BtoBマーケティングのデジタル活用には、デジタルマーケティングを進めるためのプロセスや進め方のコツがある。当然、デジタルマーケティングである以上、WEBコンテンツやメルマガコンテンツを作成し、リードに対してコンテンツ配信を強化していくことになるが、ただWEBやメルマガをやればいいというわけではない。リードを獲得できるコンテンツやリードを育成できるコンテンツを設計し制作しなければならない。
そこで、今回のコラムでは、デジタルマーケティングのプロセス・進め方についてご紹介する。まずは何から始めるべきか、そして進めるにあたりどういった点に注意すべきかをご紹介する。
BtoBのデジタルマーケティングとは?
デジタルマーケティングとは、WEBサイト、メール、ソーシャルメディア、動画、スマホ、アプリなど、様々なデジタルコンテンツやデジタルメディアを活用したマーケティング活動のことである。当然、メリット・デメリットや営業戦略や営業部門に与える影響も多くある。詳細については、下記のコラムにて詳しくご紹介しているので、まずは一度ご確認いただければと思う。
デジタルマーケティングが「営業部の営業戦略」と「営業効率」に与える影響
最初にやるべきことはデジタルマーケティングの課題整理
それでは、デジタルマーケティングの進め方についてご紹介しよう。まず、最初にやるべきことは、「課題整理」である。
「課題整理」というのは、御社のデジタルマーケティングの今の状況を客観的に分析し、どこが悪いのか?を数値で把握することをいう。
例えば体感的に、コンバージョン率が悪いや、リードナーチャリング(見込み客の育成)ができていないというような課題感があると思うが、数値化されていないのであれば、客観性がない。客観性がないと、本当に改善・強化すべきことが明確にならず、無駄な工数をかけることになりかねない。
だからこそ、ここが悪いという具体的かつ客観的な課題を明確にしなければならない。これが最初のプロセスになる。では具体的にどのように課題整理すべきかをご紹介しよう。
デジタルマーケティングの課題整理
デジタルマーケティングにおける課題は、大きく2つに区分できる。1つ目が「リードジェネレーション(新規見込み獲得)」の課題、2つ目が「リードナーチャリング(見込み客の育成)」の課題である。
このため、まずは「リードジェネレーション(新規見込み獲得)」と「リードナーチャリング(見込み客の育成)」のどちらが悪いのかを判断しよう。
リードジェネレーション(新規見込み獲得)の判断
デジタルマーケティングの「リードジェネレーション(新規見込み獲得)」では、主に自社のWEBサイトを活用して新規見込み客を獲得する。そのため、WEBサイトの効果を分析することになる。分析する指標は「コンバージョン件数の目標達成率」である。
目標達成率が100%を超えている場合は、リードジェネレーションに問題はない(ただしちゃんと狙っているターゲットからのコンバージョンであることが条件)。100%以下である場合は、改善しなければならない。
リードナーチャリング(見込み客の育成)の判断
デジタルマーケティングにおけるリードナーチャリングでは、主にメルマガを活用して見込み客の育成を行う。そのため、メルマガの効果を分析することになる。
しかし、メルマガをそもそもやっていないという企業もあるだろう。その場合はメルマガの効果を判断材料にすることができない。そのため、メルマガを行なっているかいないかで判断材料を変えざるを得ない。
メルマガを実施していない場合
メルマガを実施していない場合は、メルマガの効果分析ができない。そのため、判断材料は、今保有しているリードの数とそのフォロー率、もしくは放置率になる。多少、荒い計算になるが下記のように算出してみよう。
まず、保有しているリードの数を算出しよう。リード数の総数は、営業が持っている過去の名刺、毎月のWEBの問い合わせ件数などの合計になる。仮に、現時点で合計2500件のリードが存在しているとしよう(この2500件は、既存客や業者を除外し、すべて自社製品・サービスを買う可能性のあるリードであることが条件)。
次に、過去2ヶ月間で営業担当者やインサイドセールスなどがフォローしているリードの数を算出してみよう。仮に2ヶ月で300社に対してフォローができたとした場合、残り2200社は2ヶ月間、何もしていないということになる(この「2ヶ月間」については「3ヶ月間」でもよく、期間は自由に決めると良い。しかし、期間が空きすぎると、結果、放置と変わらないため、慎重に決めよう)。
つまり、この場合、放置見込み客は2200社、放置率は88%にも上る。この放置状態の見込み客数が多い場合は「リードナーチャリング(見込み客の育成)」に問題があると判断できる。要するにフォローしきれておらず、知らない間に新規顧客や新規案件を逃していることになる。
