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BBM(Balance Based Marketing)とは?ICP率で顧客の質と量のバランスを最適化するBtoBマーケティング手法

BBM(Balance Based Marketing)とは?ICP率で顧客の質と量のバランスを最適化するBtoBマーケティング手法

BtoBマーケティングでは、「リードは増えているのに売上につながらない」「営業がリードを追わない」「MQLが機能しない」「ABMを導入したのに案件数が不足する」「商談数は増えているのに利益が増えない」といった課題が発生します。これらは別々の問題に見えますが、多くの場合は「どの顧客を優先するべきか」という共通基準が存在していないことや、顧客の質と量を適切に管理できていないことが原因になっています。

BBM(Balance Based Marketing)は、こうした課題を解決するために考案されたBtoBマーケティング手法です。営業とマーケティングが共通のICP(Ideal Customer Profile)を定義し、顧客の質を示すICP率と、リード・案件・顧客の件数を継続的に可視化することで、事業利益の最大化を目指します。

本記事では、BBMの定義、必要性、基本概念、利益最大ICP率の考え方、BBMが解決する課題、ABM・LBMとの違いまでを体系的に解説します。BBMを初めて知る方から、実際に導入を検討している方まで、BBMの全体像を理解できる内容になっています。

BBM(Balance Based Marketing)とは

BBM(Balance Based Marketing)とは、顧客やリードの質と量のバランスに焦点を当てたBtoBマーケティング手法です。ABM(Account Based Marketing)とLBM(Lead Based Marketing)の間に位置する考え方であり、両者の長所を取り入れながら、自社の利益が最大化する質と量のバランスを追求します。

BBMにおけるバランス可視化の概念図

BBMにおけるバランス可視化の概念図

BBMでは、営業とマーケティングが共通の顧客基準としてICP(Ideal Customer Profile)を定義し、リード獲得・案件獲得・顧客獲得の段階において、それぞれのICP率を管理します。さらに、リード件数、案件件数、顧客件数といった量の指標も合わせて可視化することで、顧客構成の変化や事業成果を継続的に分析します。

BtoBマーケティングでは、「できるだけ多くのリードを獲得するべきか」「理想顧客へ集中するべきか」という議論がよく行われます。しかし実際の事業では、量だけを追うべき場面もあれば、質を重視するべき場面もあります。

そこでBBMでは、質か量のどちらかを選ぶのではなく、顧客の質を示すICP率と量を示す件数を同時に管理します。そして、営業リソース、市場動向、売上目標、利益目標などを踏まえながら、自社にとって最適な顧客構成を実現し、事業利益の最大化を目指します。

BBMの基礎を学ぶために、BBMの用語集を作成しました。BBMで重要なワードの定義をまとめていますので是非ご参照ください。

なぜBBMが必要なのか

BtoBマーケティングでは、多くの企業がABMまたはLBMの考え方を取り入れています。しかし、どちらの手法にも強みがある一方で、運用次第では事業成長を妨げる課題が発生する場合があります。BBMは、こうしたABMとLBMそれぞれの課題を踏まえたうえで生まれた考え方です。顧客の質と量を可視化しながら、自社にとって最適なバランスを探ることで、継続的な事業成長と利益最大化を実現します。

LBMが抱える課題

LBM(Lead Based Marketing)は、展示会、Webサイト、SEO、広告、ウェビナーなどを活用しながら、できるだけ多くのリードを獲得する考え方です。新規顧客との接点を増やし、市場拡大や認知向上につなげやすいという大きなメリットがあります。

一方で、件数を重視しすぎると、営業価値の低いリードまで増加しやすくなります。その結果、「営業がリードを追わない 」「営業リソースが不足する」「案件化率が低下する」「リードは増えているのに売上が伸びない」といった課題が発生することがあります。また、「どのリードを優先すべきか」という判断基準が曖昧な場合、営業とマーケティングの認識がずれ、部門間の連携が難しくなるケースも少なくありません。LBMは市場との接点を増やすうえで有効な考え方ですが、件数だけでは事業成果を判断できないという課題があります。

こうしたLBMの特徴や課題、BBMとの違いについては、関連コラム「BBMとLBMの違いとは?ICP率とリード件数の考え方を比較解説」で詳しく解説しています。

ABMが抱える課題

ABM(Account Based Marketing)は、自社にとって重要な企業へ営業やマーケティングのリソースを集中し、高いLTV(顧客生涯価値)や大口案件の獲得を目指す考え方です。理想的な顧客へ重点的にアプローチできるため、受注単価の向上や長期取引につながりやすいという強みがあります。

