デジタルマーケティングのコンテンツの作り方「WEBとMA活用に必要な5つのコンテンツ」

集客強化から案件創出までを実現する5つのデジタルマーケティングのコンテンツとは?
Last Updated on 2024年9月30日 by 荻野永策

BtoBマーケティングにおけるデジタルマーケティングでは、デジタルコンテンツの設計と制作が、デジタルマーケティングの成功を左右する大きな要因の1つとなる。このため、デジタルコンテンツの設計と制作はデジタルマーケティングに力を入れる企業の共通の悩みといってもよい。実際に弊社の顧客からも、下記ようなご相談をいただくことが多い。

  • WEBがカタログサイトのようになっていてどのようなコンテンツを掲載すれば良いかわからない
  • WEBにたくさんのコンテンツを掲載しているが整理されておらず迷子になる
  • MAでメール配信しているが開封率・クリック率が悪い。どんなメールが良いかわからない
  • 技術部門から出てくるコンテンツをそのまま掲載しているがこれでいいのかと思っている

そこで今回のコラムでは、WEBやMA活用を加速するために、デジタルマーケティングで必要な下記の5つのコンテンツについてご紹介する。

デジタルマーケティングに必要な5つのコンテンツ
  • 集客強化コンテンツ
  • 課題解決コンテンツ
  • 理解促進コンテンツ
  • 確信コンテンツ
  • 案件創出コンテンツ

各コンテンツの概要やコンテンツの例、KPIの例、主な作り方などをご紹介するので、ぜひヒントにしていただければ幸いである。また、WEBコンテンツが多くなりすぎて、WEBサイトがグチャっとしてしまったという場合は、上記5つをベースに、WEBを整理整頓するとわかりやすくなるだろう。

この記事の目次

デジタルマーケティングに必要な5つのコンテンツ

それでは、早速、デジタルマーケティングに必要は5つのコンテンツについてご紹介しよう。

5つのコンテンツの説明をわかりやすくするために、例として取り上げるコンテンツのテーマを決めたいと思う。その方が5つのコンテンツの概要を理解しやすくなるだろう。

テーマについては、今、IT業界で話題のRPAをテーマとする。RPA(Robotic Process Automation)とは、ホワイトカラーの業務をコンピューターが代行するツールのことである。わかりやすく言えば、人間によるエクセルへの入力業務を代行するコンピューターソフトというイメージだ。これにより、様々な業務が自動化でき業務効率化、人手不足の解消といった課題が解決できると言われている。詳細は「RPA」で検索していただくとよい。

それでは、このRPAをテーマに、RPAを営業するためのデジタルマーケティングに必要な5つのコンテンツについてご紹介しよう。

デジタルマーケティングのコンテンツ「集客強化コンテンツ」

「集客強化コンテンツ」の概要

集客強化コンテンツとは、自社サイトへの集客を強化するために必要となるコンテンツのことである。ブランド名が通っている場合は不要であることも多いが、そうでない場合は、ブランド名で検索されることがないため、集客強化対策として必要となる。

RPAの場合、WinActorというツールが2018年5月現在、シェアNo1のようである(WinActorの製品サイトより確認)。こういった場合は製品名で検索されることが多くなるが、そうでない場合は、製品名での検索がなくなるため、集客強化コンテンツが必要になる。

「集客強化コンテンツ」の役割

その名の通り、WEBサイトの集客力を強化し、ブランド認知を高めることである。このため、最初はコンテンツの質よりも量が重要視されることが多く、その後、集客が安定してきたら質を狙うという方法をとることが多い。また、場合によっては集客コンテンツだけのサイトを作り、コンテンツマーケティングやオウンドメディア構築に発展させていくこともある。

「集客強化コンテンツ」のコンテンツ例

コンテンツ例としては、RPAの概要やノウハウコンテンツが中心となる。例えば、「RPAで業務を効率化できるホワイトカラー業務の一覧コンテンツ」といった具合だ。また、「製造業の業務効率を高めるRPA活用術と活用アイディア例」という具合に、業種で絞り込みするコンテンツでもOKだ。

