Webマーケティングのキーワード選定における「検索回数と曖昧性」の課題とその解決方法

検索回数・曖昧性の壁を突破するキーワード選定の仕方
Last Updated on 2024年9月30日 by 荻野永策

BtoBマーケティングにおいてデジタルマーケティングを活用する時、その中心的存在となるのが、自社のWEBサイトである。この自社サイトのコンテンツをどう作っていくか?はデジタルマーケティングの成功を左右する大きな要因となる。

しかし、BtoBでは、この自社サイトのコンテンツ作りに大きな課題を持つ企業が非常に多い。コンテンツは集客強化だけでなく、リード獲得の役目も担うため、どのようにコンテンツを作れば良いのかという相談は、弊社に最も多い相談の1つである。

ではなぜ、BtoB企業がコンテンツ作りに悩むのか、その要因の1つが「キーワード選定」にある。WEBコンテンツの場合、検索エンジン対策(SEO対策)も意識したコンテンツ作りが重要であるが、検索回数が少ない、曖昧性が強いという理由から、なかなか良いキーワードが選定できないことがある。

そこで、今回のコラムでは、BtoB企業がデジタルマーケティングを実施する場合のキーワード選定について、3つの方法をご紹介する。

なお、BtoBのデジタルマーケティングの基礎については、「デジタルマーケティングとは?」にて、詳細な説明をしているので合わせてご確認いただきたい。

BtoBデジタルマーケティングのキーワード選定の課題

BtoBデジタルマーケティングのキーワード選定では、検索回数が少ない、曖昧性が強いという2つの課題が発生する。

キーワード選定の課題「検索回数が少ない」

BtoBのキーワード選定で最も多い課題といっても良いのが、検索回数の少なさである。では、なぜBtoBでは検索回数が少なくなるのか、その理由をご説明しよう。

理由の1つ目は、「ターゲットの少なさ」である。デジタルマーケティングでは、リードを獲得するコンテンツを設計・制作するために、ターゲティングを行う。しかし、BtoBの場合、相手は「企業」であるため、そもそもの母数がBtoCに比べ少ない。さらに、企業の中に存在するある部門やある業務を担当している「人」をターゲットとするため、ピンポイントになる。そのため、ターゲットの人数がもともと少ないのである。

理由の2つ目は、「既存の取引先に相談することがある」である。BtoBの場合、今までにない商品・サービスでないかぎり、リードはすでにどこかの企業と取引しており、今付き合っている企業にまずは相談するというケースがある。そのため、検索をしないということがありえる。

理由の3つ目は、「マニアックな製品」である。BtoBの場合、製品がマニアックであればあるほど、その製品に関係する企業や人が少なくなり、必然的に検索回数が少なくなる。

このような3つの理由から検索回数が少ないという課題が発生する。

キーワード選定の課題「曖昧性が強い」

BtoBに限った話ではないが、デジタルマーケティングのキーワード選定では、「曖昧性」が課題になることが多い。曖昧性とは、キーワードに複数の「意味」が存在することをいう。

たとえば、デジタルマーケティングでは現在、MA(マーケティングオートメーション)の導入が盛んであるが、この「MA」というキーワードは曖昧性が強いと言える。仮に、あなたが、MA(マーケティングオートメーション)のシステムを開発し、販売している会社のWEB担当者だとしよう。

当然、キーワードとして、MAというキーワードを選び、コンテンツ作りを進めることも視野に入れるはずだ。しかし、実際にMAというキーワードを調べてみると、マーケティングオートメーション以外にも、下記のような意味があるようだ。

MA:Multi Audioの略語。映像制作の現場で使われる言葉
Ma:Mega annumの略語。百万年前という意味で地質学で使われる言葉
Ma:Mach。マッハのこと

このほかにもたくさんあるようなので、気になる方はhttps://ja.wikipedia.org/wiki/MAをご確認いただきたい。このように、MAという言葉には複数の意味があるため、MAと検索するユーザーがすべて、マーケティングオートメーションのことを検索しているとは限らないのである。

これが曖昧性であり、曖昧性が強いキーワードを選定すると、ターゲット外のユーザーを集客することにつながりかねない。

BtoBデジタルマーケティングのキーワード選定課題を解決する3つの方法

このように、BtoBデジタルマーケティングのキーワード選定では、「検索回数の少なさ」「曖昧性」という2つの課題が発生する。ではこの2つの課題をどのように解決すべきだろうか?確実に解決する方法というのは存在しないが、これからご紹介する3つの方法で解決のヒントが得られると思う。

キーワード選定の課題「検索回数が少ない」を解決

まずは、「検索回数の少なさ」を解決する方法だ。単純に考えれば、検索回数を多くするという解決策があるが、これはデジタルマーケティングの範疇を超えてしまう。他のメディアを使うといった施策が中心になるからだ。

そのため、検索回数が少ない場合は、抜本的にキーワードを見直すしか方法がない。キーワードを見直す基本的な方法としては、以前、このブログでもご紹介した、下記のコラムが参考になるだろう。

