WEBサイトのコンバージョン率を改善するアクセス解析とコンテンツ設計の仕方「5つの手順」

アクセス解析と検索ニーズからコンバージョン率を改善する方法
Last Updated on 2023年2月18日 by 荻野永策

「SEO対策できているのに検索ニーズがつかめずコンバージョン率が悪い」「アクセス解析をしてもWEBサイト改善方法がわからない」、今回の記事では、そんな悩みを解決すべく、コンバージョン率を改善する5つの手順をご紹介する。記事の最後には、コンバージョン率を改善する「コンテンツ設計表」のダウンロードもできるのでぜひ最後までご覧いただきたい。

コンバージョン率が改善しない理由

最初に、コンバージョン率が改善しない理由を明確にしておこう。私はコンバージョン率が改善しない理由としては大きく3つあると考えている。

(1)キーワードの選定ミス
WEBサイトに集客しているキーワードの選定をミスすると、いくら集客してもコンバージョン率は改善しない。キーワードに隠れているニーズをつかんだ上で、選定しなければならない。

(2)コンテンツ設計のミス
WEBサイトのコンテンツが検索者のニーズを満たすものでなければ、コンバージョン率は改善しない。ニーズにあったコンテンツを提供しなければならない。

(3)コンバージョンゴールの設計ミス
「資料請求」「見積もり依頼」などがコンバージョンゴールになるが、検索者は何を目的に検索しているのか、検証した上で、ゴールを設計しなければ、コンバージョン率は改善しない。

つまり、「ニーズのあるコンテンツを的確に提供すること」が最重要であり、その上で、「デザインはどうする?シナリオはどうする?」を考えなければならない。

そこで、今回のコラムでは、「ニーズのあるコンテンツを的確に提供する」ためのコンテンツ設計の仕方をご紹介するので、ぜひあなたのWEBの改善に活用してほしい。

コンバージョン率を改善するコンテンツ設計の仕方「5つの手順」

それでは、改善手順をご紹介しよう。その5つの手順とは下記の通りである。

手順1「今集客できているキーワードを取得」
手順2「検索市場を確認しコンテンツ設計表に追加」
手順3「検索ニーズの分析2つの方法」
手順4「コンテンツ設計する」
手順5「コンバージョン率を高めるページを作る」

手順1「今集客できているキーワードを取得」

最初にやることは、リスティングでの集客を除いて、今、自然検索で集客できているキーワードを取得する。リスティングを除外する理由は、「自然検索での集客力」を最大限に生かすためだ。自然検索ですでに集客できているキーワードというのは、今後も継続して集客できる可能性がある。だから、そのキーワードでコンバージョン率を改善できれば、安定したコンバージョンを獲得することができる。

というわけで、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを使って、自然検索で集客できているキーワードを取得しよう。キーワードの取得は、Googleアナリティクスの「セッション数」の多い順にキーワードを並べ替え、200から300種類くらいのキーワードを取得できれば十分であろう。

300種類以上ある場合は、多ければ多いほどよいが、分析に時間がかかるので、どのくらい取得すべきかは、あなたのご判断に任せる。逆に200以下の場合は、あるだけ取得してほしいが、数十件程度しかないという場合は、まずそもそもアクセス数が少なすぎるように思う。その場合は、「効果的なSEO対策を実現するWEBコンテンツ設計の仕方「4つの手順」」をご覧いただき、まずはSEO対策を強化してほしい。

キーワードを取得したら、下記のようなエクセル(以下、コンテンツ設計表と呼ぶ)を作り、キーワード、セッション数の列にコピペしよう。

SEO対策で集客できているキーワードとセッション数一覧をコンテンツ設計表にコピペ

これで、現在、どのようなキーワードで集客できているのかが、多い順で一覧できるようになった。

手順2「検索市場を確認しコンテンツ設計表に追加」

次にやるべきことは、検索市場の調査である。検索市場とは、毎月、検索エンジンでどのくらい検索されているのか?の回数のことで、検索回数がそこそこあるキーワードでなければ、集客ができないので、コンバージョン件数が安定しない。そのため、検索回数がそこそこあるキーワードに絞り込む必要がある。やり方は簡単である。

最初に、Googleのキーワードプランナーにアクセス(Googleアドワーズのアカウントを取得後、キーワードプランナーと検索しよう)し、「キーワードの検索ボリュームを取得、または、キーワードを広告グループに分類」をクリックしよう。

キーワードの検索ボリュームを取得、または、キーワードを広告グループに分類

その後、先ほど、コンテンツ設計表にコピペしたキーワードを全部、下記の「キーワード入力欄」に再度コピペしよう。

コンテンツ設計表にコピペしたキーワードを再度コピペ

そして、検索ボリュームを取得するというボタンをクリックする。すると、検索回数がずらっと表示されるので、下記のダウンロードボタンをクリックし、エクセル用CSV形式でダウンロードする。

