商談の進まない見込み客への継続的な営業を実現する月1回のはてなブックマーク活用法

Last Updated on 2023年2月18日 by 荻野永策

BtoB営業(法人営業)では、下記のような「商談の進まない見込み客」が必ず存在する。

(1)商品・サービスに興味を持ってくれたものの、見積もり依頼にならない
(2)企画提案と見積もり後、検討中から先に進まない
(3)企画提案と見積もり後、提案を断られ、その後どうにも商談を進められない

このような見込み客に対して、「どのように営業を継続するか?」は、非常に難しい。しつこく売り込むと「迷惑営業」となり、逆に、放置すると「自然消滅」するからだ。

そこで、今回のコラムでは、このような商談の進まない見込み客に対して、「迷惑営業」を回避しながら、営業を継続し、かつ信頼関係を深める具体的な営業方法をご紹介する。無料でできる上に、月1回で十分なので、空いた時間でできるのが特徴だ。ぜひ最後までご覧頂いて、見込み客との信頼関係を深め、営業を継続し、将来のクロージングのチャンスに備えていただければと思う。

まずは、見込み客との信頼関係を作る上で重要な「単純接触効果」からご説明しよう。三河屋のサブちゃんが信頼されている理由はこの「単純接触効果」にあるのだ。

三河屋のサブちゃんが信頼されている理由「単純接触効果」とは?

あなたは、サザエさんに登場するサブちゃんをご存知だろうか?ウィキペディアでは下記のように紹介されている。

愛称は「サブちゃん」。年齢は19歳。初登場は1985年7月7日放送『売り出しますわヨ』。三河屋で働いていた三平が結婚して地元山形へ帰郷したため、その後任として三河屋にやってきた従業員である。御用聞きに来ると「ちは!三河屋です」というのがお決まりのセリフ。登場当時はビジネスバイクで配達していたが、現在は原付三輪で登場。サザエのことを「若奥さん」と呼ぶ。波平のことは、当初「磯野さん」だったが、時間が経つにつれ「大旦那さん」と呼ぶように変化した。人が好くカツオ達も世話になっており、磯野家からは家族ぐるみに近い待遇を受けている。町内の信頼を集めている好青年だが、やや気が弱い面もある。また職業柄、町内の情報に詳しい。浮江に気があるらしく、エピソード『あこがれの浮江さん』の回では浮江のところへ来たテニス仲間をボーイフレンドと誤解し、磯野家への御用伺いを放棄してしまうほどショックを受けていた。
(ウィキペディア サザエさんの登場人物 三郎

上記の紹介文では、「磯野家からは家族ぐるみに近い待遇を受け、町内の信頼を集める好青年」とある。なぜサブちゃんはこのような信頼を勝ち取っているのだろうか?当然人間性なども大きく影響しているが、その他にも「単純接触効果」が理由として考えられる。

何度も見たり、聞いたりすると、次第によい感情が起こるようになってくる。たとえば、よく会う人や、何度も聞いている音楽は、好きになっていく。これは、見たり聞いたりすることで作られる潜在記憶が、印象評価に誤って帰属されるという、知覚的流暢性誤帰属説で説明されている。また、潜在学習や概念形成といったはたらきもかかわっているとされる。図形や、漢字、衣服、味やにおいなど、いろいろなものに対して起こる。広告の効果も、単純接触効果によるところが大きい。CMでの露出が多いほど単純接触効果が起きて、よい商品だと思ったり欲しくなったりするのである。
(ウィキペディア 単純接触効果

つまり、サブちゃんは、日々町内のお客様に御用聞きをすることで、単純接触効果を生み出し、信頼を勝ち得ているのである。定期的に「会う」という行為にこのような心理学的な効果があるのだ。そのため、商談の進まない見込み客に対しても、この単純接触効果を作り出すことができれば、継続的な営業を実現しながらも信頼関係を深めていくことが可能となる。そして、この信頼関係は、クロージングのタイミングで大きな力を発揮することになる。

しかし、現実はそう甘くない。BtoB営業の場合、サブちゃんのようにはいかないのである。

BtoBの営業担当者がサブちゃんになれない4つの理由

BtoB営業の場合、単純接触効果を生み出すなら、サブちゃんのように定期的に訪問すればいいのか?ということになるが、4つの理由によってそれは実現できない。

第1の理由 距離の問題
サブちゃんは町内という限られたエリアで訪問を繰り返しているため、交通費・時間的コストは少なくてすむ。しかし、現実のBtoB営業はそうはいかない。遠方の見込み客が存在する。

第2の理由 時間の問題
サブちゃんは町内のお客様に訪問することが仕事である。つまり、訪問するための時間が十分に与えられている。しかし、現実のBtoB営業はそうはいかない。既存客のフォロー、営業事務(日報作成、在庫確認、伝票処理、企画書作成、見積もり作成など)など他の業務があるため、サブちゃんのように訪問に時間を割くことができない。

