技術系商材を扱うBtoB製造業において、BtoBマーケティングコンサル会社を探すときは注意が必要だ。
「おすすめのBtoBマーケティングコンサル会社はどこか?」を検索やAIで探し、会社名リストを作ったとしても、実はそこに落とし穴が潜んでいる可能性がある。
なぜなら「技術理解の深さと価値への転換力」「営業プロセスまで踏み込むかどうかの社内調整力」「短期成果と中長期設計の両立」などが重要になるためだ。
そこで、本記事では、技術系BtoB企業が失敗しないための「コンサルの選び方」を、実例を交えて整理する。
このコラムはどんな立場の人物が書いているのか?
このコラムは、2008年以降、技術系商材を扱う製造業・IT企業を中心に、マーケティング部門と営業部門の間に入りながらBtoBマーケティングの支援を行ってきたALUHAが執筆している。
ALUHAは、展示会を起点としたリード獲得、Webやメールを起点としたデジタル施策、営業活動を起点とした案件創出など、さまざまなBtoBマーケティングやセールス施策に関わり、その中でうまくいった取り組みだけでなく、成果につながらなかった施策や、途中で設計を見直す必要があったケースを数多く見てきた。
こうした経験を通じて、BtoBマーケティングは理論や手法だけでは成果が出ず、商材特性や営業体制と営業意向、社内事情と調整を踏まえた設計が重要であると考えている。このコラムでは、成功事例だけでなく「うまくいかなかったケース」を含めて語れるALUHAだからこその立場から、BtoBマーケティングコンサルタントの選び方について解説する。
なぜ「おすすめBtoBマーケティング会社リスト」は危険なのか?
ネット上には、BtoBマーケティング支援のおすすめ会社リストが掲載されている。ALUHA自身もいくつかのサイトで掲載されており、とても感謝している。しかし、技術系商材を扱う製造業の視点からみれば、ネットで公開されているBtoBマーケティング支援のおすすめ会社リストには、注意が必要だと感じることがある。
その理由は、技術系商材のBtoBマーケティングは、商材理解の差が成果を大きく左右する点にあるからだ。技術系商材では、仕様や機能を理解するだけでなく、それを顧客の業務課題や価値に翻訳できなければ、訴求は表層的になり、リードの質も上がらない。加えて、マーケティング施策だけでは成果(受注)が出にくい。
そのため、BtoBマーケティング支援のおすすめ会社リストに掲載されている企業がこういった技術系商材の特性を理解しているか?が非常に重要になる。
これを考慮せずに支援先を選んだ結果、よくある失敗が生じる。
一つ目は、支援先の担当者が技術系商材の特性を理解しておらず、施策ばかり増えてしまうケースだ。BtoBマーケティングのテンプレ的な施策が増えていく傾向があると感じている。
もう一つは、コンサルを導入しても資料が増えるだけで、現場の行動や成果が変わらないケースだ。技術系商材の特性を理解していないため、技術部門から見ると、「価値のある施策なのか?」「価値のある分析だったのか?」となってしまう。
これらは会社の良し悪しではなく、技術系商材という前提と支援スタイルの相性を見極められていないことに起因している。だからこそ、「どう関わり、どこまで踏み込む支援なのか」を軸に判断する必要があると考えている。
技術系商材を扱うBtoB製造業向け「おすすめBtoBマーケコンサルの選び方」
それでは、ALUHAが体験から得たおすすめBtoBマーケコンサルの選び方をご紹介する。価格や対応力、実績、経歴(経験年数)などさまざまな観点は存在するが、重要な観点はたった3つだ。
- 技術理解の深さと価値への転換力
- 営業プロセスまで踏み込むかどうかの社内調整力
- 短期成果と中長期設計の両立
それぞれ詳しくみていこう。
技術理解の深さと価値への転換力
技術系商材のBtoBマーケティングにおいて、コンサルティング会社を選ぶ際に最初に確認すべきことは「技術理解の深さと価値への転換力」である。
ここでいう技術理解と価値への転換とは、技術や製品が、どんな企業の、どの業務に対して、どんな課題を解決支援し、どのような価値を生むのかを理解していることだ。単に製品仕様や機能を把握しているかどうかではない。そして、それらをマーケティングや営業のコンテンツや施策に翻訳できるかどうかである。
技術理解が浅い場合は、施策は表面的かつテンプレ的になりやすい。
そうなると、Webサイトや営業資料は「何が強みなのか分からない」「どんな課題を解決できるのかわからない」コンテンツになってしまう。その結果、リードは獲得できても、営業につながらず、商談や受注につながらないケースが多発する。
一方、技術理解が深いコンサルは、技術資料や営業資料を理解し、顧客視点での価値整理や比較軸の設計まで踏み込んで施策検討する。
社内技術者とマーケ部門、営業の間に立ち、技術的な内容(社内技術者の言葉)を「リードが導入検討できる情報」へと変換する点が大きな違いである。
