BtoBメルマガの一問一答「タイミング、頻度、ターゲット、書き方、ネタなど」

BtoBメルマガの一問一答 タイミング、頻度、ターゲット、書き方、ネタなど
Last Updated on 2024年9月9日 by 荻野永策

BtoBマーケティングリードナーチャリングにおいて、「メルマガ」を活用しているBtoB企業は多い。訪問や電話によるリードナーチャリングに比べると比較的気軽に施策展開できる上に、コストも安く抑えられる。しかし、BtoBメルマガの配信担当者には、悩みも多いようだ。実際に、弊社のお客様からは下記のような疑問をいただいている。

・開封率・クリック率はどのくらいの数字が世の中的な平均値は?
・配信時間や・配信曜日いつが適か?効果での出る曜日の見つけ方は?
・開封率を高める件名の付け方は?
・クリック率やCVRを高める本文の書き方は?
・HTMLでは送ったほうがよい?
(J社S様)

そこで今回のコラムでは、BtoBメルマガに関して、配信担当者からいただく、素朴な疑問について、一問一答形式でお答えしようと思う。

BtoBメルマガの配信時間は?

BtoBメルマガは、何時に配信すると効果的だろうか?その配信時間の見つけ方としては、自社サイトのアクセス解析ツールを活用すると良い。GA4では、「時間帯別アクセス数」を探索レポートで作成することができる。

GA4探索レポート「時間帯別アクセス数」

GA4探索レポート「時間帯別アクセス数」

上記は弊社のWEBサイトの時間帯別アクセス数の例だ。この場合、16時にアクセスが最も多いことがわかる。その次が11時、15時、14時と続いている。このことから、16時に配信するという選択肢と、あえて11時に配信し、11時から17時までの間に見てもらうという選択肢の2つが考えられる。

御社でもGA4で一度時間帯別のアクセス数を確認し、配信時間の判断材料にしてみてはどうだろうか?

BtoBメルマガの配信曜日は?

BtoBメルマガの配信曜日は、配信時間同様にWEBアクセス解析ツールで曜日別アクセス数を確認すると良い。ただし、GA4を使う場合は、曜日別アクセス数の確認は、基本的にはできないようである(記事執筆時点)。そのため、GA4で日別のアクセス数を分析しエクセルなどで曜日別に集計するなどの方法が考えられる。

参考までに、弊社の場合は、火曜日のアクセスが最も多かったため、火曜日をメルマガ配信の曜日と決めている。

BtoBメルマガのネタは?

BtoBメルマガのネタについては、主に2つのネタが考えられる。

1つ目は、自社目線のネタで、製品案内、セミナーなどのイベント案内、事例紹介などのネタである。社内にネタが豊富にある場合はネタが枯渇することがないが、自社目線であるため常に売り込みのメルマガになってしまう傾向があり、メルマガ配信解除につながる可能性が高い。弊社ではこのような売り込み中心のメルマガを「オンメール」と呼称している。

もう1つは、リード・顧客目線のネタで、悩みや課題を解決する方法や、何かの業務を効率よく進めるコツなどのネタである。リード・顧客にとって有益な情報になる可能性が高く、メルマガ配信解除率も低下する傾向があるが、製品の売り込みが難しい。弊社ではこの目線のメルマガを「オフメール」と呼称している。

オンメールとオフメールは、メリハリをつけて使い分けることが重要だ。どちらかに偏るのではなく、メリハリをつけて使い分けることで、メルマガ全体の効果が向上すると考えている。

ネタがない場合はどうしたらいいか?

BtoBメルマガではネタに困るケースがある。特に社内にネタが少ない場合は、何を送ればよいか?ということになる。こういった場合、すぐにできる対処方法を1つご紹介しよう。

その方法は、過去の問い合わせフォームの問い合わせ内容を分析し、そこに記載されている顧客やリードの悩みや課題を把握しよう。その上で、その悩みや課題からメルマガのネタを考えるとよいだろう。

問い合わせフォームのデータがない場合は、アンケートメールの送付、サジェスト分析をするなどのような方法もある。

BtoBメルマガは誰に配信するか?

