?」を切り口にしたターゲティングとメール配信を実施すればよいだろう。

マーケティングオートメーションの一斉配信メール活用アイディア「課題調査アンケートで課題Aにチェックを入れたリードへのメール配信」

最後の活用法は「課題調査アンケートで課題Aにチェックを入れたリードへのメール配信」だ。例えば、WEBからのコンバージョンの際に、個人情報の入力以外にも課題を調査するアンケート項目を加えれば、リードの課題をコンバージョン時に確認できる。

この課題に合わせてメールを一斉配信するのだ。当然メール配信の内容は、「選んだ課題を解決できる製品の紹介と解決方法」、「実際に解決できた事例」などになる。

課題を切り口にしているため、製品に対する興味付けや購入検討の動機付けが期待できる。

しかしながら、個人情報の入力フォームにアンケート項目を増やすと、CVRが低下するというリスクが増える。このため、課題をつかんでマーケティングオートメーションによるソリューション提案を実現しリードナーチャリングの確度を向上させることを優先するか、コンバージョン件数を優先させるかの選択となろう。

前者の場合はより確度の高いリードナーチャリングが実現できる可能性が高くなるが、その分件数が減る可能性がある。後者の場合は、リードナーチャリングに苦労する可能性が増えるが件数が減ることはない。

要するにどっちを重要視するか?だけの問題である。

マーケティングオートメーションのメールマーケティングテクニック

以上、6つのメールマーケティングテクニックをご紹介した。通常のメール配信システムとは違い、マーケティングオートメーションではいろんなメール配信ができるということがお分りいただけただろう。

このような活用法を駆使することで、ネタの継続、リソースの最小化、クリック率や開封率の改善といったことも十分可能となる。せっかく導入したマーケティングオートメーションなのでうまく活用していただければと思う。

また、開封率・クリック率の低下で悩んでいるなら、下記のPDF資料も参考になる。

BtoBメルマガの開封率・クリック率を高める7つの法則
〜MA活用の効果を高めるメールマーケティングテクニック〜
https://btobmarketing.aluha.net/contact/white-paper/#r18

無料でダウンロードできるので是非お申し込みいただければと思う。

BtoBリードナーチャリングの基礎コラム


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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ALUHA代表取締役。1979年兵庫生まれのBtoBマーケティングコンサルタント。金沢工業大学大学院にて情報工学を専攻し2003年4月にALUHAを創業。2008年からBtoBに特化したマーケティング支援、営業戦略支援を開始。BtoBマーケティングや営業戦略の戦略立案から、計画実行とPDCA、そして人材育成を伴走型で支援。デジタルとリアルを融合させた戦略設計が得意。毎月全国各地の様々な企業でBtoBマーケティングセミナーを実施中。100社以上でのセミナー講演実績を持つ。大手IT企業、製造業(日立Gr、富士フイルムGr、キヤノンGr、積水Grなど)を顧客に持つコンサルタント。→セミナー講演実績→コンサル実績