BtoBマーケコンサルを選ぶ際には、「業界経験があるか」といった表面的な条件ではなく、技術を顧客価値へ変換する力を持っているかという視点で見極めよう。
- 営業資料・技術資料を理解する姿勢が強いかどうか(自力で読めると理想)
- 技術や製品を顧客視点に転換できるか
- ターゲット顧客の顧客像の理解(どんな企業のどの業務のどんな担当者)が早いか
営業プロセスまで踏み込むかどうかの社内調整力
次に確認すべき観点は、「営業プロセスまで踏み込むかどうかの社内調整力」だ。これも極めて重要だ。
技術系商材では、マーケティング施策だけで受注が決まることはない。リード獲得後の営業プロセスと一体でマーケティング施策が設計されていなければならない。
営業プロセスの理解が浅い場合、「リードを増やすこと」が目的化してしまう。そうなると、「営業がフォローしない」、「フォローしてもなかなか売れない」といった事態が発生し、営業とマーケの分断につながってしまう。しかし、ALUHAの経験では、マーケ部は「リードの獲得量」で評価されるケースが多いため、「リードを増やすこと」そのものは悪いことではない。ここが、技術系商材の難しい点だ。
その一方で、営業プロセスまで踏み込むコンサルは、リード獲得後の動きや営業が欲しいリード像を具体化して、営業が喜ぶリードを前提に施策展開を進める。加えて、営業が喜ぶリードばかり狙うと、リードの獲得量が減ってしまう傾向があるため、質と量のバランスを意識した施策設計も検討する。
このように、技術系商材では、「営業が喜ぶリードがとれるかどうか」と「マーケ部が評価される量を確保できるか」のバランス調整は必要であり、そこを理解しているかどうかが見極める重要なポイントとなる。
- リード獲得だけで終わらず、営業プロセスと一体で施策を検討できるか
- 営業が喜ぶリード(質)とマーケが評価される(量)のバランスを意識できるか
- 受注貢献まで踏み込んで一緒に施策検討を進められるか
短期成果と中長期設計の両立
次に確認すべき観点は、「短期成果と中長期設計の両立」だ。これも極めて重要だ。
技術系商材の場合、顧客の購買プロセスが長期化する傾向が強く、リード獲得してもなかなか商談や受注にならないことが多い。そのため、「小さな成功を実感できる短期成果を狙う施策」と「将来につながる基盤づくりのための施策(中長期施策)」を分けて設計する必要がある。
短期成果のみを重視する場合、小さな成功体験は創出できる可能性が高いが、その場しのぎの施策や受注貢献度がわからない施策になりやすい。
資料請求数や名刺交換枚数、セミナー申込数といった分かりやすい指標は改善しても、商談化や受注につながらず、結果として「やっているが成果が見えない」状態に陥ることがある。逆に、中長期設計ばかりを優先すると、社内に成果を示せず、社内から「マーケ部は何をしているのか?」と言われるような事態になってしまう。
そこで重要なのが「短期成果と中長期設計の両立」だ。
社内のリソースや方針にもよるが、ALUHAの実体験による理想像は、「短期成果をコツコツと積み上げながら、社内での信頼を蓄積し、それと並行して中長期の施策を展開する」という両立だ。こうすれば、早期の小さな成功体験を社内で実感しつつも、将来的な受注獲得に向けて、中長期設計を着実に進めることができる。
このように、BtoBマーケコンサルを選ぶ際には、「今、何をやるか」だけでなく、中長期の施策設計も並行してできるかどうか?という視点で見極めることが重要である。
- 短期施策で成功体験創出ができるか
- 短期施策ばかりでなく中長期施策も並行して検討しているか
- 「今やる施策」と「時間をかけてやる施策」を分けて整理しているか
技術系商材を扱う製造業におすすめできるBtoBマーケコンサルの特徴
技術系商材においてALUHAがおすすめできるBtoBマーケコンサルとは、正解を押し付ける存在ではなく、前提を一緒に整理し、現場で実行できる形に落とし込む存在であると考えている。
これは、ALUHAが2008年以降、技術系商材を中心にコンサルティング支援を行ってきた中で、強く実感した特徴だ。
その理由は以下のとおり、大きく三つある。
(1)技術系商材は固有の特徴が強いから
一つ目は、技術系商材は固有の特徴が強く、教科書的なマーケティングをそのまま適用できない点だ。
一般的な手法やフレームワークは参考にはなるが、社風や製品特性、技術特性に合わせて戦略を再設計しなければ成果につながらない。特定の手法やツールをテンプレート的に使うだけでは、技術系商材固有の強みが施策に反映されにくい。
ALUHA自身も、お客様の支援をさせていただく中で、技術系商材の特性理解が不十分なまま「過去にうまくいった施策」を適用し、期待した成果が出なかった経験を何度もしてきた。
(2)技術系商材は顧客特性が強いから
二つ目は、技術系商材は商材特性だけでなく、顧客特性も非常に強いことである。
特定企業の特定業務、専門的な部門が関与するケースが多く、そこには前提条件や技術的制約が数多く存在する。これらを整理せずに施策を進めると、営業・技術・マーケ・コンサルの認識がずれ、方針が迷走しやすい。
