Balance Based Marketing(BBM)

顧客やリードの質と量のバランスを重視したBtoBマーケティング

Balance Based Marketing(バランスベースドマーケティング)とは?

Balance Based Marketing※(バランスベースドマーケティング、以下、BBM)とは、株式会社ALUHAが提唱するBtoBマーケティング思想で、顧客やリードの質と量のバランスに焦点を当てたBtoBマーケティング手法です。BtoBマーケティングはさまざまなマーケティング手法がありますが、顧客やリードの質と量の軸でマーケティング手法を分類すると、質を重視するABM(Account-Based Marketing)と量を重視するLBM(Lead-Based Marketing)やデマンドジェネレーションの2つの手法に分類されます。BBMはABMとLBMの中間に位置づくマーケティング手法となります。

※Balance Based Marketingは、株式会社ALUHAの商標として出願中です。

ABMとは?

ABMとは、ターゲットとなる企業(ターゲットアカウント)に対して、よりOneToOneのマーケティング活動を展開するBtoBマーケティング手法のことです。

LBMとは?

LBMとは、さまざまなリード獲得施策を展開し、獲得したリードに対してリードナーチャリングを行い、確度の高いリードを絞り込んでいくマーケティング手法です。

BBMとは?

BBMとは、顧客やリードの質と量のバランスに焦点を当てた、BtoBマーケティング手法です。LBMにABMを合体させたマーケティング手法といえます。

項目 ABM LBM BBM
重視するポイント 顧客やリードの質重視(LTV重視) 顧客やリードの量重視
(受注件数やシェア)
顧客やリードの
質と量のバランス重視
施策の方向性 OnetoOne化 シェア拡大・認知拡大 質と量のバランスを見て、
その時々でどんな施策を打つかを決定
(量に偏っている時は質重視の施策を打つ等)
向いている商材 特定市場向け商材、
大企業向け商材が中心
不特定多数に販売可能な商材、
低価格商材
ABMとLBMの両方と相性いい商材


BBMの誕生背景

LBMでは、リードの「量」を重視するあまり、質の低いリードが多くなりがちです。その結果、営業との連携が難しくなり、商談化率や受注率の低下を招くことがあります。一方で、ABMは、ターゲットアカウントに絞って「質」を追求する手法ですが、アプローチできる件数が限られるため、スケーラビリティに課題が残ります。

このように「量」を追えば「質」が犠牲になり、「質」を追えば「量」が確保できないというジレンマが、マーケティングと営業の現場で長年の課題となっていました。

BBM(Balanced-Based Marketing)は、このジレンマを解消するために誕生しました。BBMは、LBMとABMの思想を融合し、「量」と「質」のバランスを最適化するアプローチです。具体的には、ICP率というKPIを採用し、質を重視したリードジェネレーションやリードナーチャリング施策、量を重視したリードジェネレーションやリードナーチャリング施策を展開します。そして、量と質のバランスを見ながら、BtoBマーケティングや営業の最適化を行います。

質と量のバランス

質と量のバランス

BBMにおける「質と量のバランス」を示すKPI「ICP率」

ICP(Ideal Customer Profile)の定義

ICPとは、理想的な顧客像のことです。理想的な顧客像とは、「自社事業と相性が良く、受注になれば高いLTVが期待できるリードや顧客のこと」です。このため、ICPは「理想的な顧客像の条件」を定義することになります。またICPは妄想(自社にとって都合のいい顧客像)では意味がありません。市場に実在するというエビデンスも重要です。BBMでは、ICPに該当するリードや顧客に対して、より工数をかけて受注獲得・顧客維持を狙いますので、以下2点を重要視しています。

LTVエビデンス 定義したICPが「なぜLTVが高くなる可能性があるのか?」の客観的な理由やエビデンスがあること。
相性の良さのエビデンス 定義したICPが「なぜ自社事業と相性が良いのか?」の客観的な理由やエビデンスがあること。相性の良さは、受注率や顧客維持率に大きな影響を与える。

BBMにおけるICP率とは?