本来は、あなたに見積もり依頼がくるはずだった「新規顧客の案件」を競合他社に取られている可能性があるのだ。
メルマガを実施している場合
メルマガを実施している場合、見込み客には何かしらのアプローチが実施できていることになる。しかし、問題はメルマガの開封率・クリック率・解約率で、これが悪い場合は、「リードナーチャリング(見込み客の育成)」に問題があると判断できる。
BtoBのメルマガの一般的な開封率は20%前後、クリック率は3%前後、解約率は0.6%前後と言われている(下記サイトより参照)。
【総集編】メルマガ開封率の平均とメルマガ開封率を最短で改善する方法
https://blog.kairosmarketing.net/mail-marketing/how-to-improve-your-email-open-rate-in-essense/
上記データは実際の弊社のお客様のデータと見比べても多少の上下はあるものの納得できる数値である。よって、開封率20%前後、クリック率3%前後、解約率0.6%前後より悪い場合は「リードナーチャリング(見込み客の育成)」に問題があると判断できる。
デジタルマーケティングの課題の明確化
以上の判断から、御社のデジタルマーケティングにおいてどこが悪いかを判断してみよう。ざっくりの計算でもよいので、リードジェネレーション(新規見込み獲得)」と「リードナーチャリング(見込み客の育成)」のどちらが悪いのかが判断できるはずだ。
あきらかに「コンバージョン件数の目標達成率」が悪い場合はリードジェネーションから、あきらかに「フォロー率、開封率、クリック率、解約率」が悪い場合はリードナーチャリングから改善・強化していこう。
ちなみに両方悪いというケースもあるが、その場合は、王道としては、「リードナーチャリング(見込み客の育成)」からデジタルマーケティングを進めていくのがよい。なぜなら、売上(成約)に最も近いプロセスだからだ。ただし、保有しているリード数が多い場合のみである。保有リード数が少ない場合は、リードナーチャリング自体ができないため、リードジェネレーションから改善してくとよい。
では、次にリードジェネレーションとリードナーチャリングの改善プロセスについてご紹介する。
リードジェネレーションの改善プロセス
まずは、リードジェネレーションを改善・強化するプロセスからご紹介しよう。
リードジェネレーションを改善・強化するには、コンバージョン件数を短時間で効率よく高めていかなければならないため、WEBサイトで何をすべきか?を明確にする必要がある。逆を言えば、WEBサイトで何をすれば最短で「コンバージョン件数」が増えるのか?ということだ。
WEBサイトでのリードジェネレーションの効果を高めるには、「アクセス数の増加」と「コンバージョン率(CVR)の改善」の2つをやらなければならない。逆を言えば、この2つさえ実行できれば、コンバージョン件数は増加する。そう考えると、「アクセス数の増加」と「コンバージョン率(CVR)の改善」のどちらからやるべきか?を明確にすれば良い。
その判断基準は、BtoBの一般的なコンバージョン率(CVR)と言われている「1%」を基準にすればよい。コンバージョン率(CVR)が1%以下の場合はコンバージョン率(CVR)の改善から、そうでない場合は、アクセス数の増加から実行すると良いだろう。
コンバージョン率(CVR)が改善さたら、アクセス数を増やし、アクセス数を増やすとコンバージョン率(CVR)は低下するので、また改善する・・これを繰り返すことで、時間とともにコンバージョン件数は必然的に増加する。その結果、コンバージョン件数の目標達成率が向上するのである。
なお、アクセス数を増加するための具体的なコンテンツ設計やコンテンツ制作のノウハウについては、下記のコラムを参照していただきたい。アクセス数の改善を実現する1つの方法論として参考になるだろう。
ロングテールSEO対策の方法とは?効果的な対策を実現する計画の立て方
またコンバージョン率(CVR)を改善する方法については、BtoBならではの「コツ」が存在するが、具体策は商材やキーワードによって異なるため、下記のセミナーにて成功事例をご紹介しながらご説明している。事例では、製造業やIT関連企業を例にCVRが3倍から4倍になった弊社の成功事例をご紹介する。
「無料」BtoBのリードジェネレーションセミナー
https://btobmarketing.aluha.net/contact/seminar/lead-generation/
(同業他社、個人からのお申し込みは無視させていただく)
以上、BtoBのリードジェネレーションをまとめると、アクセス数の増加とコンバージョン率(CVR)の改善を相互に高めていくことがポイントとなる。そして、WEBからのコンバージョン件数が目標件数に達した場合は、改善にかかる工数を最小限にし、リードナーチャリングに力を入れるとよいだろう。