第3の理由 費用の問題
サブちゃんは町内という限られたエリアで訪問を繰り返しているため、交通費・人件費は最小限で済む。しかし、現実のBtoB営業はそうはいかない。遠方であれば、営業担当者の人件費、交通費(切符、ガソリン代、食事代など)が必要となり、営業経費が高くなる可能性がある。

第4の理由 訪問理由の問題
サブちゃんは、訪問して御用を聞くことが仕事なので、常に「訪問できる理由」が存在する。しかし、現実のBtoB営業はそうはいかない。訪問理由がなければ訪問することはできない。

この4つの理由があるからこそ、サブちゃんのように定期的な訪問が継続できず、単純接触効果を作り出せない。かといって諦めると見込み客を逃すことになり、売上にはつながらない。

そこで、サブちゃんのような訪問はできずとも、他の方法で単純接触効果を生み出す具体策をご紹介しよう。

これらを解決するのが月1回のはてなブックマーク活用

その方法というのが下記である。

(1)見込み客が欲しがる2つの情報をはてなブックマークで探す
(2)見つけたら自分の意見を数行にまとめる
(3)まとめたらURLをメール(または印刷して郵送)で見込み客に送る

たったこれだけで、単純接触効果を生み出しながら、継続的な営業を実施することが可能となる。では、はてなブックマークのことを知らない方のために、その概要をご説明した後、具体的な内容をご紹介しよう。

無料で使えるはてなブックマークとは

はてなブックマークとは、ソーシャルブックマークサービスの1つで、下記のように公式サイトでは説明されている(2015/7/15日時点)。

はてなブックマークは、オンラインにブックマークを保存・公開することで新しい体験ができる、ソーシャルブックマークです。はてなブックマークを利用すると、インターネットの情報をより深く理解でき、良質なページをより少ない時間で見つけられます。ブックマークすることで、知らないだれかと価値を共有するのは、すばらしいことです!
http://b.hatena.ne.jp/guide

ネットの旬を可視化するソーシャルブックマークサービス
インターネット上の旬な話題、その話題に対する世間の反応を知ることができるソーシャルブックマークサービスです。
http://hatenacorp.jp/information/

わかりやすく言えば、「インターネットのブックマーク(お気に入り)を、みんなで共有することで、みんながブックマークした旬なWEBサイトや情報を素早く手に入れましょう」というサービスである。

はてなブックマークのサービスサイトのトップページは、下記のようになっており、今話題になっているサイトをすぐに見つけることができる(下記は2015/7/15 15:40分ごろのトップページ)。

はてなブックマークのトップページ

トップページには、下記のような数値(赤枠部分)があるが、これが「ブックマークされたユーザの数」であり、インターネット上で注目されているかどうかの1つの指標になる。

はてなブックマークされたユーザの数

当然、注目度の高いWEBサイトは、ブックマークしているユーザー数が多くなる。このように、今話題になっているサイトをブックマーク数を指標にして情報収集できるのが大きな特徴である。

さらに、はてなブックマークはキーワード別にも「話題になっているサイト」を見つけることができる。はてなブックマークのトップページの右上に下記のような検索ボックス(赤枠部分)があるので、好きなキーワードで検索してみよう。

はてなブックマークの検索ボックス

例えば、「経費削減」と検索すれば、下記のような画面(2015/7/15 16時ごろ)になる。

経費削減と検索した時の画面 2015/7/15 16時ごろ

これは、経費削減に関して、どのようなWEBサイトが今注目を集めているのかを一覧表示した画面である。画面左の赤枠部分は、ブックマーク数を指定することができる。例えば、50ブックマーク以上の注目サイトを表示させたい場合は、「50users」をクリックすれば良い。

このように、はてなブックマークでは、今注目となっている情報を的確に収集することができるのである。この便利なサービスをうまく活用して、商談の進まない見込み客への継続的な営業を実現し、単純接触効果を生み出すのである。

4つの理由を解消する手順

それでは、はてなブックマークを使った具体的な営業方法の説明をしよう。まず手順は上述した通り、3つある。

(1)見込み客が欲しがる2つの情報をはてなブックマークで探す
(2)見つけたら自分の意見を数行にまとめる
(3)まとめたらURLをメール(または印刷して郵送)で見込み客に送る

(1)見込み客が欲しがる2つの情報をはてなブックマークで探す

最初は、はてなブックマークで「見込み客の欲しがる2つの情報」を探そう。見込み客の欲しがる2つの情報とは、BtoBの場合、下記のような情報である。

見込み客が欲しがる情報1「知識アップ情報」

見込み客の担当者にとって知識アップにつながるような情報をはてなブックマークで探そう。探し方は担当者が所属する部門別に考えるとよい。

  • 営業部ならマーケティング、営業戦略、クロージングの仕方・営業の仕方に関する情報
  • 総務部なら経費削減、業務効率化に関する情報
  • 経営者ならマーケティング、経営戦略、差別化に関する情報
  • 製造部・工場なら生産性アップ、需給調整、需要予測、在庫調整に関する情報

