BtoB向けのMA(マーケティングオートメーション)ツールおすすめ10選|失敗しない選び方と導入時の注意点

BtoB企業のおすすめMAツール10選
Last Updated on 2025年12月14日 by 荻野永策

BtoBマーケティングにおいて、営業効率とリード育成を両立するための中核ツールが「MA(マーケティングオートメーション)」である。

近年では、Web行動データの収集からスコアリング、メール配信、営業通知までを一元管理できるMAツールが急速に普及し、企業規模を問わず導入が進んでいる。

一方で、「どのツールを選べばいいかわからない」「導入したが運用が定着しない」といった課題を抱える企業も多い。

本記事では、MAツールの基本とBtoB特有の導入目的を整理したうえで、国内外の代表的なMAツール10選を比較紹介する。自社のフェーズに合ったツールを選定し、確実に成果へつなげるための実践的な視点をまとめた。

MA(マーケティングオートメーション)ツールとは

MA(マーケティングオートメーション)とは、見込み顧客(リード)の獲得から育成、営業連携に関わるマーケティングプロセスを可視化し、標準化し、効率よく運用できるようにするための仕組みである。BtoBにおいては、長期的な購買検討を前提に、見込み度の高いリードを選別し、最適なタイミングで営業に引き渡すための基盤として機能する。

メール配信やスコアリングなどの単機能ツールではなく、SFAやCRMと連携して顧客データを統合的に管理できる点がMAの最大の強みだ。これにより、営業が「勘と経験」に頼っていた従来型アプローチを脱却し、データドリブンな営業・マーケティング体制を構築できる。

MAツールの導入でできること
  1. リード情報・行動履歴を一元管理し、見込み度をスコアリング
  2. 顧客の興味関心に合わせたメールを配信
  3. 営業とマーケティングのデータを連携し、商談化までのプロセスを可視化
  4. 展示会・セミナー・Webなど複数チャネルの成果を統合的に分析
  5. 成果データに基づくPDCAサイクルを回し、施策の精度を継続的に改善

MAツールは、リード数が増え、営業だけではフォローが追いつかなくなった段階の企業にとって不可欠な仕組みである。特に、BtoB企業で「営業依存から脱却したい」「リード育成を仕組み化したい」「マーケティング投資の成果を可視化したい」と考える組織には導入効果が大きい。

言い換えれば、顧客接点が増え、属人的対応の限界を感じ始めている企業にとって、MAは次の成長ステージへ進むためのインフラである。営業活動をデータと仕組みで再構築する企業には、もはや欠かせないツールだ。

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なぜBtoBにMAツールが必要なのか?

BtoB企業にMAツールが必要となる主な理由は次の4つだ。

  1. BtoBでは「今すぐ客」が少ない
  2. リード(見込み顧客)の数が多く、手動では追いきれない
  3. 営業とマーケティングの連携強化が必要になる
  4. 効果測定による成果の可視化が求められる

BtoBでは、個人の感情ではなく「組織の意思決定」に基づいて購買が行われる。検討には複数部門が関わり、数カ月〜1年以上に及ぶことも珍しくない。

この長期的な検討プロセスにおいて、MAは顧客の温度感を維持しながら段階的に情報提供を行い、「関係を切らさずに育てる」仕組みを提供する。

人力では追えない長期フォローを自動化できる点が、BtoBにおける大きな価値だ。

BtoBでは「今すぐ客」が少ない

BtoBの購買プロセスは複雑で、問い合わせをした瞬間に契約が決まるケースは稀である。多くの見込み顧客は、情報収集の段階にとどまり、数カ月から半年以上かけて社内検討を進める。そのため、リードを一度獲得しただけでは成果につながらない。

MAツールは、こうした「まだ買うとは決めていない層」を継続的にフォローし、関係を育てるための装置である。温度感の低い見込み客を適切なタイミングで育成し、購買意欲が高まった段階で営業に渡す。これがBtoBにおけるMAの最も重要な役割だ。