しかし、対象企業を絞り込みすぎると、「案件数が不足する」「新規顧客開拓が進まない」「売上が一部顧客に集中する」「特定顧客への依存度が高まる」といった課題が発生する場合があります。また、理想顧客だけを追求した結果、市場との接点が減少し、将来的な顧客候補との出会いを失う可能性もあります。そのため、質を高めることが必ずしも事業利益の最大化につながるとは限りません。

ABMは非常に有効なマーケティング手法ですが、企業によっては案件数や顧客構成とのバランスを考慮する必要があります。こうしたABMの特徴や課題、BBMとの違いについては、関連コラム「BBMとABMの違いとは?ICP率と質・量のバランスで比較解説」で詳しく解説しています。

BBMという新しい考え方

LBMは量を重視する考え方です。一方、ABMは質を重視する考え方です。しかし実際のBtoBマーケティングでは、量を重視すべき場面もあれば、質を重視すべき場面もあります。市場環境、営業体制、競争状況、事業フェーズによって、最適な戦略は常に変化します。

そこで生まれたのがBBM(Balance Based Marketing)です。BBMは、ABMとLBMのどちらかを選択する考え方ではありません。ICP(Ideal Customer Profile)とICP率を活用しながら、顧客の質と量を可視化し、自社にとって最適なバランスを継続的に管理する考え方です。

重要なのは、ICP率を最大化することでも、件数を最大化することでもありません。事業利益が最大化する顧客構成を見つけることがBBMの目的です。

そのためBBMでは、リードICP率、案件ICP率、顧客ICP率といった質の指標と、リード件数、案件件数、顧客件数といった量の指標を組み合わせて管理します。営業とマーケティングが共通の基準で顧客を評価することで、部門間の認識差を減らし、より合理的な意思決定を行えるようになります。

つまりBBMは、「質か量か」を選ぶマーケティング手法ではありません。顧客の質と量を可視化しながら、自社にとって利益が最大化するバランスを追求するためのBtoBマーケティング手法です。

BBMの基本概念

BBMの目的は、顧客の質と量を継続的に可視化し、自社にとって利益が最大化するバランスを実現することです。そのためBBMでは、「どのような顧客を獲得しているのか」という質の視点と、「どれだけの顧客や案件を獲得しているのか」という量の視点を同時に管理します。さらに、営業とマーケティングが共通の顧客基準を持ち、同じ指標を見ながら意思決定を行うことを重視します。ここでは、BBMの中心となる3つの基本概念を紹介します。

顧客の質と量を両立する

BtoBマーケティングでは、顧客の質と量のどちらを重視するかが議論されることがあります。

例えば、理想的な顧客だけを狙えば、LTV(顧客生涯価値)や利益率の向上を期待できます。しかし、対象企業を絞り込みすぎると、リード数や案件数が不足し、売上機会を失う可能性があります。一方で、リード数や案件数を増やすことだけを重視すると、営業価値の低い顧客も増加しやすくなります。その結果、営業リソースが分散し、商談化率や受注率の低下につながることがあります。

BBMでは、質か量のどちらか一方を選ぶのではなく、両方を管理することが重要だと考えます。理想的な顧客の割合が増えているのか、十分な案件数を確保できているのかを継続的に確認し、自社の事業状況に合った顧客構成を維持することを目指します。つまりBBMは、「質重視」や「量重視」といった固定的な考え方ではなく、顧客の質と量を両立しながら利益の最大化を目指す考え方です。

ICPを共通基準にする

顧客の質を管理するためには、「どの顧客が理想的な顧客なのか」を定義しなければなりません。そこでBBMでは、ICP(Ideal Customer Profile)を活用します。ICPとは、自社の商品やサービスとの相性が良く、受注可能性が高く、受注後にも高いLTVが期待できる理想的な顧客像のことです。例えば、以下のような条件を整理し、自社にとって価値の高い顧客を定義します。

  • 自社が強みを発揮できる業界
  • 継続的な取引が期待できる企業規模
  • 自社が解決できる課題を抱えている企業
  • 高い利益貢献が期待できる企業

BBMにおけるICPは、単なるターゲット条件ではありません。営業部門とマーケティング部門が合意した共通基準であり、「どの顧客を優先するのか」「どの案件を営業へ引き渡すのか」「どこへ営業リソースを投入するのか」を判断する基準になります。営業とマーケティングが異なる顧客基準で活動すると、リードの評価や案件化判断にずれが生じます。BBMではICPを共通基準にすることで、両部門が同じ方向を向きながら活動できるようになります。