BtoBメルマガは、リード、顧客に配信する。特に休眠リードや休眠顧客へのメルマガ配信は、案件や商談の創出につながる可能性があり効果が大きい。

配信ターゲットの決め方としては、BtoBの場合、主に下記のような切り口で決めるケースが多い。

  • 自社の製品や事業別
  • 業種別
  • 部門別
  • 役職別
  • 課題・興味別

このような切り口でメルマガ配信するには、リード・顧客DBの管理が重要だ。特に、部門や役職、課題・興味別にメルマガ配信する場合、これらの項目は時間と共に変化する(人事異動で部門が変わったなど)ため、更新が重要だ。

しかしながら、最新情報を把握することが難しく、配信ターゲットを絞り込む時の悩みの種になりがちである。その結果、「誰に配信するか?」が決めにくくなり、「とりあえずこの条件でいいか」という形で配信されることが多い。

BtoBメルマガの配信頻度は?

BtoBメルマガの配信頻度は、月●回のように決まっているわけではない。1日何通も届くような企業もあれば、月1回、2回といった企業もある。そのため、社内のリソース、ネタの豊富さ、メルマガ配信システムの制限などを見て、社内でまずは頻度を決めるしかない。その上で、配信解除が多いようであれば、頻度を下げるなど検討するしかないだろう。

BtoBメルマガの文字数は?

BtoBメルマガの文字数については、弊社は何度も質問を受けているが、こちらも配信頻度と同様、●文字以内にすべきという基準はない。そのため、メルマガで伝えたいことを、短く的確に伝えるというのが基本となる。まずは文字数を気にせず、一旦メルマガをライティングし、その後、再度読み返して、添削しながら短くできる箇所を探すのがよいだろう。

最後までメルマガを読んでもらうには、文字数は少ない方がよい。しかし、短くしたからといって最後まで読むか?というと、テーマ次第であるためそうとは言い切れない。だからこそ、短くすることを目的にはせず、興味のあるテーマをしっかり検討し、その上でできるだけ短く伝えるということを心がけると良い。

BtoBメルマガの開封率・クリック率の平均値・目安は?

BtoBメルマガの開封率(開封数/配信総数)、クリック率(クリック数/配信総数)は、どんなメルマガでも●%程度と目安があるわけではない。配信対象のリストの入手経路、配信対象者のターゲティング条件、タイミング、内容によって大きく変動するためだ。

最も大きな影響を与えるのは、配信対象のリストの入手経路であると弊社は考えている。なぜなら、「社名や製品の認知があるかないかを決める」ためだ。

例えば、自社のWEBサイトで問い合わせや資料請求を獲得し、そのリードリストに対してメルマガを配信する場合は、開封率やクリック率は高くなる傾向がある。なぜなら「以前、問い合わせした会社からのメール」と認知されるためだ。

しかし、そうでない場合(例:法人名簿業者から企業の代表メールアドレス付きの名簿を購入する場合など)は、「なぜこの会社からメールが来るのか?」となり、ほぼ間違いなく「迷惑メール」と判断される。

このように、メルマガの開封率やクリック率は、リストの入手経路が大きな影響を与える。その上で、ターゲティングはどこまで絞り込むか、どんなテーマにするか、いつ配信するかによって、開封率・クリック率はさらに上下するだろう。

その前提がある上で、あえて目安を記載すると、弊社の今までの自社のメルマガやお客様のメルマガの傾向を見ていると、BtoBメルマガの開封率(開封数/配信総数)は20%から30%、クリック率(クリック数/配信総数)の目安は5%から10%を想定すると良いと考えている。

開封率を高めるBtoBメルマガの件名の付け方は?