  1. どんな情報をいつ届けるか
  2. どの行動をスコアリングするか
  3. どの段階で営業へ連携するか

といった設計と改善を人が行い、その運用をMAが支える。

温度感の低い見込み客への継続的なフォローを仕組み化し、購買意欲が高まったタイミングを見逃さない状態をつくる。

リード(見込み顧客)の数が多く、手動では追いきれない

展示会、セミナー、ホワイトペーパー、Web広告など、リード獲得チャネルが増えるほど、営業がすべてを個別対応するのは不可能になる。フォローが遅れれば、せっかくのリードも競合に流れてしまうだろう。

MAは、行動履歴をスコア化し、優先度の高いリードを自動で抽出できる。誰が、どの資料を見て、どのメールを開封したかを可視化できれば、営業は見込みの高い相手から順にアプローチできる。限られたリソースを最大限に活かす仕組みが整うというわけだ。

営業とマーケティングの連携強化が必要になる

BtoBでは、マーケティング部門が集めたリードを営業が有効活用できていないケースが多い。多くは「リードの質が悪い」「タイミングが早い」など、関係者間における認識のズレが成果を阻みやすい。

MAを導入すれば、リードの行動やスコアが共通のデータとして可視化され、営業とマーケが同じ基準で顧客を判断できるようになる。営業は「熱いリード」に集中でき、マーケティング部門は施策の精度を高められる。両者が一気通貫で顧客に向き合う体制が整う点が、BtoBにおける最大の利点だ。

効果測定による成果の可視化が求められる

感覚ではなくデータで判断することは、現代のBtoBマーケティングにおける必須条件である。正しいデータがMAに登録され、適切に運用されていることが前提となるが、MAツールを活用すれば以下のような数値をリアルタイムで可視化できる。

  1. メール開封率
  2. クリック率
  3. 資料ダウンロード率
  4. MAシナリオの育成率…など

これにより、どの施策がリード育成に貢献しているかを明確にし、次の打ち手を数字的根拠をもって決められるだろう。つまり、MAは単なる「自動化ツール」ではなく、成果の見える化を通じて経営判断を支える分析基盤でもあるのだ。

BtoB向けのMAツールを選ぶ際のポイント

BtoB企業がMAツールを導入する際は、次のポイントを抑えて比較検討しよう。

MAツールを選ぶ際のポイント
  1. UIやサポートが使いやすいか
  2. SFAとスムーズに連携できるか
  3. 育成シナリオを柔軟に組めるか
  4. 複数チャネルのデータを統合・分析できるか
  5. 自社のフェーズに必要な機能が揃っているか

重要なのは、「機能の多さ」ではなく「運用のしやすさ」と「社内連携」を基準に考えることだ。ツールを導入しても、使いこなせなければ形だけの仕組みになり、営業・マーケティング双方の負荷を増やすだけになる。そのため、自社の営業フローやデータ環境、運用リソースにフィットするかどうかを吟味すべきである。

特に、BtoBでは複数部門が関わるため、シナリオ設計の自由度、サポート体制などを総合的に判断する必要がある。

UIやサポートが使いやすいか

MAツールは継続的に運用して成果を出すものだが、操作が難しいと社内に定着しない。そのため、UI(ユーザーインターフェース)が直感的であるか、導入後にベンダーから教育・サポートを受けられるかは、導入成功の分かれ目になる。

例えば、マーケティング担当者が毎日メール配信やスコアリング設定を行うシーンを想像してみるとよい。UIが複雑で設定箇所が分かりづらいツールでは、簡単な配信にも時間がかかり、次第に運用コストが増えていく。また、問い合わせ対応が英語のみのツールでは、初期トラブル時に対応が遅れ、機能を十分に活かせないケースも多い。

国内で運用するなら、日本語UIかつ国内サポートを備えたツールを選ぶことが望ましい。BowNowやSATORIのように、チュートリアルや勉強会を提供するベンダーは定着率が高い。