「集客強化コンテンツ」のKPI例

役割が集客強化であるため、KPIはアクセス数とするとよい。そのほか、キーワード別の検索順位や製品名での集客回数の上昇率などもKPIになるだろう。

「集客強化コンテンツ」の設計の仕方・作り方

集客強化が役割であるため、製品名での検索が少ない場合は、違うキーワードを選定し、そのキーワードの検索回数を調査したのち、コンテンツをキーワードから設計すると効果的である。

RPAであれば、RPA以外には「業務効率」や「生産性向上」というような検索があるため、上述したような「製造業の業務効率を高めるRPA活用術と活用アイディア例」というようなコンテンツを設計し制作すると良い。

つまり、検索キーワードを意識したコンテンツ設計と制作が非常に重要になる。

デジタルマーケティングのコンテンツ「課題解決コンテンツ」

「課題解決コンテンツ」の概要

課題解決コンテンツとは、自社製品で解決できる課題を提案するコンテンツのことである。課題を解決するための手段として、自社製品を位置付けるコンテンツとなる。「ソリューション提案」という言葉があるが、デジタルコンテンツ上でソリューション提案をするのが、課題解決コンテンツと言える。

「課題解決コンテンツ」の役割

課題解決コンテンツの役割は、「自社製品を知らないリード」に対して、製品に対する興味づけや認知を深めていくことである。「ウチの会社のこの課題、この製品を使えばこういう風に解決できるんだ」と興味を持ってもらえれば、このコンテンツは大成功である。

「課題解決コンテンツ」のコンテンツ例

課題解決型のコンテンツであるため、どんな課題をどのように解決するか?をコンテンツ化しなければならない。そのため、RPAなら、例えば、「経理部門の残業増加の課題を解決する具体策」というようなコンテンツになる。そして、下記のようなコンテンツでRPAを提案するのである。

(1)課題定義:経理部門では、こういう理由で残業が増え課題になっている
(2)解決方法:この課題をRPAという仕組みを使えばこういう風に解決できる
(3)価値:その結果、御社にとってこういう価値が生まれる

あくまで例の1つにすぎないが、課題と解決方法、そして解決による価値をしっかり明記することで、製品に対する興味を深めることが重要である。

事実、RPAを販売するIT企業では、今話題の働き方改革と絡めて、課題解決コンテンツを提案しているIT企業もいくつか見受けられる。

「課題解決コンテンツ」のKPI例

課題解決コンテンツは、製品への興味を深めるコンテンツであるため、「製品サイトへの誘導率」をKPIとするとよい。それだけ興味を持ってくれたリードがいると判断できるからだ。

「課題解決コンテンツ」の設計の仕方・作り方

課題解決コンテンツで重要なのは、リードの抱えている課題をどこまで具体的かつ正確に把握できているか?である。これが間違っていると解決方法が正しくてもだれも興味を示さないことになる。上記、コンテンツ例で記載した「経理部門の残業増加の課題を解決する具体策」という課題解決コンテンツであるが、「経理部門の残業増加」が本当にリードの課題なのかどうか?ということである。

このため、「リードの課題をどう把握するか?」はコンテンツ設計の段階では非常に重要になる。

では、BtoBにおいてリードの課題をどう把握するか?ということになるが、アプローチ方法として手っ取り早いのは、「営業部門に確認する」ことだ。営業部門は実際に顧客への導入に深く関わっているため、顧客が今どのようにRPAを活用していて、どんな課題を解決しているのか?を把握している可能性が高い。それを確認し、課題把握の根拠とするのである。

デジタルマーケティングのコンテンツ「理解促進コンテンツ」

「理解促進コンテンツ」の概要

理解促進コンテンツとは、製品に興味を持ったリードに対して、製品の理解を深めていくコンテンツのことである。BtoBであるため、製品だけでなく会社に対する理解促進も重要で、会社の理念や社風、強みなどといったコンテンツも重要となる。

