この記事では、コンバージョンの増大につながるSEO対策のキーワード選定の仕方(アルゴリズム)について説明する。月間の検索回数が多いからという理由だけでキーワードを選定するのではなく、コンバージョンが獲得できることが検証済みのキーワードで、SEO対策する方がよい。しかもそんなキーワードが多数あれば、どうだろうか?WEBからのコンバージョンもどんどん向上するだけでなく、無駄なSEO対策をしなくてよいため、費用対効果も向上する。ぜひこのコラムにあるアルゴリズムを実践してほしい。
BtoBマーケティングにおいて、WEBを活用したリードジェネレーションの重要性が向上している。ぜひこのコラムの内容をヒントに、WEBでのリード獲得を実現していただきたい。
1.SEO対策のキーワード選定の問題点
理想的なSEO対策を一言で言えば、「確実にコンバージョンが獲得できると確認・確証できたキーワードでSEO対策すること」である。さらに言えば、「そのようなキーワードが多数存在し、その存在するキーワードすべてでSEO対策すること」である。
しかしながら、これは非常に難しいことである。SEO対策そのものが、「やってみないとわからない」という特性を持つため、100%の成果(売上という成果)を保証することが難しいからである。これが最大の問題点だ。
余談であるが、一部、完全成果報酬(検索順位ではなく、売上ベースの成果報酬)というサービスもあるようだが、私から見れば眉唾で、再現性、具体性がないものになっていると考えている。理由は、簡単だ。売れるかどうかを決めるのはSEO対策ではないからだ。SEO対策は認知拡大の一部に過ぎず、売れるかどうかは、サイトに掲載している商品力にかかっている部分もある。この商品力に関しては、SEO対策会社は手の出しようが無い。よって、眉唾ということである。
本題に戻るが、SEO対策の問題点は、「やってみないとわからない」という点。つまり、PDCAが重要ということになる。そこで、今回のコラムは、SEO対策のキーワード選定のアルゴリズムをご紹介し、この課題を解決する糸口をご説明する。
2.コンバージョンが増えるSEO対策のキーワード選定アルゴリズム全体像
では、SEO対策のキーワード選定のアルゴリズムをご紹介しよう。下図がそのアルゴリズムである。
それでは、順番にご説明しよう。
2-1.メインキーワードの決定
最初は「メインキーワード」の選定である。これは、御社の商材に直接関連するキーワードとなる。例えば、THREE-VIEWの場合、WEB制作、WEBコンサルティング、営業コンサルティングというようなキーワードになる。自社製品そのものを表すキーワードをまずはいくつか選定しよう。おそらくこの作業は簡単であろう。思いつく限りやってみるとよい。
2-2.メインキーワードの増大
次に「2-1」で選定したキーワードを2つの視点からキーワード数を増大させよう。
視点1:「用途拡大」
これが商材によっては非常に難しい(特にBtoBなど商流の上流工程だと難しい)場合があるが、考えるのはタダである。やるだけやってみよう。ここでやる作業は、御社の製品の用途(要するに利用シーン)を考えるのである。利用シーンというのは、「製品を利用する目的または活用の背景」のことである。
例えば、THREE-VIEWの場合、WEBコンサルティングサービスを販売しているが、その利用シーンとしては、「下請けから脱却するためにWEBを活用する」、「新規開拓を効率化するためにWEBを活用する」、「営業力強化のためにWEBを活用する」といったものがある。
用途を拡大すると、「下請け脱却」「新規開拓」「営業強化」「営業改善」といった新しいキーワードが発見できる。こうやってキーワードの種類を増やし、メインキーワードとして検討するのである。
用途を見つける方法としては、「既存客に聞く」ことが一番効果的である。「当社の製品をどういう目的で購入されたのですか?」と聞くだけである。電話一本、メール1通でできる作業だ。私も当然やっている。
視点2:「関連ワード発掘」
こちらは類語辞典やキーワードアドバイスツールなどを使ってメインキーワードに関連するワードを発掘するだけである。
類語辞典:http://thesaurus.weblio.jp/