WEB戦略の方向性を決めるSEO対策のキーワード選定「4つの視点」
https://btobmarketing.aluha.net/column-wp/archives/1206

このコラムでは「物広視点(ものひろ視点)」「物深視点(ものふか視点)」「価値広視点(かちひろ視点)」「価値深視点(かちふか視点)」という4つの視点からキーワードを選定する方法をご紹介している。特に、「価値広視点(かちひろ視点)」「価値深視点(かちふか視点)」の2つについては、ソリューション提案によるキーワード選定になるため、視野の広いキーワード選定が可能となる。ぜひご参照いただきたい。

さらに上記のコラムの内容だけでなく、他の方法も2つご紹介しよう。

キーワードのカテゴリレベルを上げて解決する方法

最初の方法は、キーワードのカテゴリレベルを上げるという方法だ。カテゴリレベルとは、キーワードの抽象度のことで、カテゴリレベルが上がると残念ながら曖昧性も高くなる。その代わり検索回数が多くなる傾向がある。

分かりやすい例で考えてみよう。たとえば、「チラシ印刷」や「カタログ印刷」のカテゴリレベルを上げると、「印刷」になるし、さらにレベルを上げると「プロモーション」や「集客」「販売促進」と言ったキーワードになるだろう。

このように、キーワードによっては、上のカテゴリのキーワードがあり、それを見つけ出すことで、検索回数の少なさを解決できることがある。

サーチコンソールとGoogleアナリティクスを使って解決する方法

次の方法は、サーチコンソールとGoogleアナリティクスを活用して解決する方法だ。キーワード選定した対象製品・サービスの既存WEBページにどんな企業がどんなキーワードで訪問しているのかを把握することで、キーワード選定の視野を広げヒントを得るという方法だ。それでは、その手順をご紹介しよう。

最初にやることは、キーワード選定したい製品・サービスの対象URLをリストアップしよう。説明をわかりやすくするため、ここでは一旦、対象URLを下記のURL(本ブログのトップページのURL)とする。 複数ある場合は複数リストアップしていただいてよい。

対象URL:https://btobmarketing.aluha.net/column-wp/

リストアップしたら、対象URLのドメインを除いた部分をリスト化する。上記の対象URLの場合は、下記のようになる。

ドメインを除外したURL:/column-wp/

次に、Googleアナリティクスにアクセスし、ログインする。そして、2018年3月現在のGoogleアナリティクスの画面で説明すると、左メニューにある「ユーザー>テクノロジー>ネットワーク」を順次クリックする。

その後、右上にある「期間」を任意の期間にしよう。期間は対象URLのアクセス数にもよるが、最低でも2,000UUくらいになる期間を設定してほしい。少なすぎるとヒントが得られなくなる。

期間を設定したら、「すべてのユーザ」をクリックする。すると、「新しいセグメント」という赤いボタンが表示されるのでクリックする。クリックすると下記のような画面が表示される。

Googleアナリティクスのセグメント作成画面

そして、左にある「条件」をクリックし、右の画面が変わったら、「AdWords広告グループ」というというプルダウンをクリックする。すると、小さな検索ボックスがでてくるので、そこに「ページ」と入力しよう。

Googleアナリティクスのセグメント作成「条件選択」

そして、緑の中から「ページ」を選び、クリックする。すると、先ほどのプルダウンが、「AdWords広告グループ」から「ページ」に変わる。次に、「含む」とあるプルダウンを「最後が一致」に変更し、その横にある入力欄に、上記でリストアップした「ドメインを除外したURL」を入力する。

Googleアナリティクスのセグメント作成

もし「ドメインを除外したURL」が複数ある場合は、右にあるORをクリックし、同様に「ドメインを除外したURL」を追加していく。「ドメインを除外したURL」をすべて入力したら、青い「保存」というボタンの横に、セグメント名を入力する欄があるので、適当な名前を入れて保存をクリックする。

この段階で、「ドメインを除外したURL」にアクセスした訪問者のみに絞られたアクセス分析ができるようになる。つまり、上記の例では、対象URLが弊社のブログのTOPページのURLであったため、ブログのTOPページにアクセスしたユーザのみのアクセス分析が可能となる。

保存すると、先ほどは「すべてのユーザ」となっていた部分が、入力したセグメント名に変わっているだろう。

次に、Googleアナリティクスの画面をスクロールすると下記のような表があるので、そこの「セカンダリディメンジョン」をクリックする。

Googleアナリティクスのアクセスプロバイダ一覧

クリックするとまた検索ボックスがでてくるので、「ドメイン」と入力する。入力したら、「ユーザー」というカテゴリに「ネットワークドメイン」があるので、それをクリックする。

さらに、「セカンダリディメンジョン」の横に、「アドバンス」というリンクがあるので、そこをクリックする。すると、下記のような画面になる。

Googleアナリティクスのドメイン指定

サービスプロバイダと記載のあるプルダウンを選び、「ネットワークドメイン」に変更し、その横にある入力欄に「co.jp」と入力する。その後、適用ボタンをクリックする。すると、下記のような画面が表示される。

