デジタルマーケティングのPDCAを効率よく回す「3つのKPI」

たった3つのKPIに着目したPDCAの回し方
Last Updated on 2023年2月18日 by 荻野永策

BtoBのデジタルマーケティングでは、リードジェネレーションからリードナーチャリングを実現するために、様々なデジタルコンテンツを作成し、そのコンテンツの効果を分析・改善していくことが重要である。

デジタルマーケティングのコンテンツは、「WEBサイトで使うWEBコンテンツ」と「マーケティングオートメーションで使うメールコンテンツ」の2つに大別できるが、特にWEBコンテンツのPDCAは非常に複雑になることが多い。

なぜなら、メールコンテンツは配信して数日するとコンテンツの賞味期限が切れ、開封率・クリック率に変化が発生しにくい。そのため、1回の分析でメールの効果を測定できる。しかしWEBコンテンツはそうはいかない。公開すると期間限定のコンテンツでもない限り、基本公開し続けることが多いため、効果分析が長期間にわたって継続することになる。

ページ数が少ない場合はよいが、数百、数千、数万ページとなってくると、とても手が回らない。かく言う弊社も、自社のWEBコンテンツすべてのPDCAが回せているか?というとそうでもない。

そこで、今回のコラムでは、デジタルマーケティングの中でも、WEBサイトのPDCAに焦点をあて、大量のWEBコンテンツからどのように「悪いコンテンツ」を見つけ出しどう改善するか?の手順をご紹介する。たった3つのKPIに着目した改善手順であるため、効率よくPDCAが回せるようになるだろう。

デジタルマーケティングのWEBサイトPDCAでよくある課題

まず、WEBサイトのPDCAでは下記のような課題がよく発生する。今回ご紹介する手順は、このような課題を解決できる手順といえるので、あてはまる課題がないか、確認していただきたい。

WEBのPDCA課題1「どのコンテンツを改善すべきかわからない」

WEBサイトの規模が大きくなればなるほど、WEBコンテンツの作りっぱなしというのが増えてくる。こうなると、コンテンツは増える一方で、どのコンテンツを改善すれば良いのかわからなくなる。当然、量が増えれば、分析する対象も増えるため、工数も大きくなり、だんだん分析ができなくなる。

WEBのPDCA課題2「アクセス解析ツールで調べるべきKPIがわからない」

Googleアナリティクス(GA)やサーチコンソール(SC)といったツールを活用すれば、自社サイトに対して様々なデータを取得できる。しかしそのデータ量は膨大で、何を指標にしてコンテンツの良し悪しを判断すれば良いのかわからなくなる。

こうなると、「これが悪いから修正してみよう」という「場当たり的な改善」になり、実際にコンバージョン件数やコンバージョン率といった重要な数値の改善に繋がっているのかが不透明になりがちだ。

「離脱率や直帰率が高いから改善しよう」と考え、改善しても、コンバージョン件数やコンバージョン率が変わらないということは、あなたも身に覚えがあるのではないだろうか?

デジタルマーケティングのWEBサイトPDCAを回す手順

それではこのような課題を解決するにはどのようにして、PDCAを回すべきなのだろうか?その手順をご紹介しよう。

PDCAの手順1「デジタルマーケティングの悪い部分を局所化する3つのKPIを分析する」

最初に行うのは、「WEBのどこが悪いのか?」を分析する全体分析だ。全体分析では、主に下記の3つのKPIを確認する。

(1)アクセス数(UU)
(2)フォームへの誘導率
(3)フォームからのコンバージョン率

BtoBのWEBサイトの場合、一部の例外を除き、WEBで購入まではできない。そのため、BtoBのWEBの動線は下記のようになる。


検索エンジンなどからの集客

サイト内の各ページから問い合わせフォームへ移動

フォームでの問い合わせ完了

WEBの最終目的を問い合わせ件数(コンバージョン件数)、もしくはコンバージョン率とした場合、必ず上記のような全体動線が必要になる。そうなると、WEBの悪い部分はどこか?を確認したいならば、まずはこの動線から全体を見下ろせばよい。

「(1)アクセス数(UU)」については、全体動線の「検索エンジンなどからの集客」を数値化したものだ。

「(2)フォームへの誘導率」は、「検索エンジンなどからの集客→サイト内の各ページから問い合わせフォームへ移動」の部分を数値化したもので、サイト全体に集客した人数に対し、問い合わせフォームに到達した人数は何人でその割合はどのくらいか?を示すことになる。

「(3)フォームからのコンバージョン率」は、「サイト内の各ページから問い合わせフォームへ移動→フォームでの問い合わせ完了」の部分を数値化したもので、問い合わせフォームに訪問した人のうち、どのくらいが問い合わせ完了しているか?を示したKPIとなる。

わかりやすく言えば、自社サイトに月1万人の訪問者があり、問い合わせフォームに500人、その後、問い合わせ完了(コンバージョン件数)が50人という場合は、3つのKPIは下記のようになる。

(1)アクセス数(UU):1万人
(2)フォームへの誘導率:5%
(3)フォームからのコンバージョン率:10%

まずはこの3つのKPIを明確にしよう。これがWEBサイトの全体分析となる。

PDCAの手順2「悪いコンテンツを見つける詳細分析」

全体分析が完了したら、次は悪いコンテンツを見つけるための詳細分析を行う。詳細分析はどこまで細かく分析できるか?という工数との戦いになるため、各自できる範囲を決めると良い。

