BtoBマーケティングや営業戦略では見込み客の情報は非常に重要だ。そのメインとなるのが名刺である。しかし、名刺交換で得る見込み客の情報が、社内の至るところに散らばったままではせっかく得た情報を活かしきることができない。そこで役立つのが名刺管理ツールだが、種類が多すぎてどれがいいのかわからないという悩みも多い。本稿では、無料で使えるクラウド名刺管理アプリを紹介する。導入検討の際にぜひ、役立ててほしい。
クラウド名刺管理アプリとは
クラウド名刺管理アプリとは、日常的に増えていく個人や社内メンバーが得る名刺情報をクラウド上で一元的に管理できるツールである。クラウドに保存するためオフィス以外からでも名刺情報の入力や確認が可能になる。
たとえば、リモートワークをする営業担当者も、出先や移動中の時間を活用して名刺情報の追加作業ができて便利である。名刺を受け取った後、放置してしまう可能性を減らすことができる。
PDF資料の主な内容
- アンケートメールを名刺リストに送付して商談を作ったIT企業の事例
- オンラインセミナーのメールを名刺リストに送付して商談を作った製造業の事例
法人向けと個人向けのサービス内容比較
クラウド名刺管理アプリには個人向けと法人向けのサービスがあり、目的や状況に合わせて使い分けたい。
違いとしては、下記の点が挙げられる。
- 価格
- 機能
- スキャンの手間
- デバイス対応
- 取り込み方法
クラウドで名刺管理するメリット
名刺管理アプリは、クラウドで管理できるものと端末のみで管理するものがある。クラウドで名刺管理をするメリットとして下記の3つが挙げられる。
- データの紛失リスクがない
- 保存できる容量が無制限
- データの管理や共有が簡単
データの紛失リスクがない
取り込んだデータをすべてクラウド上に保管するため紛失のリスクを回避できる。パソコンやスマホなどの端末を紛失すると、中のデータや情報が外部に流出する恐れがある。
端末が破損すれば、端末だけに保管していたデータまで喪失ということもあり得る。クラウド管理なら、紛失や破損が起きてもデータは無傷で残すことができる。
保存できる容量が無制限
名刺データはすべてクラウド上に保存されるため、取り込む名刺情報が増えてもスマホやパソコンのデータ容量に大きく影響することはない。
名刺管理はテキストだけでなく画像データも取り込んでいくため、名刺の数が増えるにつれ、かなりの容量が必要とされる。容量を気にすることなく使っていける点は大きなメリットだ。
データの管理や共有が簡単
クラウド管理であれば社内のメンバーがそれぞれに入手して取り込んだ名刺情報を簡単に共有できる。
アクセス権を持つメンバーでインターネット環境さえあれば、いつでもどこででも最新の情報を見ることができるのである。
また、CRMやSFAツールなど他の社内システムとも連携できる拡張性の高さも魅力だ。
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- オンラインセミナーのメールを名刺リストに送付して商談を作った製造業の事例
無料のクラウド名刺管理アプリおすすめ8選
さまざまな種類がある名刺管理アプリの中から、「無料」で「クラウド」で使うことのできるおすすめの名刺管理アプリを8つ紹介する。
Wantedly People
出典元URL:https://people.wantedly.com/
10枚の名刺を同時撮影し、短時間で一気にデータ化できるためスピード重視の人におすすめできるアプリである。AIが登録されている名刺情報をもとに、関連する情報を自動で見つけ出してくれるので相手との対面時の話題づくりに役立つ。
運営会社 | ウォンテッドリー株式会社 |
料金プラン | 無料 |
ユーザー/利用者数 | 400万人 |
個人向け/法人向け | 個人向け |
対応デバイス | パソコン・タブレット・スマートフォン |
枚数制限 | 無制限 |
名刺読み取り方法 | スマホカメラ・スキャナ(同類ツールからの引き継ぎやCSVインポートも可) |
データ化方法 | OCR(自動入力) |
セキュリティ対策 | 暗号化 |
公式サイト | https://people.wantedly.com/ |
ダウンロード | AppStore GooglePlay |