Googleアナリティクスのドメイン一覧

これは、リストアップした「対象URL」にアクセスをした企業のドメインの一覧である。つまり、ここに表示されているドメインを持つ企業が、対象URLにアクセスしているのだ。なお、画面の右下に表示件数を設定できる箇所があるので、最大件数まで表示しよう。

その後、画面右上に「エクスポート」というリンクがあるので、この一覧表をCSVでダウンロードしておこう。

これで、対象URLにアクセスしている企業の名前が何となく把握できるようになる。この段階で、ちゃんとリードとなりうる企業が訪問しているのか、確認しておこう。

以上がGoogleアナリティクスの作業である。少し面倒だが、慣れれば数分で完了する。次に、サーチコンソールの作業を説明する。Googleアナリティクス同様、対象URLのリストは使うのでそのまま残して、まずは、サーチコンソールにログインする。

ログイン後、2018年3月現在の管理画面における、左メニューの「検索トラフィック>検索アナリティクス」をクリックする。その後、画面上にある「ページ」の下にある「フィルタなし」のプルダウンをクリックし、「ページをフィルタ」を選択する。

選択すると、「次を含むURL」のプルダウンがあるので、そこから、「URLが一致」を選び、横にある入力欄に対象URLを1つ入力する。すると、ページの下にフィルタの条件が表示されるので、横にあるクエリにチェックを入れる。

サーチコンソール検索アナリティクス

さらに、日付もGoogleアナリティクスで設定した日付と合わせるようにしよう。上記では2月1日から28日に設定してある。

この段階で、対象URLにアクセスしてきたユーザが、どんなキーワードでアクセスしてきたのか?が一覧表示されるので、キーワードが判明する。このキーワード一覧をCSVでダウンロードし、先ほどGoogleアナリティクスで作ったドメイン一覧と見比べてみよう。

訪問している企業のドメインがリードとなり得る企業の場合は、サーチコンソールのキーワードリストをみながら、どういうキーワードで訪問しているのか?のヒントを探ろう。予想外のキーワードなどがあれば、そのキーワードを選定してデジタルマーケティングに活用するのだ。

以上が、検索回数の少なさという課題を解決する方法である。

キーワード選定の課題「曖昧性」を解決

次に、曖昧性を解決する方法である。キーワードの曖昧性を確認するには、キーワードのサブワードを確認すると判断しやすい。サブワードとは、メインキーワードに付加されて検索される2つ目、3つ目のキーワードのことだ。

たとえば、「コーヒー」をメインキーワードにした場合、サブワードとしては、「コーヒー 入れ方」、「コーヒー ダイエット」などがある。

要するに、2つ目、3つ目にどんなキーワードがあるのかを把握することで、曖昧性の強さを確認できる。

やり方は簡単で、弊社もよく使っている下記のGoodKeyWordを使うと良い。

https://goodkeyword.net/

上記にアクセスし、検索ボックスの上にある「Googleサジェスト」を選択後、好きなキーワードを入れてみよう。すると、すべてのサブワードを一覧表示してくれる。このサブワードの中に、意味のわからないキーワードが多数含まれている場合は、曖昧性が強いと判断できる。

サジェスト分析を行うツール

選定したキーワードが、あなたも知らない他の意味をもっており、その意味において、検索が多い場合は、曖昧性が強く、キーワード対策しても効果が薄いと言える。

BtoBデジタルマーケティングのキーワード選定まとめ

以上、BtoBのデジタルマーケティングのキーワード選定に関する課題と解決方法をご紹介した。課題としては、「検索回数が少ない」「曖昧性が強い」の2つがよくある課題である。そしてこの課題を解決する方法は、下記の通りだ。

「検索回数が少ない」
キーワードのカテゴリレベルを上げる
Googleアナリティクスとサーチコンソールを使って、対象URLの訪問企業と訪問キーワードを分析しヒントを得る

「曖昧性が強い」
キーワードのサブワードを分析し他の意味がないか確認する

あなたも、もしキーワード選びで悩んでいるなら、一度これらの方法を実践してみてはいかがだろうか?

BtoBリードジェネレーションの基礎コラム


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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ALUHA代表取締役。1979年兵庫生まれのBtoBマーケティングコンサルタント。金沢工業大学大学院にて情報工学を専攻し2003年4月にALUHAを創業。2008年からBtoBに特化したマーケティング支援、営業戦略支援を開始。BtoBマーケティングや営業戦略の戦略立案から、計画実行とPDCA、そして人材育成を伴走型で支援。デジタルとリアルを融合させた戦略設計が得意。毎月全国各地の様々な企業でBtoBマーケティングセミナーを実施中。100社以上でのセミナー講演実績を持つ。大手IT企業、製造業(日立Gr、富士フイルムGr、キヤノンGr、積水Grなど)を顧客に持つコンサルタント。→セミナー講演実績→コンサル実績