デジタルマーケティングを活用して、営業戦略やBtoBマーケティングをデジタル化するBtoB企業が増えてきている。いわずもがな、新型コロナウイルス感染症により、営業訪問できない、セミナーや展示会ができないといった点が大きな影響を与えているが、それ以外にも、営業人員のリソース不足、顧客側の情報収集の変化(デジタルでの情報収集の増加)といった理由も大きく影響している。
しかし、BtoBはBtoCと違い、製品やサービスが非常にマニアックで、ターゲットも絞られることから、本当に営業とマーケティングをデジタル化できるのか?という心配の声が社内から上がってくることも非常に多い。
実際に、弊社にも、下記のようなご相談をいただいている。
営業とマーケティングをデジタル化する以上、「Webサイトをリニューアルして終了」「リードにメールを配信して終了」というわけにはいかない。少なくとも、「新規リードが獲得できているか?」「リードの育成ができているか?商談や案件が作れているか?」「売上に貢献しているか?」といった点を確認できなければ、デジタル化する意味はないといっていいだろう。
そこで、今回のコラムでは、どの事業・製品からデジタル化を進めたらいいのかわからない、デジタル化して短期間で小さな成功体験を作れる事業・製品を見極めたいといったことで悩んでいる方のために、「製品との相性」を見極める6つのポイントをご紹介しよう。
営業・マーケティングをデジタル化できるか?事前に確認すべき6つのポイント
営業・マーケティングをデジタル化するときは、事前に、製品や事業とデジタル化の「相性」を確認しておく必要がある。特にBtoBはその傾向が強い。では、どのようにして相性を確認すべきだろうか?その6つのポイントをご紹介しよう。
(1)検索市場と製品・事業の相性を確認する
1つ目のポイントは「検索市場」と「製品・事業の相性」である。これは、新規リード獲得をデジタル化したい(Webを活用したい)場合に、必ず確認しておくべきポイントとなる。なぜなら、Webを活用して新規リードを獲得する場合、Googleといった検索エンジンからの集客は必須になるからだ。
このポイントで確認することは2つだ。1つは、検索市場の大きさで、もう1つは、ターゲットが検索しているかどうか?だ。
「検索市場の大きさ」とは、わかりやすく言えば、営業・マーケティングのデジタル化を検討している製品・事業に関連するキーワードの「月間検索回数」である。「月間検索回数」が少ないとWebサイトへの集客に苦労することになり、その結果、新規リード獲得もままならない。そのため、製品・事業に関連するキーワードの「月間検索回数」は事前に必ず確認しておこう。
「ターゲットが検索しているか」とは、営業・マーケティングのデジタル化を検討している製品・事業のターゲットが、本当にそのキーワードで検索しているか?である。Googleなどの検索エンジンを使っているのは、世界中の人間であるため、本当にターゲットが検索しているかどうか?が怪しいケースが多々ある。
例えば、自動車部品を製造する製造業向けの「在庫管理システム」を開発し、その製品のリード獲得をWebを使って実施する場合を考えてみよう。単純に「在庫管理システム」というキーワードで検索するユーザーを集客すると考えてしまいがちであるが、「在庫管理システム」と検索するのは、自動車部品を製造する製造業の在庫管理担当者だけではない。スーパー、薬局などの小売業の在庫管理担当者も検索する可能性がある。
このため、「検索市場が大きい」からといって、単純に集客用のキーワードを選定し、それでWeb広告やSEO対策を実施しても、集客している訪問者がそもそもターゲットでない可能性もあるのだ。そうなると、いつまでたってもコンバージョンは獲得できない。
だからこそ、「検索市場の大きさ」と「ターゲットが検索しているか」は事前に確認しておく必要がある。
(2)既にWebアクセスがある程度ありコンバージョンが少ない製品・事業を確認する
2つ目のポイントは「既にWebアクセスがある程度ありコンバージョンが少ない製品・事業がないか?」である。これは、新規リード獲得をデジタル化したい(Webを活用したい)場合、かつ、上記(1)においてキーワードが見つからないといった場合に、確認すべきポイントである。なぜなら、すでにある程度のアクセスがある場合、集客をしなくてよいため、比較的短時間で成果(リード獲得)を実現できる可能性があるからだ。
実際に、このポイントを徹底的に確認し、営業のデジタル化を進めることができた事例がある。弊社の事例で恐縮であるが、下記のフジモリ産業様の事例だ。