Eight
出典元URL:https://8card.net/
撮影した名刺画像をAIが自動的に読み取ってデータ化できる。その反映の正確性や登録データ検索がスムーズな点が魅力だろう。
連絡先アプリとの連携やSNSとしての活用も可能となっている。プライベートで使うツールと切り離して名刺管理をしたいという人にも向いている。
運営会社 | Sansan株式会社 |
料金プラン | ベーシックプラン:無料 プレミアムプラン:月額480円 OR 年額4,800円 企業向けプレミアム:月額10,000円+参加ユーザー一人あたり400円 |
ユーザー/利用者数 | 200万人/4,000社 |
個人向け/法人向け | 個人/法人 |
対応デバイス | パソコン・タブレット・スマートフォン |
枚数制限 | 無制限 |
名刺読み取り方法 | スマートフォンカメラ Eight専用スキャナ(郵送対応あり) |
データ化方法 | OCR+オペレーターによる手動入力 |
セキュリティ対策 | 暗号化 |
公式サイト | https://8card.net/ |
ダウンロード | AppStore GooglePlay |
Evernote Scannable
出典元URL:https://evernote.com/intl/jp
スマホで名刺を撮影してノートにして画像保存しておけば、OCR機能により文字検索も可能なアプリである。
ノートには接点の履歴も記録しておくことができる。有料のプレミアムとビジネスプランでは名刺スキャンが可能となる。
運営会社 | Evernote Corporation |
料金プラン | ベーシックプラン:無料 プレミアムプラン:月額600円 ビジネスプラン:月額1,100円 |
ユーザー/利用者数 | 2億人超 |
個人向け/法人向け | 個人 |
対応デバイス | パソコン・タブレット・スマートフォン |
枚数制限 | ベーシック:ノート数10万枚、容量月間60MB プレミアム:ノート数10万枚、容量月間1G ビジネス:ノート数10万枚、容量月間10G |
名刺読み取り方法 | スマートフォンカメラ |
データ化方法 | OCR |
セキュリティ対策 | 暗号化 |
公式サイト | https://evernote.com/intl/jp |
ダウンロード | https://evernote.com/intl/jp/download |
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myBridge
出典元URL:https://jp.mybridge.com/home
LINEアカウントでも登録でき、LINEとmyBridge間でテキストや名刺情報の相互利用が可能である。myBridgeのユーザー同士であれば、自動的にアップデートされる相手の昇進や転職の情報を入手できる仕組みになっている。
運営会社 | LINE Corporation |
料金プラン | すべての機能が無料 |
ユーザー/利用者数 | LINEユーザー |
個人向け/法人向け | 個人向け(法人間共有も可能) |
対応デバイス | PC/iOS/Android |
枚数制限 | 上限なし |
名刺読み取り方法 | スマホカメラによる撮影 無料代行読み取りサービスあり |
データ化方法 | .xls/.csv/.vcf |
セキュリティ対策 | 名刺情報は分割入力 暗号化によるデータ通信 |
公式サイト | https://jp.mybridge.com/home |
名刺ファイリングCLOUD
出典元URL:https://cloud.mediadrive.jp/
OCR処理の文字認識の精度の高さには定評があり、入力や修正の手間がかかりにくいアプリである。名刺情報からの電話やメールの発信、地図表示などがスムーズなので営業活動などでも役立つだろう。営業活動の履歴も効率よく残すことができる。
運営会社 | 株式会社 NTTデータNJK |
料金プラン | 無料(100枚まで) スタンダード(1,000枚まで)年間2,400円 法人共有プラン ユーザー数ごとに設定あり 5人共有/一人あたり5,000枚/年間24,000円~ |
個人向け/法人向け | 個人/法人 |
