BtoBマーケティングや営業戦略においては、営業の人手不足や高齢化、コロナ、営業DX推進などの影響で、デジタル活用の重要性が向上している。しかし、BtoB業界では、事業特性(顧客や商材の特性)により、マーケティングや営業のデジタルシフトは非常に難しい側面もある。
そこで、弊社では、「BtoB企業のマーケティングや営業活動におけるデジタル活用の意識調査」を行った。このページでは年別の意識変化とコロナの影響について解説する。
年別のデジタル活用の意識変化「売り手側の意識調査」
まずはBtoB企業の売り手側のデジタル活用に関する意識調査結果を報告する。売り手側であるため、「自社製品やサービスを売る時にデジタルを活用するかどうか?」の意識調査となる。
調査期間 | 2019年6月17日から2024年12月31日 |
調査方法 | 弊社WEBサイトによるアンケート調査。社名、名前、連絡先などの記入を必須としたため、BtoB企業以外(個人や個人事業主も含む)の回答は全て除外済み |
質問内容 | 「営業やマーケティング施策の効率化・効果改善のために「デジタル活用」を検討されていますか?」と質問 |
回答人数 | 1869名 |
主な回答者 | BtoB企業の営業やマーケティングの担当者、責任者(主に、IT企業、製造業が中心) |
調査実施企業 | 株式会社ALUHA(ALUHAのBtoBマーケティングコンサルティングサービスの概要ページ) |
- 弊社の社名「株式会社ALUHA」と弊社のサービス名「BtoBマーケティングコンサルティング「THREE-VIEW」」の記載
- 弊社URL(https://btobmarketing.aluha.net/column-wp/digital-utilization-survey)へのリンクの記載
引用・転載に関する注意事項や事前確認については、こちらのページもご参照ください。
2020年から2021年にかけて、コロナ禍の影響によりデジタル活用を意識したBtoB企業が急激に増加しているものの、逆にデジタル活用しないと決めているBtoB企業も増えている。2023年には、「デジタル活用(WEBやメール)を意識している企業が46%程度」そして、「デジタルを使わない、もしくは悩み中などのBtoB企業が54%程度」となり、BtoB業界が二極化している状態だ。2024年もこの傾向は継続しているが、「デジタル活用はするつもりはない」と「デジタル活用に興味がある程度で何もきめていない」が共に増加(2から3%前後増加)している。
2024年の結果から見るBtoBマーケティングの最新動向
2024年の調査結果をふまえて、BtoBマーケティングや営業の最新動向を考察してみよう。
リアル活用の増加
コロナ禍によりBtoBデジタルマーケティングやデジタルセールスの活用が増加したが、今後はその反動でリアル活用が増加していく可能性がある。「デジタルからリアルへの回帰」といえるような現象が発生する可能性がある。その理由としては、やはり、「デジタルがどのくらい営業やマーケティングに貢献(売上貢献)したのか?」を測定することが難しいためだ。WEBを活用して新規リードを獲得したり、メールを活用してリードを育成しても「売上貢献したのか?」の測定が難しい以上、なかなかデジタル活用の重要性が社内に広がることは難しい可能性がある。
しかしながら、人手不足や高齢化が深刻化し、効率的なリソース(人材)活用の重要性が向上する中で、このような傾向に突き進むのもリスクが伴う。加えて、BtoB企業の買い手側(顧客側)の購買プロセスの変化も大きな影響を与える。本記事の下部にある「年別のデジタル活用の意識変化【買い手側の意識調査】」においても、WEBサイトで購入先の情報を収集していると回答している企業が非常に多い(約56%)。
こういった状況であるため、BtoB企業の戦略立案責任者にとって、非常に悩ましい時代に入っていると言える。
デジタルマーケティングやデジタルセールスの人材育成
「リアルへの回帰」が発生しつつも、44%程度のBtoB企業はデジタルマーケティングやデジタルセールスを推進している。こういったBtoB企業の2024年の課題を調査してみると以下のような回答(弊社のお客様や見込み客に対して行ったアンケート調査の結果から一部抜粋)が得られた。
デジタルマーケティングやデジタルセールスを推進しているBtoB企業においては、「マーケティングスキル」や「インサイドセールスのスキル」、「デジタル活用のスキル」を持つ人材の不足に悩んでいる傾向がある。このため、デジタルマーケティングやデジタルセールスの人材育成の強化が今後、活発になると考えられる。
デジタルコンテンツの生成AI活用
このような状況の中で、今後大きな影響を与える可能性があるのが生成AIだ。実際に弊社のお客様でも生成AIを活用してデジタルコンテンツの生成を行っており、それらのコンテンツが起点となり売上貢献につながっているBtoB企業の成功事例も発生している。
生成AIは、マーケティングやセールスコンテンツを作成する工数を大きく削減できる可能性があるため、人材不足やスキル不足を補うソリューションになる可能性がある。そのため、今後、BtoB企業での活用は増加する可能性がある。
年別のデジタル活用の意識変化【買い手側の意識調査】
BtoB企業の買い手側(顧客側)が、製品やサービスを導入検討する際に、何を情報源にするのか?の調査レポートが公開されている。「トライベック・ブランド戦略研究所のBtoBサイト調査」の調査結果データを弊社にてグラフ化すると以下のような結果となった。買い手側については、2018年ごろからWEBサイトを情報源にしている傾向が強くなっている。このため、買い手側は「WEBサイト」と「営業員や技術員の説明」を最も重要視している傾向があることがわかる。
また、「WEBサイト」と「営業員や技術員の説明」の「差」がコロナ後以降、なくなっていることから、「WEBなどだけでは判断ができない」「やはりちゃんと説明してほしい」といった買い手側の意思の変化が見られる。このため、売り手側としては、「営業の人手不足や高齢化」が発生する中で、どのようにこの局面を乗り切っていくか?が重要と言える。
「トライベック・ブランド戦略研究所のBtoBサイト調査」の調査結果データの中から、「企業のWEBサイト」「営業員・技術員の説明(オンラインとオフライン)」「研修・セミナー・展示会(オンラインとオフライン)」「メルマガ」の項目に絞って集計している。年によって質問の項目が異なっているため、この4つの項目に絞って集計を行った。
売り手側の年別詳細データ
売り手側の2019年から2024年の詳細、および、コロナの影響については以下でも詳しくご紹介している。