BtoBマーケティングの推進体制の作り方|社内関係者に対する重要性の浸透とリテラシー向上の仕方

浸透しない・評価されない!BtoBマーケティングの障壁を突破するヒント
Last Updated on 2024年4月1日 by 荻野永策

BtoBマーケティングのコンサルティングを行なっていると、「うちの会社はBtoBマーケティングの重要性を誰も理解していない」や「マーケティングリテラシーを営業部門などの関連部門にも持って欲しいけどすごく難しい」という悩みをもつBtoBマーケターに出会うケースが多い。

このようなケースは本当に多く、過去にはお客様から下記のようなご相談やご質問を弊社にいただいている。

マーケティングリテラシーが低い組織の教育やマーケティング視点の導入を進めるにはどうすればいいか?(製造業:P社U氏)
マーケティング知識を持つ者が社内にいないため、マーケ知識を社内に浸透させ売上upに活かすにはどうすればいいか。(IT業:B社T氏)
「社内組織にマーケティング戦略体制を浸透させる」にはどうすればいいか?(製造業:K社S氏)
マーケティングの施策で小口販売顧客を増やしていきたいが、この領域の理解が不足している。また、始め方と社内予算の引き出し方等で悩んでいる。(製造業T社S氏)
デジタルマーケティングの取り組みが、社内に浸透せず困っている。(IT企業:Z社H氏)
BtoBビジネス商談件数UPのためにホームページが果たすべき基本的な役割・機能とその効果について社内で十分に理解されていない。(IT企業:R社K氏)
現場の営業担当者にマーケティングの必要性をどうやって納得してもらうか?というところに難しさを感じています。(IT企業:F社)

このように、マーケティングの重要性に対する社内理解と評価、そしてリテラシーの低さは、BtoB企業のマーケティング推進の大きな障壁となっている。この結果、営業とマーケティングが対立したり、評価もされず、孤独に業務をこなしているBtoBマーケターが増えたりしている。そして下記のような課題が重くのしかかることになる。

BtoBマーケターに重くのしかかる課題の例
  1. マーケティング施策に対して予算がつかない
  2. セミナーや展示会、WEBサイト更新、メール配信をやっている人たちと社内で認識される
  3. マーケティングに必要なコンテンツ作りに他部門が非協力的で一向に進まない
  4. 顧客目線のコンテンツが作れず、成果が出ない
  5. マーケターの育成とチーム作りが一向に進まない
  6. マーケティング施策に対して適切な評価がされない

そこで、今回のコラムでは、BtoBマーケティングの重要性の社内理解とリテラシー向上について、どのように進めるべきなのか?のALUHA式プロセスをご紹介する。

どのようにBtoBマーケティングを進めるべきか?

BtoBマーケティングの重要性に対する社内理解と評価、そしてリテラシーが低い状態の中で、どのようにBtoBマーケティングを進めていくべきだろうか?

その方策としては、BtoBマーケティングのおかげで「売上が作れた(もしくは売上のきっかけが作れた)」という「成功体験」を作り出すのが良い。なぜなら、売上は評価につながる数値そのものであるし、経営層や上層部への説明・説得に大きな説得力を持たせることができるからだ。特に営業部門からの評価が高くなる可能性が見込める。弊社では、このような「成功体験」を「小さな成功体験」と呼称している(以下、「小さな成功体験」と記載)。

そして、この小さな成功体験を、下記のように創出することができれば、BtoBマーケティングの推進のきっかけになる可能性が非常に高くなる。

比較的短期間かつ低工数
BtoBマーケティングの重要性を早く浸透させたいため、最小の時間で小さな成功体験を作り出せれば理想的だ。さらにできる限り、コストを少なく抑え、リスクを最小化し、再チャレンジできるようにしておくことも必要である。こうすれば、社内の横展開もしやすく浸透もスムーズに進む。
高い受注金額
小さな成功体験で、売上のきっかけを作った後、実際に受注となり、その受注金額が大きい場合、社内のインパクトも大きくなる。そのため、高い受注金額の獲得が狙える小さな成功体験がよい。

このような条件を満たす小さな成功体験を継続的に作り出せれば、社内にマーケティングの重要性が広まり、適切な評価もされるようになるだろう。では、この小さな成功体験をどのように作り出すべきか、その始め方を検討してみよう。

どうやって作り出すべきか?

