MAツール導入「マーケティングオートメーションを選ぶときに重要な6つの比較項目」

マーケティングオートメーションを導入するための6つの製品比較項目
Last Updated on 2024年10月19日 by 荻野永策

人手不足やマーケティングDXが加速する中、BtoBマーケティングの生産性向上や成果向上において、MAツールの導入と活用は非常に重要だ。そこで今回のコラムでは、MAツール導入におけるマーケティングオートメーションの比較項目を6つご紹介する。これからMAツール導入を検討しているBtoB企業はぜひ参考にしてほしい。

マーケティングオートメーション(MA)とは?導入目的やメリット

マーケティングオートメーション(MA)とは、リードナーチャリング(見込み客の育成)と、リードクォリフィケーション(有望なリードの選別・抽出)のマーケティング業務を効率化することを主軸においたITツールのことだ。製品によっては、リードジェネレーション(新規見込み客の獲得)までをカバーする製品もあるが、メインはリードナーチャリングとリードクォリフィケーションである。

マーケティングオートメーションの詳細については、下記のコラムでより詳しくまとめているので、基礎から学びたい方は是非ご覧いただければと思う。マーケティングオートメーションの導入メリットや目的、何ができるのか、どんな機能があるのか、活用事例にはどんなものがあるのかなど、基礎を詳しく解説している。

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MAツールの導入を検討するときの製品比較項目

MAツールの導入で、やはり迷うのは製品の比較と選定だ。マーケティングオートメーションには下記のような様々な製品があるため、どれが自社に合うのかわからないといったBtoBマーケティング担当者も多いだろう。

マーケティングオートメーション製品一覧
  • b→dash
  • Kairos3
  • ListFinder
  • MAJIN
  • Marketo
  • Marketing Cloud Account Engagement(Pardotから名称変更)
  • SHANON MARKETING PLATFORM
  • Eloqua
  • HubSpotなど

確かにこれだけ製品があると迷うのは当然だ。

そこで、今回のコラムでは、マーケティングオートメーションの製品選定の際に、重要視すべき6つの比較項目についてご紹介する。「重要視すべき6つの比較項目」は「マーケティングオートメーションの運用面から導き出した製品比較項目」である。

運用面での製品比較とは、マーケティングオートメーションの導入後、よく発生する課題をベースに製品比較項目を作成し、その項目においてマーケティングオートメーションの製品比較を行うことをいう。

このような製品比較を行うことで、導入後の課題に対して、事前策を打てるだけでなく、マーケティングオートメーションをよりうまく活用・運用できるようになる。つまり、より御社の運用にあった製品選定ができるようになるのだ。

それでは、マーケティングオートメーションの運用面での6つの製品比較項目についてご紹介する。最初に、マーケティングオートメーション導入後によく発生する課題を整理・定義し、そこから6つの製品比較項目をご紹介する。

MAツールの導入後のよくある3つの課題

導入後の課題1「リードスコアリングのみではホットリードかどうか判断できない」

MAツール導入後によく発生する課題として、「リードスコアリングのみではホットリードかどうか判断できない」がある。

マーケティングオートメーションには、「リードスコアリング」という機能がある。これは、リードに対してWEB閲覧履歴などをベースに加点方式でスコアをつける機能だ。例えば、料金ページを見たリードには10点加点、事例ページを見たリードには8点加点というイメージだ。これにより、リード毎にスコアが付与されるようになり、スコアが高いほど、自社製品に興味を持っていると判断することができるようになる。

しかし、リードスコアリングには落とし穴がある。スコアが高いと確かに製品に興味があると定義することは可能だろう。だが、購入の確度が高いリードは全員スコアが高いのか?と逆説するとそうでもないのだ。

よくあるケースとしては、リードが個人的な興味でWEBサイトを回遊し見回っているケースだ。こういった場合、サイトへのアクセスが増加するのでスコアが高くなるが、その動機は「個人的興味」である。その結果、スコアだけが異様に高いリードとなってしまう。これを加味せずにホットリードと判断してインサイドセールスや営業部に送客しても、案件化しないという事態に陥る。

導入後の課題2「メール配信しても開封率・クリック率が伸び悩み、誰に何を配信して良いかわからなくなる」

MAツール導入後によく発生する2つ目の課題として、「メール配信しても開封率・クリック率が伸び悩み、誰に何を配信して良いかわからなくなる」がある。

マーケティングオートメーションでは、リードに対して一斉メール配信が可能だ。そのため、全リードに対してセミナー案内、イベント案内、事例案内など、様々なメールを配信できる。

しかし、事業数や製品数が多くなり、かつ、リード数が数千、数万と多くなればなるほど、共通の話題がなくなり、誰に何を配信して良いかわからなくなる。その結果、クリック率、開封率が悪化するだけでなく、場合によってはオプトアウトまで発生してしまう。そうなると、ますます、誰に何を配信すれば良いかがわからなくなる。

