BtoBマーケティングの組織やチームを立ち上げが決まったとき、「何から始めるか?」を考える必要がある。理想的なことを言えば、「比較的短期間で、少ない工数(リソース)で、成果につながり、社内評価にもつながるBtoBマーケティング施策」を検討し実行することだろう。
そうすれば、マーケティングチームの評価もあがり、その重要性を社内にアピールできるようになる。マーケティングチームはコストセンターだと言われるようなこともなくなっていく。
しかしながら、なかなかそんな策はなく、「何からどう進めるか?」で悩むBtoBマーケターは非常に多い。実際に以下のようなご相談をいただいている。




そこで、今回のコラムでは、BtoBマーケティングの始め方について解説する。「何からやると効果がでるか?」「どうすれば社内評価につながるか?」をどのように見極め、そして、何からやるかをどう決めていくか?の1つのプロセスをご紹介する。
BtoBマーケティングを始める時の1つのやり方として、参考にしていただけたら幸いだ。
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「何からやると効果がでるか?どうすれば社内評価につながるか?」を見極める手順
このコラムでご紹介する手順は3段階の手順で以下のような流れになる。各段階において、「何をするのか?」「なぜやるのか?」「よくある例」の3つの視点で詳細をご紹介する。
- 事業方針や営業方針を確認
- 事業方針や営業方針の課題と現状を確認
- マーケティング戦術や手法を具体化
事業方針や営業方針を確認
何をするのか?の概要
最初に行うことは、「事業方針や営業方針を確認」することだ。事業方針や営業方針は事業部門や営業部門、経営層などによって決められているはずだ。例えば、「この新製品を注力的に売る」、「次の優良顧客の発掘する」、「新規リードの数を増やす」などである。
確認する方法は非常に簡単だ。こういった方針を決めている責任者もしくは、それを知っているであろう社内関係者に聞けばよい。
よくある具体例
実際にBtoB企業の場合、事業方針や営業方針を確認するとどのような方針が出てくるのか、その具体例をご紹介する。以下は実際に弊社のお客様でよく聞く例で、以下のような方針を定義し、そこに力を入れると事業部門や営業部門は決めていることが多い。
優良顧客の増加 | 未開拓部門や未開拓拠点に積極的にアプローチし、顧客1社あたりの売上を最大化すること。 |
新規リード獲得件数の増加 | 注力商材(新製品など)に新規リード獲得や新規の商談創出 |
上記が具体例であるが、御社でもこういった方針が決まっているのではないだろうか?確認してみよう。深掘りすれば、数値目標まで決まっているため、数値目標も確認できるとよい。
なぜこの手順が重要か?の理由
では、なぜこの手順が必要かの理由をご紹介する。それは「方針に合わせたBtoBマーケティング施策を展開することで社内評価」につながる可能性が高くなるからだ。当たり前のことであるが、事業部門や営業部門の方針と連動させたBtoBマーケティング施策を展開し、成果につながった場合、「助かったよ!」と感謝される可能性が非常に高くなる。だからこそ、方針を確認し、それに合ったBtoBマーケティング施策を検討してそこから始めるというのは理にかなった話である。
BtoBマーケティングチームの責任者や担当者が、「これからやろう!」と独自に決断するのも良いが、社内での評価を高める(成果をアピールする)ことも考えると、事業部や営業部の方針に合わせた施策から行う方が効率的と言える。
事業方針や営業方針の課題と現状を確認
何をするのか?の概要
事業方針や営業方針が確認できたら、次はその現状と課題の確認を行う。事業方針や営業方針があるということは、事業部門や営業部門で「何かの取り組みをすでに開始している」もしくは「何かの取り組みを予定している」という状況があるはずだ。それを確認しよう。そうすると、以下のような課題が見えてくる。
- 「何かの取り組みをすでに開始している」ならその成果に対して課題があるかないか?
- 「何かの取り組みを予定している」ならそのやり方の効率はよいのかわるいのか?
- 方針に対して取り組みに抜け漏れがあるのかないのか?
よくある具体例
課題と現状を確認した時の具体例としては以下のようなものだ。
優良顧客の増加という営業方針に対して、「営業担当者が自分が担当する顧客に対して、1社1社、提案書を作りアポをとって未開拓拠点や未開拓部門を狙う」というような活動を展開していることがある。この時、見えてくる課題としては、以下のような課題が例として考えられる。
- 全顧客に回れるだけのリソースがあるのか?
