BtoBマーケティングの集客チャネルの一つとして、SEOが有効かどうかを考える担当者は少なくないだろう。
SEO(検索エンジン最適化)は、自社のWebサイトを検索結果の上位に表示させることで検索ユーザーとの接点を作り、サービスへの問い合わせや商品購入を促す手法だ。
BtoBに限らず、BtoCにおいてもWebマーケティングの手法は多岐にわたり、SEOはあくまでその一つに過ぎない。ただし、BtoBにおいては、SEOが有効な集客チャネルになるケースも多く、企業が抱える課題によっては優先度の高い施策になり得ることもある。
後述するSEOのメリットとデメリットを差し引きし、自社によって取り組むべきかどうかの判断の参考にしてもらいたい。
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BtoB企業がSEO対策に取り組むべき理由
まず結論として、ほとんどのBtoB企業はSEO対策に取り組むことをおすすめする。もちろん、SEOと製品やサービスとの相性の問題もあるため、すべてのBtoB企業にとって費用対効果の高い施策になるとは限らない。特に、専門的でマニアックな領域であればあるほど、SEOとの相性は悪くなる傾向がある。
だが、BtoBの担当者が検索から自社に合ったサービスを比較検討するユーザー行動が常態的に行われていることは想像するに難しくないだろう。過去に交換した名刺や展示会、営業といったオフラインにおけるコネクションからサービスを検討する例も引き続き多いが、インターネットインフラが整っている現代で、初めにとりかかりやすい情報収集といえばやはり「検索」である。
その根拠の1つに、トライベック・ブランド戦略研究所の「BtoBサイト調査 2022」がある。この調査結果では、BtoBの顧客側が製品やサービスの購入で最もよく利用する情報源として「企業のWEBサイト」を選択している。
また、Webサイトから問い合わせするユーザーは、サービスを導入する可能性が比較的高いことも挙げられる。Webサイトに掲載されているサービスの内容や、それにまつわる周辺情報など、ある程度リサーチしたうえで相談してくるため、条件さえ合えば導入までの意思決定が早いケースも多い。
プッシュで営業をかけなくても、自社を優先的に考えてくれているユーザーをインバウンドセールスで呼び込めるのがSEOだ。これまで、アウトバウンドで思ったような成果を出せていない企業こそ検討すべき手段だろう。
BtoB企業がSEOで得られる価値
SEOは、検索結果の上位に自社のページを表示させることで高い広告効果を得ることが目的だが、BtoB企業がSEOで得られる価値はそれだけに留まらない。集客に直結することも含めて、大きくは以下の2つである。
- Web上の販売チャネルを確保できる
- ブランディングできる
これらは「上位に表示できれば」の話ではあるが、実現すれば中長期的に大きな価値を発揮してくれるだろう。SEOを検討するうえでのポイントは、短期的な成果と、長期的にもたらされる成果をどちらも考えることにある。
Web上の販売チャネルを確保できる
前述したとおり、検索して情報収集するユーザーとの接点を作ることができれば、Web上の販売チャネルを確保できることになる。Webサイトの規模やコンテンツの品質によっても異なるが、世の中で行われる検索の数だけユーザーがいると思えば、何かしらのコンテンツで一度でも上位表示できれば、相当数のユーザーを呼び込めるだろう。
詳しくはメリットの章で後述するが、上位表示するために積み上げていかなければいけないことは多いが、検索順位を守るために、引き続き同じだけのリソースや予算を割く必要がないのがSEOの特徴でもある。検索エンジンが、そのコンテンツを優れていると評価する限りは、広告効果の高い面を独占し続けられるのである。
競合の状況や、ユーザーのニーズの変化に合わせて見直しはかけていく必要はある。だが、広告のように費用をかけ続けなければ表示できなかったり、アウトバウンド営業のように手を止めたら顧客へのアプローチもが止まるといったことがない。
ブランディングできる
SEOの価値で見落とされがちなのは、意外にも思われるかもしれないが“ブランディング”につながることだ。検索したときに優先的に表示されるWebサイトやそれを運営する企業は、ユーザーにとって「よく目にする」ものだ。
フリークエンシー(接触頻度)が多ければ多いほど、「○○といえばあの企業」といったように記憶に刷り込まれ想起されやすい存在になる。例えば「SEO」や「Web広告」、「コンテンツマーケティング」などの検索キーワードすべての結果で1位が同じWebサイトだった場合、「Webマーケティングのプロフェッショナル」という認知が得られる。
