このコラムでは、営業戦略の立案や営業分析を行う時に活用できるフレームワークや分析手法について、BtoB企業向けにご紹介する。
営業戦略の立案や営業分析に活用できるフレームワークや手法
営業戦略の立案や営業分析に活用できるフレームワークとして、主に以下のようなフレームワークや手法がある。
- 3C分析
- 4P分析
- SWOT分析
- PEST分析
- ファイブフォース分析
- セグメンテーション分析
- テキストマイニング
- USP分析
それでは、各フレームワークや手法について、BtoB向けに解説する。BtoB企業向けにわかりやすく解説するため、不動産業向けのクラウドサービスを展開するIT企業を例にご紹介する。
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BtoB企業の3C分析
3C分析とは、市場や競合・自社を分析する手法だ。Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つを分析することから、頭文字を取って3C分析と呼ばれている。BtoBにおいて、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)のそれぞれの概要は以下のとおりだ。
Customer(市場・顧客) | ・市場のこれまでの動向や今後の動向はどうか? ・市場ではどんな課題を持つ企業が増えそうか? ・法規制などの影響でどんなトレンドが発生しそうか? ・どんな顧客企業をターゲットにするのか? ・どんな業務を行っている担当者をターゲットにするか? ・どんな課題や悩みを持っているか? などを具体化していく。 |
Competitor(競合) | ・自社製品・サービスと競合する企業はどこか? ・競合企業はどんな強みを打ち出しているか? ・競合企業にはどんな弱みがあるか? などを具体化していく。 |
Company(自社) | ・自社の経営リソース(コネ・技術力、資金、設備など)があるか? ・競合と比較してどんな強みを打ち出せるか? ・競合と比較しても勝てない弱みはどこにあるか? などを具体化していく。 |
このように、3C分析は、3つのCの視点から、営業戦略の目的である「売上拡大」を実現する方策を考えていくことになる。
では、実際にクラウドサービスを展開するBtoBのIT企業を例に、3C分析の具体例を考えてみよう。ただし、弊社にて具体的な調査を行なったわけではないため、あくまで例として参考にしてほしい。
Customer(市場・顧客) | ・DX推進やリモートワークなどの影響で、クラウドサービス市場は成長が期待できる ・直感的な操作、IT運用のコスト削減、セキュリティーに対してニーズが強い |
Competitor(競合) | ・圧倒的な認知度とブランド力、そしてサービスラインナップを持つ大手企業が数多く存在している。 ・しかし、複雑な仕組みと料金体系で専門知識が必須なサービスが多い |
Company(自社) | ・自社社員の中に、不動産関連法案と不動産の賃貸業務に詳しい社員が数多くいる |
この例では、自社の強みとして「不動産業界の知識の豊富さ」を挙げている。そして、自社の強みを活かし、かつ、市場・競合に対抗するには、「不動産の賃貸業務に特化した直感的で低コストで導入できるクラウドサービスの展開」という戦略の方向性が見えてくる。つまり、ニッチな領域でNo1を目指すという戦略だ。
このように3C分析を行うことで、営業戦略の目標である「売上拡大」にむけて、自社の強みをどう活かすのがよいか?を考えることができる。
BtoB企業の4P分析
4P分析とは、製品・サービスを 4つの視点から分析する手法だ。Product(自社製品・サービスの価値)、Price(価格)、Place(提供方法)、Promotion(販促方法)の4つを分析することから、4P分析と呼ばれている。BtoB企業向けに4P分析をわかりやすく解説すると以下表のようになる。
Product(自社製品・サービスの価値) | 【売れる製品・サービスを開発すること】 ターゲット顧客企業の課題や悩みを定量的・定性的に把握し、自社製品・サービスに反映させること |
Price(価格) | 【売れる値段で売ること】 ターゲット顧客企業が導入できる(支払いできる)金額で、かつ、充分な利益を確保できる値段にすること |
Place(提供方法) | 【売れる場所で売ること】 自社製品・サービスの強みや顧客特性に合わせて売る経路を選択すること。BtoBでは「リアルで売る」「デジタル上で売る」「デジタルとリアルを融合させて売る」「代理店経由で売る」といった方法があるため、どの方法が最適かを検討する。 |