- いきなり売り込んでアポイントがとれるのか?
- アポイントが取れなかった顧客への継続フォローはどうするのか?(アポ率は5%だったとしたら、95%の顧客はどうするのか?)
こういった課題を把握できれば、具体的なマーケティング施策に落とし込みしやすくなるため、ぜひ具体的な課題を確認していこう。御社だとどんな課題があるだろうか?
なぜこの手順が重要か?の理由
ではなぜこの手順が重要か?をご説明しよう。その理由は、「営業部門や事業部門の課題をマーケティング施策で解決支援し成果と評価の両方を得るため」だ。
営業部門や事業部門の課題を解決する支援ができれば、立ち上げ当初のマーケティング部門の評価に大きくつながる可能性がある。そして信用・信頼を勝ち得ることができる。
そうなれば、事業部門や営業部門の方針に合わせた活動だけでなく、BtoBマーケティング全体から見てやるべきことを推進するときも、事業部門や営業部門の協力が得られやすくなる。将来、BtoBマーケティングの活動範囲を広げたとき、事業部門や営業部門の協力がなければ、成果も評価も得られなくなる。だからこそ、最初の段階は、方針に合わせて、課題解決支援を行う方がよい。
マーケティング戦術や手法を具体化
何をするのか?の概要
事業部門や営業部門の方針とその実行課題が見えたら、具体的なマーケティング施策を検討しよう。実際に何から始めるか?をいよいよ決める段階だ。
よくある具体例
手順2の例では以下のような課題があることをリストアップした。
- 全顧客に回れるだけのリソースがあるのか?
- いきなり売り込んでアポイントがとれるのか?
- アポイントが取れなかった顧客への継続フォローはどうするのか?(アポ率は5%だったとしたら、95%の顧客はどうするのか?)
この課題からどんなマーケティング施策が検討できるだろうか?その具体例としては、「ホワイトペーパー」がある。「ホワイトペーパー」を使って、以下のような支援を実行する。
- 未開拓部門や未開拓拠点向けのホワイトペーパーをマーケティング部門で作る
- そのホワイトペーパーを営業部門の担当者にアポイント獲得ツールとして提供する
- 営業部門で回りきれない顧客がいたら、その顧客にメルマガ配信しホワイトペーパーの資料請求を得る。そこからアポイントに繋げる
この具体例では、ホワイトペーパーをメインの戦術と位置付け、それをつかって、営業部門の課題や営業方針の実現を支援している。重要なのは「1」のホワイトペーパーをどう企画設計し作成するか?がマーケターとしての腕の見せ所となる。
ホワイトペーパーは「製品やサービスの売り込みではなく、顧客にとっての有益な情報をまとめた資料」となるため、アポイントが取りやすく、かつ、資料請求の可能性も高くなることが期待できる。その結果、アポイントで悩む営業担当の営業改善と効率化、そして、回りきれない顧客へのフォローが可能になる。
さらに、ホワイトペーパーを3ヶ月に1本作成というような計画にすると、3ヶ月に1回、再度アポイントを取るきっかけと、メルマガによる資料請求獲得というきっかけを継続的に作り出すことができる。つまり、継続的なアポイントの獲得の支援ができるということだ。
これにより、営業部門や事業部門の課題解決の支援が可能になる。
なぜこの手順が重要か?の理由
これはいわずもがな、営業や事業部門の課題解決を行うために必要ということだ。そして成果につながれば、感謝され評価され、信頼を勝ち得ることができる。
手順のまとめ
以上、「何からやると効果がでるか?どうすれば社内評価につながるか?」を見極める手順をご紹介した。
- 事業方針や営業方針を確認
- 事業方針や営業方針の課題と現状を確認
- マーケティング戦術や手法を具体化
1、2については、社内調査を行うことが重要で、営業部門や事業部門の方針や課題、取り組み内容を把握しておこう。その上で、方針と課題に連携したマーケティング施策を検討し、方針の実現の支援、課題解決の支援を狙う。そこに何から始めるか?を見極めるコツがある。
今回のコラムではホワイトペーパーという具体例も挙げたが、ホワイトペーパーでなくても、セミナー、ソリューションページ(課題解決の方法や事例をまとめたWEBページ)といったコンテンツでもよい。要するに、営業部門や事業部門の方針実現や課題解決を支援する「武器」を設計し提供するというのが重要なのだ。
御社もまずはここから始めてみてはどうだろうか?1つのはじめ方として参考にしていただけたら幸いだ。
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