検索回数をダウンロード

ダウンロードしたら、エクセルでCSVファイルを開く。すると、下記のような画面になる。下記は「チラシ印刷」の場合の例だが、あなたが調査したキーワードと検索回数が表示されているはずだ。

チラシ印刷の場合のダウンロードファイル

赤く囲ってある部分が検索ワードと検索回数なので、それ以外の列は削除し、キーワード毎に検索回数を先ほどのコンテンツ設計表の「検索回数」の列に打ち込む。

検索回数の打ち込み

ただし、全部打ち込むのは大変なので、検索回数がある数値以下の場合は、打ち込まなくて良い。その基準になる数値の判断は任せるが、月間100回しかないキーワードで集客しても、コンバージョン件数は少ないので、よく検討して決めてほしい。

検索回数を打ち込むと、セッション数・検索回数がコンテンツ設計表にずらっと並んでいるはずだ。この段階でキーワードの整理を行う。検索回数・セッション数がともに少ないキーワードは削除する。集客もできていないし、検索回数も少ないので、コンバージョン改善の対象外とする。

検索回数は多いが、セッション数が少ない場合はSEO力が弱いので削除する。SEO力を強化してから検討しよう。

狙い目は、検索回数・セッション数ともに多いキーワードで、これを中心にコンテンツ設計表を整理しよう。この段階でだいぶ絞られてきたのではないかな?

手順3「検索ニーズの分析2つの方法」

手順3では、検索ニーズを調査する。調査方法は2つ。私は「現実」と「ニーズ」と呼んでいるが、まずは「現実」からご説明しよう。

方法1「閲覧したページを確認する経路分析」

現実とは、「閲覧したページを確認する経路分析」のことである。今回、分析しているキーワードは、実際にあなたのサイトで集客できているキーワードなので、あなたのWEBサイトのどこかのページを1ページ以上必ず閲覧しているはずだ。それはまぎれもない現実である。だから私は「現実」と呼んでいるが、「現実」からは、どのページを見たのか?と何が知りたかったのか?が見て取れる。

アクセス解析ツールを使って経路分析を行い、キーワード毎にどのページを見たのかを確認しよう。ちなみに私は、Googleアナリティクスを使った経路分析が苦手で面倒なので、キーワード毎の経路分析ができるアクセス解析ソフトを使っている。

経路分析すると、キーワード毎に「どのページがよく見られているのか?」がわかる。そしてそこから、「何が知りたかったのか?」が想定できる。これをコンテンツ設計表に書き込んでいこう。

コンテンツ設計表に現実を書き込む

大量のページを見ている場合は、エクセルのセルに追加できるコメント機能を使うと便利である。箇条書きでよいので、見たページ、知りたかったことをどんどん書いていこう。

方法2「サジェスト分析する」

「現実」が完了したら、次は「ニーズ」だ。「ニーズ」を知る方法は、いくつかあるが、無料ですぐにできるのがサジェスト分析である。

サジェストとは、「チラシ印刷」であれば、「チラシ印刷」と組み合わさって検索されている他のキーワード候補のことで、Googleの検索機能に組み込まれている。Googleでは、検索ボックスで下記のように候補のキーワードがずらっと表示されるが、これがサジェスト(以下画像参照)である。

Googleのサジェスト機能

このサジェストはGoodKeyWordというサービスで簡単に確認できるので活用してみると良い。詳しい使い方は 効果的なSEO対策を実現するWEBコンテンツ設計の仕方「4つの手順」の「サジェスト一覧の調査」をご覧いただければと思う。

このサジェストをキーワード毎に調査し、各サジェストが獲得できたら、コンテンツ設計表に打ち込む。そして、サジェストから、「検索者は何を知りたがっているのか?」を想定してコンテンツ設計表の「何を知りたがっているか」の列に書き込んでいく。ここはアイディア力、発想力が問われる作業になるので、大人数でワイワイやりながら意見交換するといいだろう。

コンテンツ設計表にサジェストと知りたがっていることを書き込む

ここまでできたら、コンテンツ設計表のベースは完成である。あとはコンバージョン率を改善するためのコンテンツ設計を行うだけだ。

今の段階で、下記の内容がコンテンツ設計表に書き込まれているはずだ

  1. セッション数・検索回数が多い実際に集客できているキーワード(リスティングは除く)
  2. 「現実」の分析結果(どこを見たか?何を知りたかったのか?)
  3. 「ニーズ」の分析結果(何を知りたがっているのか?)

あなたのサイトの場合はどのような内容かな?