「理解促進コンテンツ」の役割

理解促進コンテンツは製品や会社に対して、理解と興味を深め、安心感や親近感を持っていただくことが役割となる。

「理解促進コンテンツ」のコンテンツ例

理解促進コンテンツは主に製品理解と会社理解の2つに分類される。そのため、製品理解では、RPA製品の概要(製品概要、機能一覧、解決できる課題一覧、料金・ライセンス、メンテナンス、動作環境など)を、会社理解では、会社概要(会社概要、企業理念、沿革、代表挨拶、会社としての強みなど)をコンテンツ化することになる。

「理解促進コンテンツ」のKPI例

理解促進コンテンツのKPIとしては、各コンテンツの平均PVや滞在時間をKPIにするとよいだろう。それだけ理解をしようと考えているということが定量的に判断できるからだ。またMAで行動分析が可能な場合は、理解促進コンテンツについては高スコアを加点するように設計し、スコアをKPIにするのもよいだろう。

「理解促進コンテンツ」の設計の仕方・作り方

理解促進コンテンツは、ほかの4つに比べて最も作りやすいコンテンツである。カタログの情報も理解促進のコンテンツになるため使い回しも可能だ。そのため、まずは製品の詳しい情報、会社の詳しい情報を包み隠さず公開することが重要である。

デジタルマーケティングのコンテンツ「確信コンテンツ」

「確信コンテンツ」の概要・役割

確信コンテンツとは、製品や企業に対して、「この製品で決めよう」と判断を決定づけるようなコンテンツのことだ。言い方を変えれば、差別化のコンテンツとも言える。BtoBの場合、競合製品との比較検討は確実に発生するため、差別化の強化が確信コンテンツの大きな役割となる。

「確信コンテンツ」のコンテンツ例

事例、強み、お客様の声・インタビューなどが確信コンテンツの例となる。RPAであれば、強みコンテンツの例として「製造業の特殊なこういう部門のこういう業務に特化したRPA」のような専門性を高めるといった具合だ。導入件数を強みにするならば、「経理部門への導入件数No1」といった具合でもOKだ。

当然、「低価格RPA」や「明日から使えるRPA」、「機能を自由に選べるRPA」というような強みでもよい。

つまり、導入利便性(値段や納期)、専門性(業種・業務特化)、拡張性(カスタマイズが自由)というような差別化の方向性を決め、そこから差別化のコンテンツを明確にし、確信コンテンツとするとよい。

さらに、ここではターゲティングというのも重要になる。例えば、「経理部門への導入件数No1」という確信コンテンツを公開した場合、経理部門にしか売れなくなるといった反論が社内から出てくることもあるだろう。そうなると、確信コンテンツの議論ではなく、「誰に売るか?」という議論になり、ターゲティングの話になる。

このため、ターゲティングを先に決めておかなければ、確信コンテンツを明確にしていくことは非常に難しくなる。

「確信コンテンツ」のKPI例

こちらも、理解促進コンテンツと同様、滞在時間やPVがよいだろう。MAが導入されている場合は、リードごとに確信コンテンツへのアクセス履歴を確認し、滞在時間・PVを計測することでホットリードかどうかなどの判断もできる。当然、スコアリングとの連動も考えると良い。

「確信コンテンツ」の設計の仕方・作り方

ポイントは、上述した通り、導入利便性(値段や納期)、専門性(業種・業務特化)、拡張性(カスタマイズが自由)というような差別化の方向性を決めることだ。

その上で、強みや魅力となるコンテンツをどう見つけるか?となる。例えば、RPAのシェアNo1とは言えない場合でも、「経理部門への導入100件以上」というような見せ方もあるだろう。部門が難しいなら、「製造業への導入**件以上」「エクセル活用業務への導入**件以上」「社員の残業削減**時間以上達成」といったイメージだ。

つまり、見せ方の切り口を上手く見つけていくことで、確信コンテンツは設計できる。

デジタルマーケティングのコンテンツ「案件創出コンテンツ」

「案件創出コンテンツ」の概要

案件創出コンテンツとは、実際に商談を生み出すためのコンテンツのことである。集客強化、課題解決、理解促進、確信コンテンツだけでは商談発生を誘発できないため、案件創出のコンテンツが必要となる。