導入後の課題3「営業部・インサイドセールスへリード展開後のリード管理が困難」

MAツール導入後によく発生する3つ目の課題として、「営業部・インサイドセールスへリード展開後のリード管理が困難」がある。

リード管理とは、営業部やインサイドセールスにリードを送客した後のリードの状況を共有することだ。例えば営業担当者によるアプローチが継続中なのかクローズしているのかなどの情報共有である。

営業担当者が属人的に案件管理を行っているような場合、その状況を把握しているのは当人だけとなる。そのため、リードを送客した後、マーケティングオートメーションで何をすれば良いか?が判断できなくなるのだ。この「送客後のリードの情報共有」はマーケティングオートメーション導入後の課題として必ず出てくる。

MAツール導入時に比較すべき6つの項目

課題1に関連するMAツールの3つの製品比較項目

最初に課題1に関連する3つの製品比較項目をご紹介する。課題1とは、「リードスコアリングのみではホットリードかどうか判断できない」である。

MAツールの製品比較項目1「組織スコアリング」

1つ目の製品比較項目は「組織スコアリングができるマーケティングオートメーションかどうか」だ。マーケティングオートメーションには、上述した通りリードスコアリングという機能がある。これは、マーケティングオートメーションに登録されているリード個人のスコアを管理する機能だ。

これに対して、「組織スコアリング」とは、リードが所属している組織のスコアとなる。組織スコアは「会社の基本情報(売上、資本金、従業員数、業種など)」に対するスコアリングだけでなく、「組織的なWEBアクセスがあるかどうか」のスコアリングも含まれる。

BtoBの場合、製品を購入する際には組織的に検討するため、WEBアクセスも組織的なアクセスとなることが多い。組織的なアクセスとは、「リードが所属している会社から何人ものアクセスがある」ことをいう。組織的なアクセスがある場合、リード個人が興味本位でWEBアクセスしているのではないため、ホットリードである可能性が高くなるのだ。

そのため、組織的なアクセスがあるかどうかが確認できるマーケティングオートメーションがよいだろう。そういった仕組みが実装されているか、比較の際に確認すると良い。

MAツールの製品比較項目2「企業の基本情報とのデータ連携やクレンジング」

2つ目の製品比較項目は、「企業の基本情報とのデータ連携やクレンジングができるかどうか」だ。マーケティングオートメーションにリードを登録する場合、会社名や名前、メールアドレスは登録するが、その企業の基本情報については登録しないことが多い。基本情報とは、売上、URL、従業員数、業種、資本金などである。

このため、マーケティングオートメーションにリードを登録したら自動的に基本情報と連動するような仕組みがあると便利である。さらに、名寄せ機能もあると便利だ。名寄せとは社名などを統一する機能のことで、データクレンジングの一種である。

例えば、(株)ALUHA、株式会社アルハ、株式会社ALUHAの3つは全部同じ会社であるが、社名が異なっている。そのため、同じ会社なのに名前が異なっているというような場合、自動的に統一してくれるような仕組みがあると便利である。

このような仕組みがあれば、リードをマーケティングオートメーションに登録した段階で、自動的に名寄せが実行され、リード企業の基本情報が付与されることになる。そうなれば、ホットリードかどうかを判断する際の判断材料が増え、営業部・インサイドセールスへの送客もやりやすくなるだろう。

MAツールの製品比較項目3「別システムのコンバージョンとの連動」

3つ目の製品比較項目は、「別システムのコンバージョンとの連動ができるかどうか」だ。

例えばセミナーを頻繁に行なっている場合、セミナー管理システムを導入していることがある。この場合、セミナーの申し込みはセミナー管理システム側で受け付ける(セミナー申し込みフォームをセミナー管理システムで作る)ことになる。

この時、マーケティングオートメーションとセミナー管理システムが連動していなければ、リードがセミナーに申し込みをしたという事実が、マーケティングオートメーションに伝わらず、スコア反映がされないことになる。さらに、それだけではない。セミナーに申し込み済みのリードに対して、マーケティングオートメーションからセミナー案内メールが配信されるといった事態も発生してしまう。

こういった事態を防ぐためにも、別システムのコンバージョンとマーケティングオートメーションが連動しなければならないのである。連動していれば、セミナー申し込みというコンバージョンに対してスコアリングもできるようになるため、ホットリードかどうかの判断もより確実なものとなる。

課題1に関する製品比較項目まとめ

このように、課題1「リードスコアリングのみではホットリードかどうか判断できない」に対しては、下記の3つのマーケティングオートメーション製品比較項目を検討すると良いだろう。

(1)組織スコアリングができるかどうか?
(2)企業の基本情報とのデータ連携やクレンジングができるかどうか?
(3)別システムのコンバージョンとの連動ができるかどうか?