対応デバイス | パソコン、タブレット、スマートフォン |
名刺読み取り方法 | スマートフォンカメラ、スキャン |
データ化方法 | OCR+オペレーターによる手動入力 |
セキュリティ対策 | 暗号化 |
公式サイト | https://cloud.mediadrive.jp/ |
ダウンロード | https://cloud.mediadrive.jp/ |
WorldCard Mobile Lite
名刺の読み込みは25の言語に対応しており、世界中で使われているアプリなのでグローバルなビジネス環境での活用度が高い。Goolge連絡先やFacebook、Linkedinなどと連携させて使うこともできる。
運営会社 | Penpower Technology Ltd. |
料金プラン | 無料版:50枚まで 有料版:860円(クラウド共有可) |
ユーザー/利用者数 | 2,000万以上 |
個人向け/法人向け | 個人 |
対応デバイス | スマートフォン |
名刺読み取り方法 | スマートフォンカメラ |
データ化方法 | OCR(自動入力) |
公式サイト | http://www.penpowerinc.com/ |
ダウンロード | AppStore GooglePlay |
PDF資料の主な内容
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- オンラインセミナーのメールを名刺リストに送付して商談を作った製造業の事例
CamCard Lite
出典元URL:https://www.camcard.jp/lite/
16ヶ国語に対応するアプリで、OCR認識の精度も高めでスピーディーに取り込める。登録した名刺へのメモの追記をはじめ、Todoやリマインダー設定ができる点が他のアプリとの大きな違いだ。連携できる外部CRMツールの種類も豊富にある。
運営会社 | INTSIGInformationCorporation |
料金プラン | 無料・課金あり |
ユーザー/利用者数 | 1億人以上/100万社 |
個人向け/法人向け | 個人 |
対応デバイス | パソコン、タブレット、スマートフォン |
枚数制限 | 無制限 |
名刺読み取り方法 | スマートフォンカメラ、QRコード、メールの署名、スキャン |
データ化方法 | OCR(自動入力) |
セキュリティ対策 | 暗号化 |
公式サイト | https://www.camcard.jp/lite/ |
ダウンロード | AppStore GooglePlay |
Scannable
出典元URL:https://evernote.com/intl/jp/products/scannable
名刺を撮影するときの認識が早く、手動による面倒な調整や修正の必要がないのが特徴である。Evernoteにデータ保存をすればパソコンやタブレット端末でも活用できる。Evernoteユーザーにとっては使い勝手の良い連携ツールである。LinkedInと連携させることができ、相手の情報があれば自動で追記される。
運営会社 | Evernote Corporation |
料金プラン | 無料 |
ユーザー/利用者数 | 個人 |
個人向け/法人向け | スマートフォン |
対応デバイス | スマートフォンカメラ |
名刺読み取り方法 | OCR(自動入力) |
セキュリティ対策 | 暗号化 |
公式サイト | https://evernote.com/intl/jp/products/scannable |
ダウンロード | AppStore |
無料のクラウド名刺管理アプリ比較表
アプリ名(プラン名) | 課金 | 名刺情報の取り込み方法 | おすすめポイント |
Wantedly People | 無料 | スマホカメラ・スキャナ | 最大10枚の一括データ化が可能 |
Eight | 無料プランあり | スマートフォンカメラ Eight専用スキャナ(郵送対応あり) | ・OCRの読み込み精度が高い ・SNSとしても活用できる |
Evernote | 無料プランあり | スマートフォンカメラ | OCR機能でデータ内文字検索も可能 |
myBridge | 無料 | スマートフォンカメラ、スキャン | ・LINEとの連携可能 ・ユーザー同士の情報は自動更新される |