Promotion(販促方法) | 【売れる売り方で売る】 自社製品・サービスの強みや顧客特性に合わせて売り方を変えること。OneToOne化された売り方(狭く深く)がよいか、マスマーケティング(広く浅く)が良いかなどを検討する。 |
4P分析は、営業戦略の一貫性を確認する際に非常に便利なフレームワークだ。4Pは、互いに複雑に関連し合う要素であるため、個別に考えると戦略に一貫性がなくなってしまう。たとえば、高品質・最新技術を取り入れた製品を開発しても、低価格で売ることは難しい。さらに、通販で手軽に購入といった提供方法も難しいだろう。
では、実際にクラウドサービスを展開するBtoBのIT企業を例に、4P分析の具体例を考えてみよう。ただし、弊社にて具体的な調査を行なったわけではないため、あくまで例として参考にしてほしい。
Product(自社製品・サービスの価値) | 【売れる製品・サービスを開発すること】 例:不動産の賃貸業務に特化した直感的で低コストで導入できるクラウドサービス |
Price(価格) | 【売れる値段で売ること】 例:地場の不動産会社でも導入しやすくするため1人500円/月で使える |
Place(提供方法) | 【売れる場所で売ること】 例:不動産専門サイトでの広告、「物件管理」「不動産契約管理」などのようなキーワードでのSEO対策とリード獲得、不動産業向け展示会でのリード獲得など |
Promotion(販促方法) | 【売れる売り方で売る】 低価格であるため人による営業を行うと工数がかかる。デジタルを中心とした営業戦略が必要。不動産関連業務に対してどれだけ効率的に業務が進められるか?を説明した動画を充実させ、できる限りネットでの営業完結を狙う施策を継続的に展開。 |
あくまで1つの例であるが、どんな企業にどんな商材をどんな値段でどう売るのか?の4つのPが連動していることがお分かりいただけるだろう。
BtoB企業のSWOT分析
SWOT分析とは、自社の内部環境と外部環境をプラス要因とマイナス要因に分けて分析する手法だ。内部環境のプラス要因をStrength(強み)、内部環境のマイナス要因をWeakness(弱み)、外部環境のプラス要因をOpportunity(機会)、外部環境のマイナス要因をThreat(脅威)として分析することから、頭文字を取ってSWOT分析と呼ばれている。
自社の強みと弱みだけではなく、外部要因の機会や脅威も洗い出すため、偏った視点からのマーケティング施策の立案を防止できる。
では、実際にクラウドサービスを展開するBtoBのIT企業を例に、SWOT分析の具体例を考えてみよう。ただし、弊社にて具体的な調査を行なったわけではないため、あくまで例として参考にしてほしい。
内部要因 | 外部要因 | |
プラス要因 | 【強み】 ・不動産業務に特化し法規制などにも即座に対応可能 ・中小零細企業でも導入しやすい | 【機会】 ・脱ハンコ、ペーパーレスの推進 |
マイナス要因 | 【弱み】 ・業界特化であるため認知度・ブランド力が低くなる ・リソース不足により大手不動産会社を対象にしたビジネスができない | 【脅威】 ・法規制によるシステム修正の影響 ・認知・ブランド力のある大手クラウドサービス企業の不動産業界への参入 |
SWOT分析を行うと、自社の強みをどう活かすか、自社の弱みをどうカバーするか、そして今後の脅威と機会に対してどう対応していくか?を俯瞰しながら検討することができる。
BtoB企業のPEST分析
PEST分析とは、外部環境が自社に与える影響について分析する手法だ。Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)が分析対象であることから、頭文字を取ってPEST分析と呼ばれている。
自社でコントロールできない外部環境を分析することで、トレンドについて把握でき、世の中の変化に応じて自社製品・サービスを改善・強化できる。時代に即して商品・サービスを変化させることは、企業が競争で生き残るために必要不可欠だ。
では、実際にクラウドサービスを展開するBtoBのIT企業を例に、PEST分析の具体例を考えてみよう。ただし、弊社にて具体的な調査を行なったわけではないため、あくまで例として参考にしてほしい。
Politics(政治) | ・不動産関連法案の法改正 ・政府の不動産業におけるデジタル活用の推進政策 |
Economy(経済) | ・金利上昇による不動産業界への影響 ・新幹線やリニア開通による駅周辺の不動産業界の成長 |
Society(社会) | ・少子高齢化によるシニア向け物件の需要増加 ・リモートワーク増加によるシェアオフィス契約の増加 |
Technology(技術) | ・AIやRPAの発展による各種業務の自動化 |
PEST分析では、PESTという4つの視点から今後どんなことがトレンドとして発生しそうか?を考えていくことができる。その上で、トレンドをどう営業戦略に反映させていくか?を考えることができ、競合よりも先に進んだ営業戦略を展開できるようになる。