それこそが、Web上におけるブランディングを確立することであり、ひいては集客効果を高めることにもなる。Web上で名が知られていることで、アウトバウンド営業がしやすくなるといった影響もあるためだ。
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BtoB企業がSEO対策するメリット
ここからは、SEOの具体的なメリットをお伝えする。これらのメリットが先の価値につながる。
- 全国のユーザーにアプローチできる
- 「まだまだ客」も囲い込みやすい
- 検索結果の上位に表示されれば費用対効果が高い
日本全国、どこからでもアクセスできるインターネット上に看板を設けることは、特定の地域に居ながらして、全国のユーザーに営業をかけられることと同じだ。さらに人間では活動が難しいような、深夜や早朝、休日といった時間帯でもWebサイトは稼働し続ける。BtoBの担当者がそのような時間帯に検索をするケースは多くないが、それでもゼロよりは販売機会が生まれる。
さらに、よく比較される広告との違いでいえば、上手くいけばランニングコストをかけずに集客を継続できることだろう。
全国のユーザーにアプローチできる
商圏エリアが広い、または限定されない企業ほど、全国のユーザーにアプローチできるSEOのメリットは大きくなる。検索とは、いつ・どこからでも行わるためSEOはユーザーの住んでいる地域に縛りがない。
この場合は、対面的なコミュニケーションを必要とする営業手法との比較になるが、提案に際して往訪する必要がないため交通費やそのための時間といった諸々のコストがかからない。良し悪しはあるが、「365日24時間、全国のユーザーに向けて稼働し続けるセールス」をイメージすれば、そのメリットは理解しやすいだろう。
「まだまだ客」も囲い込みやすい
「まだまだ客(下記図の3)」とは、購買意欲が高まっていない層のリードだ。リードナーチャリング(見込み客の育成)により「今すぐ客(下記図の2)」に育成しなければならないが、将来の顧客を早い段階から囲い込むことができる。
検索結果の上位に表示されれば費用対効果が高い
SEOは、自社のコンテンツが検索結果の上位に表示されれば費用対効果が高い。理由は、広告とは違い、検索結果に表示されること自体に費用がかからないためだ。
当然ながら、そのためのコンテンツを作成したりさまざまな分析をしたりと、そのプロセスで費用やリソースは必要になる。だが、一度上位に表示できれば、順位を維持するための継続的な見直し(順位が下がった時に改善するなど)という工数はかかるものの、それ以外の工数はかからない。
例えば、月10万円の費用をかけて広告を出稿し、月1件のコンバージョンが発生すればCPA(1件あたりの獲得コスト)は10万円。同じ費用で広告を出稿し続ければ、翌月も翌々月もCPAは10万円のままとなる。
対してSEOでは、10万円をかけて作成した1個のコンテンツが上位表示されて、月1件のコンバージョンが発生すればCPA(1件あたりの獲得コスト)は10万円。順位が変わらない前提だが、その後も初月に作成したコンテンツがコンバージョンを生むため、翌月、翌々月は制作費用がかからないことでCPAはグッと下がるだろう。この場合は単純計算だがゼロ円となる。
実際にはSEOの取り組みでコンテンツを1つ作成して終わりということはない。サイト全体を最適化することで、複数のページからコンバージョンが発生することもあるため、上記はあくまで、わかりやすく説明するための例であることをお伝えしておく。
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BtoB企業がSEO対策するデメリット
SEOに取り組まないBtoB企業が存在するのは、メリットだけではなく次のようなデメリットも存在するためだろう。
- 自社製品・サービスと相性の良いSEOキーワード探しが大変
- 効果を感じるまでに時間がかかる場合が多い
- 長期的・継続的に取り組まなければ効果を得づらい
- 常に情報のアップデートが求められる
SEOのデメリットを一言でまとめるならば、「いつまで」に「どうなるか」が見込みづらいことだ。検索エンジンのアルゴリズムという舞台のうえで展開される施策のため正解はない。つまり、どれだけ費用をかければどれだけの売上が見込めるかも正確な計算はできないということだ。SEOに限った話ではないが、SEOはとくにその懸念が大きいことは知っておくべきだろう。
逆にいえば、以降でお伝えするデメリットにとよって取り組めない、取り組まなくなる企業も多く存在するということであり、それを知ったうえで対策を講じておけば成功に近づきやすいということでもある。
自社製品・サービスと相性の良いSEOキーワード探しが大変