たとえば、着実に1つ1つ改善する場合は、手順1の「3つのKPI」のうち、特に改善したいKPIを1つ選び、そのKPIを改善するための詳細分析を行うとよい。

上記例であれば、「フォームへの誘導率が5%」で「フォームからのコンバージョン率:10%」に比べると悪い。もし、フォームへの誘導率を10%まで改善できれば、コンバージョン件数が倍なる可能性がある。そう考えた上で、「フォームへの誘導率」を改善すると決めるのである。

KPIが悪いということは、改善の余地があるということなので、少ない工数で大きな効果が得られることが多い。そのため、このように、「3つのKPI」から悪い部分を1つ選定し、そこに特化した改善を繰り返して行くというのもPDCAの回し方の1つといえる。リソースをうまく活用した選定を行うと良い。

では、ここからは、「3つのKPI」のそれぞれについて、詳細分析をどう進めて行くか?についてご紹介する。

3つのKPIその1「アクセス数が悪い場合」

アクセス数が悪い場合の詳細分析は、サイト全体で狙っているキーワードのリストを整理し、各キーワードの検索順位を調査する。そして検索順位の低いキーワードをリストアップし、今後のSEO対策の優先リストに加えて行く。

優先リストに加わったキーワードに対しては、下記のコラムで掲載したような検索キーワード分析を行い、集客用のコンテンツを設計すると良い。下記のコラムでは、ある特定のキーワードをベースに集客強化のためのコンテンツをどのように設計するか?の手順をご紹介している。

ロングテールSEO対策の方法とは?効果的な対策を実現する計画の立て方
https://btobmarketing.aluha.net/column-wp/long-tail-seo-201609

集客用コンテンツを設計したら、既存のコンテンツのリライトだけでなく、新規コンテンツの作成も視野に入れて、コンテンツの強化と改善を行うと良い。

3つのKPIその2「フォームへの誘導率が悪い場合」

フォームへの誘導率が悪い場合の詳細分析は、様々なアプローチでネックページを見つけることができるが、簡易的に知りたいなら、各ページの離脱率を分析すると良い。

Googleアナリティクスでページ別の離脱率を確認できるため、下記の条件に全て該当するページの離脱率改善を行うと良い。

条件1:サイト全体の離脱率の平均値より高い離脱率をもつページ
条件2:アクセス数が多いページ(1ページあたりの集客力がサイト平均よりも高いページ)

上記に該当するページというのは、そのページへのアクセス数が多く、かつ、そこで離脱するユーザーが多いというページとなる。そのため、こういったページを中心に離脱率の改善を行い、フォームへの誘導を強化して行くと、フォーム誘導率を効率よく改善できる。

3つのKPIその3「フォームからのコンバージョン率が悪い場合」

フォームからのコンバージョン率が悪い場合の詳細分析は、フォームの滞在時間と離脱率を確認しよう。滞在時間が長いのに、離脱しているという場合は、フォームの項目が多すぎるというようなことも考えられる。

逆に滞在時間が短く離脱が激しい場合は、フォームに個人情報を入力してまで問い合わせするつもりがないということだ。こういったケースだと、いくら問い合わせフォームを改善しても、改善効果はあまり得られない。このような場合は、過去の問い合わせ内容、特にフリー記入欄の内容を分析すると良い。「この製品ではこういうことができますか?」や「事例について詳しく知りたい」など、過去の問い合わせでリードがどのような情報を欲しがっているのか?というのが分析できる。

この分析から、仮に、事例について詳しく知りたいというような問い合わせが多い場合は、事例集(PDF)を作成し、資料請求という形でフォームを作成すると良い。すると、過去のニーズに合わせたフォームを作成できるため、フォームからのコンバージョン率を改善できる。

PDCAの手順3「改善策を実行」

3つのKPIで全体を分析した後、詳細分析に落とし込み、改善策を検討したら、その改善策を実行してみよう。そして実行後、しばらく様子を見て、またデータがたまれば、手順1から再度分析を行えば良い。

そして、3つのKPIを常に評価し続け、KPIの数値が上がり続ければ、おのずとコンバージョン件数・コンバージョン率はどんどん高くなる。

あとはこのPDCAをどのくらいの期間で回すか?の期間を決めればよい。3ヶ月に1回なら、年4回転のPDCAが回せるため、3つのKPIを年4回分析すれば良い。ここは社内のリソースとの戦いになるだろう。

デジタルマーケティングのWEBサイトPDCAまとめ

以上、PDCAの回し方についてご紹介した。簡単にまとめると下記のようになる。

(1)3つのKPIを分析しサイト全体のどこが悪いかを明確にする全体分析
(2)3つのKPIのうち悪い部分を集中的に改善する詳細分析と改善策の立案
(3)改善策を実行ししばらくデータを蓄積。その後、(1)へ戻る

こういったサイクルを繰り返すことで、自然とPDCAを最小の工数で回せるようになるだろう。もしあなたもPDCAの回し方で悩んでいるなら、ご紹介した3つのKPIを使ってPDCAを回してみると、効率よくサイトを改善できるだろう。


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