一方で、操作性や支援体制を軽視してツールを導入すると、社内の運用担当が疲弊し、「結局Excelに戻る」といった本末転倒な結果に陥るリスクがある。

SFAやCRMとスムーズに連携できるか

BtoBでは、MAは単体では完結しない。営業支援(SFA)や顧客管理(CRM)とデータを連携させ、商談・契約の情報まで一貫して可視化することが求められる。

仮に、Salesforceを利用している企業であれば、MAとSFA間で「このリードは何点以上なら営業が追う」といったルールを自動反映させる仕組みを構築したいところだ。この連携がスムーズであれば、営業とマーケが同じ顧客データを見ながら行動できる。逆に、連携が不十分だと、リード情報が二重管理となり、営業が「どのリードを追うべきか分からない」という混乱を招く。

選定時は、API連携やSalesforce、HubSpotなど主要SFAへの接続可否を必ず確認すべきである。連携性を軽視すると、せっかくのMAデータが営業に届かず、マーケだけが見るツールとして形骸化してしまう。

育成シナリオを柔軟に組めるか

MAの最大の強みは、顧客の行動や属性に応じた自動シナリオを構築できる点にある。しかし、シナリオ設計機能に柔軟性がないツールを選ぶと、実際の事業やサービスに合わせた運用ができない。

例えば、「資料をダウンロードしたら、翌日に導入事例をメールで送る」「3回以上開封したら営業に通知する」といった複雑な条件を設定したい場合、分岐やスコア連動の柔軟性が不可欠である。

ツールによって、複雑な多段階シナリオをどこまでノーコードで直感的に設定できるか、その操作性には大きな差がある。ドラッグ&ドロップで構築できる製品もあれば、特定の分岐や外部システムとの連携では別途設定作業が必要になる場合もあるため、事前に操作性と拡張性を確認しておくことが重要である。

シナリオ設計の自由度が低いと、リード育成の質が低下し、「全員に同じ内容を送るだけ」というマスメール運用に陥りやすい。その結果、顧客体験が悪化し、せっかく獲得したリードが離脱するリスクも高まる。

導入前には、実際に自社の想定シナリオを作ってみるハンズオンデモを依頼することが効果的だ。

複数チャネルのデータを統合・分析できるか

BtoBマーケティングでは、顧客接点がメールだけに留まらない。Web、展示会、ウェビナーなど、多様なチャネルを横断して接点が生まれるだろう。

これらを個別で管理していては、施策の全体像を把握できない。MAは、こうしたチャネルデータを統合的に管理し、リードごとの行動履歴を一気通貫で可視化する仕組みとして機能する。

展示会で名刺交換した顧客が後日Webサイトを訪問し、資料をダウンロードした場合、MAがその一連の行動を統合して記録していれば、営業は「この顧客は本気で検討している」と判断できる。

一方で、次の接点はMAではなく別のツールで管理することとなる。

  1. 広告:広告プラットフォームが主。MAには一部のみ連携可能
  2. 営業訪問履歴: SFA(Salesforceなど)が担当領域

そのため、前述したように「SFAや広告基盤とどの程度データ連携できるか」を確認することが重要になる。

チャネルデータを統合できないMAでは、同一顧客の行動が分断され、正しいスコアリングや優先順位付けができなくなる。そのため、選定時には「オフラインデータ(展示会・電話)を登録できるか」「外部BIツールやスプレッドシートと連携できるか」なども確認しよう。

自社のフェーズに必要な機能が揃っているか

最後に最も重要なのが、自社の成長段階に見合ったMAを選ぶことである。多機能なツールほど導入コストが高く、運用リソースも必要になる。リード数がまだ少ない段階で高機能なMAを導入しても、機能の大半が使われずに終わることが多いためだ。

自社のフェーズを超えたツールを導入すると、運用負荷が高まり、「設定に追われて成果が見えない」という状態に陥りやすい。導入を検討する際は、「半年後にどこまで運用できるか」を現実的に見積もり、機能を段階的に広げていく発想が重要となる。

BtoB向けのMA(マーケティングオートメーション)ツールおすすめ10選

ここからは、BtoB向けのMAツール10個紹介する。この中から、自社に合ったものを検討してみてほしい。(※2025年12月5日時点のデータです。最新情報は各ツールの公式サイトをご確認ください。)