BtoB企業の場合、自社製品・サービスが専門的でマニアックな場合、市場が小さくなり、そもそも誰も検索していないといったケースもある。そういった場合、「SEO対策するときのキーワードが見つからない」という課題に直面する。
この課題に直面すると、キーワードを探し続けるといったこととなり、キーワード探しで時間がかかることになる。もし、どれだけ探しても良いキーワードが見つからない場合は、SEO対策は諦めるといったケースもある。
効果を感じるまでに時間がかかる場合が多い
SEOは、今日行った施策がいきなり結果に反映されたり、効果として返ってくるものではない。例えば、サイトの構造を見直したとしても、すぐにその影響があったかどうかをすぐに計測することは難しい。
理由は、検索エンジンの評価が一朝一夕で決まるものではないためだ。新たにページを公開して、その評価が固まるまでに2週間~1ヶ月は様子を見るといったことが定説であり、施策を講じて、少なくとも数週間以上は様子を見ていく必要がある。昨日の1位が、今日は圏外といったケースも稀に発生する。
また、SEOはページ単体だけではなくサイト全体における評価も関係することが大きい。規模の大きなサイトの方が、それだけ総合的な情報量が多いということになりやすく、すごくニッチな検索市場だけを狙う場合を除いては、質×量で勝負しなければならない。
量を積み上げていくためには時間がかかるため、一気に仕掛けて一気に回収するといった期待は難しいだろう。
長期的・継続的に取り組まなければ効果を得づらい
上記に関連する話だが、量を積み上げていくことと、既存のコンテンツを常に最新に保つことが求められるため、SEOは長期的・継続的に取り組まなければ効果を得づらい。SEOは短期的な施策ではない。
最低でも数か月、企業によっては一か年計画で施策スケジュールをたてることも珍しくない。例えば、最初の数か月は多くを求めず、三か月から半年後以降で数値目標を立てるといった具合だ。初期の施策をブラッシュアップするタイミングもくるだろう。いずれにしても、SEOは継続的に取り組まなければ成果を見込みづらい。
常に情報のアップデートが求められる
SEOに継続性が求められる理由は、常に情報のアップデートが求められるからでもある。それはコンテンツ内の情報だけではなく、アルゴリズムや市場のトレンドといった知識のアップデートも含む。
年に数回行われるコアアルゴリズムアップデートに代表されるように、検索エンジンのアルゴリズムは日々更新されている。ユーザーにとって使いやすいプラットフォームを実現するために、検索結果に表示するコンテンツも変わる。それら外部要因を味方につけられなければ、SEOで成果を出すことは難しいだろう。
Webのトレンドは変化が激しく、どういったWebサイトが上位に表示されるかを検索エンジン側は正解を教えてはくれない。そのため、さまざまな要因と変化を分析し、いくつもの仮説を立て、それらを検証してノウハウを身に着けていかなければならない。
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BtoB企業がSEO対策する方法
次からは、BtoB企業がSEO対策する具体的な方法を解説する。SEOでやるべきことは多岐にわたるが、項目を大きく分けると以下の3つとなる。
方法 | 役割 | 取り組み内容の例 |
内部対策(テクニカルSEO) | 検索エンジンに正しくWebサイトを認識してもらう。ユーザビリティを高めて使いやすいWebサイトにする。 |
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外部対策(被リンク) | 価値の高い被リンク(他サイトからのリンク)を増やし、ドメインの価値を高める。 |
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コンテンツ対策(記事) | ユーザーのニーズを満たすコンテンツを継続的に作成・発信することで、検索エンジンからの流入を増やす。 |
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これらの他にも、細かく見れば施策は多数存在する。その中でも押さえておくべき代表的な施策をまとめているため、これからSEO対策を実施する、もしくはSEO対策で今後なにをすればいいかわからない人は参考にしてほしい。
内部対策(テクニカルSEO)
内部対策(テクニカルSEO)とは、Webサイトの内部構造を改善して、検索エンジンがサイトを正しく理解しインデックス(検索エンジンの持つデータベースへの登録)できるようにするための施策だ。テクニカルSEOを行うことで以下の効果が期待できる。
- 検索エンジンからの評価を高め、検索結果の上位表示につながる
- ユーザーの利便性を向上させ、サイトの回遊率や滞在時間を高める