BtoB企業のファイブフォース分析
ファイブフォース分析とは、外部環境を5つの要因から分析することで競争状況を把握する手法だ。分析する要因は、業界内の競合の脅威、新規参入の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力、代替品の脅威の5つとなっている。
新規参入しても収益を見込めるか、どのような戦略を立てれば業績を回復できるか判断できるため、新規参入や撤退時の判断に役立つ。また、現在の課題だけではなく、今後脅威となる要因も洗い出せるため、先手を打つことも可能だ。
では、実際にクラウドサービスを展開するBtoBのIT企業を例に、ファイブフォース分析の具体例を考えてみよう。ただし、弊社にて具体的な調査を行なったわけではないため、あくまで例として参考にしてほしい。
業界内の競合の脅威 | ・中小・零細不動産企業向けの特化型ソフトが存在し価格・機能競争の激化 |
新規参入の脅威 | ・認知・ブランド力のある大手企業の参入により一気にシェアを奪われる |
買い手の交渉力(顧客) | ・中小・零細不動産企業では導入の費用対効果を求められ、価格交渉してくる可能性が高い ・不動産業界全体の人手不足の影響によりAIやRPAなどの自動化に関する交渉が増える |
売り手の交渉力(サプライヤー) | ・クラウドサービスの基盤(サーバー)の維持費用が電気代などの上昇により増加 |
代替品の脅威 | ・エクセルなどを活用した業務管理が可能 |
ファイブフォース分析では、今後発生しうる脅威に対して、営業としてどう対処していくか?を検討することができる。事前に把握し準備できていれば、営業の業績の低下を防ぐことにもつながる。
BtoB企業のセグメンテーション分析
セグメンテーション分析とは、顧客をさまざまな切り口で分類し、分類した顧客ごとに分析する手法だ。BtoBでは、業種や部門、役職、ある業務の課題・関心などで分類されることが多い。顧客企業の詳細な課題や悩み、興味を分析する際に活用され、顧客理解を深めることができる。
では、実際にクラウドサービスを展開するBtoBのIT企業を例に、セグメンテーション分析の具体例を考えてみよう。まず、最初に行うことは、セグメンテーションにわける「軸(切り口)」を決める必要がある。ここでは具体例として、以下のように軸を設定する。
横軸(役職軸) | ・不動産の物件や契約管理をこなっている業務担当者 ・不動産会社の経営者 |
縦軸(ツール軸) | ・エクセルを使って業務を進めている ・不動産管理特化ソフトを購入している |
このようにセグメンテーションの切り口を決めると以下のようなセグメンテーション分析が可能となる。以下の具体例は、それぞれのセグメントにおける課題や悩みを分析した表だ。
業務担当者 | 経営者 | |
エクセル | ・物件や契約数が多すぎて管理しきれない ・見逃し・ミスが多く発生する ・時間がかかる ・属人化して自分しかできない | ・管理物件数を増やせない ・不動産関連法案への対応に時間がかかる |
特化ソフト | ・新人がすぐに使えない ・情報量が多くなると重くなる ・自席でなければ操作できない | ・不動産関連法案の改正のたびに費用がかかる ・リモートワークなどができない |
このようにセグメントに分けて分析することで、各セグメントに対して、どのような営業アプローチが効果的か?を検証することができる。営業のターゲティングをより具体的に行うことができ、営業戦略の具体化に役立つ。
BtoB企業のテキストマイニング
テキストマイニングとは、膨大なテキストデータから有益な情報を発掘する手法だ。分析がおこなわれるデータには、顧客アンケートや口コミサイト、SNS、メールなどが挙げられる。
BtoBでは、顧客アンケートや問い合わせメール、営業日報の記載内容を分析することで、業種・業務・課題など多角的な視点で顧客ニーズを分析できる。膨大なデータから有益な情報と有益でない情報を素早く分類でき、製品・サービスが売れない原因や売れた要因などを迅速に特定することが可能だ。
分析は、以下の手順でおこなう。
データ収集 | 自社の顧客やリードの悩み、課題のデータを収集する。社内に蓄積されたデータとしてすぐに活用できるのは、過去の営業日報や問い合わせデータだ。営業日報にどんな相談があったか?などが詳しく記載されている場合は活用できる。問い合わせデータは、WEBの問い合わせフォームの内容やサポートセンターの問い合わせ内容だ。悩みや課題が記載されていることが多い。こういったデータがない、活用できない場合は、アンケートやヒヤリングなどで調査するしかない。 |
