デジタルマーケティングの戦略的進め方「リソースを効率よく活用する4つのポイント」

デジタルマーケターのリソースを効率よく活用する方法
Last Updated on 2024年9月7日 by 荻野永策

BtoBマーケティングのデジタル化を推進する場合、「リソース(自分の時間や予算)の使い方」でデジタルマーケティング担当者が悩むケースが多い。その主な理由としては、下記の4つがあるようだ。

リソースの使い方で悩む主な要因
  1. 他の業務が多く時間がさけない(複数製品を担当している場合など)
  2. 何からやっていいか優先順位がつけられない(KPIを分析するもどこからやるべきか判断できない)
  3. 関係者(上司など)にどのようにデジタルマーケティングを進め、どういう効果を出すべきか、説明できない。上司もやりたいことに対して、なかなか納得してくれない
  4. 会社にマーケティング戦略がなく、目先の業務や効果ばかりにおわれている

実際に、弊社のアンケートでも下記のような回答があった。

マーケティング戦略、戦術がないので、私が作成しているが、決まっていない状態。上司にどう伝え、どのように納得してもらうか。そして施策の優先順位はどうするか?
(2020年2月28日 IT企業 Hさんからの回答)

確かに、会社や部門としてマーケティング戦略がなければ、担当者が自分自身で戦略立案し、そこから戦術や施策、計画に落とし込んでいかなければならない。しかし、担当する製品数や事業数が多くなると、目先の業務(Webサイトの更新など)に追われてしまい、やるべきことができなくなる。さらに業務量が増えてくると、何からやれば効率がいいのかもわからなくなる。

そこで、今回はこういった課題を抱えるBtoB企業のデジタルマーケターに向けて、リソース(自分の時間や予算)を効率よく活用するための4つのポイントをご紹介しよう。

BtoBデジタルマーケティングの実行計画の策定に役立つ資料・テンプレート
BtoBデジタルマーケティングの進め方と計画立案方法についてわかりやすくまとめたPDF資料が無料でダウンロードできます。計画立案、PDCAに必要なエクセルやパワーポイントのテンプレートもついています。

デジタルマーケティングの実行計画テンプレート

資料のタイトル
BtoBデジタルマーケティングの実行計画の立て方「5段階プロセス」
〜KGI・KPI設定と戦略的な計画書の作り方〜

PDF資料の主な内容

  1. BtoBデジタルマーケティングとは何か?定義や役割について
  2. BtoBデジタルマーケティングの実行計画の立て方「5段階プロセス」
  3. 段階1「相性確認」の概要とやり方(相性診断シート付き)
  4. 段階2「範囲決定」の概要とやり方(デジタルマーケティング俯瞰図のパワポテンプレート付き)
  5. 段階3「KGI・KPIの確定」の概要とやり方(KPI可視化のエクセルテンプレート付き)
  6. 段階4「現状分析」の概要とやり方
  7. 段階5「計画立案」の概要とやり方(計画立案表のエクセルテンプレート付き)

どんなPDF資料か目次・内容を確認する

リソースを効率よく活用するための4つのポイント

ポイント1「KPIを少なくして楽にする」

1つ目のポイントは、「KPIを少なくして楽にする」ことだ。これは簡単な理屈で、デジタルマーケティングのKGI(目標数値)を高めるためのKPIが少なければ少ないほど、追いかける数値が少なくなるため、リソースを最小限に抑えることができる。

これは、「KGIを高めるためのKPIをいくつ設定するか?」というKGIとKPIの設計力がモノを言う世界だ。わかりやすく言えば下記のような方程式でKGI・KPIを設計した時、どっちが「楽か?」ということになる。

KGIとKPIの設計例
パターンA:KGI=KPI1×KPI2×KPI3×KPI4×KPI5×KPI6
パターンB:KGI=KPI7×KPI8×KPI9×KPI10

おなじKGIを追求するにしても、パターンAの方はKPIが6つあり、6つの数値を改善することで、KGIが高くなる。しかしパターンBはKPIは4つであるため、4つの数値だけを改善すればいい。改善するKPIが少ないと当然、リソースも少なくなる可能性が高くなる。