テクニカルSEOは、コンテンツ対策と並んでSEO対策の重要な要素だ。質の高いコンテンツを作成しても、内部対策が不十分な場合、検索エンジンから正しく評価されないことで宝の持ち腐れになる可能性があるためだ。ユーザーがコンテンツにたどり着けない場合も同様だ。
以降で説明する施策の他にも、サイトマップの作成やページ内リンクの網羅なども存在するが、比較的、影響度が高い施策をいくつかについて詳しく解説する。
ページの表示速度の改善
表示速度の改善とは、ユーザーがページを開いたときにかかる読み込みの速度を早めることだ。クリックしてからWebページが表示されるまでに長い時間がかかると、ユーザーは待ちきれずに離脱してしまうだろう。それはつまり、ユーザビリティが低いページという評価になる。
Googleの調査によると、モバイルページの表示時間が3秒を超えると直帰率(次のページへ行かずに検索結果を戻る率)が32%上昇し、表示時間が5秒を超えると直帰率は90%をこえると発表している。どんなに優れた情報を持つページも、ユーザーに見てもらえないのであれば意味がなくなってしまう。
ページの表示速度を改善するには、具体的に以下のような方法がある。
- 画像や動画のファイルサイズを最適化する
- 外部ファイルの読み込みを最小限にする
- ブラウザキャッシュを活用する
- CDN(コンテンツデリバリネットワーク)を導入する
もっとも対策を取りやすいのは画像や動画のファイルサイズを最適化(軽量化)することだ。画面に表示されないほどの大きなサイズを使用している場合は、相応しいサイズに圧縮するだけでも、ページの読み込み時間を大幅な改善が期待できるだろう。
また、外部ファイルの読み込みを最小限にすることでも、ページの読み込み時間を短縮することができる。ブラウザキャッシュを活用すれば、一度表示されたページの再読み込み時に表示速度を早めることができる。
ページの読み込み速度を改善するためには、これらの方法を組み合わせて、効果的な施策を実施することが重要だ。
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URLの正規化
URLの正規化とは、同じ内容のページが複数存在する場合に、検索エンジンから評価を受けるURLを統一することだ。同じ内容のページが複数存在する場合、他サイトからの被リンクがばらけたり、本来インデックスしてほしいページがインデックスされないなどの弊害が発生する可能性がある。
同じ内容のページが複数存在する場合、検索エンジンは以下の基準で最も優れたページを判断するとされている。
- コンテンツの質
- 被リンクの量と質
- ページの構造
この基準に基づいて、検索エンジン側が優れたページを判断したとしても、ユーザーは複数のURLから同一のページにアクセスする可能性がある。そのため、検索結果に表示したいページを明確にするためには、どのURLがそのページであるかを、以下いずれかの方法によって検索エンジンに示す必要がある。
リダイレクト
あるURLから別のURLに自動的に転送する仕組み。リダイレクトを行うことで、同一のページを複数のURLで提供している場合、検索エンジンは、リダイレクト先のURLを正規のURLとして認識する。
Canonicalタグ
HTMLのheadタグ内に、正規のURLを指定するためのタグ。検索エンジンはCanonicalタグで指定したURLを正規のURLとして認識する。
使い分けについては、正規化によってURLが変わるかどうかで判断する。リダイレクトは、AのURLからBのURLに転送されるのに対して、CanonicalではURLは変わらずに、検索エンジンに認識してもらうURLを別途指定する形となる。
サイト構造の最適化
サイトの構造の整理とは、サイト内のコンテンツを関連性や階層構造に応じて適切に配置することだ。サイトには階層があり、全体の構造が整理されていないと、検索エンジンがサイトを正しく理解できなかったり、ユーザーが求めるコンテンツを探せないことで離脱が増える可能性がある。どちらも、SEOではマイナスの評価となってしまう。
上記の例では、親となるページの下に子となるページが適切に配置されている。会社についての情報は「会社案内」というカテゴリーに、各種サービスについての情報は「サービス」というカテゴリー配下につらなるといった具合だ。上から辿っても下から辿っても、正しい論理構造で階層を上がったり下がったりできる。
上記の例では、「サービス」のカテゴリーが複数存在したり、複数あるサービスの一つだけが会社案内の下に配置されるなど、情報の階層構造として正しくないサイト構造となっている。これではリンクを辿っても正しい順にサイトを深ぼることができない。
サイト構造を最適化するポイントは、情報の論理構造を明確にすることだ。多くの場合、情報には親子関係が存在する。「渋谷区」は「東京都」の下になり、「SEO」は「Webマーケティング」の下になる。