リードナーチャリングの改善プロセス
次にリードナーチャリングの改善プロセスについてご紹介する。リードナーチャリングでは、リードの育成が重要であるため、もっとも改善しなければならないのは、「リードからの案件創出率」である。
「リードからの案件」というと、「何をもって案件とするのか?」という定義が必要になるが、これについては各社それぞれ異なるため、ここではご紹介できないが、イメージとしては、「製品・サービスの購入相談」などが案件と定義できるだろう。
この「案件」を生み出すためには、(1)メルマガの解約率を下げる(開封率やクリック率を上げる)ことと、(2)リードからの相談(アクション・レスポンス)を増やすことの2つが重要だ。なぜなら、解約率を下げることで多くのリードに対して継続的な接点が作り出せるし、相談を増やすことで、案件数を増やすことができるからだ。
「メルマガの解約率を下げる」には、メルマガのコンテンツが重要になる。コンテンツを改善し、リードにとって有益で興味深いコンテンツを配信し、開封率、クリック率を高めていく。そのためには、リードが今、メルマガでどのようなコンテンツを欲しがっているのか?を定性的・定量的に蓄積し、コンテンツを改善するプロセスが重要になる。
「リードにとって有益で興味深いコンテンツ」を設計し配信するには、リード1人1人にアンケートなどを活用して聞いていくしか方法がない。仮説として立案することも可能であるが、より確度を高めるのであれば、リードへのアンケート調査が確実である。
もしあなたが1年前、2年前から、リードへのアンケート調査が実施できていれば、現段階でニーズが蓄積できているため、「リードにとって有益で興味深いコンテンツ」を現段階で設計できていたかもしれない。そう考えると、こういった施策は早い方が良いのである。
次に「リードからの相談を増やす」については、「リードの抱えている課題を解決する方法」をメールやWEBコンテンツで提案していく必要がある。当然、解決だけでなく、解決によって得られるメリット(顧客価値)なども訴求する必要がある。
BtoBである以上、リードは常に何かしらの課題を抱えている。それを把握し、自社製品やサービスでどう解決できるのか?を提案しつづけることで、リードからの関心・興味を獲得し相談へとつなげていくことが可能となる。
これを実現するためには、リードの「課題」を把握する仕掛けをリードナーチャリングに組み込まなければならない。いくつかの方法があるが、こちらもアンケートなどを活用することで実現可能だ。
以上をまとめると、リードナーチャリングを改善するプロセスで重要なのは、いかに「リードのニーズをつかめる仕組みを作っていくか?」が重要と言える。これにいち早く取り組み、リードナーチャリングのためのコンテンツ改善を実現した企業こそが、成功をつかむことができるだろう。
なお、メルマガを活用したリードナーチャリングについては、弊社のお客様の成功事例があるので、下記のPDF資料(無料)を参考にしていただくとより具体的な内容が理解できる。下記はとある製造業がどんなメルマガコンテンツでどのようにリードナーチャリングしているのかを具体的にまとめた資料だ。成果も記載しているので参考になるだろう。
タイトル
BtoBリードナーチャリング3つの成功事例
獲得した名刺からメルマガで商談を作るためのヒント
「メルマガの企画検討フォーマット付き」
- (製造業)休眠リード(過去に名刺交換したリード)からの案件再創出の事例
- (IT企業)無料ユーザーへの有料製品提案と休眠リードの掘り起こしを狙ったアンケートメルマガの事例
- (製造業)リードに刺さるオンラインセミナーを起点にホワイトスペース開拓した事例
どんな企業が、誰に、どんな内容のメールを、どんな目的で、どういうタイミングでメールを送信し、どんな成果が得られているのか?を簡潔にまとめてご紹介していますので、御社のメルマガ活用の検討や見直しにご参照ください。
デジタルマーケティングの進め方まとめ
以上の内容をまとめると下記のようになる。
(1)デジタルマーケティングの課題を明確化
(2)リードジェネレーションの改善からやるかリードナーチャリングの改善からやるかを決断
(3)リードジェネレーションはアクセス数の増加とコンバージョン率(CVR)の改善を交互に進める。アクセス数・コンバージョン率(CVR)の悪い方から改善する
(4)リードナーチャリングはメルマガの解約率の低下と「相談」獲得を実施。そのためにリードのニーズを把握する仕掛けを随時仕込み、ニーズを蓄積する。
ざっくりとした内容ではあるが、このように進めることで、最も悪い部分から効率的にデジタルマーケティングを改善し強化していくことができる。限られたリソースをうまく活用するためにも、一度このプロセスに従ってデジタルマーケティングを進めてみてはいかがだろうか?