ICPについて詳しく知りたい方は、「ICP(Ideal Customer Profile)とICP率とは?BBM(Balance Based Marketing)の中核概念を解説」の解説ページをご覧ください。

ICP率で顧客の質を可視化する

ICPを定義しただけでは、自社が理想的な顧客をどれだけ獲得できているのかを判断できません。そこで活用するのがICP率です。ICP率とは、獲得したリード、案件、顧客のうち、どれだけがICPに該当するのかを示す指標です。例えば、100件のリードを獲得し、そのうち40件がICPに該当する場合、リードICP率は40%になります。BBMでは主に次の3つのICP率を活用します。

リードICP率 獲得したリードのうちICPに該当するリードの割合
案件ICP率 獲得した案件のうちICPに該当する案件の割合
顧客ICP率 獲得した顧客のうちICPに該当する顧客の割合
BBMのICP率(リードICP率、案件ICP率、顧客ICP率)

BBMのICP率(リードICP率、案件ICP率、顧客ICP率)

これらを継続的に測定することで、マーケティング活動から受注までの各段階において、理想顧客をどれだけ獲得できているのかを確認できます。また、ICP率は件数と組み合わせて管理することが重要です。例えば、ICP率が80%であってもリード数が10件しかなければ、十分な案件数を確保できない可能性があります。逆にリード数が大量にあってもICP率が低ければ、営業価値の低い顧客ばかりが増えている可能性があります。

そのためBBMでは、件数だけを見ることも、ICP率だけを見ることもありません。リード件数、案件件数、顧客件数と、リードICP率、案件ICP率、顧客ICP率を組み合わせながら、自社にとって利益が最大化する状態を分析します。

ICP率について詳しく知りたい方は、「ICP(Ideal Customer Profile)とICP率とは?BBM(Balance Based Marketing)の中核概念を解説」の解説ページをご覧ください。

利益最大ICP率とは

利益最大ICP率とは、ICP率と件数の組み合わせの中で、自社の利益が最大化するバランスを指すBBM(Balance Based Marketing)の重要な考え方です。BBMでは、顧客の質を示すICP率と、リード件数・案件件数・顧客件数といった量の指標を同時に管理します。しかし、目指すべきなのはICP率の最大化でも、件数の最大化でもありません。なぜなら、BtoBマーケティングの目的は顧客の質を高めることではなく、事業利益を最大化することだからです。

実際の事業では、ICP率が高くても案件数が不足すれば売上や利益は伸びません。一方で、件数が多くてもICP率が低ければ営業負荷が増加し、利益率が低下する可能性があります。そこでBBMでは、質と量の両方を継続的に分析しながら、自社にとって最も大きな利益を生み出す状態を探します。この考え方が利益最大ICP率です。

ICP率は高ければ良いわけではない

事業によって最適な顧客構成は異なります。高額商材を扱う企業と、多数の顧客を獲得することで利益を得る企業(薄利多売の企業)では、利益が最大化するICP率も異なります。そのため、すべての企業に共通する理想的なICP率は存在しません。重要なのは、ICP率そのものではなく、ICP率と件数の組み合わせが事業成果にどのような影響を与えているかを確認することです。BBMはICP率と事業成果(利益)の関連性を重視します。

利益を最大化するバランスを探す

BBMでは、ICP率と件数を継続的に可視化しながら、自社にとって最適なバランスを探します。例えば、以下のような状態を把握しながら、営業やマーケティングの施策を改善していきます。

  • リードICP率は高いが案件数が不足している
  • 案件数は多いが案件ICP率が低い
  • 顧客ICP率は高いが顧客数が少ない
  • リード件数は多いが営業が対応できていない

その際に重要になるのが、件数だけでもICP率だけでもなく、両方を合わせて評価することです。BBMでは、以下の指標を総合的に確認しながら意思決定を行います。

  • リード件数
  • 案件件数
  • 顧客件数
  • リードICP率
  • 案件ICP率
  • 顧客ICP率
  • 受注率
  • LTV(顧客生涯価値)
  • 営業リソース