MA(マーケティングオートメーション)ツールおすすめ10選
ツール名導入実績初期費用月額料金
SATORI約1,500社以上約300,000円約148,000円〜/月
b→dash約1,200社以上要問い合わせ要問い合わせ
HubSpot Marketing Hub全世界25万社以上¥360,000~¥96,000~/月
Adobe Marketo Engage国内・海外大手中心に多数導入要問い合わせ要問い合わせ
BowNow約14,000社以上¥100,000(フリープランは無料)¥36,000円〜/月(フリープランは無料)
SHANON MARKETING PLATFORM約900社以上(公式情報)要問い合わせ約120,000円〜/月
Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)Salesforceユーザーを中心に多数要問い合わせ約150,000円〜/月
List Finder約1,800社以上約100,000円〜(フリープランは無料)約45,000円〜92,000円/月
GENIEE MA約1,000社以上要問い合わせ約98,000円〜/月
Kairos3約2,000社以上要問い合わせ約15,000円〜/月

SATORI

SATORI

出典:SATORI

SATORIは、国産MAツールとして「名前の分かるリード」だけでなく「匿名の訪問者」への接点構築を可能にする点が大きな強みである。Webサイト中の行動履歴を把握し、興味関心の高い顧客を早期に発見してアプローチを行う仕組みを備えており、BtoB企業のリード育成フェーズにおいて効率的な施策実行を支援する。日本語UI・サポートが充実しており、スムーズ導入・運用が可能だ。

提供会社SATORI株式会社
導入実績1,500社以上
初期費用¥300,000
月額料金約¥148,000〜/月
無料トライアル要問い合わせ

b→dash

b→dash

出典:b→dash

b→dashは、データマーケティング基盤を核に据えたデータ統合型MA/CDPプラットフォームである。ノーコード操作で「取込・加工・統合・活用」が可能な独自機能「DataPalette」を備え、複数チャネルや外部データを一元管理することで、マーケティング・営業のデータ活用を加速する。BtoB/BtoC問わず幅広い業界で導入実績を持ち、データ駆動型のDX推進を志向する企業に適している。

提供会社株式会社データX
導入実績1,200社以上
初期費用要問い合わせ
月額料金要問い合わせ
無料トライアル

HubSpot

HubSpot Marketing Hubは、CRM・マーケティング・セールスを一つのプラットフォームとして統合したグローバルツールである。メール配信、フォーム作成、ワークフロー自動化、レポーティングまでワンストップで実装でき、無料プランから始められることも特徴である。日本語対応も充実しており、中小から大手まで幅広く活用されている点が強みである。

提供会社HubSpot Inc.
導入実績世界25万社以上
初期費用¥360,000~
月額料金¥96,000~/月
無料トライアルあり

Adobe Marketo Engage

Adobe Marketo Engageは、BtoB企業の長期的なリード育成とアカウントベースドマーケティング(ABM)に強みを持つグローバルMAプラットフォームである。AIを活用したスコアリングやパーソナライズ、自動化ワークフローを通じて、商談化率とLTVの最大化を支援する。複数チャネルの一元管理や高度なレポーティングにも対応し、大企業・グローバル組織での導入実績が豊富である。

提供会社アドビ株式会社
導入実績要問い合わせ
初期費用要問い合わせ
月額料金要問い合わせ
無料トライアル要問い合わせ

BowNow

BowNow

出典:BowNow

BowNowは、営業主導でリード管理を行う企業に向いた国産MAツールである。シンプルな操作性と誰でも使えるMAという設計思想により、初めてのMA導入でも運用を定着させやすい。無料プランから始められ、リードスコアリング・メール配信・フォーム作成といった主要機能を低コストで提供する。営業部門とマーケ部門の連携を強化しながら、効率的な商談創出を支援する。

提供会社株式会社クラウドサーカス
導入実績約14,000社以上
初期費用¥100,000(フリープランは無料)
月額料金¥36,000円〜/月(フリープランは無料)
無料トライアルあり