データ整理・クレンジング | データ収集したら、データを1箇所にあつめ、整理・クレンジングする。不要な情報の削除、個人情報の匿名化などを行い、分析できるデータを準備しよう。 |
テキストマイニング | データの準備ができたらテキストマイニングする。具体的には、テキストマイニングツールを活用すると良い。例えば、「UserLocal社のAIテキストマイニング」などだ。またAIが社内に導入されている場合は、AIに準備したデータを取り込ませて、課題や悩みの要点を抽出してもらうということもできるだろう。 |
テキストマイニングは、リードや顧客の課題や悩みといった定性的なデータの全容を掴むときに活用できる。課題や悩みの全容が理解できれば、どんな営業戦略が効果的か?を具体化することに活用できるため、ぜひ実施してほしい。
BtoB企業のUSP分析
USP分析とは、顧客から見た自社製品・サービスの強みを分析する手法だ。Unique Selling Propositionの頭文字を取って、USP分析と呼ばれている。
どれほど魅力的な商品でも、顧客がほかの商品との違いを把握できなければ、なかなか購入にはつながらない。USPを分析することで、他者とは異なる自社商品の魅力を明確に伝えられて、自社商品を選んでもらいやすくなる。
では、実際にクラウドサービスを展開するBtoBのIT企業を例に、USP分析の具体例を考えてみよう。ただし、弊社にて具体的な調査を行なったわけではないため、あくまで例として参考にしてほしい。
自社製品の強みの洗い出し | ・不動産業界に特化 ・不動産業務を知りつくし担当者目線の画面UIやワークフローを実装 ・不動産業界への導入件数が多い |
競合他社製品Aの強みの洗い出し | ・不動産業界に特化 ・自社よりも導入件数が多い ・AI活用を進めている |
USPを明確化 | 担当者目線の画面UIやワークフローが強み |
このように、自社の強みや特徴と競合他社の強みや特徴を洗い出し、何が違うのか?を分析することで、USPを明確にできる。上記の例では、不動産業界に特化していること、導入件数が多いことは強みにならないが、「担当者目線の画面UIやワークフロー」についてはUSPになる可能性がある。
このような分析ができた場合は、実際に導入している顧客に対して「担当者目線の画面UIやワークフロー」についてインタビューし、その内容を公開していくことで「強みの根拠」として打ち出すことができる。営業戦略の軸になる可能性もあるため非常に重要だ。
ただし、残念ながら全ての競合に必ず勝てるUSPなどはなかなか存在しない。そのため、競合に合わせてUSPは変化する可能性がある。
以上、営業戦略の立案や各種分析で活用できるフレームワークや分析手法をご紹介した。
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営業戦略の立案に必要な5つの営業分析
次に、フレームワークや分析手法を活用してどんな営業分析を行うべきか?をご紹介する。営業戦略の立案の際に事前に分析しておくと非常に役立つ。
- 競合分析
- 市場分析
- 顧客分析
- 売上分析
- 自社分析
BtoB企業の競合分析
競合分析とは、自社製品・サービスと競合する企業の特長や強み、価格、シェアなどを分析することだ。強みや弱みは、競合と比較して初めて明確になるため、自社の強み・弱みを明確にする上で非常に重要な分析となる。
項目 | 概要 |
競合分析の概要 | 自社製品・サービスと競合する企業の特長や強み、価格、シェアなどを分析すること。 |
競合分析の目的 | 自社の優位性・独自性といった差別化のポイントを明確にすること |
調査方法 | 競合分析は競合調査が必要となるため、競合企業のWEBサイトや製品カタログなどを調査するか、既存顧客にヒヤリングするなどの方法がある |
また、競合分析を実施する際には、下記のような注意点があるのでまとめておく。
注意点 | 概要 |
競合を決めるのは顧客であること | 自社製品の競合先を決めるのは、製品・サービスの購入を検討している顧客である。顧客が「どこから買うか?どの製品にするか?」を比較検討するため、顧客が作った「選択肢」に入っている自社以外の製品・サービスは全て競合になる。その選択肢に入っている競合に対して「何が強いか?」が差別化である。 |
同業者が競合とは限らない | 競合は同業者だけとは限らない。BtoBの場合、顧客は「自社の持つ課題を解決する」ことが製品やサービスを購入する目的である。そのため、「自社の持つ課題を解決する」ことができる手法であれば、すべて競合となりえる。 |
営業戦略を立案する上で、競合分析で特に重要な点は、差別化の明確化である。市場に存在する競合に対してどう戦うか?が明確にしておこう。
BtoB企業の市場分析
