BtoBマーケティングや営業戦略において、営業手法・マーケティング手法にはいろんな方法がある。私が思いつく限り書いていくと、下記の4つがある。
(1)御用聞き営業
(2)商品提案営業
(3)ソリューション営業
(4)コンサルティング営業
それぞれメリット・デメリットがあるが、1つだけ言えることがある。それは、BtoBの場合、御用聞き、商品提案営業では新規開拓が難しい時代になっている点だ。
「こんな商品あるんですが話聞いてもらえませんか?」
「こういうことができるので何か御用はありませんか?」
このように営業しても新規顧客を開拓できることはほとんどない。
そこで、重要なのが「ソリューション営業」である。御用聞きや商品提案にはない営業スタイルであるため、新規開拓の可能性を切り開いていくことができる。
しかし、ソリューション営業といっても、そう簡単にできることではない。ソリューション営業しているつもりが実は商品提案だったり、ソリューション営業していても、課題解決につながっていなかったりなどの問題点があるからだ。
そこで、このソリューション営業について、具体例をあげながらわかりやすくご紹介したい。特にIT業界はソリューション営業が盛んなのでIT業界にもフォーカスしながらソリューション営業の本質についてご紹介する。
そして最後には、「ソリューション営業がうまくいかないときはこうすればいいのか!」とヒントを掴んでいただければ幸いだ。
そもそもソリューション営業とは?
ソリューション営業とは、簡単に言えば、「お客様の課題を聞き出し、その課題の解決策を提案して商品を売ること」である。そのため、お客様の課題を知ることから始まり、そしてその解決方法として最適な方法を提案した上で、自社製品を売り込むという流れになる。
ポイントは、下記の3つだ。
(1)お客様の課題を知ること
(2)課題の解決策を考えること
(3)解決するために自社製品をどう使えばいいか?を解決策に組み込むこと
お客様から見ればあなたの商品は自分の課題を解決するための「手段」でしかない。そのため、(3)が非常に重要である。これがソリューション営業の最大のポイントといってもよいだろう。
システムインテグレーター(SIer)業界におけるITソリューション営業
このソリューション営業の代表的な業界の1つにIT業界(システムインテグレーター(SIer)業界)がある。
実際に、システムインテグレーターを行う企業のWEBサイトを確認すると、「***ソリューション」というように、様々なソリューションが提案されており、「課題から製品を探す」というようなしかけもサイト上にあるくらいだ。
最近では、
(1)マイナンバーソリューション
(2)ビッグデータソリューション
(3)BI(ビジネスインテリジェンス)ソリューション
などいろんなソリューションが提案されている。
このようなソリューションの場合、わかりやすく記載すれば、商品とソリューションは下記のようになる。
<マイナンバーソリューションの場合>
商品
従業員のマイナンバーを管理するITシステムのこと
ソリューション
マイナンバーをどのように収集・管理すべきか?のコンサルティングからシステム構築・改善までを行い、マイナンバーの管理を効率化すること
一見、ソリューション営業できているように見えるが、実は、これだけでなく、さらにもう一段階、ソリューション営業の営業力を強化するちょっとした工夫がある。
この工夫を加えることで、一味違うソリューション営業となり、うまくいかないソリューション営業が改善される可能性がある。
その工夫を具体例を交えながらご紹介しよう。
ソリューション営業の具体例「ソーラーキャンドルライト」
ソリューション営業の具体例として、ソーラーキャンドルライトをご紹介したい。BtoBの商材ではないが、わかりやすいので紹介材料として採用している。
まずは商品の概要をご説明する。
商品紹介サイト: http://www.felissimo.co.jp/ecolor/wk15700/gcd626945/002/
キャンドルのような雰囲気のあるライトで、最大の特徴はそのほんのりした明るさがかもし出す雰囲気作りである。詳細はサイトをご覧いただきたい。
次に、このライトをソリューション営業するとどうなるか?をご紹介する。それが、下記のブログだ。
キャンドルナイトの過ごし方
http://www.ecolor-blog.com/2011/07/625-e678.html
記事から引用
6月のソーラーキャンドルナイトは、友だち6人で集まって、「太陽が夜を照らす6月25日」と題して、ソーラーキャンドルのやさしい明かりのなか、おいしい食べものでほっこりする夜を過ごしました。それではレポートですっ
ソーラーライトを並べたり、荷造り用のビニールひもをつかって“かご”を編んで吊り下げたりしてみました。囲んだお料理の一部もご紹介。岩手・南部鉄器でお料理したパエリアや鶏肉のトマト煮込み。
神戸の夜景とホタルのようなキャンドルの明かりのなか過ごした数時間は、しみじみとした夜の心地よさ、おいしいごはんでにっこりする笑顔、ゆったりとした夜の流れを感じさせてくれました。大勢でキャンドルライトを囲んでごはんを食べるのも楽しいし、お風呂でロマンティックな明かりに包まれるのも素敵♪
ブログの記事では、神戸の夜景、美味しい料理、そしてソーラーキャンドルの優しい光に囲まれた友人と過ごす素敵な夜を提案している。
このソーラーキャンドルの提案で、特徴的なのは「ソリューションのあるべき姿」を「視覚的に見せている」点だ。ソリューションの見える化とでもいえばよいのだろうか。
ソーラーキャンドルが「友人と素敵な夜が過ごせます」とソリューション営業するだけでは、どんな夜が過ごせるのか?がわからない。
しかし、このブログでは、部屋の雰囲気、料理、窓から見える夜景まで紹介している。ここまで具体的だと、「なるほどこういう過ごし方ができるのか」とイメージが具体的になる。
それが「ソリューションの見える化」となる。
お客様の目線で言えば、「自分はこういうふうになれるんだ」という「お客様のあるべき姿の見える化」である。
ソリューション提案では「お客様のあるべき姿」を見せること
ソリューション提案では、この「あるべき姿」が非常に重要である。こういう課題をこう解決できますと説明しても、BtoBの場合わかりにくいケースが多い。特に ITソリューションはシステムであるがゆえに伝わりにくいのである。
そこでこのソーラーキャンドルのように「あるべき姿」を見える化するのである。
上述したマイナンバーソリューションであれば、そのソリューションを導入したら、お客様のマイナンバー管理が「どうなるのか?」をあるべき姿としてみせるのである。一言で言えば、「マイナンバー管理のあるべき姿」である。
この「あるべき姿」がお客様のニーズと合致すれば、お客様がソリューションに対して興味を持ってくれるだろう。
よって、ソリューション営業がうまくいかないときの対処法は、「あるべき姿を描き、あるべき姿を視覚的に見せるように工夫すること」である。
あなたのソリューション営業、あるべき姿を「見せて」いますか??見せていないなら、それがうまくいかない原因なのかもしれない。