営業部門が熱心にアプローチしているリードや顧客から始めるのはどうか?

例えば、営業部門が現在、熱心にアプローチしているリードや顧客にマーケティング側が何か施策展開するのはどうだろうか?比較的短期間かつ低工数でマーケティング施策が展開できそうである。

しかし、これは弊社はNGであると考えている。ただでさえ理解がない中で、「トラブルなど発生しないか?」などと言われかねないからだ。

仮に言われなくても、小さな成功体験につながるかどうか?が問題となる。そもとも営業部門が熱心にアプローチしているリードや顧客であるため、マーケティングの施策だけの成果と評価されない可能性があるためだ。そのため、熱心にアプローチしているリードや顧客から始めるのは難しいと考えられる。

「休眠顧客」か「休眠リード」から始めるのはどうか?

では、「休眠顧客」か「休眠リード」に焦点を当てて施策展開するのはどうだろうか?

「休眠顧客」の定義は、以前、自社製品を使っていたが現在使っていない顧客で、かつ、営業部門も長期間フォローできていない(していない)過去の顧客のことだ。わかりやすく言えば、ほったらかし状態の過去の顧客のことである。

「休眠リード」の定義は、以前、営業部門が継続的にフォローしていたが、商談が消滅したり失注したりして今は何もフォローできていない過去の見込み客のことだ。わかりやすく言えば、ほったらかし状態の過去のリードのことである。

弊社では、「休眠顧客」か「休眠リード」に対してマーケティング施策を展開し、「小さな成功体験」を作っていくのが良いと考えている。

その理由は2つある。

1つ目は、営業部門の邪魔にならないことだ。営業部門が熱心にアプローチしているリードや顧客だと、活動がかぶってしまう可能性もあるが、「休眠顧客」か「休眠リード」であれば、かぶることはない。さらに成功すれば評価はすべてマーケティング部門の評価となる。

2つ目は、「アプローチしやすい」からだ。「休眠顧客」や「休眠リード」は、会社名、連絡先、担当者の名前や部門が判明しており、すぐに連絡が取れる。場合によっては、過去の商談の履歴(商談の経緯や相談内容、課題の内容など)も残っている可能性があり、それをデータとして活用できる。つまり、短期間で行動に移せる上に、顧客やリードが解決したい課題がわかっているというメリットがあるのだ。

この2つの理由により、「休眠顧客」か「休眠リード」を狙って「小さな成功体験」を作るのが良いだろう。

どのような条件を持つマーケティング施策を展開すべきか?

では、「休眠顧客」か「休眠リード」に対して、どのようなマーケティング施策を展開すべきだろうか?今までご紹介した内容をふまえて、マーケティング施策の理想的な条件をリストアップすると下記のようなことが考えられる

マーケティング施策の理想的な条件
  1. 売上もしくは売上のきっかけになる施策であること
  2. 社内インパクトを高めるため客単価の高い施策であること
  3. さまざまな自社事業・製品に横展開できる施策であること(再現性があること)
  4. 比較的短期間でできる施策であること
  5. 失敗しても大きなリスクがなく再チャレンジできる施策であること

このような施策を具体化できれば、「休眠顧客」か「休眠リード」に対して「小さな成功体験」を創出でき、その成功体験が「重要性浸透」や「リテラシー向上」につながっていくと考えられる。

