BtoBマーケティングにおいて、顧客側(購入側)では、オンラインでの情報収集が当たり前になってきている。新規の取引先・購入先を検討する際に、WEBなどを活用して情報収集し比較検討している。そのため、売り手側は自社サイトの改善やコンテンツ強化を進めなければならない。しかし、実際にWEBを改善するといっても何から始めれば良いかわからないといったケースも多い。実際に、以前、以下のようなご相談をいただいた。

そこで、今回のコラムでは、優先順位をつけたWEB改善の始め方について具体的なプロセスをご紹介する。ポイントはコストをかけないこと、すぐに実践できること、そして、比較的短期間で成果につながりやすいことの3つだ。御社でもぜひ本コラムを参考に、取り組んでいただけたらと思う。
優先順位をつけたWEB改善の始め方
では、具体的にどのように始めるのか、そのプロセスをご紹介する。ご紹介するプロセスは上述したが、以下の3つがポイントになる。
- コストをかけないこと
- すぐに実践できること
- 比較的短期間で成果につながりやすいこと
またご紹介するプロセスは、以下のようなスキルが必要になる。もしスキルに自信がない場合は、別途事前に勉強しておいてほしい。
- 資料請求フォームを作れること
- GA4などのアクセス解析ツールでアクセス数の多いWEBページを特定できること
- サーチコンソールを使えること
- パワーポイントなどでPDF資料の制作ができるスキルがあること
それではさっそくプロセスをご紹介する。そのプロセスは以下の通りだ。
- GA4を使ってアクセス数の多いURLをいくつかリストアップ
- アクセスの多いページの「検索ワード」をURLから逆引き
- 「検索ワード」からホワイトペーパーを設計し資料請求フォームを作成
- アクセスの多いコラムにホワイトペーパーへの導線を設置
- 導線を設置した翌日から資料請求発生の可能性があるので様子見
- 資料請求が来るようになったら1へ戻り再度同じことを実施
では、各プロセスの詳細をご紹介しよう。またこのプロセスを具体例を交えて詳しく説明したPDFも準備している。フリーでダウンロードできるので、ぜひ参照して欲しい。
1:GA4を使ってアクセス数の多いURLをいくつかリストアップ
最初に、GA4を使って、御社のWEBサイトのアクセス数の多いページを見つけ出す。本記事執筆時点のGA4の仕組みであれば、「探索」というメニューでURL別のアクセス数を調査することができる。
この時、注意点としては、「採用サイト」などはURLから除外しよう。あくまで見込み客の獲得を狙った施策であるため、見込み獲得に関連性の低いURLは除外する。具体的には、「採用サイト」「会社概要のページ」「CSRなどのページ」が該当する。御社の製品やサービスを紹介しているURLのみを対象に、アクセスの多いページを調査しよう。
2:アクセスの多いページの「検索ワード」をURLから逆引き
次に、もっともアクセスの多いページ(アクセス数No1のページ)のURLをコピーして、サーチコンソールで「そのURLにはどんな検索ワードで来訪しているか?」を調査する。
サーチコンソールには、URLから「どんな検索ワードで来訪しているか?」を表示する仕組みがあるので、その仕組みを活用すれば容易に調査できる。
3:「検索ワード」からホワイトペーパーを設計し資料請求フォームを作成
次に、アクセス数の多いページに来訪しているキーワードから、「ホワイトペーパー」を設計し作成する。「アクセス数の多いページに来訪しているキーワード」は大きく分けると2種類存在する。1種類目は、「御社の製品名、サービス名などブランド名での検索」と「一般用語での検索」だ。これらによってどんなホワイトペーパーが良いかが変わるのでそれぞれ設計の仕方をご紹介する。
御社の製品名、サービス名などブランド名での検索
