営業DX・マーケティングDXの重要性とDX推進を阻むBtoB企業の6つの壁

営業・マーケティングのDX推進を阻害する6つの壁
Last Updated on 2024年9月7日 by 荻野永策

BtoB企業の営業DX(営業のデジタルトランスフォーメーション)BtoBマーケティングのDXの重要性が向上している。その大きな要因や背景は、人手不足、働き方改革、コロナ禍など様々であり、営業DX・マーケティングDXに取り組んでいるBtoB企業は多い。

しかしながら、「経営陣・社内の理解がない」「営業DX・マーケティングDXに取り組む担当者が少数」「知識やノウハウが体系化されていない」「KPIの基準となる目安を作れない」など、営業DX・マーケティングDXの推進の「壁」が存在し、なかなか進まない、うまくいかないといったことがあるようだ。

そこで今回のコラムでは、BtoB企業における営業DX・マーケティングDXの推進の壁について解説する。どういう壁が存在するのかのヒントを得ていただき、DX推進力の強化に役立てていただけたら幸いである。そして、営業DXによる営業戦略の改善や強化を進めていただけたら幸いだ。

営業DXや営業のデジタル化に関するダウンロード資料
営業DXや営業のデジタル化に関連する下記のようなPDF資料がダウンロードできます。後から読み返したり、社内共有などに活用ください。

  1. 営業DX・マーケティングDXのメリットと他社の11の取組事例
  2. MAとオンラインセミナーで商談を生み出す方法
  3. BtoBの営業戦略の立て方(営業戦略のサンプルシート付き)
  4. BtoBのWEB戦略の立て方(WEB戦略の年間計画シートのサンプル付き)
  5. BtoBデジタルマーケティングの実行計画の立て方

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営業DXとは?

営業DXとは、「営業・営業部門のデジタルトランスフォーメーション」の略称であり、デジタルテクノロジー(IT技術)を活用して営業部門の業績や営業プロセス、営業戦略、営業体制を根本から変革させていくことである。営業DXでは、主に、顧客の購買行動に合わせて、デジタルチャネルを構築し、営業プロセス全体を効率化する活動を行う。「営業のデジタル化」といった表現をされることもある。

下記図のように、主に「新規見込み客の獲得(リードジェネレーション)」から「顧客維持」までの活動のDXを指すと考えられる。

BtoBマーケティングから見た営業DXの定義・範囲

営業DXに関する詳細は下記のコラムで、どのような営業変革をすべきなのか?営業DXを支援する主なツール、BtoB企業の営業DXの取組事例、成功事例、営業DXのメリットなどを詳しく解説している。

BtoBの営業DXとは?アナログからデジタルへモノ売りからコト売りへ

営業DXとは?営業のデジタル化との違いや推進方法、活用ツールや成功事例を解説【動画解説付き】

2023年8月26日

マーケティングDXとは?

営業DXに対して、マーケティングDXとは、マーケティング活動全体のDXを意味する。

BtoBマーケティングのDXの定義・範囲

上図のBtoBマーケティングサイクルをベースにすれば、全ての活動のDX化がマーケティングDXと言える。「マーケティングのデジタル化」といった表現をされることもあるようだ。

営業DXや営業のデジタル化に関するダウンロード資料
営業DXや営業のデジタル化に関連する下記のようなPDF資料がダウンロードできます。後から読み返したり、社内共有などに活用ください。

  1. 営業DX・マーケティングDXのメリットと他社の11の取組事例
  2. MAとオンラインセミナーで商談を生み出す方法
  3. BtoBの営業戦略の立て方(営業戦略のサンプルシート付き)
  4. BtoBのWEB戦略の立て方(WEB戦略の年間計画シートのサンプル付き)
  5. BtoBデジタルマーケティングの実行計画の立て方

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営業DXとマーケティングDXの重要性

では、BtoBにおいて、営業DXとマーケティングDXがなぜ重要視されているのか、その理由や要因を解説しよう。

デジタル化の加速

1つ目の理由は「デジタル化の加速」だ。

2018年に、経済産業省から「2025年の崖」という警告が発表されている。その内容は、「DX推進をしなければ年間12兆円もの損失が発生する可能性がある」である。これに加えて、新型コロナによる影響も加わり、デジタル化は加速している。

このデジタル化の波は、営業やマーケティング活動にも影響しており、在宅ワークが増加し、訪問営業や電話営業が難しい状況となっている今、デジタルと連携した営業やマーケティング(非対面・非訪問の営業やマーケティング)は非常に重要なことと言える。

人材不足によるデジタル活用

2つ目の理由は「人材不足によるデジタル活用」だ。

いわずもがな、日本国内において労働人口は減少しており、人手不足が深刻な課題となっている。その結果、営業やマーケティングの人員も不足する。

だからこそ、「人」の代わりに「デジタルコンテンツ」が営業やマーケティング活動をする「デジタルマーケティング」の重要性が増大している。

効果の見える化

3つ目の理由は「効果の見える化」だ。

デジタル活用では、効果を数値化できるメリットがある。その結果、営業やマーケティング活動の効果の見える化が可能となる。細部のKPIを可視化できるため、営業やマーケティングの何が悪いのか?を分析しやすく、的確な改善活動に繋げることができる。属人的な営業・マーケティングから脱却し、効果を見ながら施策展開できるようになるため、その重要性は高いと言える。