SHANON MARKETING PLATFORM

SHANON MARKETING PLATFORMは、展示会・セミナーなどオフライン施策を多く行う企業に最適な国産MAツールである。名刺・来場者データをWeb行動と統合し、イベント後のナーチャリングを自動化できる。国内BtoB企業の商習慣に合ったUIとサポートが整い、営業連携を重視する体制構築を支援する。

提供会社株式会社シャノン
導入実績約900社以上(公式情報)
初期費用要問い合わせ
月額料金120,000円〜/月
無料トライアル要問い合わせ

Marketing Cloud Account Engagement

Salesforceが提供するMarketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)は、CRMと完全連携するBtoB特化型MAである。リードスコアリングや商談進捗をSalesforce上で可視化し、営業とマーケティングが同じデータを共有できる。商談化率向上・ROI分析に優れ、既にSalesforce CRMを導入している企業には最適な選択肢だ。

提供会社株式会社セールスフォース・ジャパン
導入実績非公開
初期費用要問い合わせ
月額料金150,000円〜/月
無料トライアル要問い合わせ

List Finder

List Finder

出典:List Finder

List Finderは、営業起点のBtoB企業に特化した国産MAツールで、名刺管理・SFA連携に強みを持つ。営業が保有する顧客情報をマーケティング施策に活かせる設計となっており、リードの育成・商談化を支援する。シンプルな操作と低価格で、初めてMAを導入する企業でも安心して活用できる。

提供会社株式会社Innovation X Solutions
導入実績約1,800社以上
初期費用約100,000円〜(フリープランは無料)
月額料金約45,000円〜92,000円/月
無料トライアル要問い合わせ

GENIEE MA

GENIEE MA

出典:GENIEE MA

GENIEE MAは、メール・LINE・Web広告など複数チャネルを統合し、顧客行動をリアルタイムで可視化できる国産MAツールである。広告運用を起点とした分析力に強みを持ち、Web経由でリードを育てるBtoB企業に適している。豊富な機能を比較的低コストで利用できる点も導入ハードルを下げている。

提供会社株式会社ジーニー
導入実績非公開
初期費用要問い合わせ
月額料金約98,000円〜/月
無料トライアル要問い合わせ

Kairos3

Kairos3

出典:Kairos3

Kairos3は、MAとSFAを一体化した国産プラットフォームで、営業・マーケティングの両部門が同じデータを共有できる仕組みを持つ。月額15,000円から利用でき、スモールスタートしながら段階的にMA活用を広げたい企業に最適。直感的な操作と国内サポートで、中小企業でも導入しやすい。

提供会社カイロスマーケティング株式会社
導入実績約2,000社以上
初期費用要問い合わせ
月額料金約15,000円〜/月
無料トライアル要問い合わせ

BtoBでMAツールを導入するステップ・流れ

BtoB企業でMAツールを導入するにあたっては、基本的に以下のステップで進める。

導入する手順
  1. MAツールの活用範囲とゴールを決める
  2. 見込み客の情報整理などの事前準備をする
  3. 年間育成計画を立案する
  4. MAシナリオの設計をする
  5. データ連携
  6. マーケティングオートメーション(MA)ツールを選ぶ

BtoB企業がMAツールを導入して成果を上げるためには、ツール選定だけでなく「事前の戦略策定」が非常に重要だ。上記の6ステップを軸に進めると、戦略に合ったツールが選定できるだろう。

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2025年12月14日

BtoBでMAツールを導入する際の注意点

BtoBでMAツールを導入する際は、「導入して終わり」ではなく、運用を軌道に乗せるための体制やデータ整備を計画的に進めることが重要である。

特に次の4つのポイントは、初期導入時に多くの企業がつまずく要因となる。

  1. 顧客データを整備する必要がある
  2. 導入初期は配信設計に時間がかかりやすい
  3. 運用担当者の教育・体制構築が必要になる
  4. 社内での運用定着が難しい場合がある