手順4「コンテンツ設計する」

次は「コンテンツを設計する」段階に入る。ここでは、コンバージョンを得るために必要なコンテンツを考えることになる。そのヒントが、「現実」と「ニーズ」になる。

まず、注目すべきは「何を知りたがっているか?」のニーズである。このニーズから、ニーズを満たすためのコンテンツ制作を検討しよう。

コンテンツのタイトルを決めて、目次案を考えていくのだ。誰がライティングするのか、本当にその内容をライティングできるのか?などは頭から除外して、「こういうニーズがあるんだから、こういうコンテンツが必要だろう」という視点で設計していこう。誰が、いつ、どうやって書くかはそのあとの問題である。今の段階で気にすることはない。

ここでポイントになるのは、コンテンツをどう提供するかという、提供方法である。検索者が知りたがっているニーズのある情報を、「WEBページ」として誰でも閲覧できるように公開するか、逆に「PDF化」して資料請求しないと閲覧できないようにするかで意味合いが異なる。

「WEBページ」として公開する場合、品質の高いコンテンツであれば、コンテンツSEOとしてソーシャルメディアで拡散される可能性があり、大量のアクセスを確保できる可能性がある。

PDFで資料請求後に公開する場合、「PDFの資料請求」イコール「コンバージョン」となるので、コンバージョン率の改善につながる。

どちらがいいのか?というと、その判断は非常に難しいところであるが、PDFでの資料請求は、「見込み獲得」になるので、見込み客が欲しがりそうな情報は「PDF化する」という方がよいだろう。

コンテンツのタイトル案、目次案ができあがり、「PDFかWEBページにするか」が決まれば、「コンテンツ設計表」の「コンバージョンゴールですべき提案は?」の列に書き込んでいこう。

コンテンツ設計表にコンテンツの提供方法、タイトル、目次案を書き込む

こちらも、エクセルのコメント機能などを使うと便利である。

手順5「コンバージョン率を高めるページを作る」

以上で、コンテンツ設計表は完成だ。あなたの場合、どのくらいの新規コンテンツが設計できたかな?そして、ここからが、コンバージョン率改善のための実作業に入る。

まず、コンテンツ設計表で、制作することになったコンテンツを全て作ろう。「誰がいつライティングするか?本当にかけるのか?」という時間と知識の問題が壁となるが、見込み客が知りたがっている情報を「あなたが書けなくてどうする!」ということになるので、ぜひ頑張って書いてみてほしい。

どうしてもライティングできないなら、知識不足を補い、スキルアップしてほしい。そして、スキルアップしつつ、今ライティングできるコンテンツだけ製作しよう。そうしないと先に進まない。
コンテンツ設計表で設計したコンテンツが完成したら、今度は、コンバージョン率を高める仕掛けを作る。その手順はこうだ。

(1)まずダウンロードページを作る。ダウンロードページとは、弊社の例で言えば、「WEB活用に関するノウハウレポートのダウンロード」のようなイメージだ。このダウンロードページでは、コンテンツ設計表で製作したPDFの目次・内容の紹介と申し込みフォームを設置する。

(2)ダウンロードページができたら、次はコンテンツ設計表の「どのページを見たか?」の列を確認する。ここでは、「こういうキーワードで検索したユーザは、このページを見た」という現実が確認できるので、「ユーザが見たページ」に、ダウンロードページへの導線(バナーやテキストリンクなど)を設置しよう。できるだけ目立つように設置する。

(3)導線が設置できたら、コンバージョンまでのシナリオは「自然検索→ページ閲覧→PDFに興味を持つ→ダウンロードページ→資料請求」という流れになる。当然、サジェストからニーズのある情報をPDFにしているので、検索者が興味を持つ可能性は高い。

(4)2、3をすべてのPDFで行い、あらゆるページからダウンロードページへの導線を設置しよう。そうすると、自然検索で集客したアクセスが、ダウンロードページへの集まるようになり、コンバージョン件数・コンバージョン率が改善される。

(5)ダウンロードページの制作と導線設置が完了したら、次は、WEBページとして公開するコンテンツのHTMLコーディングを行い、WEBページを作り、適切な階層にページのリンクを設置しよう。

以上で、コンバージョン率を改善する作業は完了である。

この手順のメリット

この手順には下記のようなメリットがある。

  1. 今集客できているキーワードをベースにコンバージョン率を改善しているので、集客に手間がかからない
  2. 過去に訪問したユーザの経路やサジェストからニーズを分析し仮説立てしているため、思いつきのコンテンツ設計ではない。ある程度の根拠がある
  3. ダウンロードページを作り、ニーズにあったコンテンツを提供することでCVR向上につなげている。またダウンロードページへの導線も「いま見られているページ」を中心に設置するので、誘導しやすい
  4. やろうと思えば全部自社でできるからタダであること(この記事のURLを社内で情報共有し、みんなでアイディアを出し合い、作業すると楽である。)

まとめ

今回は、アクセス解析からコンバージョン率を改善する5つの手順をご紹介した。

手順1「今集客できているキーワードを取得」
手順2「検索市場を確認しコンテンツ設計表に追加」
手順3「検索ニーズの分析2つの方法」
手順4「コンテンツ設計する」
手順5「コンバージョン率を高めるページを作る」

今獲得できているアクセスを最大限に生かした手順であり、かつ、自社でやれば費用はかからない(時間はかかるが)。加えて、ニーズ分析も多少なりともできているので、根拠のある改善になるだろう。コンバージョン率の改善で行き詰まり、打ち手が見えない場合は一度挑戦してみてほしい。

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