以上が、営業DXとマーケティングDXの重要性である。しかし、「重要である」というのはわかっていても、なかなか推進できないのも事実である。さまざまな理由で推進できなくなるケースがあるが、その主な理由を「6つの壁」としてご紹介しよう。

営業DXや営業のデジタル化に関するダウンロード資料
営業DXや営業のデジタル化に関連する下記のようなPDF資料がダウンロードできます。後から読み返したり、社内共有などに活用ください。

  1. 営業DX・マーケティングDXのメリットと他社の11の取組事例
  2. MAとオンラインセミナーで商談を生み出す方法
  3. BtoBの営業戦略の立て方(営業戦略のサンプルシート付き)
  4. BtoBのWEB戦略の立て方(WEB戦略の年間計画シートのサンプル付き)
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BtoB企業の営業DX・マーケティングDX推進「6つの壁」

DX推進の壁1「ひとりぼっちの壁」

1つ目の壁が「ひとりぼっちの壁」だ。営業DX・マーケティングDXを推進できる担当者が少なく、少人数で進めるためなかなか推進しないのである。実際に弊社のアンケート調査でも、下記のような回答をいただいている。

昨年webサイトをリニューアルした事もあり、問い合わせ数が数倍になっています。しかしながら、ニッチな領域だからこそ潜在的な顧客がまだまだ眠っていると確信してます。そこで、更なるweb強化を図りたいと思ってはいるのですが、基本的に私一人で制作・解析・分析・対策を行っている手前、いいアイデアや次のステップに踏み込めないのが現状です。

少人数であるため、できる作業量も少なく日々の業務に負われ、さらには相談できる相手や頼れる仲間もいないといった状況になることもあるようだ。

大手企業になればなるほど、製品・事業数も多くなるため、「ひとりぼっちの壁」があると全製品・全事業の営業DX・マーケティングDXはなかなか進まない。

DX推進の壁2「経営陣・上層部の理解の壁」

2つ目の壁が「経営陣・上層部の理解の壁」だ。営業DX・マーケティングDXを推進するには、リソース(予算や人など)を割り振る権利を持つ人間(経営陣など)の決断が必須である。しかし、なかなか理解が得られず、説得もできず、営業DX・マーケティングDXが進まないのである。実際に弊社のアンケート調査でも、下記のような回答をいただいている。

DXの意識改革、コスト削減・新しいサービス・顧客体験・マーケティング施策と課題が山積み。 社内の決定権側(社長・役員)に理解が無く、時代に対応できていない。
社内にWebによる集客の重要性を訴えるも、1年で売り上げという形での貢献が見えないだろうと、会社としてリソースの投入を拒絶されてしまう状態にあります。

「デジタル化すれば必ず儲かる、利益が上がる、売上が上がる」と確約できればよいが、やってもないことに対して、効果を保証するようなことはできない。そのためやはり決定権側の意思決定力と、信頼関係が重要になるだろう。

DX推進の壁3「知識やノウハウ、経験がない体系化の壁」

3つ目の壁が「知識やノウハウ、経験がない体系化の壁」だ。営業DX・マーケティングDXを推進するには、デジタルマーケティングやデジタルセールスの知識やノウハウが必須である。特にデジタルコンテンツをどう作るのか?のコンテンツ設計といったノウハウは必須である。しかしながら、そういった経験が社内にないと、ただWEBサイトを作って終わり、メール配信して終わり、バーチャル展示会やWEBセミナーして終わりといったことになってしまう。実際に弊社のアンケート調査でも、下記のような回答をいただいている。

たとえば「デジタルマーケティング」という言葉だけが一人歩きして、実際に営業部門が言っているデジタルマーケティングの内容が「メルマガを出すこと、ウェビナーを開催すること」といったピンポイントの施策のことだけを指していることがあり、実際にユーザーデータをどう抽出して蓄積するかとか、分析の手法をどうするかといった視点は抜け落ちてたりするケースがありました。
コロナ禍の中で対面の営業が制限される中で、顧客との接点を営業だけでなくデジタルを活用した方向にシフトしていきたいが、中小企業のため、社内にITやデジタルに精通した人材が少なく、業務負荷も高いためWEBコンテンツの構築が手探りの状態になっている。

こういった壁を突破するには、「知識やノウハウを体系化」しなければならない。社内共通用語として用語を定義し、関係者が同じ認識で物事を進めていく必要がある。DXやデジタルマーケティングといった言葉が一人歩きすると、非常に危険である。

営業DXや営業のデジタル化に関するダウンロード資料
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DX推進の壁4「KPIの目安・基準値作成の壁」