さらに、KPIにも「重み」が発生するケースがある。

KGIとKPIの設計例
パターンC:KGI=(KPI7+KPI8+KPI9)×KPI10

例えば、KGIをパターンCのように計算できる場合、KPI7から9を高めるよりも、KPI10を徹底的に高めた方が、KGIは効率よく向上させることができる。足し算よりも掛け算の方が効果がでるのだ。

具体的には下記のような形だ。

KPIの重み
(1+2+3)×4=24
(2+2+3)×4=28→KPI7を1から2にした場合のKGI
(1+2+3)×5=30→KPI10を4から5にした場合のKGI

KPI7を高めるより、KPI10を高めた方がKGIは大きくなる。数式であるため当然であるが、KGIとKPIの関係を明確にし、数を少なくしつつも、どのKPIから高めれば効率がいいか?を事前に把握しておくことで、リソースは効率よく使えるようになる。

ポイント2「KPIを高めるための施策に選択肢を作りリソースの残量に応じて選べるようにする」

2つ目のポイントは、「KPIを高めるための施策に選択肢を作りリソースの残量に応じて選べるようにする」ことだ。「あるKPIを改善する」と決断した時、その改善方法の施策・具体策に選択肢があると理想的である。しかもその選択肢が、「リソースの残量」や「上述したKPIの重み」によって決められるとよりGoodである。

わかりやすい例でご紹介しよう。たとえば、デジタルマーケティングではKPIの1つに必ず「アクセス数(UU数)」がある。このアクセス数を高める施策として、SEO対策は非常に重要であるが、SEO対策の施策も、BtoBの場合、キーワードによってどこまで工数を割くのか?を調整するケースがある。

自社製品やサービスに直接関連するキーワード(コンバージョンにつながる可能性の高いキーワード)の場合は、サジェストキーワード分析や共起語分析など、かなりの時間をかけてキーワード分析を行い、そこから検索ニーズにあったコンテンツを設計し、SEO対策を行う。しかし、自社製品やサービスに間接的に関連するキーワードの場合は、そこまでの分析は行わず、例えばライターに丸投げするなどといった方法でSEO対策を行う。

このように、SEO施策でも、いくつかの「方法・プロセス」を社内・チーム内で準備しておき、KPIの重要性やリソースの残量などを見て、最適な施策が選べるようにしておくとよい。

そうすれば、KPIに対して改善施策を考える際に、どの選択肢で進めるといいのか?という視点が生まれ、より効率よくデジタルマーケティングを推進できるだろう。重要なKPIの改善施策については、社内でのノウハウ蓄積も重要になるため社内で内製し、それ以外は外部を使うといった方法もありだろう。

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デジタルマーケティングの実行計画テンプレート

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BtoBデジタルマーケティングの実行計画の立て方「5段階プロセス」
〜KGI・KPI設定と戦略的な計画書の作り方〜

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  1. BtoBデジタルマーケティングとは何か?定義や役割について
  2. BtoBデジタルマーケティングの実行計画の立て方「5段階プロセス」
  3. 段階1「相性確認」の概要とやり方(相性診断シート付き)
  4. 段階2「範囲決定」の概要とやり方(デジタルマーケティング俯瞰図のパワポテンプレート付き)
  5. 段階3「KGI・KPIの確定」の概要とやり方(KPI可視化のエクセルテンプレート付き)
  6. 段階4「現状分析」の概要とやり方
  7. 段階5「計画立案」の概要とやり方(計画立案表のエクセルテンプレート付き)

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ポイント3「KPIを高めるための施策をプロセス化し具体性、再現性を高め属人化を最小化する」

3つ目のポイントは、「KPIを高めるための施策をプロセス化し具体性、再現性を高め属人化を最小化する」ことだ。

ポイント2では、施策に対して選択肢を作っておくことが重要と説明したが、その各選択肢に対して、属人化を防ぐために、プロセスをマニュアル化しておくことも重要だ。そうすれば、特定の担当者に業務が集中することがなく、属人化を防ぎ、デジタルマーケティングの推進を加速させることができる。