このように部門別にこういう情報がほしいのではないか?と想定し、見つけ出すのである。もし何度か会っている見込み客であれば、普段の会話からあの人ならこういう情報かな?と想像ができるのであればその想像を信頼して見つけ出すと良い。

見込み客が欲しがる情報2「市場情報」

2つ目は、見込み客の扱う製品・サービスに関連する市場情報である。市場情報とは、主に下記のような情報だ。

(1)最新の技術・研究成果に関する情報
新しい技術・研究成果に関する情報

(2)競合の動向に関する情報
見込み客の競合他社に関する情報(プレスリリースや競合の新しい取り組み情報など)

(3)ニーズ調査に関する情報
見込み客の製品・サービスを購入するお客様(あなたから見れば顧客の顧客)のニーズに関する情報(はてなブックマークのコメント情報、顧客の顧客が書いたブログの情報など)

(4)セミナー・展示会に関する情報
見込み客の製品・サービスに関連するセミナーや展示会の情報

この2つの情報をまずは探す!

このような情報をはてなブックマークで探してみて欲しい。相手が誰か?によって欲しがる情報の種類・内容も異なるし、当然キーワードも異なる。そのため、マニアックな情報の場合は見つからないこともあるので、その場合はご容赦いただきたい。

(2)見つけたら自分の意見を数行にまとめる

はてなブックマークで情報を見つけたら、その情報に対して自分のコメントを考え、メールの文章を作ろう。例えば下記のようなイメージだ。

——————

**様(相手の名前)

ネットでこんな情報を見つけました。
ソーシャルメディアですごくシェアされていて話題になっています。
(はてなブックマークで**人以上がブックマークしてます!)

http://www.・・・・

営業戦略に関してうまくまとめてあったので、もしかしたら**さんにとって役立つかもと思い、メールしました。このサイトに書いてある内容で、この部分に関して私はすごく面白いなって思いました。**さんはどう思います?また良かったら意見聞かせてください。

——————

サイトの内容に軽く触れつつも、ソーシャルメディアで話題になっている点に触れることが重要だ。そうすることで、客観的な話題性を証明できる。「この情報、面白いですよ」とただ自分の意見を言われるよりも、「50人以上がブックマークした情報なので面白いですよ」と言われた方が、客観性があり興味を引くのである。

(3)まとめたらURLをメールで見込み客に送る

まとめたら、その内容をメールで送ってみよう。メールのタイトルは、「**さんへ。**に関して気になるサイトを見つけました」というタイトルでよい。

このような活動を月1回、定期的に行う。すると、継続的な営業が実現し、さらに、メールがあなたの代わりに単純接触効果を生み出してくれる。つまり、信頼関係も時間とともに深くなっていくのである。

メールなので、日々訪問しているサブちゃんほどの効果はないが、訪問は4つの理由によりできないので、メールに任せるのだ。

この活用法で得られる2つの営業効果

この営業方法では、2つの営業効果を得ることができる。

商談の進まない見込み客との信頼関係構築

1つ目は、冒頭でも記載したように、商談の進まない見込み客への営業の継続と信頼関係構築が実現する。少なくとも月1回、あなたからの情報が見込み客に提供されるので、単純接触効果が生まれる。

「いつも何かしら面白い情報をくれる人」として認知されるわけだ。それが信頼・好意につながるのである。さらに、検討中から進まないのであれば、月1回の情報提供のメールに、「例の件、進捗があればご連絡くださいね」と一言書いておくだけでもよい。何かあれば連絡が来るだろう。そこにクロージングのチャンスが生まれ、築いておいた信頼関係が生きてくる。

既存客の流出防止という効果もある(売りっぱなし防止)

2つ目は、この方法は見込み客だけでなく既存客の維持にも使える。あなたは、商品・サービスを売り終えたら、売りっぱなしになっていることはないだろうか?売りっぱなしは見込み客の放置と同様、非常に危険である。

そこで、売りっぱなしを防止するためにこの方法を使う。月1回、メールを送る際には、「先日、納品した製品、問題などありませんか?何かありましたらご連絡ください」と書き加えるだけである。こうすると、いつも気を使ってくれる人として、単純接触効果が生まれ、信頼関係がより深くなるだろう。その結果、何度もあなたから購入してくれる優良顧客になるかもしれない。

まとめ

今回は、商談の進まない見込み客への継続的な営業方法と信頼関係構築方法について、はてなブックマークの使い方をご紹介した。毎月15日は「はてなブックマークの日」のようにスケジュール帳に記載し、毎月実行してみてはいかがだろうか?クロージングしたい見込み客にメールを送るだけの簡単な営業方法である。時間、費用もかからないので、ぜひお勧めしたい。(平成27年7月22日 株式会社ALUHA WEBマーケティングコンサルタント 荻野永策 http://btobmarketing.aluha.net/


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