「案件創出コンテンツ」の役割

デジタルマーケティング上で案件創出のきっかけを作り出し、ホットリードかどうかを判断後、営業部門やインサイドセールスへとつなげていくことがこのコンテンツの大きな役目である。BtoBのデジタルマーケティングで最も重要で効果(売上)に直結するコンテンツと言える。

「案件創出コンテンツ」のコンテンツ例

商談発生につなげていくことが重要であるため、導入相談、セミナーといった商談につながるコンテンツが重要になる。RPAであれば、「RPAの導入時に気をつけるべき10の失敗事例セミナー」や、「RPA導入企業に聞く!RPA活用術セミナー」のようなイメージだ。こう言ったセミナーに申し込みをしてもらうことで商談発生につなげていくことになる。

言い方を変えれば、相談したくなる・RPAを検討したくなるようなきっかけコンテンツが、案件創出コンテンツと言える。

「案件創出コンテンツ」のKPI例

これはいうまでもなく、CVRがKPIとなる。

「案件創出コンテンツ」の設計の仕方・作り方

案件創出コンテンツはその名の通り、案件へとつなげる「きっかけ」をつくるコンテンツになる。例えば、 RPAの場合、案件へとつなげる「きっかけ」の例として、「セミナー」や「導入相談」「トライアル」が考えられる。

しかし、このような「きっかけ」の場合、「デジタルだけで完結しない」ため、営業や技術部門との調整が重要になる。

この他部門との調整が案件創出コンテンツを設計・制作するときの大きな壁となり、なかなか手が打てないことが多い。デジタルマーケターの大きな悩みといってもよいだろう。

そのため、ここではいかに工夫できるか?視野の広いアイディアが出せるか?が大きなポイントになる。RPAのトライアルが難しいのであれば、RPAを実際に体験できるセミナーを企画するなど、少し違った方法論を検討するということが重要になる。マーケターとして視野の広いコンテンツアイディアが出せるかどうか、その力量が問われる設計になるだろう。

デジタルマーケティングの5つのコンテンツ まとめ

デジタルマーケティングに必要な5つのコンテンツについて概要をご紹介した。

デジタルマーケティングに必要な5つのコンテンツ
  • 集客強化コンテンツ
  • 課題解決コンテンツ
  • 理解促進コンテンツ
  • 確信コンテンツ
  • 案件創出コンテンツ

これらをWEBやMAなどで配信し、リードジェネレーションリードナーチャリングを効率よく実現してほしい。また、あなたのWEBサイトがごちゃごちゃしているなら、この5つにコンテンツをカテゴライズし、リンク構造やサイトの設計などを見直すと整理しやすいだろう。

BtoBのWEBサイトに必要な4つのコンテンツ

なお、本ページに関連して、下記の無料資料がダウンロードできるので是非お申込みいただければと思う。

下記の資料は、WEBでの見込み獲得を実現するコンテンツを別な視点で4つに分解し、その概要と作り方を紹介している。本ページの内容とはまた違った切り口でコンテンツ設計・制作をご紹介しているので、気になる方はぜひお申込みいただければと思う。

見込み客を振り向かせるための4つのコンテンツとその作り方
https://btobmarketing.aluha.net/contact/white-paper/#r15


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ABOUTこの記事をかいた人

株式会社ALUHA代表取締役。1979年兵庫生まれのBtoBマーケティングコンサルタント。金沢工業大学大学院にて情報工学を専攻し2003年4月にALUHAを創業。2008年からBtoBに特化したマーケティング支援、営業戦略支援を開始。BtoBマーケティングや営業戦略の戦略立案から、計画実行とPDCA、そして人材育成を伴走型で支援。デジタルとリアルを融合させた戦略設計が得意。毎月全国各地の様々な企業でBtoBマーケティングセミナーを実施中。100社以上でのセミナー講演実績を持つ。大手IT企業、製造業(日立Gr、富士フイルムGr、キヤノンGr、積水Grなど)を顧客に持つコンサルタント。→セミナー講演実績→コンサル実績