つまり、BBMが目指すのは「質重視」でも「量重視」でもありません。顧客の質と量を可視化しながら、自社の市場環境や営業体制に合わせて最適な顧客構成を維持し、利益を最大化することです。利益最大ICP率とは、そのための判断基準となるBBM独自の考え方であり、ABMやLBMとの最も大きな違いの一つといえます。

BBMが解決する課題

BtoBマーケティングでは、以下のような課題が発生します。

  • ターゲット企業が曖昧
  • 営業がリードを追わない
  • MQLが機能しない
  • リードは増えているのに売上につながらない
  • ABMを導入したのに案件数が不足する

これらは別々の問題に見えますが、多くの場合は共通の原因を持っています。第一に、自社にとって理想的な顧客像であるICP(Ideal Customer Profile)が明確になっていないことです。第二に、営業とマーケティングが共通の顧客基準を持っておらず、リードや案件を異なる基準で評価していることです。第三に、リード件数や案件件数などの量だけを管理し、顧客の質を示すICP率を継続的に測定していないことです。

BBMでは、営業とマーケティングが共通のICPを定義し、リードICP率、案件ICP率、顧客ICP率を可視化します。これにより、顧客の質と量を同時に管理できるようになり、マーケティング施策や営業活動の改善につなげることができます。以下では、BBMによって改善できる代表的な課題をご紹介します。

ターゲット企業が曖昧

BtoBマーケティングでは、「製造業向け」「従業員1,000名以上」といった大まかなターゲット条件だけで顧客を定義している企業が少なくありません。しかし、ターゲット条件が曖昧な状態では、営業とマーケティングが異なる基準で顧客を評価するため、獲得するリードや案件の質にばらつきが発生します。その結果、以下のような問題につながります。

  • 営業が求める顧客とマーケティングが集客する顧客が一致しない
  • 施策ごとの成果を比較できない
  • 案件化率や受注率が安定しない

BBMではICPを定義することで、「どの顧客を優先するべきか」を明確にします。さらに、ICP率を継続的に測定することで、理想顧客を獲得できているかどうかを客観的に判断できるようになります。ターゲット企業が曖昧な場合に起こる具体的な問題については、「ターゲット企業が曖昧なBtoB企業が陥る7つの問題|顧客像を明確にする方法」で詳しく解説しています。

営業がリードを追わない

マーケティングは有望なリードを獲得したと考えているにもかかわらず、営業がフォローしないという課題は多くのBtoB企業で発生しています。この問題の背景には、営業とマーケティングで「質の高いリード」の定義が異なっているケースがあります。マーケティングはリード件数を重視し、営業は受注可能性や顧客との相性を重視するためです。

BBMでは、営業とマーケティングが共通のICPを定義し、リードICP率という共通指標を管理します。これにより、営業が本当に追うべきリードを明確にできるため、営業受理率や案件化率の改善につながります。営業がリードを追わなくなる本当の理由については、以下のコラムをご覧ください。

営業がマーケティングのリードを追わない理由|BtoBでよくある原因と改善策
営業リソースが足りなくなる本当の理由|追うべきリードを見極めていますか?

MQLが機能しない

MQL(Marketing Qualified Lead)を導入しているにもかかわらず、営業がMQLを活用せず、案件化につながらない企業も少なくありません。その理由の一つは、資料ダウンロード数やWeb閲覧数といった行動スコアだけで評価していることです。行動スコアは高くても、自社のICPに該当していなければ、高い受注可能性やLTVが期待できるとは限りません。

BBMでは、行動だけではなくICPとの適合度も合わせて評価します。その結果、営業が優先して対応すべきMQLを客観的に判断できるようになり、営業とマーケティングの認識差も減少します。MQL運用に課題を感じている場合は、「MQLが機能しない理由|営業が動かない本当の原因とは」を参考にしてください。

リードは増えるが売上につながらない

リード数は順調に増えているにもかかわらず、売上や利益が伸びないという課題もよく見られます。この状態では、量は増えていても質が伴っていない可能性があります。例えば、以下のような状況が発生しているかもしれません。

  • 営業価値の低い顧客が増えている
  • 小口の案件・商談ばかり増えている
  • 大口の案件・商談を逃している

BBMでは、リード件数だけではなくリードICP率も管理します。これにより、「どの施策が件数だけを増やしているのか」「どの施策が理想顧客を獲得できているのか」が明確になります。また、展示会や広告、Webサイトなどの施策ごとの成果を質と量の両面から評価できるようになります。リードが売上につながらない原因については、以下のコラムで詳しく解説しています。