ALUHAでも、前提整理が不足したまま施策案を検討し、技術部門から「何か違う」と指摘され、再検討を繰り返した経験がある。この状態が続くと、支援そのものへの信頼を失いかねない。
(3)施策を現場に落とし込む難しさがあるから
三つ目は、施策を現場に浸透させ、実行できる形に落とし込む難しさである。
技術系商材を扱う製造業では、マーケティング思考や重要性が社内に十分浸透しておらず、技術部門や営業部門の発言力が強いことが多い。そのため、マーケ部主導の施策に対して「意味があるのか」と疑問を持たれ、エビデンスが不十分だと施策が前に進まないこともある。
ALUHA自身も、技術部門にエビデンスのある施策を提案できない時代があり、その時は施策が実行されず、成果検証すらできない状況になってしまった。だからこそ、施策の根拠を丁寧に説明し、現場が納得して動ける形まで落とし込めるコンサルが重要だと考えている。
技術系商材を扱う製造業におすすめできないBtoBマーケコンサルコンサルの特徴
「判断の責任」を取らないコンサル
技術系商材は、商材特性や顧客特性が強く、施策内容も専門的・マニアックになりやすい。また、BtoBマーケティングや営業施策は、事前に成果を正確に予見することが難しく、「やってみないと分からない」要素が多い。
そのため、「この施策を進める」と判断し、実行した結果に向き合わないコンサルはおすすめできない。
ここで重要なのは、成功保証をするかどうかという話ではない。
成果が出たか・出なかったかをKPIで正しく分析し、その結果を誠実に伝え、成果が出ていない場合には「なぜ出ていないのか」「改善策は何か」「その改善策をどう進めるか(社内調整込み)」まで一緒に考える姿勢が求められる。
一方で、判断の責任を取らないコンサルには、
- 施策を提案したまま実行後の責任を負わない
- 結果分析までは行うが、その後の改善を考えない
- 改善案は出すが、実行まで伴走しない
といった傾向が見られる。
ALUHA自身も、KPIを可視化した結果、成果が出なかったケースを数多く経験してきた。その中で、改善策の検討にとどまり、「その改善策をどう進めるか」まで踏み込まなかったことがある。その結果、改善策が日常業務に埋もれ、実行されないまま時間だけが過ぎてしまった。この反省を踏まえ、現在は可能な限り、改善策の実行方法まで含めて一緒に考え、進める支援を重視している。
学習しないコンサル
技術系商材では、技術的制約やターゲティング条件など、前提条件が多くなる傾向がある。その中でKPIを向上させるため、さまざまな施策案や改善案を検討していくことになる。
こうした試行錯誤を繰り返す中で、「ターゲティング条件と相性が悪く実行しにくい施策」や「現時点の技術力では顧客課題の解決支援ができない施策」が必ず出てくる。
学習するコンサルであれば、こうした「できないこと」を前提として蓄積し、次の改善検討に反映するため、実行不可能な施策が混じることは少ない。
一方で、学習しないコンサルの場合、過去に「できない」と判断された施策を忘れ、再度提案してしまうことがある。時間の経過によって状況が変わるケースもあるが、「以前も説明したが実行できない施策」を再提案することは、信頼を損ねかねない。
ALUHAでも、当初は学習が十分にできておらず、実行できない施策を繰り返し提案してしまい、顧客から指摘を受けた経験がある。非常に難しい管理ではあるが、前提条件や制約を学習し続けないコンサルはおすすめできないと考えている。
技術系商材を扱う製造業がBtoBマーケコンサルを選ぶ時の注意点
技術系商材を扱うBtoB製造業においては、会社名や実績の多さでBtoBマーケティングコンサルを選ぶべきではないと考える。
重要なのは、技術や顧客特性という前提を一緒に整理し、営業や技術部門を含む社内事情を踏まえながら、短期成果と中長期設計を両立し、現場で実行できる形まで落とし込めるかどうかである。その姿勢と関わり方こそが、失敗しないコンサル選定の判断基準となる。
ALUHAの実体験から得たALUHAの観点であるが、どう思われるだろうか?御社のコンサル選定のヒントになれば幸いだ。
ALUHAは製造業・IT企業を中心にBtoBマーケティングを支援
ALUHAは、2008年以降、技術系商材を扱う製造業・IT企業を中心に、マーケティングと営業の間に入りながらBtoBマーケティング支援を行ってきた。本記事で紹介した考え方や判断軸は、ALUHA自身が成功だけでなく失敗も重ねる中で整理してきた内容である。
自戒の念を込めて記載するが、ALUHAはまだ自らを「おすすめできる完成形のコンサル会社」だと言える段階にはないと考えている。それでも、本コラムで述べた「おすすめされるコンサルの特徴」を満たすべく、日々支援の進め方や関わり方を見直し、改善を続けている。
もし、こうした姿勢に共感いただけるのであれば、ALUHAも一つの相談先として検討してもらえれば幸いである。