BBMでは、質と量のバランスを重要視しますが、そのバランスを数値化したものがICP率です。以下にICP率の具体例を記載します。

BBMにおけるICP率

BBMにおけるICP率

ICP数とは、リードジェネレーションやリードナーチャリング施策において、ICPに該当するリードや顧客の数を示す数値です。例えば、上図の見込み客の獲得では、400件のリードを獲得していますが、そのうちICPに該当する数は150だったということになります。残りの250はICPに該当しないリードになります。ICP率は、ICPに該当したリードや顧客の割合のことで、質を数値化したKPIになります。

このようにICP率というKPIを重視するのがBBMです。質より量の場合はICP率は低くなりますし、量より質の場合はICP率は高くなります。このように、バランスを重視しながら、マーケティングや営業施策を展開するのがBBMです。

BBMにおける人とデジタル活用

人とデジタルの活用

BBMでは、ICPに該当するリードや顧客には、よりOnetoOneのマーケティングを展開します。ホワイトスペース開拓やBGM(Buying Group Marketing)を展開し、よりリードや顧客に密着したコンテンツ配信や営業を行います。そのため、インサイドセールスや営業部門との連携を重視し、人中心の戦術を展開(デジタル化できる箇所があればデジタルも活用)します。重要リード・重要顧客であり、将来の優良顧客になりえる可能性があるため、対応の重要度を高めます。

逆に、ICPに該当しないリードや顧客に対しては、人の介在を最小限にします。BtoBデジタルマーケティングやデジタルセールスを重点的に展開します。ただし、BtoBの場合は、受注獲得までデジタル化できないケースも多いため「どこまででデジタル化できるか?」も設計しなければなりません。

BBMのプロセス

BBMは、ICPの定義から始まります。これが最も重要なプロセスになります。ICPの定義においては、正確性や精度を高めるため、課題データベース(課題DB)をエビデンスとして活用します。

手順1:課題DBの構築

課題DB(図参照)とは、顧客やリードが解決したいこと、悩んでいることが蓄積された課題情報のデータベースです。弊社では課題DBをマーケティングや営業施策のエビデンスと位置付けており、BBMのプロセスにおいても課題DBの構築・準備からスタートします。

課題DBは、営業・開発・インサイドセールス・マーケなど、社内の関係者が閲覧できる環境で構築し、社内の顧客理解の定着とEBM(エビデンスベースドマーケティング)推進の基盤として活用します。

課題DBの概念図

課題DBの概念図

課題DBを構築することで、営業・マーケティングにおいて以下のような活用が期待できます。

製品開発・サービス開発 顧客の悩み課題を参照しながら、新製品・新規事業の開発のエビデンスに活用
自社との相性分析 顧客の悩み課題を参照しながら、自社の強みと顧客の相性分析に活用
セールスメッセージ明確化 顧客の悩み課題を参照しながら、営業の軸や差別化の軸になるセールスメッセージの定義に活用
ICPの定義 どんな企業にどんな悩み・課題があるのか?を分析しICP定義のエビデンスに活用
施策のエビデンス 顧客の悩み課題を参照しながら、マーケティングやセールスコンテンツ(提案書やホワイトペーパー、セミナーなど)の設計に活用し施策の精度向上を狙う

手順2:ICPの明確化

次に、LTVの高い企業像を既存顧客の分析(過去の取引や売上分析)を行うことで明確にします。すでに取引のある既存顧客の中から、LTVの高い既存顧客の情報を分析することで、「LTVの高い企業はどのような企業像か?」を明確にします。また、同時に、課題DBを参照しながら、「LTVの高い既存顧客に対してどのような課題解決を支援できたのか?」も分析します。これらの分析により、エビデンスのあるICPの明確化を進めます。