リードは増えたのに売上が伸びない理由|量偏重のBtoBマーケティングを見直す方法
リード件数を追いすぎると失敗する理由|営業が疲弊するマーケティングの共通点
展示会リードが案件化しない理由|名刺獲得数だけを追う危険性

ABMを導入したのに案件が増えない

ABMは、理想顧客との関係構築やLTV向上に効果的なマーケティング手法です。しかし、対象企業を絞り込みすぎると、案件数そのものが不足することがあります。また、売上が一部顧客へ集中し、新規顧客開拓が進まなくなるリスクもあります。

BBMでは、ICPを重視しながらも、必要な案件数や市場との接点を維持することを重視します。そのため、「理想顧客だけを追う」のではなく、「理想顧客を増やしながら必要な案件数も確保する」という考え方を採用しています。ABMで案件不足に悩んでいる場合は、以下のコラムをご参照ください。

ABMだけでは案件数が足りない理由|質と量を両立するBBMという選択肢
商談数を増やしても受注が増えない理由|案件の質を見直す方法

BBMのデメリット・課題

BBM(Balance Based Marketing)は、顧客の質と量を可視化しながら事業利益の最大化を目指す有効なマーケティング手法です。しかし、すべての企業が導入した瞬間から成果を出せるわけではありません。BBMを正しく運用するためには、いくつかの前提条件があります。また、ABMやLBMには存在しないBBM特有の課題もあります。ここでは、BBMを導入する前に理解しておくべき代表的なデメリットや課題をご紹介します。

ICP定義が曖昧だと機能しない

BBMの出発点はICP(Ideal Customer Profile)の定義です。どのような顧客を理想顧客とするのかが明確になっていなければ、ICP率を測定することも、顧客の質を評価することもできません。部門ごとに顧客評価の基準が異なれば、営業とマーケティングの認識がずれ、共通指標としてのICPが機能しなくなります。その結果、以下のような問題が発生します。

  • 営業がリードを評価しない
  • MQLが機能しない
  • 営業受理率が低下する
  • 施策の成果を正しく評価できない

BBMは営業とマーケティングが共通の顧客基準を持つことを前提とした考え方です。そのため、ICP定義が曖昧な状態では、質と量の管理ができなくなり、BBMそのものが迷走してしまう可能性があります。

ICP率を継続的に管理する仕組みが必要

BBMでは顧客の質をICP率によって管理します。しかし、ICP率は一度計算すれば終わりという指標ではありません。リード獲得、案件獲得、顧客獲得の各段階で継続的に測定し、変化を確認する必要があります。そのためには、CRMやSFA、MAなどを活用しながら、ICP該当・非該当を管理できる状態を整える必要があります。

また、施策ごとのICP率を確認したり、営業受理率や案件化率と合わせて分析したりする体制も求められます。リード件数や案件件数だけであれば多くの企業で管理されていますが、ICP率まで継続的に管理できている企業は多くありません。そのため、BBMを導入する際には、以下のような取り組みが必要になります。

  • 継続的にICPを見直す体制を準備する
  • ICP判定ルールを整備する
  • データ入力ルールを統一する
  • 定期的に分析できる環境を整える

件数管理だけに比べると運用負荷が増えることは、BBMの課題の一つといえるでしょう。

利益最大ICP率に正解は存在しない

BBMの最大の特徴であり、最も難しいポイントが利益最大ICP率です。ABMであれば「理想顧客を増やす」、LBMであれば「リード件数を増やす」という比較的わかりやすい目標があります。しかしBBMが目指すのは、ICP率の最大化でも件数の最大化でもありません。自社にとって利益が最大化する質と量のバランスを見つけることです。

問題は、その最適なバランスが企業ごとに異なることです。例えば、以下のような企業では、適切なICP率や必要な件数が大きく変わります。

  • 高額商材を扱う企業
  • 営業人数が少ない企業
  • 市場規模が大きい企業

つまり、「ICP率は何%が正解なのか」という問いに共通の答えはありません。このように利益最大ICP率はBBMの大きな強みである一方、運用企業自身が試行錯誤を続けながら見つけなければならないという課題も持っています。

BBMとABM・LBMの違い

BtoBマーケティングでは、ABM(Account Based Marketing)やLBM(Lead Based Marketing)が広く活用されています。ABMは理想的な顧客へ集中的にアプローチする考え方であり、LBMはより多くのリード獲得を重視する考え方です。一方、BBM(Balance Based Marketing)は、顧客の質と量を継続的に可視化しながら、自社の利益が最大化するバランスを追求する考え方です。