まず、御社の製品名やサービス名で検索して来訪している場合、検索者の目的は、御社の製品・サービスの詳細な情報を得ることだ。そのため、ホワイトペーパーの設計の方向性としては、以下のようなPDF資料を準備すると良い。
- 製品やサービスのカタログ
- 製品やサービスの詳細を説明した紹介資料
- 製品やサービスの導入事例・成功事例
- 製品やサービスを活用した課題解決の方法を紹介した資料
一般用語での検索
一般用語での検索で来訪している場合、来訪者は御社の製品やサービスを知らない可能性が高い。そのため、「御社の製品名やサービス名以外の誰でも知っているようなキーワード」で検索し来訪している。このような場合は、サーチコンソールのデータをうまく活用すると良い。
例えば、以下は弊社の「営業戦略の立て方」というコラムのURLからキーワードを逆引きしたサーチコンソールのデータだ。以下の場合、「テンプレート」「パワーポイント」「立て方」といったワードがあることがわかる。こういったキーワードから、「営業戦略の立て方手順書|戦略立案のテンプレート付き」といったホワイトペーパーを準備するとよいのではないか?と考えることができる。これがホワイトペーパーの設計案の方向性になる。

サーチコンソールデータ例
ホワイトペーパーを作成し資料請求フォームを設置
ホワイトペーパーの設計案が検討できたら、実際にパワーポイントなどを使ってホワイトペーパーを作成しよう。そして、資料が完成したらその資料を申し込みするための資料請求フォームを作成し、公開する。これで準備完了だ。
資料請求フォームは以下のように作成するとよいので、弊社のフォームを参考にしてほしい。
4:アクセスの多いコラムにホワイトペーパーへの導線を設置
フォームが設置できたら、そのフォームへの誘導導線(リンク)を設置する。もっともアクセスの多いページ(アクセス数No1のページ)に、資料請求フォームへのリンク(バナーやボタン)を設置する。
リンク(バナーやボタン)の設置方法としては以下のようなイメージである。
<例>製品やサービスの詳細を説明した紹介資料の場合
製品Aの概要、特徴、強みや事例がわかる紹介資料の資料請求
<例>営業戦略の立て方手順書|戦略立案のテンプレート付きの場合
戦略立案のテンプレート付きの営業戦略の立て方手順書を資料請求
リンク先は当然、資料請求フォームだ。
そもそもアクセスの多いページにこういったリンクを設置し、資料請求フォームに誘導することになるため、設置した翌日から、資料請求が発生する可能性がある。だからこそ、「比較的短期間で成果につながりやすい」のだ。
5:導線を設置した翌日から資料請求発生の可能性があるので様子見
誘導導線(リンク)を設置したら、しばらく様子見しよう。ホワイトペーパーの内容が魅力的な内容になっていれば、翌日から資料請求が発生する可能性がある。うまくいけば毎日継続的に資料請求が発生し、リード獲得が安定する。
6:資料請求が来るようになったら1へ戻り再度同じことを実施
資料請求が来るようになったら、再度この手順の1に戻り、同じことを繰り返す。次は、アクセス数No2のページを対象に同じことを展開してみよう。そうすれば、少なくともWEBサイトのデザイン変更やアクセス数増加などの施策を展開しなくても、リード獲得が効率よく実現できる。
まとめ
優先順位をつけたWEB改善の始め方をご紹介した。すでにアクセス数の多いページを軸にしたWEB改善であるため、「アクセス数を増やす」という施策を行う必要がない。ホワイトペーパーの作成と誘導導線の設置のみだ。そしてホワイトペーパーもカタログなどをうまく活用できれば、今ある資料を再利用できるため、実質、資料請求フォームの準備と導線設置だけで完了する可能性もある。
だからこそ、コストをかけない、すぐに実践できる、そして、比較的短期間で成果につながりやすいというポイントを満たすことになる。
御社でももしかしたら成果につながるかもしれない。ぜひ一度挑戦してほしい。このプロセスをまとめたPDFをここからダウンロードできるのでぜひ社内で内覧いただき活用してほしい。