BtoBマーケティングにおいても、デジタルマーケティングが活用され、営業DXが加速している。このため、BtoBマーケターにはさまざまなスキル・知識が必要となり、その知識負担・作業負担も大きくなってきている。その中でも、BtoBマーケターの悩みの種として大きいのは「営業部とデジタルマーケティングの連携」だろう。先日も弊社のアンケートに対して下記のような回答があった。
そこで今回のコラムでは、「営業部とデジタルマーケティングの連携」について、重要なポイントと連携のパターンをご紹介する。
営業連携とは?
「営業連携」とは、マーケティング部門などがWEBやセミナー、展示会などで獲得した新規リードを、営業部門(インサイドセールスも含む)に連携・送客することだ。「営業送客」「リード送客」などと呼称される場合もあるようだ。
営業部が新規リード獲得から育成、商談作り、受注、顧客維持までをすべて行なっている場合は、部内完結するため、営業連携は不要であり、部内で商談の状況を共有するだけで良い。
しかし、営業部門以外の他部門(マーケティング部門など)が、リード獲得を行なっている場合は、部門を跨いだ連携が必要となるため、営業部へのリード連携、送客が必要となる。デジタルマーケティングを活用する場合も同様で、デジタルマーケティングにより新規リードを獲得後、営業部門にそのリードを連携・送客しなければならない。
営業連携で重要な3つのこと
この営業連携を実現するには、重要なポイントが3つある。それは、ターゲティング、営業連携の境界線、データ共有(システム連携)の3つである。
ターゲティング
営業連携では、「営業部門が連携して欲しいリードのイメージ像」を営業部門と共有することが重要だ。つまり、「ターゲティングの共有」である。
これがないと、有象無象のリードを連携・送客することになりかねない。特にデジタルマーケティングは、展示会やリアルのセミナーとは異なり、「相手の顔が見えづらい」。このため、ターゲティングが共有されていないと、デジタルマーケティングではどのようにターゲティングすればいいのかわからなくなる。
その結果、デジタルマーケティングでリード獲得し営業連携しても、営業部門から見れば「デジタルマーケティング経由のリードは商談にならない」と判断されてしまうことにつながる。
営業連携の境界線
営業連携では、「どのタイミング、どの状態のリードを連携するか?」の営業連携の境界線の設計が重要だ。例えば製品Aのカタログがあり、その製品Aのカタログの資料請求が来たら「問答無用で営業連携する」というケースもあれば、製品Aの見積もり依頼が来るまでは「営業連携しない」というケースもある。これが、「どのタイミング、どの状態のリードを連携するか?」の営業連携の境界線の設計である。
営業連携の量を重視する場合は、境界線は緩めにすればよいし、質を重視する場合は厳しくすればよいが、この設計が本当に難しい。商材特性、顧客特性、営業部門のリソース、営業個人個人のスキルの差など、さまざまな要因でルール化が難しく、境界線が曖昧になるケースが多い。質か量かのバランスを最適化して設計したいところであるが、意見の集約も困難を極め、組織が大きくなればなるほど、設計の着地点を見つけるのは非常に難しくなる。
データ共有(システム連携)
営業連携では、デジタルマーケティングで獲得したリードの個人情報(社名、名前、連絡先など)や、商談情報(どの製品に興味があるか、確度など)を営業部門と情報共有しなければならない。その際に、営業部門が活用しているツール(主にSFA)と、デジタルマーケティング側で活用しているツール(MA、フォーム管理ツールなど)とのデータ連携が必要になる。
データ連携では、リードの情報をどうやって共有するか?、共有後、フォローされているかなどをどうやって確認するか?、そのリード情報は既存の商談に関連するリードなのか新規商談なのかの確認をどうするか?など、さまざまなデータ共有が双方向に発生する。これをエクセルやメール、電話などで確認しているとそのうち忘れ去られてしまうため、システム化しておく必要がある。
営業連携の2つの連携方法
このように、営業連携を実現するには、ターゲティング、営業連携の境界線、データ共有(システム連携)の3つが重要である。
では、この3つの意識しながら、どう連携すればいいだろうか?その営業連携の方法は主に2つあると考えられる。
デジタルマーケティング側目線の連携パターン
1つ目の連携パターンは、「デジタルマーケティング側目線の連携」だ。わかりやすい表現をすると、「営業部さん、デジタルマーケティングでこんなリードが獲得できたからあとよろしくねー」というイメージだ。営業連携の量を重視した連携方法であり、「営業連携の境界線」をどこに設計するか?が非常に重要なポイントになる。
営業部目線の連携パターン
2つ目の連携パターンは、「営業部目線の連携」だ。わかりやすい表現をすると、「デジタルマーケティングで、こういう条件のリードが獲得できたら営業部に連携してね」というイメージだ。営業部主体で連携の条件を決めるため、リードの質重視の連携方法となる。当然「ターゲティングの共有」が非常に重要になり、これができていないと、連携しても「なんか違う」となる傾向がある。営業部側が、欲しいリードの条件をどこまで具体化できているか?が大きな焦点となる。
営業連携のブリッジとしてのインサイドセールス
営業連携の2つのパターンをご紹介したが、BtoBではどちらにしてもなかなかうまくいかないことが多い。営業連携のパターンの選定ミスというよりも、「ターゲティング」、「営業連携の境界線」、「データ共有(システム連携)」の3つの重要ポイントで何かがずれているケースが多いようだ。
そこで、デジタルマーケティングと営業部門のブリッジとなるのがインサイドセールスである。インサイドセールスがデジタルマーケティングで獲得したリードを一旦受け取り、個別メール・電話などでリードと対話し、「営業連携するかどうか?」を判断して決断するのである。このような位置付けでインサイドセールスを構築すれば、デジタルマーケティング、営業の連携はよりスムーズになる可能性が高い。
デジタルマーケティングと営業の連携まとめ
以上、デジタルマーケティングと営業の連携について、3つの重要ポイントと、2つの連携パターンについてご紹介した。インサイドセールスをブリッジとして活用するのか、それとも、3つの重要ポイントをしっかり設計し、2つの連携パターンのどちらかで連携するというのもよいだろう。御社はどのように連携するのか、このコラムを参考に検討いただけたら幸いである。