BtoB製造業のデジタルマーケティング成功事例「ニッチな製品でもWEB活用はできるのか?」

WEB活用が難しいBtoB製造業の成功事例「小さな成功が大きな一歩」
Last Updated on 2024年4月24日 by 荻野永策

BtoBの製造業では、BtoBマーケティングのデジタル化(デジタルマーケティング)に悩んでいる企業が多い。特に、WEB活用・WEB運用だ。WEBを活用して、新規リード獲得を実現したいと考え、様々な取り組みを行うも、うまくいかないケースがある。

うまくいかない理由は、大きく2つあると考えている。

1つ目の理由は、集客の難しさである。BtoBの製造業の場合、製造している製品がニッチであるため、検索が発生しにくい。これは、製品がニッチであればあるほど、その傾向が強くなる。検索が発生しないと新規リード獲得が非常に困難になる。

2つ目の理由は、社内理解である。1つ目の理由や過去のWEB活用・運用の失敗など、様々な理由から、社内理解が低いケースが多い。

こういった理由から、WEB活用の取り組みが後手後手にまわり、なかなか進まず、うまくいかないといった状況になる。当然、リソースも少なくなるので、できる範囲も限られてしまう。

そこで、今回のコラムでは、こういった課題を抱えながらも、WEB活用を徐々に進め、小さな成果が大きな一歩となったBtoBの製造業のデジタルマーケティング成功事例(弊社のクライアント事例)をご紹介しよう。

デジタルマーケティングの社内啓蒙の進め方
BtoBデジタルマーケティングの「社内啓蒙の成功事例」をご紹介しているPDF資料がダウンロードできます。効果を数字で実証し他部門や社内の意識を変えた製造業の事例です。後から読み返したり、社内共有などに活用ください。

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デジタルマーケティング成功事例「A社のご紹介」

ご紹介する企業は、売上は約250億、従業員数は約200名(記事執筆時点でA社のWEBサイトにて確認)のA社だ。A社の役員、Bさんから、弊社にご相談をいただいたのが弊社との出会いのきっかけである。

A社の製品は、非常にニッチで、工場や病院、建設現場などで使われる機械などの部品や消耗品である。WEBサイトは当然もっているが、会社として活用しようというような方針はなく、会社概要のサイト(カタログサイトのようなイメージ)という形で公開されている。

デジタルマーケティングの取り組みを阻む2つの壁

Bさんからは、最初、今後のデジタルマーケティングの可能性を判断したいので、社内セミナーをしてほしいと依頼があった。弊社は様々なテーマでデジタルマーケティングに関連する社内セミナーを実施しているため、Bさんと内容を調整の上、15名の部下も交えて、デジタルマーケティングについてセミナーをさせていただいた。

セミナー終了後、ディスカッションしながら、A社のデジタルマーケティングの取り組みについて意見交換した。様々な議論を行なったが、最終的には、A社のデジタルマーケティングの取り組みを阻む壁が2つあることが確認できた。

デジタルマーケティングの取り組みを阻む壁「検索回数の少なさ」

取り組みを阻む1つ目の壁は、「検索回数」である。セミナーの際にも、皆さんがおっしゃっていたのは、「弊社の製品はニッチでWEBで検索されることがない」である。

そのため、その場でA社が想定している様々なキーワードで調査を行なったが、どれもこれも、検索回数が少なすぎて、本当に効果が出るのか?という判断が難しい状況だった。

デジタルマーケティングの取り組みを阻む壁「社内理解と現状のWEB運用体制」

A社はマーケティング部門がなく、WEBサイトの管理は総務部が兼務で行なっている。そのため、WEBにかけられるリソースも少ない。その結果、CV件数も年間で数件という形で、成果も低い状況だった。社内のWEBに対する期待値は低いのである。

さらに、A社の場合、過去にWEB制作会社にサイト制作を発注し、リード獲得を試みたが失敗し、苦い経験として社内に根付いていた。そのため、社内理解も少なく、WEB運用の体制も乏しい状況であった。

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デジタルマーケティングの取り組みをどう進めるか?

セミナーとディスカッションで課題点を共有できたので、その後、Bさんとは個別に意見交換を進めた。「何かデジタルマーケティングに取り組める方法はないか」を論点に様々な方法を検討した結果、弊社から下記のプロセスをBさんにご提案した。

(1)リソース・検索回数が少ないので集客強化は一旦あきらめCVRの改善に集中
(2)本当にCVRが改善できそうか、現在のサイトの詳細な分析をする
(3)分析結果から、どう改善すべきか?の改善プランを提示し実行
(4)改善後、効果がどうなったかを数ヶ月後にレビュー

(1)リソース・検索回数が少ないので集客強化は一旦あきらめCVRの改善に集中

この判断に至った理由は、A社の場合、デジタルマーケティングの対象製品のWEBページに毎月800UUほどのアクセスがあったからだ。そのため、仮にCVRが1%でれば、年間数件だったリード獲得件数も、月数件レベルに大きく向上する可能性があった。

さらに、検索回数はどのキーワードを調べても少ないので、SEO対策やリスティング広告に予算を使うよりも、CVR改善に予算を活用した方がA社にとって大きな価値を生むと考えた。限られた予算をうまく使い、最大の効果を得たかったというのがその判断の大きな理由である。