これらの課題を理解し、あらかじめ解決策を講じておくことで、MAツール導入後の成果創出スピードを大きく高めることができる。

顧客データを整備する必要がある

MAツールは顧客データをもとにリードを分析・育成する仕組みであるため、導入前にデータを正確かつ一元的に管理しておく必要がある。例えば、営業部門が持つ名刺情報や、問い合わせフォームで取得したデータを統合せずに運用を始めると、重複や誤情報が多発し、誤配信やターゲティングのズレを招いてしまう。

データの精度が低ければ、どれだけ高度なMAを導入しても成果は出にくい。そのため、導入初期には、名寄せ・重複排除・項目統一などのクレンジング作業を計画的に実施し、SFAやCRMとの整合性を取ることが成功の第一歩になる。

導入初期は配信設計に時間がかかりやすい

MAツールの導入初期は、メール配信やシナリオ設計に時間がかかりやすい。リードの行動をトリガーに、自動で適切なメッセージを送るには、購買プロセスに沿ったシナリオ構築が欠かせないからだ。

例えば「資料請求後3日でフォローメール送信」や「セミナー参加後に営業通知」といったように、設計を細かく設定する必要がある。これを省略すると見込み客の温度感を逃してしまい、商談化の機会損失につながるだろう。

最初から完璧を目指すのではなく、一本のシナリオを作って実践し、分析しながら改善していくのが現実的な進め方だ。

運用担当者の教育・体制構築が必要になる

MAツールは、マーケティングとシステムの両面を理解する人材が操作・分析を担う必要がある。だが、多くの企業ではMAツールに慣れていないことで、導入直後に「担当者が操作できない」「レポートの見方がわからない」という課題が生じることが少なくない。

例えば、メール配信ルールを理解しないまま運用すると、スコアリングやセグメント設定が曖昧になり、成果が安定しないだろう。これを防ぐには、ベンダーの導入研修を受け、社内で運用マニュアルやチェックリストを整備するなどが有効だ。

担当者個人に依存せず、複数人で運用を支え合う仕組みを作ることが定着の鍵となる。

社内での運用定着が難しい場合がある

MAツールはマーケティング部門だけで完結せず、営業・経営を含めた全社的な協力が必要なツールである。そのため、社内で理解と連携が得られないと、運用が定着せず使われないシステムになるケースが多い。

営業側がMAのスコアを信用していない場合、リード情報が活用されず、施策が形骸化してしまう。そうならないよう、営業とマーケティングチームの定例会で成果を共有し、「MAによる商談創出数」など共通KPIを設定しよう。社内全体でMAを「組織の仕組み」として認識させることが、安定的な運用とMAからの成果創出を可能にする。

まとめ

MAツールは、単なるメール配信システムではなく「営業・マーケティングをデータでつなぐ基盤」である。そして、導入の成否は、ツールの性能よりも「目的の明確化」「リードデータの整備」「運用体制の構築」に左右される。

特にBtoB領域では、営業とマーケの連携が成果を左右するため、ツール導入をきっかけに組織全体の仕組みを見直すことが重要だ。

本記事で紹介した10個のツールから、自社の規模や運用レベルに応じて選定すれば長期的なリード育成を実現できる。MAを使うツールから育てる仕組みへと昇華させることが、BtoBマーケティング成功への近道である。

ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ALUHA代表取締役。1979年兵庫生まれのBtoBマーケティングコンサルタント。金沢工業大学大学院にて情報工学を専攻し2003年4月にALUHAを創業。2008年からBtoBに特化したマーケティング支援、営業戦略支援を開始。BtoBマーケティングや営業戦略の戦略立案から、計画実行とPDCA、そして人材育成を伴走型で支援。デジタルとリアルを融合させた戦略設計が得意。毎月全国各地の様々な企業でBtoBマーケティングセミナーを実施中。100社以上でのセミナー講演実績を持つ。大手IT企業、製造業(日立Gr、富士フイルムGr、キヤノンGr、積水Grなど)を顧客に持つコンサルタント。→セミナー講演実績→コンサル実績