実際に弊社でも、こういった施策のマニュアル化を支援するケースも多く、例えば「コンバージョン率を改善するPDCAレポートの作り方」「検索ニーズを分析し有益なコンテンツを設計する手順書」といったマニュアルを作成し納品している。さらには、こういったマニュアルに対して研修を実施し、それを動画撮影して、お客様が新人研修用の育成ビデオなどに活用しているケースもある。

施策の選択肢をたくさん作り、その上でそれぞれの施策に対して進め方・やり方をマニュアル化して属人化を防げば、デジタルマーケティングをチームで推進することができるようになるだろう。

ポイント4「PDCAレポート作成の工数を最小化し数値で社内展開・説得する」

4つ目のポイントは、「PDCAレポート作成の工数を最小化し数値で社内展開・説得する」ことだ。

KGIやKPIは定期的に観測し、改善を繰り返すPDCAを回すことが重要だ。しかし、PDCAのレポートを作成する業務は非常に工数がかかるケースがある。細かい数値までレポートにまとめていると、GAやMAといった様々なツールからデータを集計しなければならなくなる。

PDCAレポートの作成にリソースが食われてしまうのは、非常にもったいないため、工数を最小化することを考えよう。

具体的には、PDCAレポートを俯瞰レポートと詳細レポートの2つに分けて作成する。

俯瞰レポートとは、KGIとKPIの今月の数値、今までの推移、今後の予定推移(可能なら)を入れただけのレポートである。そしてそこから、どのKPIから改善していくべきかだけをまとめる。これは主に経営層、上司向けのレポートとなるだろう。

そして、詳細レポートは、俯瞰レポートで「悪い」と判断されたKPIをさらに細かく分析したレポートだ。細かい数値が出てきて、どの施策を行えば良いかなどをまとめておく。メインはチーム内での共有(関係者・作業担当者間での共有)である。

このようにすると、すべてのKPIに対して細かい分析レポートを作る必要がなくなり、やるべき業務に集中したレポート作りが可能となる。

リソースを効率よく活用するための4つのポイントまとめ

以上、デジタルマーケティングのリソース活用を効率化する4つのポイントをご紹介した。

デジタルマーケティングのリソース活用を効率化する4つのポイント
  1. KPIを少なくして楽にする
  2. KPIを高めるための施策に選択肢を作りリソースの残量に応じて選べるようにする
  3. KPIを高めるための施策をプロセス化し具体性、再現性を高め属人化を最小化する
  4. PDCAレポート作成の工数を最小化し数値で社内展開・説得する

御社でもリソース活用や優先順位決めに課題があるなら、この4つのポイントを見直し、業務改善につなげていただければと思う。

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  2. BtoBデジタルマーケティングの実行計画の立て方「5段階プロセス」
  3. 段階1「相性確認」の概要とやり方(相性診断シート付き)
  4. 段階2「範囲決定」の概要とやり方(デジタルマーケティング俯瞰図のパワポテンプレート付き)
  5. 段階3「KGI・KPIの確定」の概要とやり方(KPI可視化のエクセルテンプレート付き)
  6. 段階4「現状分析」の概要とやり方
  7. 段階5「計画立案」の概要とやり方(計画立案表のエクセルテンプレート付き)

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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ALUHA代表取締役。1979年兵庫生まれのBtoBマーケティングコンサルタント。金沢工業大学大学院にて情報工学を専攻し2003年4月にALUHAを創業。2008年からBtoBに特化したマーケティング支援、営業戦略支援を開始。BtoBマーケティングや営業戦略の戦略立案から、計画実行とPDCA、そして人材育成を伴走型で支援。デジタルとリアルを融合させた戦略設計が得意。毎月全国各地の様々な企業でBtoBマーケティングセミナーを実施中。100社以上でのセミナー講演実績を持つ。大手IT企業、製造業(日立Gr、富士フイルムGr、キヤノンGr、積水Grなど)を顧客に持つコンサルタント。→セミナー講演実績→コンサル実績