WEB制作であれば、「ホームページ制作」「WEB構築」「WEBリニューアル」など、いろんなキーワードが関連ワードとして考えられる。御社のメインキーワードにも必ず関連するワードがあるはずだ。それらを分析し、洗い出しておこう。
ここまでの段階で、いくつかのメインワードがリストアップできたことになる。それでは次はそのリストアップしたメインワードを二分化する作業に入る。
2-3.サブワード分析でキーワードを二分化
手元にあるリストアップしたメインワード一覧を二分化する。二分化する方法は、下記の手順となる。
手順1:サブワード分析
メインキーワードのサブワードを分析しよう、サブワード分析とは、「メインキーワード」の後に、どのようなワードが加えられて検索されているか?を分析することである。例えば、WEB制作であれば、「WEB制作 会社」などであり、この「会社」がサブワードになる。
サブワードはメインキーワードとセットになっているので、無数に存在する。それらを分析するのである。分析方法は下記のサイトを活用すると楽である。
Goodkeyword
http://goodkeyword.net/
メインキーワードを入力するだけでサブワード一覧を表示してくれる。WEB制作で調査すると下記のように表示された。
これらが、WEB制作に関連する「サブワード」になる。このようなワードで実際に検索されているということになる。
手順2:サブワードを購入検討GP、情報収集GPに二分化
今、手元には、メインキーワードそれぞれに対するサブワード一覧があるはずだ。そのサブワード一覧を見ていると、2つのグループに分解できることがわかるだろう。1つ目は、「購入検討GP」で、たとえば「料金」「比較」「事例」などのようなワードである。こういうサブワードが多いメインキーワードは、「比較的購入を検討している可能性が高いキーワード」として位置づけ、購入検討GPに入れる。
2つ目は、「情報収集GP」である。おそらくBtoBの場合は、ほぼこっちになるだろう。情報収集GPのサブワードは、「方法」「ノウハウ」「コツ」「極意」「秘訣」といった、明らかに情報を集めているなと思われるワードである。こういったサブワードが多いメインキーワードは「情報収集GP」に入れる。
判断がつかない場合は、いったん情報収集GPに入れておこう。判断基準が今の段階ではまったくないので、仮説でしかない。いくらあがいても、仮説は仮説。それ以上はない。また、全く無関係の場合は除外してOKだ。
この段階では、購入検討GPのメインワード一覧と、情報収集GPのメインワード一覧が完成しているはずである。そして二分化した根拠は、サブワードとなる。
2-4.キーワードのグルーピング
次は、購入検討GPのメインワード一覧と、情報収集GPのメインワード一覧をさらに詳細なグループに分けていく。詳細なグループの分け方は、メインキーワードをグループ名にして分ける。そして下記のような表を作ってみよう。
ここまでできたらあとは検索市場調査である。
2-5.グループごとの検索市場調査
検索市場調査は、Yahooならキーワードアドバイスツール、Googleならキーワードプランナー(2014年7月現在)で調査できる。それぞれのキーワードで月間どのくらいの検索があるのかを表示してくれる無料のサービスである。
キーワードアドバイスツール:http://business.yahoo.co.jp/
Yahooはビジネスセンターのアカウントを作成し、ログイン後活用できる。
キーワードプランナー:https://adwords.google.co.jp/KeywordPlanner
Googleアドワーズのアカウントを作成し、ログイン後活用できる。
検索回数を調査したら、先ほど作成した表に、検索回数を記入しよう。
キーワードの検索回数がわからないもの(表示されないもの)に関しては、不明としておこう。
2-6.リスティングでの検証
ここまでできたら、あとは実際に集客してみるのである。このタイミングではまだSEO対策はやらない。コンバージョンが獲得できると確認できたわけではないからだ。