4つ目の壁が「KPIの目安・基準値作成の壁」だ。営業DX・マーケティングDXでは、デジタル上でさまざまな営業・マーケティング活動を行うが、その効果をKPIとして可視化することが可能だ。しかし、そのKPIの目安・基準値を作ることが難しいのである。例えば、「見込み客にメールを一斉配信した時のセミナーへの申し込み率」の目安や基準の作成である。実際に弊社のアンケート調査でも、下記のような回答をいただいている。

現在の一番の悩みは「数値の基準を作ること」です。何かを実行する際には、基準となる数値をもって目標設定から実行に移ると思いますが、その基準作りに一番の時間がかかっているように感じております。

営業DX・マーケティングDXを長年継続していると、自社なりの目安は作り出すことは可能であるが、過去の経験がなければ、目安を作り出せない。目安は目標値にもなるため、目安が高すぎると実現不可能なDXとなってしまう。その結果、社内理解が得られない、上層部を説得できないといった結果を生み出してしまう。

DX推進の壁5「デジタルコンテンツ作りの協力体制の壁」

5つ目の壁が「デジタルコンテンツ作りの協力体制の壁」だ。営業DX・マーケティングDXでは、デジタル上でさまざまな営業・マーケティング活動を行うが、そのためにはデジタルコンテンツ作りは必須である。WEBページ、動画、メールなどさまざまなデジタルコンテンツを作成しなければならない。デジタルコンテンツを作るには、製品や技術に詳しい人間のチェックや原稿作成といったことが必須であるが、これがなかなか進まないのである。実際に弊社のアンケート調査でも、下記のような回答をいただいている。

社内のコンテンツ作成を依頼しても協力してくれない・後回しにされる。コンテンツ更新の重要性を社内浸透できない。

BtoB企業の場合、デジタルコンテンツを作成する際には、必ず何かしらの専門知識が必須となる。営業DX・マーケティングDXの担当者がその知識を持っていれば、この壁は発生しないが、そうでない場合は他部門(事業部など)に依頼するしか方法がない。しかし、他部門(事業部など)は他の仕事を抱えているため、デジタルコンテンツ作りに時間を作ってくれないのである。また、デジタルコンテンツが出来上がったとしても「自社目線のコンテンツ」「専門用語だらけのコンテンツ」で営業やマーケティングに使えないといったことも発生する。

DX推進の壁6「自分都合の営業や営業部門のこだわりの壁」

最後の壁が「自分都合の営業や営業部門のこだわりの壁」だ。営業DX・マーケティングDX
を推進するには、営業部門の協力は必須である。その際、営業部門が過去の営業方法に拘っている場合、推進できなくなるのだ。実際に弊社のアンケート調査でも、下記のような回答をいただいている。

これまで対面形式の営業に拘っていた営業員など事業担当者の意識を変えるための方法を知りたい。
社内協力体制がなく、個人商店化している。 なおかつ、顧客第一より自分都合なため、失注が増えている。 新しいことをしようとしない。

営業部門は営業部門の過去の成功体験があり、それを重要視して営業活動を展開する。場合によっては、「自社の製品はデジタルでは売れない」と「勝手に思い込んでいる営業」も存在する可能性がある。確かに「売ること」は難しいかもしれないが、「商談のきっかけを作る」といったことはどんな商材であってもデジタルで十分可能だ。そういった視野の広さを持つことが重要であるが、新しいことをやろうとしないといった場合は、非常にDX推進に苦労することになるだろう。

BtoB企業の営業DX・マーケティングDX推進「6つの壁」まとめ

以上、BtoBにおける営業DX・マーケティングDX推進「6つの壁」をご紹介した。

・ひとりぼっちの壁
・経営陣・上層部の理解の壁
・知識やノウハウ、経験がない体系化の壁
・KPIの目安・基準値作成の壁
・デジタルコンテンツ作りの協力体制の壁
・自分都合の営業や営業部門のこだわりの壁

御社でも今後こういった壁が発生する可能性が十分にあるし、すでに直面しているかもしれない。各社さまざまな社風・文化があるため、解決策もそれぞれ異なるが、こういった壁が存在することを意識して、営業DX・マーケティングDXを推進して欲しい。

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  2. MAとオンラインセミナーで商談を生み出す方法
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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ALUHA代表取締役。1979年兵庫生まれのBtoBマーケティングコンサルタント。金沢工業大学大学院にて情報工学を専攻し2003年4月にALUHAを創業。2008年からBtoBに特化したマーケティング支援、営業戦略支援を開始。BtoBマーケティングや営業戦略の戦略立案から、計画実行とPDCA、そして人材育成を伴走型で支援。デジタルとリアルを融合させた戦略設計が得意。毎月全国各地の様々な企業でBtoBマーケティングセミナーを実施中。100社以上でのセミナー講演実績を持つ。大手IT企業、製造業(日立Gr、富士フイルムGr、キヤノンGr、積水Grなど)を顧客に持つコンサルタント。→セミナー講演実績→コンサル実績