手順3:BtoBマーケティングや営業戦略の実行

ICPの明確化までできたら、BBMの実行計画を策定し、施策展開します。この時、戦略の方針として、質と量のバランスをどうするのか?の方針を決め、その方針に従い、量中心の施策と質中心の施策を展開します。量を狙ったSEOコンテンツの展開、質を狙ったホワイトペーパーの作成、量を狙ったセミナーの設計、質を狙ったセミナーの設計など、バランスの方針に従い、施策を調整します。

BBMにおける営業部門連携の方法

BBMでは、ICPに該当する顧客・リードかどうかと、受注確度が高いか低いかで営業部門との連携を調整します。連携方法に答えはありませんので、自社のリソースや営業実績、戦略方針などに合わせて調整することになります。以下表は、営業連携方法を4つに分類し、その連携方針の方向性をまとめた表になります。

受注確度高い 受注確度低い
ICP該当 すぐに営業連携しフォローを早急に行う。アカウントセールスが担当するケースもある。 リソースに余力あれば営業部門に連携し、なければインサイドセールス対応。
ICP非該当 デジタルセールス化を検討すべき領域。しかしながらこの中に未来のICPが実在する可能性があるため、注意が必要。 デジタルを活用してリードナーチャリングを継続。リードクオリフィケーションを継続ししかるべきタイミングでアプローチ。

受注確度の定義とその高め方

受注確度は、3つの観点で検討します。1つ目は、購入を意思決定する関係者(Buying Group)内で合意が取れているかどうか、2つ目は、予算感が合致しているかどうか、3つ目は、受注に近い状態であるかどうか?(たとえば、カタログが欲しいよりも、デモして欲しいの方が受注に近い)です。これらを統合的な視点で判断する必要があります。

バイインググループへのアプローチ方法 BBMでは、「個別セミナー(オンラインでもリアルでも可能)」を1つのメソッドとして位置付けています。個別セミナーとは、ある特定のリードや顧客1社に対して行うセミナーで、社内セミナーや社内勉強会のような言い方もできます。個別セミナーを継続的に実施することで、バイインググループへのアプローチに継続性を持たせることができます。また個別セミナーはホワイトスペース開拓にも応用できます。
受注に近い状態に持っていく方法 BBMでは、「オファー」という概念を取り入れています。オファーとは、営業プロセスの起点のことで、たとえば、「資料請求、セミナー申込、デモ申込、見積もり依頼」などがオファーにあたります。このオファーを段階的に設計することで、受注に近い状態に段階的に育成することができます。いかに魅力的なオファーを準備できるか?がポイントになります。

オファーや個別セミナー(これもオファーの一種)は、魅力的であるということが重要です。そのため、BBMのプロセスでもご紹介した通り、BBMでは、課題DBの構築を重要視しています。

BBMのメリットとデメリット

新たなICP像への気づき BBMで量中心の施策を展開し、その施策で獲得した顧客の中から優良顧客が生まれる可能性があります。それはイコール、新たなICP像になる可能性があります。新たなICP像に気が付けるというのも大きなメリットです。
リソース調整 自社のリソースや売上状況に応じて、バランスを調整することができます。受注率が悪化し営業リソースが疲弊してきた場合は、質中心に軸足を移してくといったイメージです。ただし、関連部門全員がICP率を把握し、売上状況から今どうすべきか?の判断を行えるようにしておくことが重要です。
営業連携のしやすさ 例えば、営業部門には「量を重視する担当者」と「質を重視する担当者」に分かれているケースがあります。こういった場合、BBMは連携しやすいでしょう。またICPを営業部門と共有し認識を合わせておくことで、ICPに該当するリードを連携できれば、営業フォロー率の向上にもつながるでしょう。

BBMはメリットばかりでもありません。LBMとABMの両方のマーケティングスキルが必要になります。弊社のBBMプロセスにおいては、課題DBの構築が必要なので時間もかかります。

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BBMのコンサル支援

弊社では、BBMを支援するコンサルティングが可能です。伴走支援いたしますので、ご興味ある方はお問い合わせください。BBMの概要説明、支援内容、費用感、ICP率可視化の実例などを詳しくご紹介いたします。

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