BtoBメルマガの開封率は「件名(メルマガのテーマ)」に大きく影響を受ける。なぜなら、メールを開封するかどうかを決めるのは、件名と送信者を見て判断するためだ。

件名は、自社目線の件名とリード・顧客目線の件名があり、弊社のABテストの結果では、リード・顧客目線の件名の方が、開封率が1.2倍程度向上した。

では、自社目線の件名とリード・顧客目線の件名について、例を交えてご紹介する。例として、弊社が2023年11月に実施した下記セミナーの案内メールの件名を例に件名を考えてみよう。

自社目線の2つの件名例
  1. 無料セミナー開催決定!メールマーケティングのノウハウがわかるセミナー
  2. 2023年11月開催!早い者勝ち!無料のメールマーケティングセミナー
リード・顧客目線の2つの件名例
  1. BtoBメルマガセミナー「配信計画立案と効果分析の仕方、件名と本文の書き方とは?」
  2. BtoBメルマガの配信の仕方、書き方、成果の出し方、分析の仕方がわかるセミナー

自社目線の場合は、「無料セミナー開催」、「2023年11月」、「早い者勝ち」といったワードが並んでいる。この件名の場合、無料であること、11月に開催することなどは件名で判断できるが、セミナーの内容がよくわからない。

逆に、リード・顧客目線の場合は、「BtoBメルマガ」「配信の仕方」「計画立案」などが並んでいる。この件名の場合、「セミナーでメルマガのノウハウを話ししてくれること」は件名で判断できるが、セミナーの日時や無料かどうかはわからない。

弊社の場合は、リード・顧客目線の方が開封率がよいが、御社の場合はどうだろうか?一度、ABテストを実施してみるのも良いし、関係者にこのブログを展開し、みんなで意見交換してみてはいかがだろうか?

クリック率やCVRを高めるBtoBメルマガの書き方は?

BtoBメルマガのクリック率は、クリック誘導の本文の書き方に大きな影響を受ける。こちらも弊社でのABテストがエビデンスになるが、下記の2パターンで検証をすると、クリック率は最大で1.9倍もの開きがあった。

パターン1「悪い例」
この詳細に関しては下記のURLをご覧ください。
https://*****クリック誘導したいURL******
パターン2「良い例」
この詳細に関しては下記のURLをご覧ください。
https://*****クリック誘導したいURL******

上記のURLでは、下記のようなことを記載しています。
タイトル:**********
主な内容
・******
・******
・******
・******

このように、誘導したいURLの前後に、リンク先のページの内容を箇条書きで記載しておくのである。こうすることで、「クリックしたらこういう情報が得られる」ことが事前に伝わり、クリック誘導しやすくなる。

BtoBメルマガはHTMLで送ったほうがよいか?

メルマガはHTMLメールでも、テキストメールでも送付が可能だ。HTMLメールの場合は、メールをWEBページのようにデザインされたコンテンツで送付することができ、クリック率の向上や最後まで読んでくれる割合の向上に貢献する可能性が高い。

そのため、弊社は、余力があるならHTMLメールの方が良いと考えている。しかし、事業や製品が複数ある場合、メールライティングに使える時間が少なくなることが多い(リソースの問題)。そのため、余力がない場合は、HTMLにこだわらずとも、テキストメールで送付するのも1つの方法だと考えている。

BtoBメルマガによるリードナーチャリング

最後にBtoBメルマガによるリードナーチャリング(リード育成)の計画の立て方について、動画を作成しているので、こちらも参考にしていただけたらと思う。リードを育成するための5つの施策について解説しているので、メルマガ計画立案に役立ててほしい。

BtoBリードナーチャリングの基礎コラム


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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ALUHA代表取締役。1979年兵庫生まれのBtoBマーケティングコンサルタント。金沢工業大学大学院にて情報工学を専攻し2003年4月にALUHAを創業。2008年からBtoBに特化したマーケティング支援、営業戦略支援を開始。BtoBマーケティングや営業戦略の戦略立案から、計画実行とPDCA、そして人材育成を伴走型で支援。デジタルとリアルを融合させた戦略設計が得意。毎月全国各地の様々な企業でBtoBマーケティングセミナーを実施中。100社以上でのセミナー講演実績を持つ。大手IT企業、製造業(日立Gr、富士フイルムGr、キヤノンGr、積水Grなど)を顧客に持つコンサルタント。→セミナー講演実績→コンサル実績