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価値のないコンテンツの精査
「価値のないコンテンツ」とは、ユーザーにとって無益なコンテンツのことだ。わかりやすくいえば、検索ニーズを満たしておらずユーザーの抱える課題を解決するに至らないコンテンツのことである。意図せずに生じる場合もあれば、ユーザーを無視してアクセスを稼ぐことだけを目的として意図的に作成されるケースもある。
具体的には、以下のようなものが価値のないコンテンツと判断される可能性がある。
- コピペされただけのコンテンツ
- 誤字脱字や文法ミスが多いコンテンツ
- 内容が薄っぺらいコンテンツ
- 独自性やオリジナリティが低いコンテンツ
- アフィリエイトリンクが過剰に貼られているコンテンツ
- 広告ばかりでコンテンツが少ないコンテンツ
- ユーザーが満足できる情報が提供されていないコンテンツ
Googleは、検索結果の品質を向上させるためのガイドラインを公開しており、そのガイドラインの中で、上記に該当する場合は「価値のないコンテンツ」であると明記している。
「ユーザーにとって過不足なく、検索ニーズを満たすための情報がわかりやすくまとめられている」コンテンツを意識すれば、おおよそ該当することはない。そのため、「アクセスだけを稼ごうとしていないか?」という運用の基本スタンスを見直すことでもある。
外部対策(被リンク)
被リンクとは、外部サイトから自社サイトに貼られたリンクのことだ。「バックリンク」とも呼ばれる。被リンクはSEOにおいて重要な要素であり、検索順位のランキング要因でもある。
検索エンジンは、被リンクの数や質を参考にしてサイトの権威性や関連性を判断している。そのため、被リンクが多いほど、検索結果の上位表示がしやすくなる可能性がある。
ただし、関連のないページから被リンクは逆効果となり、例えば購入された被リンクが付いていると判断されればサイトがペナルティを受ける可能性もある。有効なのは、あくまで自然に貼られたリンクだけである。「自然」とはいっても、自社からの働きかけで増やすことは可能だ。
コンテンツの参照・引用
自社のページが他社にとって参考文献となった場合、参考にしたサイト内で「参照:○○」や「引用:○○」といった形でリンクが貼られる。これがもっとも自然な被リンクの受け方だ。
意図的に参照してもらうことはできないが、オリジナルの情報や、一時情報となるデータを公開していれば、他社がそれを二次利用する形で参照されやすくなるだろう。そのために、なるべく独自の情報が明確なエビデンスのうえで含まれるとよい。
取材・インタビュー
取引先や関連会社など、取材やインタビューを元にしたコンテンツを介して被リンクを受ける方法もある。わかりやすい例は、「お客様実績」などの項目で取材を行い、取材された企業が自社サイト内のリリースで「○○様に取材していただきました」とリンクと共に公開する方法だ。
被リンクを増やすためというよりも、お客様取材をコンテンツ化して実績をアピールすることが主目的だが、取材やインタビューコンテンツにはどちらの効果も持ち合わせていることを知っておくと施策を出しやすいだろう。
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コンテンツ対策(記事)
コンテンツ対策とは、コンテンツ(主に記事)を介して情報発信を行いユーザーとの接点を増やす施策だ。コーポレートサイトやサービスサイトでは、ニュース以外に更新する情報がほとんどないため、ニーズが顕在化したユーザーの来訪しか望めない。その分、導入する意思の高いユーザーが来てくれるが母数は決して多くないだろう。
そこで、記事コンテンツであればサービスにまつわる近しい情報や少し遠い情報など発信しやすく、いわゆる「お役立ち情報」として更新することができる。それによって「まだまだ客」も増えることになるが、前述のとおりSEOは直接的な成果だけではなく、将来の顧客を囲い込む施策も大切にしなければならない。
とはいえ、感覚的にテーマを決めても検索需要がなければ意味がない。正しいコンテンツ対策を実行するためには、綿密なリサーチに基づいて世の中に存在する検索ニーズを特定し、それに応える内容を作り上げることだ。具体的な工程は次の三つだ。
キーワード選定
キーワード選定とは、検索結果の上位表示を狙うためのキーワードを選ぶ作業のことだ。コンテンツにはテーマが必要であり、ユーザーが検索するキーワードに合わせる形でテーマを決定する。
キーワード選定を行うためには、まずユーザーのニーズを把握することが重要だ。よく用いられる指標として「検索ボリューム」がある。検索ボリュームとは、そのキーワードで検索された回数のことだ。検索ボリュームが多いキーワードほど、世の中の需要も多いことが推測できる。ただし、検索ボリュームが多ければ良いというわけではない。