これらができるかどうかで、ホットリード判断もより確実なものになるだろう。

課題2に関連するMAツールの製品比較項目

では次に、課題2に関連するマーケティングオートメーションの製品比較項目を1つご紹介する。課題2は「メール配信しても開封率・クリック率が伸び悩み、誰に何を配信して良いかわからなくなる」である。

MAツールの製品比較項目4「アンケート活用できるかどうか」

マーケティングオートメーションによるリードナーチャリングを効果的に行うには、リードにとって有益な情報をOneToOneで情報提供することが最も効果的である。そのためには、リードの「ニーズ」を把握し、ニーズにあわせたメールを柔軟に配信することが重要となる。

リードのニーズについては、下記のコラムが参考になるので、お時間ある方はぜひご確認いただきたい。

3つのニーズを掴みホットリードに育てるリードナーチャリングを実現しよう

BtoBリードナーチャリング戦略のメールコンテンツで活用すべき3つのニーズ

2019年2月1日

このような3つのニーズを把握するには、アンケートフォームを活用することが具体策の1つとなる。そうなると、マーケティングオートメーションで柔軟なアンケート活用ができるかどうか?が製品比較のポイントになるだろう。

あなたが検討しているマーケティングオートメーションツールで、アンケートフォームの作成は可能だろうか?可能ならどんなアンケートが作成できるのだろうか?しっかり調査しておこう。

またアンケートはさまざまな質問をするため、リードのDB項目数がアンケートを実施すればするほど肥大化していく。こういったリードのDBの項目管理のしやすさなどもMAツール導入時には検討しておこう。

課題3に関連するMAツールの2つの製品比較項目

最後、課題3に関連するマーケティングオートメーションの製品比較項目を2つご紹介する。課題3は「営業部・インサイドセールスへリード展開後のリード管理が困難」である。

MAツールの製品比較項目5「SFAなどの他部門とのシステム連携ができるかどうか」

5つ目の製品比較項目は、「SFAなどの他部門とのシステム連携ができるかどうか」だ。

営業部門はSFAなどで商談管理を行っている。そのため、営業部にリードを送客すると、その情報はSFAに登録される。送客したリードに対して、APO獲得できたのかどうか、見積もりしているのかどうか、デモをしているのかどうか、個別相談をしているのかどうかなど、最新の商談の進行状況はすべてSFAで管理されている。

こういった、最新の商談の進行状況がマーケティングオートメーションにもフィードバックされると、メールで的確なフォローができる。例えば、見積もり提案をしていて契約寸前のリードであれば、セミナー案内や個別相談会の案内メールなどは配信しない(営業担当者の個別対応に任せる)といった気遣いも可能だ。

逆にフィードバックされていないと、良かれと思いマーケティングオートメーションからメールを配信すると、営業部門からクレームになることもある。例えば、トライアルが完了したリードに対して、「トライアルしませんか?」というメールが配信されてしまうなどだ。

このように、マーケティングオートメーションからのメール配信は、営業担当者の営業活動とも連動しなければならないため、SFAのようなシステムとの連携は必須なのである。

MAツールの製品比較項目6「外部パートナーとの連携」

6つ目の製品比較項目は、「外部パートナーとの連携ができるかどうか」だ。

マーケティングオートメーションでリードナーチャリングを行い、ホットリード化に成功すると、営業部に送客するだけでなく、場合によっては販社(代理店)に送客することもある。

この場合、外部企業に送客することになるため、情報共有が非常に難しい。一次代理店、二次代理店という具合に深くなると、情報共有はほぼ不可能と言って良いだろう。

だが、事前にどうするか?どこまで共有できそうかくらいは検討した上で、マーケティングオートメーションの製品比較をすると良いだろう。

MAツール導入の製品比較項目まとめ

以上、マーケティングオートメーションの3つの課題に対して、6つの製品比較項目をご紹介した。

MAツール導入の3つの課題
  1. リードスコアリングのみではホットリードかどうか判断できない
  2. メール配信しても開封率・クリック率が伸び悩み、誰に何を配信して良いかわからなくなる
  3. 営業部・インサイドセールスへリード展開後のリード管理が困難
MAツール導入の6つの製品比較項目
  1. 組織スコアリングができるかどうか?
  2. 企業の基本情報とのデータ連携やクレンジングができるかどうか?
  3. 別システムのコンバージョンとの連動ができるかどうか?
  4. アンケート活用できるかどうか?リードDB項目の増大にはどう対応するか?
  5. SFAなどの他部門とのシステム連携ができるかどうか
  6. 外部パートナーとの連携ができるかどうか?

御社でもこれからマーケティングオートメーションの導入を検討する場合は、この6つの製品比較項目も視野に検討いただければと思う。

BtoBマーケティングの基礎コラム


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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ALUHA代表取締役。1979年兵庫生まれのBtoBマーケティングコンサルタント。金沢工業大学大学院にて情報工学を専攻し2003年4月にALUHAを創業。2008年からBtoBに特化したマーケティング支援、営業戦略支援を開始。BtoBマーケティングや営業戦略の戦略立案から、計画実行とPDCA、そして人材育成を伴走型で支援。デジタルとリアルを融合させた戦略設計が得意。毎月全国各地の様々な企業でBtoBマーケティングセミナーを実施中。100社以上でのセミナー講演実績を持つ。大手IT企業、製造業(日立Gr、富士フイルムGr、キヤノンGr、積水Grなど)を顧客に持つコンサルタント。→セミナー講演実績→コンサル実績