そのため、BBMはABMやLBMと対立する概念ではありません。むしろ、それぞれの長所を活かしながら、事業全体の利益を最大化するための考え方と位置付けることができます。ここでは、BBMとABM、BBMとLBMの違いを整理しながら、それぞれの特徴を比較します。

ABMとBBMの違い

ABM(Account Based Marketing)は、自社にとって重要な企業に営業やマーケティングのリソースを集中し、高いLTV(顧客生涯価値)や大口案件の獲得を目指すマーケティング手法です。理想顧客との関係構築や高収益案件の獲得に強みがある一方で、対象企業を絞り込みすぎると案件数が不足しやすくなる場合があります。

一方、BBM(Balance Based Marketing)は、理想顧客を重視しながらも、件数や顧客構成全体を管理する考え方です。ABMが「理想顧客への集中」を重視するのに対し、BBMは「理想顧客の割合(ICP率)と件数のバランス」を重視します。そのため、BBMでは高いICP率を維持しながらも、必要な案件数や市場との接点を確保することを目指します。

ABMとBBMの違いについては、「BBMとABMの違いとは?ICP率と質・量のバランスで比較解説」で詳しく解説しています。

LBMとBBMの違い

LBM(Lead Based Marketing)は、多くのリードを獲得し、その中から案件や受注を創出する考え方です。展示会、SEO、広告、Webサイト、ウェビナーなどを活用しながら、市場との接点を増やし、案件の母数を確保することを重視します。しかし、件数だけを追う運用になると、営業価値の低いリードも増加しやすくなります。その結果、営業リソース不足や商談化率の低下、売上につながらないリードの増加といった課題が発生する場合があります。

一方、BBMではリード件数だけではなく、ICP率も管理します。どれだけリードを獲得できたかだけではなく、その中にどれだけ理想顧客が含まれているのかを可視化しながら、顧客の質と量のバランスを最適化します。つまり、LBMが量を重視する考え方であるのに対し、BBMは質と量の両方を重視する考え方です。LBMとBBMの違いについては、「BBMとLBMの違いとは?ICP率とリード件数の考え方を比較解説」で詳しく解説しています。

3つのマーケティング手法の比較

ABM、LBM、BBMは、それぞれ異なる目的を持つマーケティング手法です。ABMは顧客の質を重視し、LBMは件数を重視します。一方、BBMは質と量を同時に管理しながら、事業利益の最大化を目指します。どの考え方が優れているというわけではありません。市場規模、営業リソース、商材特性、事業戦略によって、最適な考え方は変わります。ABM、LBM、BBMの全体像や、それぞれの関係性について詳しく知りたい方は、「BtoBマーケティングの3手法(ABM・BBM・LBM)の違い|メリット・デメリットや向いている・向いていない企業」もあわせてご覧ください。

よくある質問

BBMとは何の略ですか?

BBMとは、Balance Based Marketing(バランスベースドマーケティング)の略です。BBMは、顧客やリードの質と量のバランスに焦点を当てたBtoBマーケティング手法です。営業とマーケティングが共通のICP(Ideal Customer Profile)を定義し、顧客の質を示すICP率とリード・案件・顧客件数を継続的に管理することで、事業利益の最大化を目指します。ABMのように質だけを重視するわけでもなく、LBMのように量だけを重視するわけでもありません。自社にとって最適な顧客構成を維持しながら、利益が最大化する状態を目指すことがBBMの特徴です。

BBMとABMの違いは何ですか?

ABM(Account Based Marketing)は、自社にとって重要な企業へ営業やマーケティングのリソースを集中し、高いLTVや大口案件の獲得を目指すマーケティング手法です。一方、BBM(Balance Based Marketing)は、理想顧客を重視しながらも、リード件数や案件件数といった量も同時に管理する考え方です。

ABMが「重点企業への集中」を重視するのに対し、BBMは「ICP率と件数のバランス」を重視します。そのため、理想顧客だけを追うのではなく、必要な案件数や市場との接点も含めて管理することが特徴です。詳細については「BBMとABMの違い」をご覧ください。

BBMとLBMの違いは何ですか?