例えば、次のような二つのキーワードでは、それぞれに狙うメリット・デメリットがある
テキストマイニング | テキストマイニングツール | |
検索の目的 | テキストマイニングとは何か知りたい | テキストマイニングに使えるツールを比較検討したい |
検索ボリューム/月 | 22,000 | 1,300 |
競合性 | 高 | 中 |
売上につながる可能性 | 中~低 | 高 |
検索ボリュームが大きいほど「意味や概要を知りたい」に寄るため、検索ニーズが絞り切れていないのに対して、「テキストマイニング ツール」はさらに絞り込んだ検索キーワードになっている。前者は「まだまだ客」の検索で、後者は「今すぐ客」に近い層の検索だと推測できる。
だが、そのキーワードでの上位表示を狙っているのは競合も同じだ。多くの場合、SEOではアクセス数を増やすことが当面の目的になるため前者のようなビッグキーワードは、検索ボリュームに比例する形で競合性も高まる。
競合性が高いほど上位表示する難易度も高まるため、キーワード選定では、これらを複合的に検討しなければならない。
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コンテンツの企画・構成
企画・構成とは骨組みであり、どんなに優れた文章で書かれた内容であっても、それがユーザーが求めるニーズとマッチしていなければ上位表示は望めない。コンテンツの役割は、繰り返しになるがユーザーの検索課題を解決することだ。
課題を解決するために必要な情報をユーザーにとってわかりやすく、理解しやすいコンテンツにするためには構成を練る必要がある。必ずしも明確な課題を持たない検索も存在するため、それらも含めてキーワードに応じて最適な構成を組まなければならない。
構成の作り方は人によって千差万別だが、例えば「SEO メリット」で検索するユーザーに対して「SEOのデメリット」という見出しを含めるかどうかなど、必要な要素を分析して組み込み、過剰になる要素はそぎ落としていくことが重要だ。
コンテンツの企画・構成には数字の分析が必要不可欠であり、有料のツールほど分析できる項目は多いが、無料でもラッコキーワードのようにヒントを得られるツールも存在するので上手く活用できるとよいだろう。
ライティング
ライティングとは、そのままの意味で文章を書くことを指すが、Webライティングは記事作成全般を意味することが多い。文章を書くことがメインにはなるが、Webのコンテンツは必ずしも文章ばかりが表現の方法ではない。
表(テーブル)、箇条書き、図解・画像、動画など、ユーザーによって理解しやすい形式をとることが求められる。例えば、先ほどのサイト構造の例で図解を用いたが、文章だけではイメージしづらいユーザーもいると推測されるためだ。
とはいえ、メインはあくまで文章となる。ただまとまりのない情報を列挙せずに、ユーザーにとってなるべく負荷のかからない文章を作成する工夫が必要になる。
例えば、冗長な文章や一文がやたらと長い文章は可読性が悪い。ときには、パソコンだけではなくスマートフォンやタブレットの画面幅で、ビュー内が文字で埋め尽くされていないかといった確認も必要になる。ユーザーは文章を読むことを目的にページを訪れているわけではない点に注意しよう。
WebライティングはPREP法(結論、理由、根拠、結論からなる論法)で書くことが基本になる。まず結論(質問に対する答え)を示し、次に理由を説明し、できるだけ根拠や事例を補足することで、ユーザーが納得して記事読了
後のアクションとれるためだ。
コンテンツ対策は、キーワードやテーマの選定から始まり、ライティングまでいかにユーザーという存在に寄り添えるかが重要だ。決して、検索エンジンを攻略する・欺くといった考えの元にコンテンツを量産してはならない。
まとめ
今回解説したSEO対策のメリットデメリットや、具体的な施策内容は大枠に過ぎない。ただし、これらの基礎を押さえずして、SEOで成果を出すことは難しいだろう。
SEOは一度対策して終わりではない。検索エンジンは日々アップデートされ、検索するユーザーのニーズも時代と共に変化する。そのため企業や担当者には、SEOのためのテクニックだけではなく、市場を分析するといったマーケティング思考も必要になる。
ポイントは、SEOを単なる検索エンジン対策と考えるのではなく、Webマーケティング施策の一つだと捉えることだ。これからSEO対策に取り組む企業や担当者は、ぜひ、今回解説した内容を参考にできることから推進してほしい。
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