あらためて、内容を整理すると下記の表のようになる。

やりたいこと・解決したいこと BtoBマーケティングの重要性・リテラシー向上を実現し推進する(社内啓蒙・社内意識改革)
手段 「休眠顧客」か「休眠リード」に対して小さな成功体験(売上や売上のきっかけ)を作り出す
手段の理由
  1. 売上は評価につながる数値であるため
  2. 売上は経営層や上層部に説明・説得する際に大きな武器になる(説得材料になる)ため
「休眠顧客」や「休眠リード」から始める理由
  1. 営業部門の邪魔にならない
  2. 社名、担当者名、課題などが判明しておりすぐに施策展開可能(リード獲得しなくていい)
「重要性の社内浸透」に貢献できる理由 営業部門も失念しているような「休眠顧客」か「休眠リード」から、案件や商談を創出し、売上のきっかけをマーケティング活動で作り出すことに成功しているため、事例をPRできる。さらに、「別商材でもやってほしい」のような社内での横展開が期待でき、浸透につながる。
「リテラシー向上」につながる理由 営業部門も失念しているような「休眠顧客」か「休眠リード」から、案件や商談を創出し、売上のきっかけをマーケティング活動で作り出すことに成功しているため、「どうやってやったの?」と興味を持つ関係者が増える可能性があるため
マーケティング施策の具体的な条件
  1. 売上もしくは売上のきっかけになる施策であること
  2. 社内インパクトを高めるため客単価の高い施策であること
  3. さまざまな自社事業・製品に横展開できる施策であること(再現性があること)
  4. 比較的短期間でできる施策であること
  5. 失敗しても大きなリスクがなく再チャレンジできる施策であること

具体的なマーケティング施策「ALUHA式プロセス」

では、具体的なマーケティング施策のALUHA式プロセスをご紹介する。ご紹介した条件を満たすためのプロセスで、「受注率を高めるための相思相愛」や「受注金額の高さ」にこだわったプロセスとなっている。

相思相愛とは?
「相思相愛」とは、御社が解決できる課題と、顧客・リードが解決したい課題が合致している状態のことだ。弊社ではこれを相思相愛と呼称している。相思相愛状態を意識してマーケティング施策を展開することで、受注率が向上する可能性が高くなる。

BtoBマーケティングの相思相愛

BtoBマーケティングの相思相愛

具体的なALUHA式プロセスの内容は下記の通りだ。

ALUHA式プロセス
  1. 手順1:対象商材の選定
  2. 手順2:選定商材の「優良顧客リスト」を作成し顧客貢献度調査を行う
  3. 手順3:相思相愛の状態を具体的に把握
  4. 手順4:小さな成功体験を作り出す「武器コンテンツ」を作成
  5. 手順5:休眠顧客・休眠リードにメール配信
  6. 手順6:売上のきっかけを作り出す!

このプロセスの詳細については、コラムでご紹介すると長くなるため、下記のPDF資料で詳しく解説している。ぜひ参考にしてほしい。

BtoBマーケティングの重要性浸透とリテラシー向上の進め方に関する資料
BtoBマーケティングでは、「社内に重要性が理解されない」「マーケティングリテラシーがない」の2つが障壁となり、なかなか推進できないといった課題が発生しています。その2つの障壁をどう突破するのか?について「ALUHA式プロセス」を解説した資料が無料でダウンロードできます。

PDF資料の主な内容

  1. 「重要性・リテラシー」の障壁を突破するALUHA式プロセスとは?
  2. ALUHA式プロセスで重要視している「相思相愛」とは?
  3. 手順1:対象商材の選定(どういう商材を選定すると良いか?を解説)
  4. 手順2:選定商材の「優良顧客リスト」を作成し貢献度調査を行う(何を聞き出せば良いかを解説)
  5. 手順3:相思相愛の状態を具体的に把握
  6. 手順4:小さな成功体験を作り出す「武器コンテンツ」を作成(どんなコンテンツを作れば良いかを解説)
  7. 手順5:休眠顧客・休眠リードにメール配信
  8. 手順6:売上のきっかけを作り出す!
  9. なぜALUHA式プロセスは小さな成功体験作りに良いか?
  10. ALUHA式プロセスの応用
  11. 新商品の場合はどうするか?
  12. 顧客貢献度調査ができない場合はどうするか?

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