そこで集客にはリスティングを活用する。予算を設定できるので、テストをするにはちょうど良い。グルーピングしたキーワード毎にリスティングの広告を設定し、実際に制作したWEBサイト(ランディングページ等)に集客してみよう。
2-7.期待できるか判断(YES、NO、不明に分岐)
集客する期間は、検証期間をどのくらいにするか?による。期間よりも集客人数で把握してもよい。あんまり少ないと判断材料にもならないので、1つのグループにつき、月200人?300人、それを3ヶ月くらい継続して、3ヶ月で1000人程度を1つの目標にしてみよう。テストなので、まずはこのくらいでやってみよう。(実際に期間、人数は御社の判断にお任せする。これで正解というものがあるわけでもないが、やればやるほど十分な確証になるが時間も費用もかかる)
目標のコンバージョン率を1%としているならば、1000人集客できれば、10件のコンバージョンということになる。この目標がどのくらい達成できるかやってみるのである。
が、ここで重要なのは、検索回数が不明、もしくは極端に少ないキーワードである。これらのワードはいくら広告を設定しても、まったく表示されない可能性もある。そういった場合は、リスティング広告の部分一致の広告表示機能を活用して表示させてみよう。思いもよらないキーワードからの集客が実現し、コンバージョンにつながることも考えられるからだ。
2-8.SEO対策の実行、サイト改善、集客中止
リスティングでの検証が完了したら、「期待できるかどうか判断」しよう。実際にコンバージョンもあり、目標に近い、目標達成という場合は、効果ありと判断できる。すぐにでもSEO対策用キーワードとして選定し、実行しよう。
逆にコンバージョンがなく、それでも、サイトの直帰率が低く、問い合わせフォームまでちゃんと誘導できているというような場合は、サイトを改善しよう。期待できるが効果がないという状況なので、サイト改善が重要になる。そしてサイトを改善後、再度、リスティングで効果検証するのである。
逆に、サイトの改善もやるだけやった、これ以上は・・・という場合は、集客中止と判断してよいだろう。費用の無駄である。
そして、最後に、検索回数が少なく部分一致にして集客したキーワードの判断をしよう。部分一致で集客しているので、実際にどのようなキーワードで集客できているのか、リスティングのレポート機能やGoogleアナリティクスなどを使って分析しよう。
部分一致で集客できたキーワードにはこちらの思いもよらないキーワードが含まれていることがある。これは意外とお宝キーワードになることもあり、いくつかピックアップして、そのキーワードの検索市場を調査しよう。そして、再度、下記の表に追加していこう。
ピックアップする基準は、直帰率が低く、フォームへの誘導率が高いキーワードとなる。その他、全く関連性のないワードの場合は、除外ワードに設定して、無駄な費用が掛からないようにしておこう。
この段階で、「SEO対策として選定したキーワード」「サイト改善する必要があるキーワード」「新たに検索市場を調査し、今後集客してみるキーワード」「除外するキーワード」「集客中止のキーワード」の5つに区分できることになる。
そしてまた3ヶ月程度、リスティングで効果を検証しながら、「SEO対策として選定したキーワード」のSEO対策を進めるのである。
2-9.アクセス数とコンバージョンの増大
最後は、「SEO対策として選定したキーワード」のSEO対策である。これはコンテンツSEO等、サイト内にキーワードを充実させ、対策をコツコツとやっていく必要がある。そのため、時間がかかるが、このワードで集客すれば、コンバージョンの可能性が高いと効果検証済みであるため、着実に行っていこう。
そしてこのようなキーワードが増えれば増えるほど、安定したコンバージョンの獲得につながっていくはずだ。
3.まとめ
今回は、コンバージョンが増えるSEO対策のキーワード選定アルゴリズムをご紹介した。
ひたすらぐるぐる繰り返すことになるが、このアルゴリズムを印刷する、ブックマークに保存するなどして、今後のSEO対策の1つのルールとして活用してほしい。
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(平成26年7月14日 株式会社ALUHA 荻野永策)