名刺ファイリングCLOUD | 無料(100枚まで) | スマートフォンカメラ、スキャン | ・OCRの読み込み精度が高い ・電話、メール、地図にスムーズに移行できる |
WorldCard Mobile Lite | 無料版:50枚まで | スマートフォンカメラ | ・多言語対応 ・Facebook、 Google、Linkedinとの連携可能 |
CamCardLite | 無料・課金あり | スマートフォンカメラ、QRコード、メールの署名、スキャン | ・多言語対応 ・メモ、リマインダー設定が可能 |
Scannable | 無料 | スマートフォンカメラ | スピーディーな認識と自動調整で取り込める |
PDF資料の主な内容
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個人情報保護法からみたクラウド名刺管理
名刺情報をデータベース化すれば「個人情報保護法」の保護対象となり、法人、個人事業主を問わず個人情報取扱事業者となり、安全管理措置の義務が発生する。データベースとは、パソコンなどで管理するデジタル情報だけでなく紙媒体のリストも含まれる。当然、名刺管理アプリでの管理も該当する。
個人情報取扱事業者は、情報の安全に保護していくための万全な対策を取らなければならない。物理面、技術面でのセキュリティ確保はもちろん、社員による故意、あるいは無意識の流出を防ぐことも忘れてはならない。
OCRだけでなくオペレーター入力がある場合の注意点
名刺管理アプリは、スキャナで取り込む名刺情報を自動読み取りするOCR機能により社内の工数が省ける。
ミスがあれば手動で補正するが、オペレーターによる入力サービスつきのアプリもある。この場合、個人情報の業務委託となるため注意が必要だ。
社外作業者となるオペレーターの信頼性確保については、下記のような厳重な対策が取られている。
- 身元確認や個人情報保護マネジメントシステム誓約書の締結
- 個人が特定できないよう名刺情報画像を分割してオペレーターに入力依頼
- 1つの名刺情報を複数のオペレーターに入力させ、不一致データを弾き出して正確性を確保
- セキュリティ教育や研修、面談などの定期的な実施
- アクセスやダウンロードの制限、作業ログモニタリングなどで安全管理
安全なクラウド名刺管理アプリを選ぶポイント
安全なクラウド名刺管理アプリを導入するための3つの選定ポイントを解説する。
プライバシーマーク取得済み
プライバシーマーク(Pマーク)は、個人情報の取り扱いについて、日本情報経済社会推進協会の厳しい審査に合格した企業に付与される。Pマークを取得した提供元であれば、ある程度の信頼性と安全性が担保されると考えられる。
通信が暗号化される
サーバーのセキュリティだけでなく、データを送受信する際に外部に盗み見られる可能性への対策が十分かどうかも確認しておくべきポイントとなる。送受信データの暗号化に対応するアプリを選んだほうがいいだろう。
管理サーバーのセキュリティ
セキュリティ規模の大きい社外のデータセンターで自社サーバーを管理しているアプリ提供元を選ぶとさらに安心だろう。モニター管理や生体認証などセキュリティ体制の信頼性は高まる。
名刺管理から見込み育成や商談創出に成功した事例
名刺管理を行い、メルマガやMAなどを活用して見込み育成や商談創出に成功しているBtoB企業の成功事例をご紹介する。名刺管理からの見込み育成や商談づくりのヒントにしていただければ幸いだ。
「名刺などのハウスリストから商談を作るためのヒント」
(メルマガの企画検討フォーマット付き)
どんな企業が、誰に、どんな内容のメールを、どんな目的で、どういうタイミングでメールを送信し、どんな成果が得られているのか?を簡潔にまとめてご紹介しています
社内に眠っている名刺を整理し、そこからオンラインセミナーを活用して商談を作り出した方法とその成功事例をまとめた資料
まとめ
多種多様な名刺管理アプリが存在しているが、それぞれに機能や使い勝手、セキュリティ対策の度合いも異なっている。
初めての導入、もしくはすでに使っている名刺管理に使いにくさを感じている場合は、まずは無料で使えるものを試して検討してみると良いだろう。自分や自社に必要な機能や使い勝手が見えてくるはずだ。