BtoBマーケティングを始める時、「何から始めるの?」「マーケティング活動の内容を社内に浸透・定着させるにはどうすればいいの?」など、事前に検討しておくべきことは多い。実際に弊社にも、以下のようなご相談をよくいただく。
そこで、今回のコラムでは、BtoBマーケティングを始める時に、担当者や責任者が事前に準備・確認・検証しておくべきことをご紹介する。ご紹介する内容は以下の4つだ。
- BtoBマーケティングの活動範囲の明確化と活動目標の決定
- 成功体験作りの道筋を準備
- マーケティング用語の定義明確化と言葉の一人歩きの防止
- デジタル活用の有効性と重要性を判断し社内啓蒙
BtoBマーケティングの活動範囲の明確化と活動目標の決定
BtoBマーケティングを始める時、その活動の範囲と内容、そして活動目的を明確にする必要がある。さらに、「なぜその活動範囲と内容なのか?」という「明確な理由」も必要になる。例えば、以下の表のようなイメージだ。
活動範囲 | 見込み客の獲得と育成をBtoBマーケティングチームにて行う |
理由 | 営業部門の高齢化、人材不足が深刻であるため |
目的 | 営業部門の営業生産性の向上、顧客LTVの向上 |
数値目標 | 毎月●件の新規リード獲得の安定化、毎月●件の商談創出支援と営業送客 |
この内容の場合、営業部門は見込み獲得や育成から解放され、「売る」という行為に集中できるようになる。
BtoBマーケティングの活動の範囲を決めるには、BtoBマーケティングの全体像を見ながら、どこからどこまでをやろうか?と判断すると決めやすい。以下図は、弊社が定義している「BtoBマーケティングサイクル」だ。この「BtoBマーケティングサイクル」は、BtoBマーケティングを8つの施策に分解しているので、この図を見ながら活動範囲を決めていただけるとわかりやすいだろう。御社ならどこからどこまでを活動範囲とすべきか、自社の今の実態・状況も見ながら検討いただけたらと思う。
活動範囲を決めたとしても、「数値目標は達成できるのか?」「売上に貢献できるのか?」といった不安が残る。特に社内の上層部や営業責任者などかはらそういった声が多く発生する。だからこそ、必ず「成功体験作りの道筋を準備」が必要になる。
成功体験作りの道筋を準備
成功体験とは、BtoBマーケティングの各種施策において、「成果が出たという社内事例」のことだ。例えば「WEBサイトを改善して毎月見込み客からの問い合わせが3件から8件に増えた」といったものだ。こういった成功体験が蓄積されていけば、徐々にBtoBマーケティングに対する意識がかわり、社内に浸透・定着していく可能性が高くなる。その結果、BtoBマーケティングに対する期待や評価も変わっていくことなる。
そのため、BtoBマーケティングの活動範囲の中で、小さな成功体験を作る道筋を準備しておくと良い。
小さな成功体験を作る道筋の具体例
小さな成功体験を作る道筋には、いくつかの具体的な方法がある。ここではその1つをご紹介しよう。小さな成功体験は、「数値目標は達成できるのか?」「売上に貢献できるのか?」といった不安を解消するために必要なので、「比較的短期間でできること」「あまり工数もかからないこと」の2つが重要になる。そこで考えられる具体例の1つが、「放置名刺のリードを育成し商談を作る」という道筋だ。具体的には以下のような流れだ。
- 社内に眠る放置された見込み客の名刺情報をリスト化(休眠リードリストを作る)
- 休眠リードに対して案件や商談を創出したい製品・サービスを決める
- その製品・サービスの導入事例や課題解決事例などをPDFにまとめる
- そのPDFをメルマガで休眠リストに送付する
「3」については、導入事例や課題解決事例などをPDFにしているが、事例がない場合や作れない場合は、「●●●の課題を解決する方法」といった課題解決のプロセスや手順をまとめたPDFでもOKだ。
ポイントは「4」でメルマガを配信し、PDFに対して資料請求を獲得することにある。休眠リードリストから資料請求を獲得できれば、「売上にはまだ遠い」が「その資料請求が商談やアポのきっかけ」になる可能性がある。こういった体験が小さな成功体験となる。
マーケティング用語の定義明確化と言葉の一人歩きの防止
BtoBマーケティングを始める時、マーケティングに関連する様々な用語に定義を社内で統一しておく必要がある。なぜなら、「マーケティング用語が一人歩きして調整に時間がかかる」ためだ。実際に弊社にも以下のような相談が寄せられている。
言葉が一人歩きすると、「認識齟齬」が発生し「さまざまな業務推進の弊害」になりかねない。その結果、マーケティング施策がなかなか進まない、業務の質が悪化するといった課題に直面する。
だからこそ、事前にマーケティング用語については共通認識を持っておくことが重要だ。
BtoBマーケティング活動の評価方法の決定
BtoBマーケティングを始める時、マーケティング担当者の活動に対してどのように評価すべきか?という評価方法を決定しておくと良い。営業部門では「売上」などのような評価指標があるが、それと同じくマーケティング部門にも評価指標を作っておこう。
たとえば、BtoBデジタルマーケティングを推進する場合だと、以下のような評価指標が考えられる。
- SEOコンテンツの作成し自社サイトのアクセス数増加に貢献したかどうか?