市場分析とは、自社が参入しようと考えている市場の動向やトレンド、特性、市場規模などを分析することだ。特に、営業戦略に大きな影響を与えるのが、今後の市場動向である。市場では今後どのような課題が発生するか?などを分析し、営業戦略にも反映すると長期的戦略として持続可能となる。
項目 | 概要 |
市場分析の概要 | 自社が参入しようと考えている市場の動向やトレンド、特性、市場規模などを分析すること |
市場分析の目的 | 顧客の課題の先読みと把握 市場規模を把握し、的確な営業目標を策定する 市場に存在する競合を把握し差別化戦略に活かす |
調査方法 | 調査会社の市場調査レポートを活用する、もしくは調査会社に依頼するといった方法がある。ニッチな業界であれば顧客にヒヤリング調査することも重要。 |
営業戦略の策定において、市場分析で特に重要なことは「今後発生するであろう顧客の課題の把握」だ。「今後発生するであろう顧客の課題」を把握することで、ソリューション提案へと落とし込みができ、顧客が興味を持つ提案ができるようになる。
BtoB企業の顧客分析
顧客分析とは、顧客の購買行動や課題を分析することだ。顧客の購買行動を分析して全容を把握すれば、営業戦略を立案する際にどのようなシナリオを組めばよいのか検討しやすくなる。また、顧客の課題を分析することで、どのような提案が効果的なのか判断することが可能だ。
項目 | 概要 |
顧客分析の概要 | 顧客の購買行動や課題を分析すること。既存顧客を中心に実施する。 |
顧客分析の目的 | 顧客満足度の向上、LTVの向上 顧客の課題を把握 顧客の購買プロセスの把握・購入を決定した要因の把握 顧客が比較検討している競合製品の把握 |
調査方法 | BtoBの場合は、自社の過去の売上データ、商談記録、顧客対応記録から調査する。また満足度調査を実施しヒヤリング調査・アンケート調査などを行う。 |
顧客分析は、既存顧客に対する調査・分析であるため、定性的なデータを収集できる。自社の強みの発見、顧客の課題の発見、競合の把握などに活用でき、営業戦略の策定に役立つ。
特に顧客別に購入に至った経緯を分析するとよい。「こう売れば売れる可能性がある」というクロージングシナリオの策定に役立つからだ。クロージングシナリオが策定できれば、そのシナリオを標準提案書などに落とし込むことで、営業全体の受注率の改善に寄与できる可能性がある。
BtoB企業の売上分析
売上分析とは、自社の売上データを分析し、最優良顧客の把握や、今後の売上予測を行う分析のことだ。数値から行う顧客分析といえる。
項目 | 概要 |
売上分析の概要 | 自社の売上データを分析し、最優良顧客の把握や、今後の売上予測を行う分析のこと |
売上分析の目的 | 手厚いフォローが必要な最優良顧客の把握 売上が低下している顧客の発見 クロスセル・アップセルへの落とし込み |
調査方法 | 自社の売上データから分析 |
売上分析の結果は、最重要顧客へのフォローはどうするか?売上が低下している顧客へのフォローはどうするか?LTVをより高くするためのクロスセル・アップセルの具体策はどうするか?など、各種営業戦術への落とし込みや優先順位付の判断材料となる。
また最優良顧客の把握は非常に重要だ。最優良顧客は、自社と相性の良い顧客である。そのため、最優良顧客をモデルにターゲティングを行うことで、「どういう顧客に売り込みするか?のターゲティング」が具体化できる。その結果、広告などの営業戦術を選定する際に非常に役立つ。
BtoB企業の自社分析(営業課題分析)
自社分析とは、自社の営業リソース、今の営業の状況を分析することだ。自社の営業に関する内部の分析といえる。これを行わなければ、自社のリソースや実力を活かした営業戦略が立案できず、営業目標の達成が遅くなってしまうだろう。
項目 | 概要 |
自社分析の概要 | 自社の営業リソース、今の営業の状況を分析すること |
自社分析の目的 | 自社の強みや特徴を知ること 今の営業の状況を把握すること 自社のリソースを把握すること 今の営業の課題を正確に把握すること |
調査方法 | 社内の担当者にヒヤリング調査する、各種営業系システム(SFAやMAなど)からデータを分析する、営業KPIの可視化など。 |
自社分析では、特に営業リソース、営業の現状(現在のKPI値)、自社の強みの把握は重要である。現在のKPI値から改善すべきKPI(優先度の高いKPI)を把握し、自社のリソースを的確に活用して、強みを活かしながら改善する必要があるためだ。
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まとめ
以上、営業戦略の立案や営業分析に活用できるフレームワークや手法をご紹介した。具体例などもご紹介しているのでぜひ御社のフレームワーク活用や分析のヒントにしてほしい。また以下のコラムでは、営業戦略の立て方についても解説しているので、合わせて参照してほしい。