LBM(Lead Based Marketing)は、多くのリードを獲得し、その中から案件や受注を創出することを重視するマーケティング手法です。一方、BBMはリード件数だけでなく、理想顧客の割合を示すICP率も合わせて管理します。

LBMでは件数の増加が重要な指標になりますが、BBMでは「どれだけリードを獲得したか」だけではなく、「どれだけ理想顧客を獲得できているか」も評価します。つまり、LBMが量を重視する考え方であるのに対し、BBMは質と量の両方を重視する考え方です。詳細については「BBMとLBMの違い」をご覧ください。

ICPとは何ですか?

ICP(Ideal Customer Profile)とは、自社の商品やサービスとの相性が良く、受注可能性が高く、受注後にも高いLTV(顧客生涯価値)が期待できる理想的な顧客像のことです。BtoBマーケティングでは、すべての顧客が同じ価値を持つわけではありません。そのため、自社にとって優先すべき顧客を明確にする必要があります。

BBMでは、営業とマーケティングが共通のICPに合意し、その基準をもとにリード獲得、案件化、営業活動を進めます。ICPについて詳しく知りたい方は、「ICP(Ideal Customer Profile)とは」の解説ページをご覧ください。

ICP率とは何ですか?

ICP率とは、獲得したリード、案件、顧客のうち、自社が定義したICPに該当する割合を示す指標です。例えば、100件のリードを獲得し、そのうち40件がICPに該当する場合、リードICP率は40%になります。

BBMでは主に、「リードICP率」「案件ICP率」「顧客ICP率」の3つを管理します。件数だけでは見えない顧客の質を可視化できるため、営業やマーケティング施策の改善に活用できます。

利益最大ICP率とは何ですか?

利益最大ICP率とは、ICP率と件数の組み合わせの中で、自社の利益が最大化するバランスを指すBBM独自の考え方です。BBMでは、ICP率を高めること自体を目的にしません。ICP率を高めすぎると案件数が不足する可能性があり、反対に件数を増やしすぎると営業負荷が高まり利益率が低下する可能性があります。そのため、BBMでは質と量を同時に管理しながら、自社にとって最適な顧客構成を探します。利益最大ICP率に共通の正解は存在せず、市場環境、営業リソース、商材、LTVなどによって最適な水準は異なります。

BBMはどのような企業に向いていますか?

BBMは、以下のような課題を抱えている大口顧客と小口顧客が混在している企業に向いています。

  • 営業とマーケティングに共通の顧客基準がない
  • リードは増えているのに売上につながらない
  • 営業がリードを追わない
  • MQLが機能しない
  • 営業リソースが不足している
  • ABMを導入したのに案件数が不足している
  • 商談数は増えているのに利益が伸びない

BBMは、顧客の質だけでも量だけでもなく、事業利益が最大化する顧客構成を実現するためのマーケティング手法です。

まとめ

BBM(Balance Based Marketing)は、顧客やリードの質と量のバランスに焦点を当てたBtoBマーケティング手法です。ABMのように質だけを重視するわけでもなく、LBMのように量だけを重視するわけでもありません。営業とマーケティングが共通のICP(Ideal Customer Profile)を定義し、ICP率と件数の両方を管理しながら、自社にとって利益が最大化する顧客構成を目指します。

近年のBtoBマーケティングでは、リード獲得数や商談数だけでは成果を正しく評価できなくなっています。また、理想顧客だけを追求しても十分な案件数を確保できないケースがあります。こうした状況の中で重要になるのが、顧客の質を示すICP率と、リード・案件・顧客件数といった量の指標を組み合わせて判断することです。BBMでは、以下のような判断を、データに基づいて行えるようになります。

  • どの顧客を優先するべきか
  • どの施策が理想顧客を獲得できているか
  • どの程度の案件数を確保するべきか
  • 営業リソースをどこへ配分するべきか

また、BBMは単なるマーケティング手法ではなく、営業とマーケティングが同じ顧客基準を共有するための考え方でもあります。共通のICPとICP率を活用することで、部門間の認識差を減らし、より効率的な営業活動やマーケティング活動を実現できます。

重要なのは、ICP率を最大化することでも、件数を最大化することでもありません。BBMが目指すのは、自社の市場環境や営業体制に合わせて、利益が最大化する質と量のバランスを見つけることです。これからBBMを実践する際は、まずICPを定義し、ICP率を継続的に測定することから始めてみてください。顧客の質と量を可視化することで、自社にとって最適な顧客構成と利益最大ICP率が見えてくるはずです。