- ホワイトペーパーを作成しCV件数増加に貢献したかどうか?
- メルマガを配信し問い合わせ件数が増加したかどうか?
こういった指標を準備し、それを人事評価などにも連動しておくと、マーケティング担当者のモチベーションも上がるだろう。
もっとも危惧すべきは、「マーケティング業務を会社のために行っているのに誰も評価してくれない」という孤立した状態だ。こうなるとモチベーションはさがり、攻めの施策ができなくなっていくだろう。
デジタル活用の有効性と重要性を判断し社内啓蒙
BtoBマーケティングを始める時、マーケティングやセールスの戦術としてデジタル活用できそうかどうか?を事前に確認しておくと良い。なぜなら、人材不足、営業の高齢化など、今後、デジタルを活用したマーケティングやセールスは必須になっていく可能性があるためだ。
デジタル活用の有効性の確認
デジタル活用の有効性とは、自社製品やサービスがデジタル(WEBサイトやメールなど)を使って、マーケティングやセールスを実現できそうかどうか?を確認することだ。デジタル活用との相性分析とも言える。
例えば、専門的でマニアックな製品を製造している場合、購入できる企業が限られているといったケースがある。この場合、「WEBサイトでリードを取るということができるのか?」が有効性の確認になる。WEBサイトでリードを獲得するには、検索エンジンからの流入が必須である。そのためには、「検索キーワードは何がいいか?」「そのワードは毎月どれくらい検索されているのか?」「検索している人は本当に自社のリードになりえる人なのか?」といったあたりを事前に分析しなければならない。これらを分析した結果、どう考えてもWEBでリードを取るのは難しいのでは?と判断できる場合は、別な戦術を選定しリード獲得しなければならない。
メルマガなども同様だ。「メルマガ配信の継続性はありそうか?」「どのくらい配信できる母数があるのか?」「配信リストを増やす施策は継続できるか?」など、事前にチェックしておこう。
デジタル活用の重要性の確認
デジタル活用の重要性とは、「なぜデジタルを使ってマーケティングやセールスを展開するのか?」の理由のことだ。
社内的な理由としては、「営業部門の高齢化、人材不足」「営業DX推進」といった理由が影響する。自社の今の営業部門の平均年齢などを計算し、数年後、数十年後、どうなるか確認しておこう。もし人手不足が深刻化する傾向があれば、早い段階からデジタル活用を進めておくことが重要になる。
社外的な理由としては、競合他社を含むBtoB企業のデジタル活用の意識変化や買い手の購入プロセスにおけるデジタル活用の変化が考えられる。
まず、競合他社を含むBtoB企業のデジタル活用の意識変化であるが、弊社の以下の調査によると、BtoB企業の売り手側において、デジタル活用を進めたいと考えている企業はコロナ前、コロナ禍、コロナ後で増加傾向にある。しかし、逆にデジタルを使わないと決めているBtoB企業も増加傾向にある。
つまり、二極化が進んでいるということだ。
買い手の購入プロセスにおけるデジタル活用の変化については、以下の調査結果が参考になる。
BtoBサイト調査 2024
https://brand.tribeck.jp/research_service/websitevalue/bb/bb2024/
BtoBの顧客側が製品やサービスを購入する時、最も参考にする情報源として、企業のWEBサイトがTOPになっている。
このように、デジタル活用の有効性と重要性を事前に把握し、その結果を社内に浸透しておこう。特に上層部に対してはしっかり説明し、今後の戦略の方針としてブレないようにしておくことが重要だ。
BtoBマーケティングを始める時に事前に準備しておくべき4つのことまとめ
BtoBマーケティングを始める時に事前に準備しておくべき4つのこととして、以下の4つをご紹介した。
- BtoBマーケティングの活動範囲の明確化と活動目標の決定
- 成功体験作りの道筋を準備
- マーケティング用語の定義明確化と言葉の一人歩きの防止
- デジタル活用の有効性と重要性を判断し社内啓蒙
どれも非常に重要で、意外と見落としがちなのは、「成功体験作りの道筋を準備」「マーケティング用語の定義明確化と言葉の一人歩きの防止」の2つではないかと弊社では考えている。
御社も始める前にこういった準備はしっかり行っておこう。弊社ではこういった事前準備の支援もできるため、ご相談したい方は、こちらからお問い合わせいただけたらと思う。