(2)本当にCVRが改善できそうか、現在のサイトの詳細な分析をする

(1)を前提に進める場合、問題は、既存アクセスの「価値」の判断である。月間800UUほどのアクセスがあるとはいえ、訪問者の顔がみえるわけではないため、どんな訪問者なのかを正確に把握する必要があった。そこで、Googleアナリティクスを活用し、訪問者の分析を行った。

メインで行った分析は、「訪問企業分析」と「企業別閲覧ページ分析」の2つである。

「訪問企業分析」は、ある特定のページを閲覧している企業名を分析することだ。「企業別閲覧ページ分析」は、その企業がどのページを見たのか?を分析することだ。

「訪問企業分析」と「企業別閲覧ページ分析」により、「本当にA社のリードとなり得る企業がWEBに訪問しているのか?」と「訪問しているならその企業はどのページを見てどんなニーズを満たしているのか?」の2つを確認することができる。

これを判断材料にして、CVRが改善できそうかを判断した。

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(3)分析結果から、どう改善すべきか?の改善プランを提示し実行

(2)の分析結果から、「A社のリードとなり得る企業からの訪問があること」、「各リードがどのようなページを見て何を知りたがっているのか?」の2つが確認できたため、具体的なWEBページの改善策を立案した。

特に力を入れたのは、「リードが欲しがっているコンテンツの準備」である。判断材料は少なかったが、ないよりはマシであるため、営業部門にもヒヤリングをしながら、予算をうまく活用し、WEBページの一部改定を行った。予算も限られたいたため、最小限の改定というイメージである。

(4)改善後、効果がどうなったかを数ヶ月後にレビュー

WEBページの改定作業は数ページ程度であったため、制作会社にかかった費用も少なくすみ、期間も1ヶ月程度で終了した。そして、改定後、2ヶ月間、様子を見て、いよいよ効果のレビューである。

レビュー当日、Bさんにお会いすると、「予想以上に問い合わせが来ている」とおっしゃり、データを見せていただけた。すると、2ヶ月で14件程度の問い合わせがあり、すでに商談に入っているリードもいくつかあった。

年間で数件しかなかった問い合わせが、2ヶ月で14件である。しかも、商談も発生している状況だ。そのため、施策は大成功と判断いただき、小さな改善であったが、A社としては大きな第一歩を踏み出せた結果となっている。

この結果を受けて、A社では、今後どのようにWEBを活用していくかの検討が始まっている。社内のリソースの問題や他の事業部でも応用できるかなど、様々な検討がなされている。

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BtoBの製造業におけるデジタルマーケティングの取り組みを進めるポイント

以上が、A社の成功事例のご紹介である。A社が成功できたポイントは3つある。

1つ目は、「検索キーワードみつからず集客できなくても既存アクセスをうまく使う」ことだ。少なくともWEBページが存在している以上は、何かしらアクセスがある。A社の場合は展示会や営業部の提案営業など、リアルの活動があったので、その効果がWEBアクセスとして出ているのだ。

2つ目は、「既存アクセスにリードとなり得る企業の訪問があるのかを分析し、そこからニーズを掴む」ことだ。BtoBである以上、アクセスが多いからといって、全訪問者がリードとは限らない。そのため、Googleアナリティクスで分析を行い、リード獲得の可能性があるかどうかを判断しなければならない。可能性がありそうなら、どんなニーズがあるのかも分析する必要がある。A社ではこの分析で判断材料をつくることができたので、成功できたと考えられる。

3つ目は、「ニーズに合わせたコンテンツを準備してCVRを改善する」ことだ。リードの企業名別の訪問ページを分析し、どういう製品の何を見ているのか?を詳細に把握しよう。そこから、どういうコンテンツにニーズがあるのか?が読み取れるはずだ。コンテンツニーズを材料に、WEBを予算内で改定すれば、CVRを改善できる可能性が高くなる。

この3つのポイントは、1つ目の「既存アクセスをうまく使う」ができたからこそ、実現している。これはA社だけに限った話ではなく、御社でも何かしら分析ができるかもしれない。

もっと言えば、「検索キーワードが見つからない」や「社内理解がない」といった状況でも、既存のリソース(予算や人材だけでなく、既存アクセスのようなリーソス)をうまくみつけだし、活用できれば、何か進められる可能性がある。

そう、工夫すれば何かできる可能性があるのだ。A社の成功事例は、工夫の重要性に気づかせてくれる事例といえる。

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WEB戦略の立て方・デジタルマーケティングの成功事例

弊社には、A社以外にもたくさんのデジタルマーケティングの成功事例がある。その内容の一部をまとめたPDF資料があるので、ご興味ある方はぜひダウンロードしていただければと思う。

WEBを活用したリードジェネレーション6つの成功事例
〜CVRを3倍、4倍に激増させたIT関連企業と製造業のWEB改善施策〜
https://btobmarketing.aluha.net/contact/white-paper/#r01

また、弊社の成功事例を支えているWEB戦略のフレームワークについて説明しているPDF資料もある。こちらも合わせてダウンロードしていただければ、参考になると思う。CVRを改善するための「WEB戦略の立て方」を詳しくご紹介している。

BtoBのWEB戦略の立て方(WEB戦略の年間計画シートのサンプル付き)
https://btobmarketing.aluha.net/contact/white-paper/#r16

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