集客キーワードが見つからないためSEO対策せずにコンバージョン件数を5倍に
もともと製品・事業部のWebサイトにある程度のアクセスがあり、それをそのまま活かした形で新規リード獲得の件数を増加させた成功事例だ。準備期間も短く、すぐに成果がでたため、非常に喜ばれた成功事例である。
(3)デジタルコンテンツ化するための「ソース」が多い製品・事業を確認する
3つ目のポイントは「デジタルコンテンツ化するための「ソース」が多いかどうか」である。営業やマーケティングをデジタル化するということは、その製品や事業に関する情報を「デジタルコンテンツ」に展開しなければならない。このとき、すでに社内に様々なドキュメントがある製品・事業であれば、デジタルコンテンツ化が進めやすい。
しかし、そういったドキュメントが営業や技術担当者の頭の中にあるような状況だと、そこからコンテンツを抜き出し、コンテンツ化しなければならない。こうなると、成果が出るまで時間がかかることになる。
したがって、ドキュメントがたくさんストックされているかどうかを事前に確認しておくと良いだろう。たくさんあればあるほど、デジタル化が進めやすくなる。
(4)名刺の数など既存リードの多い製品・事業を確認する
4つ目のポイントは「名刺の数など既存リードの多い製品・事業を確認する」である。これは、リード育成をデジタル化したいときに必ず確認すべき項目である。(1)の確認ポイントで新規リード獲得は難しくても、既存リードの数が多いなら、リード育成の部分をデジタル化できる可能性が十分にある。
しかも、名刺交換したという過去の事実があるため、個人情報も判明している上に、御社のことをリードが覚えている可能性もあるため、売上貢献につながる可能性も十分にある。
(5)コンテンツ作りに協力的な事業部の担当者がいるかを確認する
5つ目のポイントは「コンテンツ作りに協力的な事業部の担当者がいるかを確認する」である。営業やマーケティングをデジタル化するということは、様々な情報をデジタルコンテンツに落とし込み、Webサイトやメールといったデジタルメディアに展開しなければならない。
そのためには、上記(3)のように、すでにあるコンテンツを再利用するのも十分有用であるが、新しく作っていくことも必要となる。そうなると、コンテンツ作りに協力的な事業部の担当者がいるかいないかが重要なポイントになる。
非協力的である場合、普段の業務が優先されるため、なかなかコンテンツが作成できず、デジタル化が進まないといったケースが多々ある。
(6)Web商談作りがしやすい体制があるかを確認する
6つ目のポイントは「Web商談作りがしやすい体制があるかを確認する」である。これは特に営業をデジタル化する際に必ず確認すべきポイントである。
営業をデジタル化するということは、Webやメールから商談を作っていくということになる。そのためには、「オンラインセミナー」といったリードに対する商談作りのきっかけを定期的に実施していくことが重要だ。
しかし、このオンラインセミナーであるが、毎回、同じ内容しか話できない製品・事業の場合、どうなるだろうか?毎回同じ内容であるため、リードからも飽きられ、そのうち、申し込み件数が少なくなっていく。つまりジリ貧である。
逆に、いろんなテーマでオンラインセミナーができる製品・事業だとどうだろうか?毎月異なったテーマでオンラインセミナーが実施できるため、商談・案件化もしやすくなる。
そのため、製品・事業ごとに、オンラインセミナーのようなことが実施できるのかどうか?そしてそのテーマはどのくらいあるのか?、テーマが少ないなら一緒にテーマの企画設計を進められそうか?を事前に確認しておこう。そうしないと、いくらメール配信をしても、なかなか商談が作れない、案件が作れないといった事態に陥ってしまう。
営業・マーケティングをデジタル化できるか?まとめ
以上、BtoB企業における「営業・マーケティングをデジタル化できるか」を事前に確認する相性を見るポイント、確認すべきポイントを6つご紹介した。
御社でこれからデジタル化を進める場合、この6つのポイントを確認し、製品・事業と相性がいいかどうか、冷静に判断してみてはいかがだろうか?
また、下記ページにて、営業やマーケティングをデジタル化したいBtoB企業の担当者のために、BtoBデジタルマーケティングの成功事例やコンテンツづくり、戦略の立て方のノウハウをまとめたPDF資料を準備している。他社ではどのようにデジタル化を進めているのか、どうやって戦略を立てるのか?どうやってコンテンツを作るのか?など、学べることが多く、ぜひご確認いただければと思う。
(IT企業Mさん、製造業Iさんからのご相談)